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■ 手打沢鉱泉 「康栄閣」 〔 Pick Up温泉 〕



<手打沢鉱泉「康栄閣」> (身延町(旧 中富町)手打沢官有無番地、9:30~21:00(沸かし湯につき事前TELが無難)、火休、700円?、0556-42-3240)
楽天トラベル

南アルプスの東麓、身延町に合併された旧中富町にはいくつかの小規模な鉱泉がありましたが、すべて廃業になったと思っていました。
先日、R52(身延道)を走っていると、「手打沢鉱泉、入浴700円」という看板がでていて目をうたがいましたが、すかさず突入(^^;)

場所はR52手打沢橋北詰信号(南北どちらからきても看板あり)を沢沿いに山手に入って約1㎞(富士川CCにいく道)。
道沿いにあるベージュっぽい外観の建物で、看板もあるのですぐわかります。(→このへん

行ってみるとボイラー不調とのことで入れず、これから直しにくるので夕方ならたぶん大丈夫とのことで、夕方、執念(笑)で再突入するとちょうど湯はりがおわるころ。
10分ほど待つあいだに、茶の間で感じのいい女将さんがお茶をだしてくださり、しばし話をしました。

オーナーご夫妻はもともと関西出身で、縁あって廃業となっていたこの鉱泉旅館を経営することになった。もともと、このあたりには3軒の鉱泉宿があって、すべて廃業していたが、そのうちいちばん手前でいちばん新しいのがここだった。(話の流れから、もう2軒は中富鉱泉と南沢川筋にあった旧手打沢温泉らしい。)
廃業して久しい鉱泉宿に手を入れて、ようやくここまでにした。
源泉は沢の向こう側の廃坑となった炭坑のなかから自然湧出していて、日によって色の濃さがちがう etc・・・。


【写真 上(左)】 浴場入口
【写真 下(右)】 手拭い

ひとつしかない浴場は、混雑時以外は貸切で入れるらしく、この日も貸切で楽しめました。

民宿風の外観ながら、館内は意外に趣があって、沢沿いの浴場におりていくアプローチもなかなか。(ちとモノが多すぎる気もしますが・・・。)
脱衣所はえらく渋く、年季の入ったソファーセットに紺地の「ゆ」の暖簾、木箱形の脱衣棚、天井でまわるプロペラ形扇風機などがいい味を出しています。


【写真 上(左)】 脱衣所
【写真 下(右)】 暖簾

浴室のとびらをあけるとさらにびっくり。
浴室中がレトロなタイル細工で埋め尽くされています。


【写真 上(左)】 タイル1
【写真 下(右)】 タイル2

ここまで気合いの入った職人芸にはなかなかお目にかかれないくらいのしろものです。
なんでも、温泉成分の析出でかなりひどいことになっていたのを、せっせと磨いてここまでにしたとのこと。


【写真 上(左)】 タイル3
【写真 下(右)】 タイル4(タイル絵)

沢沿いにある浴場は窓をあけると川風が吹き込みます。無粋な川の護岸と対岸の道(ほとんど通行なし)の白いガードレールがちと残念。

カラン5、シャワー・シャンプー・ドライヤーあり。
手前のカランは、お湯、水ともに源泉だと思います。


【写真 上(左)】 洗い場
【写真 下(右)】 洗い場カラン

浴槽は変形丸形のタイル貼で6-7人はいけそうなもの。
窓側に立っているレトロなタイル貼の柱がいいアクセント。
お湯(かなり熱い)と水カランがあり、それぞれ源泉(水のほうは微妙)投入だと思います。ともに少量投入でしたが、蛇口で投入量を調整できます。
それとは別に、保温循環用の強力ジェット&強力パイプ吸引があります。
浴槽が広めなので、場所をえらべばジェットの余波は避けられますが、ここまで循環を強くしなくてもいいかも・・・。
入ったときは、お湯がなみなみと湛えられていて、入ると大量オーバーフロー。
お湯の感じからしても、かけ流しに近いコンディションだったように思います。


【写真 上(左)】 浴槽1
【写真 下(右)】 浴槽2

ほぼ適温のお湯は、茶色にささにごり、弱いながら芒硝味+苦味+αの複雑な味がします。
やわらかな湯の香によわく漢方薬じみた苦っぽい臭いが加わりますが、カルキ臭はまったく感じず。
適度な濃度感と弱いとろみときしきしに加え、肌に染み込んでくるような独特な湯ざわりがあって、よくあたたまります。
異常にフックのあるあと引き系のお湯で、いつまでも入っていたい衝動にかられます。


【写真 上(左)】 湯色
【写真 下(右)】 最初はざんざこオーバーフロー

浴後はほてりがクリアーに抜け、充実した浴後感とともに肌がしっとりすべすべに落ちつきます。


【写真 上(左)】 湯口
【写真 下(右)】 効能書き

お湯のイメージは常磐の湯の網カンチ山あたりに似たものを感じました。

しかし、山梨にこんなお湯があったとは正直おどろき。しつこく廻ればあるものですね(^^)
とくにレトロマニアや泉質マニア(^^)は、みのがせないお湯ではないでしょうか。

