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■ 塩船観音寺の御朱印

2021/05/02 UP

今年のつつじ祭りは開催されましたが、「新型コロナウィルス感染拡大の緊急事態につき」4/30で終了となっています。
今年は例年より10日ほど開花が早かったとのことで、すでに見頃は過ぎています。(→開花情報

今後は6月~のあじさいへと移っていきます。






先日、参拝に行ってきました。
つつじの期間中は、駐車料金と拝観料がかかります。

弘誓閣横授与所での授与は休止していたようで、「白玉椿姫」など、こちらで授与の御朱印は授与されていなかったかもしれません。
なお、4月末時点で御朱印はすべて書置対応でした。

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2017/08/07UP/202010/05更新UP/202011/03更新UP

東京都青梅市の名刹、大悲山 塩船観音寺。
真言宗醍醐派別格本山の格式を誇り、複数の霊場札所を兼ねるこの大寺は、華麗な筆遣いの御朱印でもよく知られています。

東京都青梅市塩船194
真言宗醍醐派 御本尊:十一面千手観世音菩薩
札所:関東八十八箇所第79番、奥多摩新四国霊場八十八ヶ所第59番、東国花の寺百ヶ寺霊場東京第12番、武玉八十八ヶ所霊場第22番
公式Web

大化年間(645~650年)、若狭国の八百比丘尼が紫金の千手観音像を安置されたという開山伝承をもつ多摩有数の古刹で、数多くの文化財を有します。
天平年間、行基が「弘誓の舟」(仏が衆生を救おうとされる大きな願いの船)になぞられえて「塩船」と名付けられたとされる船形の独特な地形に建ち、その山肌を埋める約二万本のつつじの名所でもあります。


【写真 上(左)】 山内案内図
【写真 下(右)】 あじさいの名所でもあります


【写真 上(左)】 めずらしい船形地形
【写真 下(右)】 花の寺です

ちなみに、真言宗醍醐派は京都・醍醐寺を総本山とする古義真言宗の一派で、修験道の色彩が濃い宗派とされ、真言宗系修験道の主流をなす真言宗当山派の系譜につながるものとされます。
中世には武蔵七党の村山党の一族、金子氏、青梅勝沼城に拠った三田氏などの帰依を受け、三田氏と親交のあった連歌師宗長が当寺で連歌を詠むなど風流な歴史も伝わります。

関東八十八ヶ所霊場、東国花の寺百ヶ寺霊場、奥多摩新四国八十八ヶ所霊場などの札所を兼ね、山内二箇所の授与所で授与される御朱印はそれぞれ異なるため、拝受できる御朱印の種類はWeb上でも錯綜していますが、数度にわたる参詣で、おそらく現在授与いただける御朱印はほぼ拝受できたような感じがするので、以下にご紹介してみます。
(なお、御朱印の授与内容はお寺さんのお考えやご事情により適宜定まるものなので、以降もこれらの御朱印が拝受可能かどうかはわかりません。)

【塩船観音寺の仏堂と御朱印】
山内入口から順に辿っていきます。諸堂の名称はおおむね公式Webに拠りました。


【写真 上(左)】 山門(仁王門)
【写真 下(右)】 山門(仁王門)の扁額

駐車場は広いですが、つつじの時期などは有料となるようです。
参道入口に「別格本山 塩船観音」の寺号標と重要文化財の茅葺きの山門(仁王門)。
山門は切妻造三間一戸藁葺の単層八脚門で、大棟に鰹木風の意匠と妻部に懸魚を備え、拝みに「大悲山」の扁額を掲げ、両脇間、菱格子の内に仁王尊が御座します。
天文二年(1533年)三田政定・綱定による修理の棟札が残ります。
力感あふれる仁王像(金剛力士像)は、東京都では鎌倉時代後期に仏師定快の工房で制作されたものと推定しています。(都指定有形文化財(彫刻))

【 明王院祈願堂 】
山門(仁王門)をくぐらずに右手の道を少し進むと、右手に「明王院祈願堂」があります。
寄棟造桟瓦葺のお堂で、変形千鳥破風的な向拝を置いています。
堂前の香炉に「千手観音御寶前」とあるのでいささか混乱しますが不動堂です。


