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■ 上諏訪温泉(湯小路源湯) 「大和温泉」 〔 Pick Up温泉 〕



<上諏訪温泉(湯小路源湯)「大和温泉」> (長野県諏訪市小和田17-5、7:00~22:00、水休、230円、0266-52-3659)
紹介ページ(MAPPLE 観光ガイド)

上諏訪でも屈指の名湯です。
上諏訪には数多くの泉源がありますが、なかでも小和田湯小路地区にはイオウ気の強い力のある泉源が集中しています。
その多くがジモ専ですが、ここは一般にも開放してくれる貴重なお湯です。

R20甲州街道で四賀普門寺交差点を過ぎ、諏訪湖畔に向かう県道50を左に分けて、踏切を渡った本田精工の先の分岐を斜め左に入ります。
たしか2つ目の湯小路信号を左に折れるとすぐ左手に日帰り温泉つきの福祉センター「湯小路いきいき元気館」がみえてくるのでそのそば。


【写真 上(左)】 湯小路平温泉 (この右の路地に入ります)
【写真 下(右)】 湯小路上湯

大和温泉じたいにPはありません。
「湯小路いきいき元気館」は大和温泉と同じ湯小路源湯で、300円と安く湯づかいも悪くないので、ここのPに停めて2湯連ちゃんするのがベターかもしれません。

「湯小路いきいき元気館」の前は三叉路になっていて、角にクラシカルで風格のある共同浴場(湯小路平温泉)。その奥にも共同湯(湯小路上湯)がひっそりとあって、温泉マニアにはよだれの出そうな一角ですがいずれもジモ専。
大和温泉は角の共同浴場の右手の細い路地に入ってすこし行ったところ。
トンネル状のゲキ細路地の手前に「大和温泉」の看板。おそるおそる路地を抜けると到着です。


【写真 上(左)】 立ち並ぶ浴場群
【写真 下(右)】 路地

手前のジモ専共同湯よりぜんぜんわかりにくいので要注意(^^)。
存在を知らない人はほぼ100%たどり着けません。
なお、このあたりの共同浴場についてはやませみさんの解説があります。


【写真 上(左)】 中庭
【写真 下(右)】 銘板

中庭に面して手前に受付、奥の左が男湯、右が女湯。運がよければマスコットの温泉ねこと遊べます。
ここまでの雰囲気は公衆浴場というより、ほとんど民家のもらい湯です。

でも、浴場はまあまあの広さがあります。
細ながいスペースの手前に脱衣所、奥に浴室。明るすぎず暗すぎず落ちつきのある空間に仕上がっています。


【写真 上(左)】 脱衣所
【写真 下(右)】 浴槽から脱衣所

ここは4回ほど入っていますが、昼間でもけっこうお客がいます。夕方は混みそうなので、昼の訪問がいいかと。


【写真 上(左)】 冷水槽&源泉カランつき冷却槽?
【写真 下(右)】 ガラス絵

緑色のタイル貼の浴場。手前に冷水槽とならんで源泉カランつき冷却槽?とその奥にステンレスタイル敷浴槽。ガラスブロックの壁面にはかわいい魚のガラス絵。
カラン、シャワー、シャンプー、ドライヤーすべてなし。
風とおしよく居ごこちのよい浴場です(空いていれば・・・)。


【写真 上(左)】 浴槽1
【写真 下(右)】 浴槽2

お湯はカランから冷却槽に投入し、冷水槽からの埋め水とあわせて浴槽への流し込み、別に浴槽上にも源泉カランがあって、投入全量をオーバーフローのかけ流し。
カランは真っ黒に硫化しています。
源泉カランは止められていることもあるので、湯温ぬるくきもちなまり気味のこともありますが、カランの吐湯量は多く湯温も高いのですぐに回復します。


【写真 上(左)】 浴槽への流し込み
【写真 下(右)】 浴槽の源泉カラン

お湯は綺麗なエメラルドグリーン。メタリックなステン浴槽に湯色が映えてGOOD。
お湯のなかにはイオウ系の白い湯の花と硫化鉄らしき黒い粒子がただよっています。


【写真 上(左)】 浴槽3
【写真 下(右)】 湯色

たまご味+α(芒硝味と重曹味と収斂味がまじった複雑なもの)。
かなり強めのしぶ焦げイオウ臭で、このイオウ臭は浴場全体に立ちこめています。
イオウ泉特有のスルスルとした湯ざわりのうらに、なにかあとを曳くような独特な浴感は相当量ふくむ硫酸塩やメタほう酸のしわざかと思います。
浴後は温まりがクリアーに抜けてすっきり。
総硫黄は旧分析で9.6mg/kg、新分析ではじつに66.3mg/kgですから、イオウ気の強いのもなるほどうなづけます。
硫化水素型ではなく水硫イオン(HS)系で、これだけイオウの強いお湯もめずらしいです。