石膏泉 14.2℃、pH=7.0、35L/min、成分総計=1260mg/kg、Na^+=135.7mg/kg (37.92mval%)、Ca^2+=146.4 (46.96)、Mg^2+=22.86 (12.08)、Fe^2+=1.622、Cl^-=5.432 (0.95)、SO_4^2-=519.7 (66.85)、HCO_3^-=318.3 (32.19)、陽イオン計=322.7 (15.56mval)、陰イオン計=843.5 (16.20mval)、遊離炭酸=76.51 <S42.5.19分析> (源泉名:手打沢鉱泉)

※古い分析ですがみごとな石膏泉(新表記だと、Ca・Na-SO4・HCO3冷鉱泉)です。
Cl^-=0.95mval%という少なさは、保川温泉「旅館橋本」に迫るもので、これが個性的な浴感を生み出しているのだと思います。
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■〔コラム〕 食事の美味しい日帰り温泉

日帰り温泉施設の食事処というと、「安い!、はやい!、でも不味い」というのが通り相場ですが、これまで食べたなかで「けっこう、いけるかも・・・」というところで、さらにお湯もいい施設を近場で10軒リストしてみました。(まだまだあると思いますが、あまり日帰り温泉で食べないので・・・)

1.野田花井温泉 「野田 潮の湯」(千葉県野田市)
・和食ダイニングレストラン「遊膳」。板前さんの腕がよく、素材もよくて刺身や煮物が美味しい。店内の雰囲気も和風に落ちついていて○。むしょうに地酒が飲みたくなる(笑)
(→レポ

2.町田温泉 「ロテン・ガーデン」(東京都町田市)
・新館3階 和食処「和楽」。四万「やまぐち館」の料理長が監修してるらしい。食材がよく盛り付けもいきとどいている。自家製の角煮とサラダの和風ドレッシングが美味だった。味や雰囲気のわりに価格が良心的だと思う。お湯は黒湯でかけ流し槽あり。
(未レポ)

3.成田の命泉 「大和の湯」(千葉県成田市)
・和風ダイニング「あじ彩」。ここも湯モダン系の店づくり。和洋折衷創作系で魚が美味しい。国産地ワインの品揃えが凄い。単品メニューが充実していてなにげに酒が飲みたくなる(笑)。寿司バー「紫苑」も美味しそう。
(→レポ

4.牧の原温泉 「ヒーリングヴィラ印西」(千葉県印西市)
・1Fアジアンキッチン。バイキングスタイルのヘルシー系無国籍料理。バリ風の環境設定。味は特筆するほどでもないが、いろいろ選べて楽しい。
(→レポ

5.サイボク天然温泉 「まきばの湯」(埼玉県日高市)
・1F温泉レストラン。上質感のある店内だが肉料理というよりは和食メインのメニュー。GPポーク・SGPポークで有名なサイボクの醍醐味を味わうなら敷地内別棟の「レストランサイボク」のほうがおすすめ。ただしやたらにビールが飲みたくなる。
(→レポ

6.天然戸田温泉 「彩香の湯」(埼玉県戸田市)
・1F食事処。レベル低めの埼玉南部では美味しい施設。和食系メインで真面目に調理しているようで、味付けがしっかりしている。セットメニューがおすすめ。
(→レポ

7.芳賀温泉 「ロマンの湯」(栃木県芳賀町)
・なんということもない軽食コーナーでメニューもいたってふつうだが、ご飯・みそ汁・野菜などがやたら美味い。たぶんオール地元産だと思う。ここに限らず栃木のセンター系はおおむねレベルが高い。
(→レポ

8.箱根湯本温泉 「ひがな湯治 天山」(神奈川県箱根町)
・2F楽天。温泉しゃぶしゃぶが名物で価格もリーズナブル。一時は銘柄豚「高座豚」をつかっていた。つまみ類もなかなかなので酒が飲みたくなる(こればっかし・・・笑)。
(→レポ

9.高根沢城温泉 「元気あっぷむら」(栃木県高根沢町)
・2F中華「青海」。予想外に本格派。今回HP確認したら「高根沢町が友好交流を続けている“中国青海省(チベット自治区に隣接)”から名付けられました。コンセプトは薬膳による医食同源。本場中国の調理人も腕を振るっています」とのことで納得。中国内陸系というよりは、上海・広東系の味付けで食べやすい。
(→レポ

10.正徳寺温泉 「初花」(山梨県山梨市)
・もともとはうなぎ料理専門店だけあって、やわらかく風味あるうなぎ料理が楽しめる。自家菜園栽培の完全無農薬野菜もつかっている。調理に時間がかかるので予め時間予約してから入浴するのが○。
(→レポ
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■ 真岡温泉(真岡インター天然温泉) 「スパリゾート・フジ 天然温泉『森の泉』」

 

<真岡温泉(真岡インター天然温泉)「スパリゾート・フジ 天然温泉『森の泉』」> (真岡市長田1715-1、6:00~9:00/10:00~23:00、880円、0285-85-5526)
オフィシャルHP

