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■ (早雲山)温泉 「最乗寺箱根別院」 〔 Pick Up温泉 & 御朱印 〕



名湯ぞろいの箱根二十湯のなかでも、個人的に双璧だと思っているのが姥子温泉「秀明館」湯本の福住横穴湧泉*です。(*日帰りで入れた「平賀敬美術館」は廃業したそうです。)

ところが、かつてこの2湯を凌駕するような素晴らしいお湯がありました。
早雲山の山腹に湧く、(早雲山)温泉「最乗寺箱根別院」です。
こちらについては御朱印もいただいていますので、温泉&御朱印のダブルレポとして再編します。
なお、入湯は2005年8月、御朱印拝受もかなり以前で、現在は寺務休止中とのことなので、入浴も御朱印拝受もできないと思います。(入浴受付はおそらく2006年には休止していたかと思います。)

記録の意味でのUPです。

<(早雲山)温泉「最乗寺箱根別院」>(日帰り入浴休止中)
神奈川県箱根町強羅1300

お湯のよさで温泉好きには有名だったお寺のお湯。
箱根ケーブル・ロープウェイ「早雲山」駅の上にありますが、看板もなにもないので知っている人以外は到達できないかと。

大雄山最乗寺は箱根の北東、南足柄市にあり、全国に4千あまりの門流をもつという曹洞宗の大寺で、箱根別院はこちらの別院にあたります。
大正五年に開基されたこの禅寺には、すばらしい浴場があります。
お寺さんのご厚意で宿坊のお湯に入れさせていただくので、時間などは未定でなかなか入れないようでした。
私も前2回は無人につき撤収、3回目のトライでついに入湯できました。

「頓狂楼早雲閣」の前を過ぎて山道を登っていき、右手に折れるとお寺の境内らしい荘厳な雰囲気になります。
少し行った本堂の右手に瓦屋根の宿坊があります。

宿坊の前には析出でギトギトになった泉源施設があってさかんに蒸気を振りまいていますが、これは「頓狂楼早雲閣」(現・強羅花扇 早雲閣)の泉源のようです。
なお、境内に入らずに林道をそのまま登っていくと泉源地帯の早雲地獄に行くようですが、途中で生い茂る草に阻まれ撤収しました。

玄関まわりに人影はなく、玄関横に掛けられている木の板を小槌で打ちます。
静まりかえった境内に、コン・コン・コンという小槌の音が思いのほか大きく響き渡ります。
しばらく待つとお坊さまが出てこられたので、入浴を乞い、お布施(500円)を渡すと浴場に案内していただけました。

館内は気持ちよく清掃され、清浄の気が流れています。
先客がいたようですが、ちょうど出ていったところで、贅沢にも男女湯・露天ともすべて独占でした。


【写真 上(左)】 脱衣所
【写真 下(右)】 男湯

浴場は、玄関の奥の階段を下ったところに男湯、その左に女湯、女湯の前を通りすぎた廊下の奥に露天があります。
露天はお湯を張っていないときもあるようですが、この日は張られていてラッキーでした。


【写真 上(左)】 男湯小浴槽
【写真 下(右)】 男湯小浴槽の湯口

男湯は脱衣所・浴室ともかなり広くて、奥側の大浴槽(石造平石敷8.9人)と窓側の小浴槽(造7.8人)のふたつがL字型に配置されています。
手前にある打たせ湯?は、つかわれていないようでした。
眺めのよさで有名な内湯ですが、この日は霧で展望はききませんでした。
数個あったカランは硫化で黒くなり、浴槽は赤茶~灰茶の析出でおおわれています。

【写真 上(左)】 男湯大浴槽
【写真 中(中)】 男湯大浴槽の湯口

大浴槽は白い析出の出た石の湯口からパイプを通じての熱湯投入、小浴槽は窓側から引かれたパイプのT字継ぎ手から熱湯源泉を10L/minほど投入で、全量投入するとお湯が熱くなりすぎるためか、浴槽外の側溝に突き出たパイプから源泉を捨てています。
ともに槽内注排湯はみあたらず切り欠きから上面排湯のかけ流し。

【写真 下(右)】 女湯
【写真 下(右)】 女湯の湯口

屋根付きの露天(混浴らしい)は、木枠石敷10人くらいでお湯はややぬるめ。
強羅の町を見下ろすすばらしい眺望らしいですが、霧でアウト。
岩から突き出たパイプからの投入で、槽内注排湯はみあたらず切欠から上面排湯の文句なしのかけ流し。