個人的にはイオウ泉としては理想に近いお湯で、入ってはトドを繰り返し、毎回ついつい長湯モード入ってしまいます。

上諏訪に源泉かずかずあれど、おそらく1.2位をあらそう名湯かと・・・。
諏訪の湯巡りにアクセントをつけるのに格好のお湯だと思います。

一郷一会温泉格言 其の拾八「緑色の硫黄泉に、ハズレなし」、其の二拾「見つけにくい温泉に、ハズレなし」を立証するようなお湯です (^^)


【写真 上(左)】 裏の洗濯場?
【写真 下(右)】 白い湯の花がわんさか

建物(or となりの共同浴場)の裏(「湯小路いきいき元気館」側)に洗濯場?があって源泉が溜められています。
ここのお湯はさらにイオウ気がつよく、白いヒモ状の湯の花がたくさん舞っています。ひょっとしてこのお湯は別源泉かもしれません。

単純硫黄温泉(Na-Cl型) 69.0℃、pH=8.80、湧出量不明、溶存成分=822.8mg/kg、Na^+=198mg/kg (91.89mval%)、F^-=2.5、Cl^-=228 (55.19)、HS^-=32.3、SO_4^2-=90.1 (16.10)、HCO_3^-=106 (14.91)、CO_3^2-=15.0、陽イオン計=215.8 (9.4mval)、陰イオン計=473.9 (11.7mval)、メタけい酸=75.2、メタほう酸=12.8、硫化水素=34 <H17.11.28分析> (源泉名:湯小路源湯)

単純硫黄温泉(Na-Cl・HCO3型) 72.5℃、pH=8.4、湧出量不明、成分総計=715.6mg/kg、Na^+=208.8mg/kg (92.68mval%)、F^-=2.8、Cl^-=206.1 (58.52)、HS^-=9.2、SO_4^2-=66.2 (13.90)、HCO_3^-=122.3 (20.15)、CO_3^2-=9.0、陽イオン計=225.2 (9.80mval)、陰イオン計=416.3 (9.93mval)、メタけい酸=63.5、メタほう酸=10.4、硫化水素=0.4 <H7.5.8分析> (源泉名:湯小路源湯)

※ H17の分析はH7のにくらべて総硫黄が大幅にUP(9.6 → 66.3)しています。
分析書の申請者は”湯小路温泉統合組合”とあるので、ひょっとして湯小路源湯は何本かの源泉を混合していて、使用源泉がかわったのかもしれません。

〔 2009年04月27日レポ(2007~2008年に数回入浴) 〕
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■ 強羅温泉 「早雲閣 頓狂楼」 (現 強羅(花扇)早雲閣)



<強羅温泉「早雲閣 頓狂楼」(現 強羅(花扇)早雲閣)> (箱根町強羅1300、11:00~18:00(時間要問合せ)、1,000円、0460-82-3311)
オフィシャルHP

箱根ケーブル・ロープウェイ「早雲山」駅のすぐよこにある自家源泉の老舗旅館。
以前は「早雲閣 頓狂楼」でしたが2008年末に飛騨高山の「飛騨亭花扇」の傘下に入ったようで、いまは「強羅(花扇)早雲閣」となっています。
ここは日帰り不可でしたが、2007年ころから日帰り解禁となったので、行ってみました。
なお、このレポの入浴は2007年9月なので、「早雲閣 頓狂楼」時代で日帰り解禁した直後に訪れたことになります。


【写真 上(左)】 浴場入口
【写真 下(右)】 脱衣所

箱根の老舗宿ということで敷居の高さを感じますが、スタッフの対応はとても親切、浴場手前まで案内してくれました。
2階にあがった山側おくに浴場入口があって、ここで靴を脱ぎます。
奥の階段の踊り場に女湯の入口、さらにのぼると男湯の入口です。