2007年8月20日にオープンした日帰り温泉施設。(ONKEN21さんのレポ(みしゅらん)あり。)
先日開通した北関東道「真岡IC」そばにあり、北関東道からもよく見えますが、ICまわりの道は整備途中でわかりにくく、なかなかたどりつけません。
温泉施設というよりは、ホテルかハウスウェディング風の白亜の建物で短期賃貸マンションも併設しているようです。

料金は当初680円とゲキ安でしたが、いまは880円になっているようです。
それでもフェイスタオル・バスタオル・館内着つきプール利用可の時間無制限ですから安いものです。
3層の館内には、温浴施設の他、プール、岩盤浴、各種レストラン、ゲームコーナー、宴会場とてんこ盛り。付帯施設をつくりすぎたかも?
館内は明るく綺麗ですが、なんとなく無機質でスポーツクラブのよう。
B1Fが温浴フロアで、同じ階にあるモンゴル式サウナは料金内で入れます。

脱衣所はプールタイプでかなり窮屈。よく覚えていませんが、ロッカーシステムが複雑で、たしか200円投入で100円のみ返却だったかと思います。


【写真 上(左)】 エントランス
【写真 下(右)】 浴場入口  

浴室に入って右手が洗い場、正面、扉の向こうが温泉浴場、左手奥にサウナ、ミストサウナ、水風呂と真湯の機能浴槽群。
水風呂はカルキ臭あるものの、とろみがあって入りごこちよく井水かも?
カランセパ式22、シャワー・シャンプー・ドライヤーあり。
休日20時で10~20人と施設規模のわりに空いていました。


【写真 上(左)】 内湯
【写真 下(右)】 立湯

温泉浴場のみレポします。
扉を開けると正面に大浴槽(白丸石タイル貼楕円形10人以上、ややぬる)、右手に立湯(タイル貼8人位で深い、ややぬる)の2槽。
場内はけっこう広くてデッキチェアもおいてありますが、窓がないので開放感がなくややこもり気味。
案内類には「露天風呂」とありますが、ひょっとしてここが露天???。

大浴槽・立湯ともに底面吸湯&側面注入ありの循環仕様ですが、オーバーフローもけっこうありました。
大浴槽にはぬる湯間欠投入の湯口があって、お湯の感じからしてひょっとして源泉かも?

お湯はうすいバスクリン色透明で浮遊物なし。強塩味+弱苦味+微金気だし味。
湯面はほぼ無臭でカルキ臭も感じず。大浴槽の湯口のみ弱い金気臭+αがありました。
かなり強い塩化土類系のきときとぺとぺと感があり、濃度感もしっかりありますがなぜかあたたまりが強くないのが不思議。(ふつうCa-Cl系でこのくらいの濃度感があると、ほてほてからから攻撃にさらされる。)

浴後は湯切れよくお肌つるつるすっきり爽快状態になります。(これも重曹がほとんど入っていないのに不思議。)
お湯は2槽で大差ないですが、きもち立湯のほうが濃い感じもしました。
大浴槽湯口で感じる金気が湯面ではほとんど感じられないので循環途中で除鉄しているかもしれません。

加水がすくなく思いのほかいいお湯でしたが、一風かわった浴室なのでいまいち落ちつきません。
施設構成がアンバランスで、やたらだだっ広いコーナーがある反面、脱衣所が狭かったり、露天がなかったりで違和感があります。
とくに、お客は施設規模からして当然露天があると思うハズなので、その意味でも評価が低くなってしまうのでは?

いまは和風温浴施設全盛で洋風施設はいまいち人気がありませんが、ここはどうかな?
真岡には超人気施設の「真岡井頭温泉」があるので、そことどう戦っていくのか、舵取りがむずかしいところかも・・・。

Na-塩化物温泉 51.1℃、pH=7.5、300.01L/min掘削揚湯、成分総計=12.445g/kg、Na^+=3951.4mg/kg (80.26mval%)、Ca^2+=804.6 (18.75)、Fe^2+=0.4、Al^3+=3.9、F^-=1.7、Cl^-=7534.5 (99.61)、HCO_3^-=27.6、Br^-=22.7、陽イオン計=4807.4 (214.14mval)、陰イオン計=7587.2 (213.36mval)、メタほう酸=14.0 <H18.7.19分析> (源泉名:真岡インター天然温泉 森の泉)

<温泉利用掲示> 加水:する場合あり 加温:する場合あり 循環ろ過装置利用:あり 塩素系薬剤使用・消毒:あり
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■ 水上温泉(天狗の湯) 「きむら苑」 〔 Pick Up温泉 〕

<水上温泉(天狗の湯)「きむら苑」> (みなかみ町(旧 水上町)小日向326、10:00~17:00、800円(露天)、0278-72-5851)
オフィシャルHP

水上温泉の主力源泉「旧湯」とはことなる「天狗の湯」という自家源泉をつかう旅館。以前から狙っていましたが、恒例の「スノーキャンペーン in 水上2006」の割チケ(640円)にアオられて、降雪のなか突入してきました。