お坊さまの話によると、内湯大浴槽と露天は早雲山で造成している造成泉を使用。
小浴槽は独自源泉で、以前はもっと硫黄気が強かったとの由。
(温泉分析書も2種類あり - 下記。女湯にも浴槽がふたつありますが使用源泉は不明。)

露天と内湯大浴槽のお湯はほぼ同じイメージですが、鮮度感は内湯のほうが高いです。
かすかに懸濁したお湯はかなり熱く、ほぼ無味で焦げ臭。
強羅あたりで入る早雲山造成泉(強羅温泉4.5号井混合泉)より焦げ臭が強く、イオウ気が弱い感じがしました。
造成泉ながら、私はこの早雲山造成泉がけっこう好きなので、かなりいいお湯に感じました。


【写真 上(左)】 露天入口
【写真 下(右)】 露天


【写真 上(左)】 露天(別の角度から)
【写真 下(右)】 露天の湯口

自家源泉の小浴槽は、翠がかった透明でわずかにこまかな湯の花がありやや熱め、弱い収斂味に弱い焦げ臭と僅微イオウ臭?。湯ざわりはデリケートで、とろみを帯びて肌に染み入ってくるような独特な浴感があります。

これは噂に違わぬ名湯かと。好みのお湯なので、後半はほとんどこの浴槽にいました。
浴後はとても温まり、肌がすべすべになりました。
なお、分析書によるとpH=8.10。弱アルカリ性の硫酸塩泉は上毛方面に多いですが、それとは全く違うイメージのお湯で、むしろ酸性系の明礬緑礬泉に近いものを感じました。

諸般の事情により現在は日帰り入浴を休止しているようですが、休止前に独占状態でこの名湯に入れて本当にラッキーだったと思います。

<早雲山温泉>(男湯内湯小浴槽?)
Ca・Mg・Na-硫酸塩温泉 53.2℃、pH=8.10、湧出量不明、成分総計=1.307g/kg、Na^+=85.5mg/kg、Mg^2+=45.6、Ca^2+=157、Cl^-=49.9、SO_4^2-=593、HCO_3^-=185、陽イオン計=299、陰イオン計=834、メタけい酸=167 <H16.7.5分析> (源泉名:(株)勝俣組 早雲山温泉)

<強羅温泉(早雲山造成泉)>(露天、男湯内湯大浴槽?)
単純硫黄泉(硫化水素型) 58.6℃、pH=6.9、湧出量不明、成分総計=0.202g/kg、Na^+=21.2mg/kg、Mg^2+=2.87、Ca^2+=11.4、Cl^-=23.5、HS^-=3.12、SO_4^2-=43.0、HCO_3^-=14.7、メタけい酸=69.8、硫化水素=4.44 <H14.7.31分析> (源泉名:4.5号井混合)

【 御朱印 】
大雄山 金剛壽院 最乗寺箱根別院
神奈川県箱根町強羅1300
曹洞宗 御本尊:
御朱印尊格:道了尊






・中央に三寶印と「道了尊」の揮毫。
右上に「箱根霊場 眺望随一」の印判。 左には「道了尊別院」の印判に山号、院号の揮毫と寺院印が捺されています。

神奈川県南足柄市大雄町にある大雄山 金剛壽院 最乗寺の別院です。
本院の御本尊は釈迦牟尼仏ですが、道了尊ないし、道了尊大薩埵の霊場として知られています。
開山は了庵慧明禅師で應永元年(1394年)。幾多の奇瑞を現じられた禅師として知られ、開山伝承が残ります。

最乗寺の守護道了大薩埵は、修験道の満位の行者相模房道了尊者として世に知られています。山中に身をかくされた後は「諸願成就の道了大薩埵と称され絶大な尊崇をあつめ、十一面観世音菩薩の御化身であるとの御信仰をいよいよ深くしている。」とのことです。(本院公式Webより)

箱根とは思えない静謐な境内で、参道階段右に天狗のお像。
本堂手前の欄干には「早雲台」の文字が刻まれています。
舞台造りの立派な本堂で、赤い欄干が鮮やかです。
向拝の彫刻も見応えがあります。

本堂は高台にあるので、外輪山方面の眺望がききます。
強羅の方から吹き上がってくる涼風が心地よく、清々しい参拝をさせていただきました。

本院のメイン御朱印は「道了尊」ないし「道了尊大薩埵」で授与されますが、こちらの御朱印尊格も「道了尊」でした。
なお、最乗寺は東京・白山にも別院があり、こちらも参拝していますがご不在で、御朱印の授与については不明です。
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