脱衣所は老舗の湯宿らしくゆったりひろびろ。
日曜15時で先客1人はしばらくして出て、あとは贅沢にも独占。


【写真 上(左)】 男湯の浴舎
【写真 下(右)】 露天からのながめ

内湯ゾーンに石枠石敷15人以上の風格ある内湯。左手露天ゾーンに同10人くらいの屋根付き露天の2槽。
露天は東屋つき休憩スペースのあるゆったりとしたもの。
ただ、館内はよくメンテされているのに、浴場の清掃がやや甘いように感じました。
どちらの浴槽もオレンジ色がかった石灰華のコーティング&いがいがに厚くおおわれていてとても箱根のお湯とは思えません。
カラン6、シャワー・シャンプー・ドライヤーあり。


【写真 上(左)】 男湯の内湯
【写真 下(右)】 女湯の内湯

内湯は木組みの天井高く、床は職人芸のタイル貼で味わいふかいです。
山手の窓をあけるとすぐ裏手が泉源施設。


【写真 上(左)】 泉源
【写真 下(右)】 重炭酸土類泉らしい析出

これは現在日帰り入浴不可となっている「最乗寺箱根別院」の浴場の下でさかんに湯けむりをあげているもの。


【写真 上(左)】 露天から泉源施設
【写真 下(右)】 女湯の露天

内湯は大ぶりな岩組みの湯口からゲキ熱源泉を、いったん湯壺にためて冷却してから湯船へ流し込み。
湯口のそばにはコップもおいてありました。
槽内注排湯はなく、全量をザンザコオーバーフローの見事なかけ流し。


【写真 上(左)】 内湯の湯口1
【写真 下(右)】 内湯の湯口2

露天は、裏手の泉源施設から無造作に引きまわしたパイプからの投入。これは泉源直引きでは?
槽内注排湯はなく手前からの上面排湯は、これもかけ流しかと思います。


【写真 上(左)】 男湯の露天
【写真 下(右)】 露天の湯口1


【写真 上(左)】 露天の湯口2
【写真 下(右)】 箱根とは思えない露天の湯口

かなり熱め(露天は適温)のお湯は緑と青と茶がまじりあった複雑な色味のささにごり。
湯中には黄土色の浮遊物がただよっています。


【写真 上(左)】 ザコザコのかけ流し(内湯)
【写真 下(右)】 露天もザンザコのかけ流し

よわい重曹味にわずかな旨味。見た目ほど湯の香は強くないものの、かすかなアブラ臭と焦げ臭が香ります。
重炭酸土類泉系のぎしぎしと硫酸塩泉系のきしきしと重曹系のツルツルが混じりあう複雑な湯ざわりですが、ツルすべが卓越。
でも、本質は硬質なイメージの正苦味泉的なもので、浴感はかなりハードな強いお湯なので長湯不可。
温まりも半端じゃなく、洗い場で水を浴びながらの入浴。
イメージ的には湖尻の「旅館 山越」がかぶりますが、それよりはいくぶんマイルドか・・・。


【写真 上(左)】 湯色と排湯(内湯)
【写真 下(右)】 露天の湯色


【写真 上(左)】 源泉はもちろん透明
【写真 下(右)】 見事な石灰華

無色透明の弱食塩泉やアル単、そして白濁の大涌谷造成泉が箱根の代表的なお湯で、茶系のお湯はここと、「箱根高原ホテル」「旅館 山越」と同じ源泉をつかう「芦ノ湖一の湯」くらいしか思い当たらず貴重品。
とくにこのお湯は箱根でも屈指のキャラの立ったお湯なので、温泉好きは一浴の価値ありでしょう。

Ca・Na・Mg-硫酸塩・炭酸水素塩温泉 55.6℃、pH7.9、168L/min(1,000m掘削揚湯)、成分総計=1.329g/kg、Na^+=89.3mg/kg (24.29mval%)、Mg^2+=45.9 (23.67)、Ca^2+=157 (49.03)、Fe^2+=3.07、Cl^-=18.6 (3.17)、SO_4^2-=556 (69.24)、HCO_3^-=276 (27.05)、CO_3^2-=1.71、陽イオン計=310 (16.0mval)、陰イオン計=855 (16.7mval)、メタけい酸=156 <H17.5.18分析> (源泉名(台帳番号):宮城野第56号)

<温泉利用掲示> 加水:なし 加温:なし 循環装置等使用:なし 消毒処理:なし

〔 2009年4月22日レポ(2007年9月入浴) 〕
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■ 嵯峨塩鉱泉 「嵯峨塩館」 〔 Pick Up温泉 〕