【写真 上(左)】 アプローチ
【写真 下(右)】 玄関

場所は水上温泉の中心部、湯原地区とは利根川をへだてた下流にあります。
やや奥まったところにあって、山中の一軒宿の趣。
混浴の大露天と男女別の内湯があって別料金(露天800円、内湯1,000円 ※いまは内湯日帰り不可かも?)で、混浴の露天に入りました。
母屋から敷地内を流れる沢の橋を渡ってのアプローチで、すぐよこにある小屋が源泉だそうです。


【写真 上(左)】 上からのぞむ露天風呂
【写真 下(右)】 脱衣所


混浴ですが脱衣所は男女別。100㎡という巨大な露天なので、慣れている女性ならばさして抵抗なく入れるかも。がっしりとした木組みの屋根が掛かり、広い露天ともあいまってミニ宝川のようです。


【写真 上(左)】 露天風呂(脱衣所側から)
【写真 下(右)】 露天から脱衣所

男女別の脱衣所のまえにおのおの7.8人の小浴槽。一段ひくく30人は優にいける大きな浴槽があります。大露天のはしからは沢の流れがのぞめます。
浴槽はすべて石造。

小露天にはおのおの湯口があり、湯壺に塩ビ管から注入しての注ぎ込み。
別に冷水を少量投入し、湯の花採り用のアミがかぶされている塩ビ管がありますがこれは何?
小露天から大露天へ流し混み、大浴槽のはしから沢に放流するかけ流し。


【写真 上(左)】 男湯側の小浴槽
【写真 下(右)】 女湯側の小浴槽

女湯側の小浴槽は投入量が多めで39℃くらい。男湯側はやや少なく37℃くらい、大露天は冷たく冬場の入浴はきびしそう。
湯口まわりには石膏の白い析出とイオウの湯の花が出ています。
カラン、シャワー、シャンプー、ドライヤーなし。土曜12時で贅沢にも独占でした。

無色透明のお湯には白と茶色の湯の花がふわふわとただよっています。
湯口付近ではこまかな気泡が舞いかなりのアワつきがあります。
ほこほことした石膏味+微たまご味+僅微金気味。甘い石膏臭とかすかな甘イオウ臭をまじえた上質な湯の香。
硫酸塩泉らしいキシキシにアワつきのぬるが乗り、湯中の指先が屈折率の加減で青白く発光しています。


【写真 上(左)】 男湯側小浴槽の湯口
【写真 下(右)】 湯口まわりのイオウの湯の花

ぬる湯といい、味臭といい、アワつきといい、霧積の「金湯館」を思い起こすほどの上質なお湯にびっくり。ひょっとして、”旧湯”より上かも・・・。


【写真 上(左)】 内湯1
【写真 下(右)】 内湯2

浴後に内湯をみせてもらいましたが、男女湯ともザコザコのオーバーフロー。
純度の高い石膏泉を静かな環境で満喫できるいいお宿ではないでしょうか。
なお、露天は中央で仕切っても両方から沢がのぞめそうなので、男女仕切った方が落ちついて入れるようにも思いました。

Ca・Na-硫酸塩温泉 42.5℃、pH=8.0、湧出量不明、成分総計=1.45822g/kg、Na^+=127.0、Ca^2+=296、Fe^2+=0.02、Cl^-=83.3、SO_4^2-=865※、HCO_3^-=28.1、陽イオン計=427.42、陰イオン計=976.4、メタほう酸=5.7 <S56.4.13分析> (源泉名:水上温泉 天狗の湯)
※ SO_4^2-=86.5mval%(筆者概算)

<温泉利用掲示> 加水なし 加温冬季(12~3月)のみあり 循環なし 消毒剤使用なし

HPによると、「自家源泉が湧いている地名が『大字小日向(おびなた)字天狗下』で、その昔天狗が舞い降りて来たとの言い伝えがございます。この地名から『天狗の湯』と命名いたしました。」とのこと。

〔 2006年2月19日レポに加筆 〕
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■ 箱根湯本温泉 「ひがな湯治 天山」 〔 Pick Up温泉 〕



<箱根湯本温泉「ひがな湯治 天山」> (箱根町湯本茶屋208、9:00~23:00、1,200円、0460-86-4126)
オフィシャルHP

ここはこれまでに10回ほども入っていますが、日によってお湯の変動が激しく、いまいちつかみどころがなかったのでレポを控えていました。
最近、どうやら全貌がみえてきた感じがする(^^)のでレポします。

※ ”館内撮影厳禁”なので、館内の写真はありません。


【写真 上(左)】 旧東海道沿いのサイン
【写真 下(右)】 混雑をものがたる看板

数ある箱根の日帰り温泉のなかでも超メジャー級の施設。
湯本といっても旧街道を須雲川ぞいに遡った奥湯本地区にあります。


【写真 上(左)】 敷地内の手打ち蕎麦処「艸楽庵」
【写真 下(右)】 同じ敷地内にある「一休」

Pはとなりにある日帰り温泉「一休」と共用でいつも混んでいて、週末など時間によってはP待ちのこともあるよう。
敷地左手の奥まったところ、階段下の券売機でチケットを購入し、階段をのぼると和風のエントランスがみえてきます。