<嵯峨塩鉱泉「嵯峨塩館」> (山梨県甲州市(旧 塩山市)牛奥5532、11:00~15:00(12:00~ 土曜、時間要問合せ)、週1回不定休、500円、0553-48-2621)
オフィシャルHP

笹子トンネルの甲府側、甲斐大和駅あたりを山側に折れると日川の渓谷に入ります。
ここは甲斐武田氏終焉の地で、天正十年、武田氏最後の戦となった「天目山の戦い」にまつわる数々の史跡が残ります。
ここにある天目山温泉田野鉱泉、嵯峨塩鉱泉の3湯のうち、未湯だった嵯峨塩鉱泉にようやく入湯です。


【写真 上(左)】 大菩薩峠
【写真 下(右)】 上日川ダム

日川の渓谷をさかのぼる県道218大菩薩初鹿野線。臨済宗の古刹天目山栖雲寺をすぎると人家もとだえてまったくの山のなかとなります。
このさき上日川ダムを巻き、大菩薩峠の登山口、上日川峠を超えて重川筋の裂石まで、細いながらも延々と舗装路がつづいています。(この日は裂石「雲峰荘」を攻めてから峠を越えてアプローチ。)


【写真 上(左)】 看板
【写真 下(右)】 入口

栖雲寺をすぎて3kmほど走ると右手に「嵯峨塩館」の入口がみえてきます。
「信玄公の隠し湯」のいわれものこる嵯峨塩。日川の渓谷沿い、人里はなれた12室の山中の一軒宿です。


【写真 上(左)】 飲泉所
【写真 下(右)】 玄関


【写真 上(左)】 ロビー
【写真 下(右)】 造作

少しくだって風格ある母屋の玄関。手前には飲泉所もあります。
エントランスもよさげですが、館内はさらに気合いが入っています(^^)
シックな”和モダン”調というか、もっと伝統的な和のテイストを活かしたイメージで、どことなくレトロも入っていてどこをとっても絵になります。
明治三十五年創業を物語るさまざまな調度類、各所に武田菱があしらわれているのは、ご当主の家紋でしょうか・・・。
正直、山中のB級宿を想像してたので、ギャップにびっくり。
スタッフの応対も丁寧で好感度が高いです。


【写真 上(左)】 武田菱
【写真 下(右)】 浴室前

帳場をとおって奥に浴室。手前が男湯、奥が女湯。
脱衣所は狭いながら趣のあるもの。


【写真 上(左)】 内湯1
【写真 下(右)】 スゲ笠

扉をあけると手前に洗い場、奥の窓側に内湯(古代檜枠石タイル貼3-4人、適温~ややぬる)。
扉をあけて数段おりると露天(岩枠青鉄平石造4-5人、ややぬるめ、一部屋根付)です。


【写真 上(左)】 露天1
【写真 下(右)】 露天からの景色

露天は嵯峨塩峡とよばれる景勝に面していて、対岸には一条の滝。
”嵯峨”ということばには”険しい”という意味もありますが、なるほどそれにふさわしい風景で、紅葉の候はすごいながめでしょう。


【写真 上(左)】 洗い場
【写真 下(右)】 樋からの流し込み

左手の洗い場はカランではなく、おそらく加温源泉を流すがっしりとした樋からお湯を汲みます。右手の洗い場はカランとシャワーがあります。
明るすぎず暗すぎず、凜と落ちついた浴場は、雰囲気と機能性を兼ねそなえたセンスのいいもの。
洗い場5、シャワー・シャンプー・ドライヤーあり。土曜14時で独占~2人。


【写真 上(左)】 内湯の湯口
【写真 下(右)】 露天の湯口

内湯は↑の樋からの投入と木の湯口からの適温湯の投入。
底面排湯口は引いておらず、ほぼ全量を上面排湯口から露天湯口に流しだしています。
側面のジェット噴射口は埋めてありました。

露天は内湯からの流し込みを木の樋で受けて投入。
この木樋は日本最古のワイン用の葡萄棚の杭(ネズミサシ)を利用したものとのこと。
内湯からの流し出しなので出たり出なかったりしますが、別に岩の下面からやや熱めのお湯(お湯の感じからして加温源泉?)を投入、オーバーフローもあるのでお湯の鮮度はしっかり保たれています。
ここにも底面&側面排湯口がありますが、引いていませんでした。