【写真 上(左)】 右が巡回バスの停留所、左がチケット売場
【写真 下(右)】 券売機

さすがに人気の施設だけあって、館内は和モダン&ロハステイストあふれるつくり。
しっかりとしたコンセプトのうえで展開されているので、この手の施設にありがちな、とってつけたような違和感がみじんも感じられないのはさすが。


【写真 上(左)】 ちょっとしたサインが効いてます
【写真 下(右)】 夕暮れのエントランス

食事処は滋養料理「山法師」と温泉しゃぶしゃぶ「楽天」、カフェ「うかれ雲」の3ケ所。「楽天」の湯くぐり(しゃぶしゃぶ)はなかなか美味。(一時は銘柄豚「高座豚」をつかっていた。)
休憩所「ざしきぼっこ」や読書室「雨宿り」などアメニティ施設も充実、とくに須雲川に面した「ざしきぼっこ」や読書室は施設のつくりも含めすばらしいロケーションですが、週末昼間はほとんど空かないのでは?


【写真 上(左)】 渋い意匠の窓
【写真 下(右)】 すぐよこを流れる須雲川

浴場は番台?前休憩所の右手が男湯、左に女湯。それぞれ構成はちがいますが、交替制ではないようです。
脱衣所はまあまあ広いものの、混雑時はものすごい人の数となるのであまり広さを感じません。

浴場はセミオープンのゾーンと露天ゾーンからなり、内湯はありません。
入って右手のセミオープンゾーンに洗い場。その前にゲキ熱浴槽(A)とその奥にぬる湯槽(B)。
露天ゾーンは左手奥から高温槽(C)とその横にメイン露天(D)。脱衣所側に洗い場と蒸しサウナ。中央に水風呂があり、その奥の斜面に上段露天(E)と下段露天(F)。

周囲の自然を生かした緑ゆたかな露天で、自然木をつかった湯屋がかかって和めます(空いてれば・・・ ^^; )
カラン計15、シャワー5(少なすぎ)、ドライヤーあり。
自然環境保護の観点からシャンプーはおいていません。

お湯は浴槽によってかなりちがうので、浴槽ごとにレポします。

A.ゲキ熱浴槽 / 石造12人以上 / ゲキ熱
木の湯口からゲキ熱湯を投入+間欠側面注入でオーバーフローあり。ゲキ熱で空いてる。
ほぼ無色透明のお湯は、熱さもあるが硬めの湯ざわりで長湯不可。
弱芒硝味+微塩味に天山特有のパルプ?臭。湯ざわり特徴なし。
高温槽やメイン露天に比べ薄い感じもするが気のせいかも・・・。

B.ぬる湯槽 / 石造炭敷4-5人 / ぬるめ
底面注入でザンザコのオーバーフローは、かけ流しかそれに近いのでは?
きれいに澄み切った絶妙のぬる湯にはうす茶の湯の花が浮遊。味不明、かすかに甘い石膏臭?。きしきし強くとろみもあって硫酸塩泉系のイメージ。
いつも夜なので未確認だが、お湯の感じからしてかなり強い青白発光があると思う。
デリケートでやさしく包まれるようなお湯は、温まり感もよわいのでついつい長湯に。天山でいちばん好きな浴槽。

C.高温槽 / 岩枠石敷15人以上、屋根付 / かなり熱い
石臼風湯口からゲキ熱湯大量投入+底面大量注入+側面注入+飲泉(いまは飲めない?)からの流し込みで排湯不明。湯口付近は相当に熱く混雑時もあまり人がいない。
わりに空いているのでDよりは常にお湯の状態がいい。
やや懸濁したお湯は弱芒硝味+微塩味。湯口はほぼ無臭。湯面はパルプ?臭。
かすかなとろみと弱いヌルすべがあるが、本質は硬めでパワーのあるお湯で、一気に温まるが意外と冷めがはやい。

D.メイン露天 / 岩枠石敷20人以上、一部屋根付 / 適温
赤茶色に変色した岩の湯口から大量投入でオーバーフローあり。
入りやすい湯温なので常に混んでいてお湯はなまり気味。
源泉じたいはCとほぼ同じだと思うが、強めのにごりがあってとなりの「一休」(循環?)のお湯に近い。(ほとんど入らないので確信もてず)

E.上段露天 / 岩枠石敷6-7人 / ほぼ適温(ぬるめのときもある)
金属パイプから湯温が変動するお湯を大量投入し下段露天への流し出し。別に岩の上から等間隔でポタポタ投入(消毒剤?、以前は打たせ湯のことも・・・)。
タイミングによりお湯の変動がはげしいが、たいていは無色透明で弱い礒の香(or弱パルプ?臭)。とろみとヌルすべのある湯本らしいやさしいお湯は、入りごこちよくしっかりと温まる。ときおりおもむろに鮮度感がUPし、アワつきが楽しめることがある。

F.下段露天 / 岩枠石敷4-5人 / ややぬるめ(適温のときもある)
金属パイプからの投入+上段露天からの流し込みでかなりの量をオーバーフロー。
金属パイプのお湯は、たいていEの湯口より金気がかって濃度感があり、浴槽のお湯もヌルすべ強めなので源泉の混合比がちがうのでは?。ただし基本的なお湯のイメージはEと大差ない。たいていEよりなまりが強くうすにごっている。

■.水風呂
ジャグジー付でけっこう冷たい。わずかに鼻につくクレゾールっぽい臭いがあるが、大量オーバーフローで鮮度感あり、入りごこちのいい良質な水風呂。
ただし、しつけの悪いガキども、もといお子様たちがときどき飛び込んでくるのが難 ^^;;)

とまあ、日によってもちがいますがだいたいこんな感じです。

湯温は、A>C>D=E>F>B
ヌルすべは、F>E>C=D>A>B くらいか・・・。

お湯のイメージは、大きくA.C.D(硬めパワー系)とE.F(やわらか系)とB(うすめ天国系)にわかれるかと思います。
すくなくとも、この3系統の源泉混合比はかなりちがうかと。
A.C.D(硬めパワー系)は湯本のお湯というよりはむしろ強羅系の迫り来るお湯で、92.101.102.115号のうち、すくなくともひとつはかなり強烈な源泉があるのでは?

とくにいいのがBで、これはひょっとすると温泉じゃないかもしれないのですが、からだに負担のかからない軽~いぬる湯は絶妙の入りごこちで、湯岐下部に近いものさえ感じ、箱根でもかなり上位の源泉では・・・?。(湯本74号の単独使用が考えられるが、74号のスペックと浴感が合わないような気がする。)

はっきりいって、A.C.DやE.Fならば、これより鮮度よく泉質的にも上(?)のお湯は湯本に限ってもいくらもありますが、このBは群を抜いています。

浴槽ごとに湯温と温まりに強弱があり、湯ざわりも硬いのからやわらかいのまであるので、浴槽のまわり方でかなり快適度が左右されます。
個人的には、B→E→水風呂→(C)→Bというコースが好み。(BのあといきなりCに入るとかなり辛い。)

超人気施設でいつも盛況ですが、いくたびに「シャンプーがない」「シャワーがすくない」「洗い場が寒い」などの声を耳にします。
露天の踏み石が斜めになっていたりしてバリアフリー対応も十分とはいえず、移動に気をつかいます。
このようにお湯も浴場のつくりも客を選ぶけっこうクセのある施設なので、湯慣れていない人は湯本のふつうの日帰り施設にいったほうが満足度は高いかも・・・。

それでも、施設をとりまく雰囲気は抜群なので、この手の雰囲気が好きなひとは何度もリピートしてしまうでしょう。
週末昼間はとにかく混むので、平日か週末夜遅くがおすすめです。

館内各所に分析書が掲示され、HPにも記載があります。
抜粋引用してみると
「八千坪の敷地内五ヶ所の源泉から日量三七万・湧出(中略)溜め置きせずに、源泉から直に浴槽へ注がれる天山ならではの源泉浴」
なお、源泉は高温ですが加水せずに、チタン鋼管の熱交換器をつかって冷却しているとのこと。

館内には飲泉所があり、ここではpH=9.3のアルカリ性単純温泉(74号源泉)を単独使用しています。

〔 源泉名:天山温泉(台帳番号:湯本第74.92.101.102.115号混合) 〕
Na-塩化物泉 67.3℃、pH=8.3、258L/min、成分総計=不明(TIM=1255mg/kg)、Na^+=327mg/kg (68.23mval%)、Mg^2+=39.6 (15.67)、Ca^2+=29.8 (7.16)、Cl^-=652 (88.29)、SO_4^2-=54.4 (5.42)、HCO_3^-=73.1 (5.76)、陽イオン計=469 (20.8mval)、陰イオン計=786 (20.8mval) <H11.3.18試験>

<温泉利用掲示> 加水:なし 加温:なし 循環装置使用:あり 消毒処理:あり

【 飲用泉 】
〔 源泉名:天山飲用泉(湯本第74号) 〕
アルカリ性単純温泉 55.9℃、pH=9.3、湧出量不明、成分総計=不明(TIM=258.2mg/kg)、Na^+=87.5mg/kg、Cl^-=71.5、SO_4^2-=15.6、HCO_3^-=65.8、CO_3^2-=10.0、陽イオン計=89.2、陰イオン計=169 <H15.5.8分析>

〔 2006年以降10回程度入湯 〕
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■ 芦ノ湖温泉(元箱根) 「湖月」 〔 Pick Up温泉 〕

ついでに「湖月」もUPしておきます。

<芦ノ湖温泉(元箱根)「湖月」> (箱根町元箱根34、10:00~19:00、700円、0460-83-6060)
※ 現在、日帰り入浴の可否不明です。

元箱根港の目の前にある民宿&食堂のお湯。芦ノ湯方面からだと元箱根交差点を左折してすぐ右。Pは1~2台。
玄関の裏手にある浴場(1ケ所?)は、脱衣所、浴室ともにこぢんまり。やや暗めの浴室ながら、3人は入れるみかげ石枠伊豆石?貼の入りごこちのいい浴槽があるのは立派です。
壁から突き出た金属パイプを樹脂製ザルで受けての投入。源泉温度が高いので、贅沢にも半分以上を金属パイプづたいに浴槽外に逃がしています。