【写真 上(左)】 内湯2
【写真 下(右)】 露天2

お湯は内湯と露天で大差ないですが、露天のほうがちょいといいかも・・・。
きもち懸濁したお湯は白い湯の花を湛え、よわいながら硫黄系のたまご味と重曹味が感じられます。
湯口で香るよわい甘イオウ臭は、露天の湯面でも感じられました。
アルカリ泉系のヌルすべのある湯ざわりやわならかなお湯で、すこぶる入りごこちがいいです。

温まりはさして強くないものの、浴後はおだやかに温もり、お肌がしっとりすべすべにおちつく美人の湯。
少量ふくむ硫酸塩がよく効いていて、ただのアルカリ泉とはちがう奥ぶかい浴感と、よわいながら湯中の指先の青白発光、さらに浴槽まわりのところどころに石膏系の白い析出がでています。


【写真 上(左)】 石膏の析出
【写真 下(右)】 加温用?の薪

かけ流しか半循環かいまいちはっきりとしませんでしたが、湯づかいはよく、カルキもまったく感じられず。
母屋の下の小屋に大量の薪が積み上げられていたので、たぶん薪焚きでしょう。

思いのほかいいお湯を雰囲気のいい浴場で楽しめて満足。
帰りしな、数組到着していたお客は、みな常連さんのようで手慣れた感じのチェックイン。かなり満足度の高そうなお宿で、なるほど常連客がつくのもうなづけます。

鉱泉ですが、分析はされています。
日川沿いで、脈がおなじなのか、天目山温泉田野鉱泉に似た、強アルカリでイオウと硫酸塩含みの重曹泉系の泉質。

「嵯峨塩温泉」と紹介しているガイドもありますが正式には「嵯峨塩鉱泉」で、お宿のパンフやHPにも「温泉」とは一切うたっていません。
このあたりの生真面目さも好感がもてます。

お湯的には凡庸な温泉をはるかに凌ぐものがあり、料金も500円と良心的。
雰囲気も抜群なので、ちかくまできたら寄ってみることをおすすめします。

※(たしか)スタッフの方のはなしによると、以前は河原に露天があって、人気があったのだが大水で流されてしまったとのこと。

鉱泉 
泉温不明、pH=10.2、湧出量不明、成分量不明、Na^+=19.5mg/kg、Cl^-=1.2、OH^-=0.8、SO_4^2-=12.9、CO_3^2-=11.8、メタけい酸水素イオン=22.6 <分析日不明>

〔 2009年4月11日レポ(2008年10月入湯) 〕
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■ 玉川温泉 〔 Pick Up温泉 〕



<玉川温泉> (甲斐市(旧 竜王町)玉川1038-1、9:30~21:00、月休、500円、055-276-5151)
紹介HP(楽天MAP)

甲府は市内に数多くの温泉をもつ温泉都市で、周辺の甲斐市、昭和町などとともに湯量豊富な源泉が集中しています。
わけても、甲斐市竜王町と昭和町エリアにはザンザコかけ流しで「モール臭」「ツルすべ」「アワつき」の3拍子そろえた名湯がたくさん。(→詳細はこちら
ここもそんなお湯のひとつです。


【写真 上(左)】 ピンク色の建物です
【写真 下(右)】 脱衣所

甲府市郊外の住宅地のはずれ、田んぼのきわにある温泉銭湯。
県道25敷島田富線を南下し、西小入口信号、セブン-イレブンをすぎるとすぐ看板があるので左折。あとは看板にしたがいますが、道は狭くてわかりにくいです。
甲府の銭湯には、草津温泉や伊香保温泉なんつ~のがあって、ここもてっきり名湯、玉川温泉にあやかりか? と思いきや、玉川というところにあるから玉川温泉(^^)

煤けたピンク色の2層の建物で、浴室は受付をとおり狭い休憩所を抜けてすぐ。
脱衣所も狭くて殺風景で、お世辞にも立派な施設とはいえません。


【写真 上(左)】 あふれるお湯
【写真 下(右)】 ジェット浴槽からもざんざこオーバーフロー

ところが、浴室に入ったとたんに唖然!
床一面がオーバーフローしたお湯で川状態になっています。
浴室が狭いので余計にそう感じるのでしょうが、これはただごとじゃないです。
浴槽の脇においた桶が、すぐに下流の洗い場の方におし流されていってしまった ^^)
川治温泉「登隆館」西川温泉「公民館」(ダム建設により廃止)などとともに、かけ流し量のすごさで記憶に残っているお湯です。

奥にメイン浴槽(石枠タイル貼7-8人)、手前にジェット浴槽(同3-4人)のふたつの浴槽。

メイン浴槽は40℃弱のややぬるめ。分析書の泉温は37.7℃ですが、かけ流し量からみてどうしても加温があるとは思えません。
茶褐色に変色した石の湯口から70L/min!ほども大量投入で、同量のお湯をきっちりとオーバーフロー。湯口のうえにはコップもおいてありました。

ジェット浴槽は石の湯口からの投入+ジェット注入。ここもかなりのオーバーフローで、メイン浴槽にはおよびませんがお湯の鮮度は高いです。
カラン4、シャンプー・ドライヤーなし。GWの15時で男湯独占。
浴場は狭めですが、西向きの窓から乾いた風が吹き込んできもちがいいです。


【写真 上(左)】 メイン浴槽の湯口
【写真 下(右)】 モール系の湯色

淡黄色透明のお湯はこまかな気泡で白濁気味。
ジェット浴槽のほうがぬるくて赤味が強く、こちらにだけ西那須野の「大鷹の湯」に似た茶色腐葉土状の浮遊&沈殿物があります。
メイン浴槽の湯口は弱鉄味。金気臭+このエリア特有の甘いモール臭。
甲府モール泉お約束のアワつきは当然あって、アワアワは、山口韮崎旭よりさらに細かく繊細な感じのもの。(むしろ霧積「金湯館」に近い)
湯口近くより湯船のはしの方が、アワつきが全然すごいのが不思議・・・。
アワつきによるヌルと重曹のツルがダブル効きしているヌル&ツルすべ美人の湯。
鮮度感抜群なのですこぶる快適、なかなか脱出できません。

これは名湯!
サッパリ爽快感がありながらむしょうににあとを曳くお湯で、このとき入ったいくつかの温泉銭湯のなかでもトップクラスのお湯かと思います。
受付のおばさんに、分析表を写させてほしいといったら、「これ見てもぜんぜんわからないの・・・(笑)」。
いいお湯ですよといったら、「ふ~ん、そうかね・・・」と逆に感心されました ^^)

単純温泉(Na-HCO3・Cl型) 37.7℃、pH=7.46、482L/min自噴、成分総計=1.016mg/kg、溶存総量=0.948mg/kg、Na^+=203.0mg/kg (75.60mval%)、Mg^2+=18.7 (13.18)、Fe^2+=2.6、Cl^-=152.3 (38.15)、HCO_3^-=416.3 (60.51)、陽イオン計=253.5 (11.68mval)、陰イオン計=595.1 (11.27mval) メタけい酸=119.2、遊離炭酸=68.6 <S61.8.18分析>

※ 溶存総量があと0.052mg/kgあれば、Na-塩化物・炭酸水素塩温泉のぎりぎり単純温泉。
なお、平成14年に再分析され、泉温41.5℃のNa-塩化物・炭酸水素塩温泉になったとの情報があります。(ここはなぜか再訪しておらず新データなし)

○ 元レポは「みしゅらん掲示板 特集クチコミ情報」でも紹介いただいています。

〔 2009年4月10日UP (2002年5月入湯・レポに加筆)〕
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■ 塩原(福渡)温泉 「不動の湯」 【 断続的に営業休止中 】



こちらの施設は、2015年頃から断続的に営業休止となっています。
このような、すばらしい共同浴場が営業休止になってしまったのは本当に残念です。


塩原(福渡)温泉「不動の湯」
住 所 :栃木県那須塩原市塩原
電 話 :
時 間 :6:00~21:00、無休
料 金 :200円

※ 営業状況・時間・料金・TELなどは、原則としてUP日時点の最新データに直してありますが、掲載内容を保証するものではありません。ご利用の際は必ず事前に各施設にご確認ください。


塩原のお湯はおおむね制覇(?)しましたが、たしかレポはまだ大網「湯守 田中屋」につづく2湯目です (^^;;)

栃木を代表する温泉地、塩原温泉郷。箒川に沿って下流から、大網、福渡、塩の湯、塩釜、畑下、門前、古町、中塩原、上塩原、新湯、元湯などの湯場があり、”塩原十一湯”といわれます。

塩原には日帰入浴りできる宿と共同浴場がたくさんあり、しかもバラエティに富んだ自家源泉が楽しめるので、湯巡りマニアには天国のようなところです。
つかい勝手のよい「湯めぐり手形」もあります。