【写真 上(左)】 サイン
【写真 下(右)】 内湯

槽内注排湯はなく、投入全量をオーバーフローのかけ流し。
カラン2、シャワー・シャンプーあり、ドライヤーなし。日曜10時で独占でした。


【写真 上(左)】 湯口
【写真 下(右)】 源泉を浴槽外に逃がしています 

きもち微茶緑がかったお湯は熱めで、茶色の湯の花が少量ただよいます。
焦げイオウ臭にかなり明瞭な焦げ臭、これにゴムのような厚みのある臭いが加わります。
たまご味+焦げ味+微酸味収斂味+僅微苦味の特徴ある味。
硫酸塩泉系のキシキシと酸性泉系の微ぬるとイオウ泉系のするする?が混じる複雑な湯ざわりで、浴後は熱湯のわりにさっぱりとします。
重さも適度にあって、なかなか入りごたえのあるお湯です。
単純硫黄泉というよりは、むしろ酸性明礬泉のイメージのあるお湯で、新姥子から金気を抜いてイオウを強めた感じかな。

芦ノ湖温泉は、箱根町供給温泉(箱根、元箱根、大芝系列)をつかっていて、芦ノ湯の「山形屋」と同じはずですが、浴感も分析書も「山形屋」とはちがうものでした。(詳細末記)

一般受けする浴場ではないですが、元箱根界隈では稀少なかけ流しだし、現時点ではかなり面白いお湯になっているので、温泉好きは一浴の価値ありかも・・・。

なお、入湯時は料金600円でしたが、後日、店前の入浴案内看板が700円になっているので値上げされたと思います。(1人だと1,000円という未確認情報あり)

単純硫黄温泉(硫化水素型)(Ca-SO4型) 77.0℃、pH=3.7、成分総計=0.439mg/kg、Na^+=14.6mg/kg (16.31mval%)、Mg^2+=9.28 (19.60)、Ca^2+=32.4 (41.51)、Fe^2+=0.01、Al^3+=5.61 (15.99)、Cl^-=4.16 (3.19)、HSO_4^-=8.32、SO_4^2-=165.6 (93.58)、HCO_3^-=-、陽イオン=64.2、陰イオン計=180、メタけい酸=110、硫化水素=82.9 <H17.8.23分析> (源泉名:元箱根温泉「元箱根第44号」(箱根町営第7号蒸気井に水道水を混合した蒸気造成泉)(mval%は筆者の概算値)

<温泉利用掲示> 加温:なし 加水:なし 濾過:なし 消毒処理:なし

〔参考〕
【箱根町供給温泉(箱根、元箱根、大芝系列)】(「山形屋」浴室掲示他より)
単純硫黄温泉(硫化水素型)(Ca・Na・Mg-HCO3・(HS)・SO4型) 94.1℃、pH=6.4、成分総計=147.8mg/kg、Na^+=5.0mg/kg (27.12mval%)、Mg^2+=2.0 (20.52)、Ca^2+=7.8 (48.53)、Fe^2+=0.01、Al^3+=0.02、Cl^-=3.4 (11.81)、HS^-=7.5 (27.92)、SO_4^2-=9.3 (23.84)、HCO_3^-=17.7 (35.72)、陽イオン計=15.9、陰イオン計=38.2、メタけい酸=46.8、硫化水素=34.1 <H5.2.18分析>(mval%は筆者の概算値)

【箱根町蒸気井7号】(箱根町HPより)
単純硫黄温泉(硫化水素型)(Ca・Na-(HS)・HCO3・Cl型) 84.6℃、pH=6.3、成分総計=199mg/kg、Na^+=6.91mg/kg (29.70mval%)、Mg^2+=2.29 (18.81)、Ca^2+=9.19 (45.55)、Fe^2+=0.05、Al^3+=0.19、Cl^-=7.52 (20.19)、HS^-=11.8 (34.62)、SO_4^2-=9.47 (19.23)、HCO_3^-=15.3 (24.04)、陽イオン計=20.1、陰イオン計=45.3、メタけい酸=54.2、硫化水素=66.8 <分析日不明>

※「湖月」の分析書と「箱根、元箱根、大芝系列」の分析書では泉質がかなりちがい、前者ではpH=3.9の弱酸性Ca-SO4型と姥子的なスペックになっています。
昨年8月末の台風11号で、箱根町蒸気井7号関係施設は被害を受け操業を停止しました(秋に復旧)。
復旧後、蒸気井7号の性格が根本的に変わったのか、あるいは造成用の用水が変更されたのかもしれません。
たとえば、かつて造成用につかわれていたらしい阿字ヶ池湧水は弱酸性のCa-SO4型ですから、これが復活しているとするとつじつまが合います。
「山形屋」に入ったのは復旧後の昨年暮れですが、「湖月」のお湯とは異質(単純硫黄泉のイメージ)のお湯に感じました。
「山形屋」と「湖月」は配湯ルートはちがうものの、同一源泉(箱根町蒸気井7号)をつかっているはずなので腑に落ちません。