一般客が入れる共同浴場は「岩の湯」(福渡)、「不動の湯」(福渡)、「青葉の湯」(畑下)、「もみじの湯」(古町)、そして新湯に「むじなの湯」「中の湯」「寺の湯」の3湯。
なかでも福渡と新湯のそれはお湯&ロケのよさから根強い人気があります。

今回は、このうち福渡の「不動の湯」をレポします。


【写真 上(左)】 橋のたもとから「岩の湯」
【写真 下(右)】 川沿いの遊歩道

福渡の温泉街から対岸の岩の湯にかかる橋を渡った突きあたり(右手は「岩の湯」)を左手川沿いの遊歩道(塩原渓谷歩道(やしおコース))に入ります。
すこしいくと林のなかの暗い道となり「ホントにこの先に風呂あるのか?」と思いますが、しばらくすると左手に足湯が出てきます。
この足湯までくると、ようやく沢の奥に湯小屋&湯船らしきものがみえてきます。これがめざす「不動の湯」です。


【写真 上(左)】 足湯
【写真 下(右)】 足湯の湯口

沢がすこしひらけたような雰囲気のいいところにあって、ロケ抜群。
「岩の湯」よりも広々としています。えらく絵になる露天で、なるほどこれは人気があるわけです。

湯小屋らしきものは脱衣所でけっこう立派。
ここは男女混浴ですが、たいてい混んでいるので慣れない女性はきびしいかも。


【写真 上(左)】 脱衣所から浴槽
【写真 下(右)】 浴槽

この日は土曜の10時ごろだったので混雑覚悟でいきましたが、先客ひとりはすぐに出て、そのあと30分以上も独占でラッキー。
その後、ぞろぞろとやってきたのでたまたまタイミングがよかったのかも・・・。

ゆるやかな曲線をえがく石造10人弱の露天の湯船は、石灰華の析出でコーティングされています。
自然木をくりぬいた木の湯口から50L/min以上もの適温源泉を大量投入で槽内注排湯はみあたらず、沢へ向かっての大量流し出しはたぶんかけ流し。
アメニティ類はなく、ちいさな桶ひとつだけ。


【写真 上(左)】 湯口-1
【写真 下(右)】 湯口-2

ややぬる目のお湯は青灰色にささにごって、鉄分系の茶色の浮遊物とこまかな気泡がただよいます。
金気だし味+旨味+重曹味+わずかに炭酸味。圧倒的な焦げ臭のうらに金気貝汁臭。

ギシギシとした湯ざわりのうえにアワつきによるぬる感が乗ってきて、重炭酸土類泉特有の肌にしみ渡るような浴感もしっかり。
これは文句なく名湯です。
こんなすばらしいお湯にわずか200円(清掃協力金)で入れるとはありがたいことです。(それすらも払わない輩もいるそうですが・・・)


【写真 上(左)】 浴槽から脱衣所
【写真 下(右)】 上からみた浴槽

お湯のイメージは赤城に似ていて、完璧な重炭酸土類泉。
塩原では刈子の湯(塩の湯、塩釜へ引湯)、鹿股2号源泉(塩の湯、塩釜・福渡へ引湯)、そして「岩の湯」に近いかな。
「岩の湯」にくらべると硫酸塩と硫黄分がよわく、重炭酸土類泉の特徴が際だっているような感じ。

ロケと湯質を兼ね備えた、栃木屈指の露天共同浴場だと思います。

分析書は掲出なし。
やませみさんのデータによると、「Na・Ca-Cl・HCO3温泉 38.5℃ pH=6.1 ER=1.82(源泉名:不動の湯)」とのことです。

湯口まですこし上流からパイプが引かれ、泉源と思われるあたりに「塩原の温泉」の説明板がありました。


【写真 上(左)】 沢への排湯
【写真 下(右)】 泉源?