〔 2006年9月15日レポ 〕
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■ 芦ノ湖温泉(箱根町) 「夕霧荘」 〔 Pick Up温泉 〕

<芦ノ湖温泉(箱根町)「夕霧荘」> (箱根町箱根138、12:00~17:00、1,000円(タオル・バスタオル付)、0460-83-6377)
オフィシャルHP

芦ノ湖の東岸、元箱根・箱根町エリアには、湯の花沢第7号蒸気井で造成された箱根町供給温泉が配湯されています。
元箱根は「湖月」をレポしていますが、箱根町エリアは供給ルートがちがう(大芝中継槽で分岐し、元箱根は元箱根椿公園中継槽経由、箱根町は箱根配湯槽経由、箱根町のほうが引湯距離が長い(→配湯ルート図))ので、箱根十七湯完全制覇をもくろみ(笑)、箱根町の「夕霧荘」を攻めてみました。以前はかけ流しの民宿「山伏」が日帰り対応していたようですが、いまは休業している模様なので、ここの日帰り対応は貴重です。


【写真 上(左)】 浴場入口
【写真 下(右)】 内湯 

芦ノ湖畔からちょい山側にはいった20室の中規模旅館で、このエリアではめずらしく日帰り入浴を積極的に受け入れています。
小綺麗に仕上げられたなかなかに好ましげなお宿で、スタッフの対応も親切なものでした。
浴場はフロントの奥、男湯が「源氏の湯」、女湯が「葵の湯」と銘打たれ、それぞれ内湯と露天があります。

「源氏の湯」は、内湯(みかげ石枠石タイル貼5-6人、ほぼ適温)と露天(岩枠鉄平石貼3-4人、坪庭つき、ややぬる)の2槽。浴場は広くなくきもち暗めですが、こじんまりと落ちついていい雰囲気。中規模旅館としてバランスのとれた浴場で、内湯・露天とも広すぎず狭すぎず、入りごこちのいい湯船でゆっくりとお湯を楽しめます。
カラン4、シャワー・シャンプー・ドライヤーあり。平日15時で独占~2人。


【写真 上(左)】 内湯の湯口
【写真 下(右)】 露天-1 

内湯はお皿のような湯口からの投入+側面注入。槽内排湯はよくわかりませんでしたがオーバーフローはありません。
露天はイオウの白い湯の花がでた木樋の湯口から熱湯数L/min(たぶん源泉)を投入し切欠からの上面排湯。
底面排湯口がありますが引いておらず、おそらく投入全量を流し出すかけ流しかと思います。

お湯は内湯と露天でかなりちがいます。
内湯はかるく懸濁して湯の花なし。味不明でよわい焦げ臭と微カルキ臭。よわいぬる感のあるお湯はたぶん加水循環ですが、循環湯としてはまあまあのできです。


【写真 上(左)】 露天-2
【写真 下(右)】 露天の湯口 

露天は緑白色うすにごりで白とうす茶の浮遊物が舞っています。弱たまご味+よわい酸味収斂味。湯口そばではしっかりとした焦げイオウ臭がただよいます。
酸性泉特有のぬるぬる感と肌に染み入るような浴感があり、町営造成泉としてはかなり状態のいい湯づかいかと思います。
このエリアでかけ流し湯は貴重なので、ほんとうにかけ流ししているならばもっとPRしてもいいかも・・・。

やっぱり湯の花造成泉はいいですね。イオウの効き具合も優ですが、pHが絶妙でこれが浴感に奥行きを加えているように思います。
「湖月」よりはおとなしいお湯に感じましたが、露天湯口の温度から考えて加水はほとんどないと思います。

限られた源泉供給量をうまく活かし、露天と内湯でメリハリをつけた湯づかいは好感。
料金は箱根価格ですが、この立地、この内容で1,000円は高くないようにも思います。

単純硫黄温泉(硫化水素型)(Ca-SO4型) 77.0℃、pH=3.7、成分総計=0.439mg/kg、Na^+=14.6mg/kg (16.31mval%)、Mg^2+=9.28 (19.60)、Ca^2+=32.4 (41.51)、Fe^2+=0.01、Al^3+=5.61 (15.99)、Cl^-=4.16 (3.19)、HSO_4^-=8.32、SO_4^2-=165.6 (93.58)、HCO_3^-=-、陽イオン=64.2、陰イオン計=180、メタけい酸=110、硫化水素=82.9 <H17.8.23分析> (源泉名:元箱根温泉「元箱根第44号」(箱根町営第7号蒸気井に水道水を混合した蒸気造成泉)(mval%は筆者の概算値)

<温泉利用掲示> 加温:あり 加水:あり 循環:あり 消毒処理:あり

〔 2008年9月1日レポ/2008年6月入湯〕
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