ちなみに、塩原の重炭酸土類泉脈の大もとはたぶん箒川右岸の鹿股川~足長沢周辺(塩の湯、甘湯、須巻など)にあって、箒川右岸の源泉はたいていこの湯脈の影響を受けています。
これが、塩原の湯巡りに変化を与えてくれているのだと思います。

〔 2009年4月6日レポ(2006年12月入湯) 〕
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■ 上諏訪温泉 「湯の脇平温泉」



<上諏訪温泉「湯の脇平温泉」> (諏訪市湯の脇2-5-8、6:00~9:00/14:00~22:00、第2・4火休、200円、TEL不明)
紹介サイト(@nifty温泉)

上諏訪では貴重な外来者でも入れる共同浴場。
名前は「平温泉」ですが、小和田地区にも「平温泉」(ジモ専)があるので、温泉マニアのあいだでは「湯の脇平温泉」とよばれて区別されます。
場所はやたらにわかりにくいです。
位置的にはセイコーエプソンの南側の住宅地のなかで、複雑すぎて説明できません。→(ここ)


【写真 上(左)】 上諏訪の間欠泉(七ツ釜)
【写真 下(右)】 途中でみつけた共同浴場

Pが2台分あるようですが、知らなかったので間欠泉センター前のPに停めて散策がてら歩いていきました。
道すがらいきなり共同浴場(ジモ専)を発見。まわりの民家もたいてい庭に温泉タンクをそなえています。
さすがは温泉王国、諏訪。

下諏訪は共同浴場の紹介に積極的ですが、上諏訪は情報があまりなく、ここもよほどの温泉マニア以外、外来者は訪れないでしょう。
路地が交差した角に「平湯」と青いのれんのかかった建物を発見するとうれしくなります。
一度目は時間を確認せず昼頃攻めてロスト、執念(笑)の再訪です。

親切そうな番台のおじさんに料金を払って左側の男湯に突入。脱衣所は意外にゆったり。
脱衣所の壁に「湯の脇平温泉落成記念」の手ぬぐいが貼りつけてありました。
そこには「上諏訪の地域で一番古く記録に見える温泉は湯之脇の平湯である 嘉吉三年 御渡注進状」「清潔にして温和也 よく垢を流し色を白す 因て婦人女子是を貴とす この辺を湯之脇という 宝暦六年 諏訪かのこ」とあるので、由緒正しいお湯だと思われます。
江戸期には、武士が入った浴場は「上の湯」、庶民が入った浴場を「平湯」とよぶ例が多かったので、ここもそんな庶民のお湯だったのかもしれません。


【写真 上(左)】 脱衣所
【写真 下(右)】 記念の手ぬぐい

タイル貼の浴室に赤みかげ石枠タイル貼5-6人の浴槽、諏訪スタンダードな浴場です。
カラン8、シャワーあり、シャンプー・ドライヤーなし。休日14時で3~2人。

石膏の析出の出たカランからさわれないほどのゲキ熱源泉を10L/minほど投入。
諏訪の共同湯らしいビシっとした熱湯で、湯温計はきっちり45℃を指していました。
槽内注排湯はなく、投入全量をオーバーフローはかけ流しでしょう。

わずかに緑がかって透明なお湯には、うす茶の湯の花が舞っています。
ゲキ熱すぎてさわれず味不明(^^;)、ハーブのルーのような(群馬吾妻の「桔梗館」で感じたような)独特な苦清涼感のある臭いがします。
硫酸塩泉系のきしきしにおどろくほどしっかりとしたとろみを交えた入りごたえのあるお湯で、強いあたたまりがあります。

ここでつかっている源泉は、上諏訪温泉の主力源泉のひとつ「七ツ釜配湯センター統合(混合)泉」。
七ツ釜混合泉はこれまで入った施設では加水がきつく、あまりインパクトがありませんでしたが、ここのお湯はいいです。
混合泉のうえにどこでも入れるので、湯巡りマニアからは敬遠されがち(?)な七ツ釜混合泉ですが、意外に力のある源泉なのかもしれません。

分析書掲示はなかったので、さる施設でゲットしたやつをあげておきます。(その施設への配湯分析なので、若干ちがうかも・・・)

アルカリ性単純温泉(Na・Cl・SO4型) 65.8℃、pH=8.5、湧出量不明、成分総計=628.2mg/kg、Na^+=163.5mg/kg (86.65mval%)、Cl^-=164.7 (56.13)、SO_4^2-=109.4 (27.52)、HCO_3^-=73.1、陽イオン計=188.2 (8.21mval)、陰イオン計=357.1 (8.28mval)、メタけい酸=76.3、メタほう酸=11.6 <H17.11.29分析> (源泉名:七ツ釜配湯センター統合(混合)泉 / あやめ公園源湯680L/min・新三ツ釜源湯1,004L/min・新三ツ釜第2源湯1,446L/minの混合貯湯泉)

〔 2009年4月5日レポ(2007年9月入湯) 〕
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