【写真 上(左)】 明王院祈願堂
【写真 下(右)】 明王院祈願堂の御朱印

〔 明王院祈願堂の御朱印 〕
朱印尊格:明王院 書置(筆書)
札番:なし
・中央に不動明王の種子「カーン/カン」の御寶印(蓮華座+火焔宝珠)・揮毫と「明王院」の揮毫。
右上に奉拝印。左には寺号の揮毫と寺院印が捺されています。
弘誓閣横授与所にて、1、4、7、10月の月限定で書置で授与されているようです。

【 阿弥陀堂 】
山門(仁王門)をくぐって参道を進むと正面が「阿弥陀堂」。
身舎桁行三間の寄棟造茅葺形銅板葺の内陣の四周に一間の庇を巡らせた阿弥陀堂形式の堂宇で、おそらく妻入りです。
東京都では室町時代後期の建築と推察しています。(重要文化財)

板張りで、装飾の少ない比較的簡素なつくりですが、きもちむくり気味の屋根のフォルムが引き締まって端正でバランスのよい堂宇です。
内部は天井の板張りがないので、かなり広く感じます。
堂宇の御本尊として阿弥陀三尊が御座します。
未確認ですが、阿弥陀三尊は他の仏堂に御座されないようなので、「阿弥陀三尊」は、こちらの御朱印かと思われます。


【写真 上(左)】 阿弥陀堂
【写真 下(右)】 阿弥陀堂の御朱印

〔 阿弥陀堂の御朱印 〕
朱印尊格:阿弥陀三尊 書置(筆書)
札番:なし
中央に阿弥陀如来の種子「キリーク」の御寶印(蓮華座+火焔宝珠)と「阿弥陀三尊」の揮毫。右上に奉拝印、左には寺号と寺院印が捺されています。
「キリーク」の御寶印は、御本尊・千手観世音菩薩のものとはことなるデザインです。
本堂脇授与所にて、3、6、9、12月の月限定で書置で授与されているようです。

阿弥陀堂の左手を回り込んでさらに進むと、「塩船観音の大スギ(夫婦杉)」がそびえています。
二本のスギは都内でも有数の巨樹とされ、「高尾山の飯盛スギ」「奥多摩の氷川三本スギ」等とともに都の天然記念物に指定されています。

スギの横の石段をのぼると、正面に薬師堂が見えますが、本堂は右手の階段の上です。
階段手前に手水舎があります。
階段をのぼった正面に本堂、手前脇に御朱印授与所があります。左手の藁葺木部朱塗りの旧鐘楼も趣きがあります。


【写真 上(左)】 本堂下
【写真 下(右)】 本堂への参道


【写真 上(左)】 授与所前からの本堂
【写真 下(右)】 旧鐘楼

【 本堂 】
観音堂と書く資料もありますが、当寺の御本尊は観音様なので本堂=観音堂です。
寄棟造に苔むした茅葺、桁行・梁間ともに身舎五間のふところ深い仏殿です。
阿弥陀堂と同様、外観は簡素ですが、どっしりとした存在感を放つバランスのよい仏堂です。
国指定重要文化財で、室町時代後期の建築と推定されています。
こちらは有料で内部の拝観ができます。

向拝部正面の桟唐戸は上桟升格子中・下桟入子板で日中開戸を開放し、御内陣の様子が拝せます。扁額は閣号「圓通閣」。見上げれば垂木一連の上にぶ厚い茅葺。

須弥壇上の厨子内に御座す御本尊、十一面千手観世音菩薩は、文永元年(1264年)に、仏師法眼快勢・法橋快賢によりつくり始められたとされ、都の有形文化財に指定されています。
原則秘仏ですが、定期的な御開帳があります。

御真言は、千手観世音菩薩の「オン バザラ タラマ キリク」。
観世音(観自在)菩薩は三十三身に変化して衆生の危難苦悩を救われるとされ、千手観世音(観自在)菩薩は千の慈悲の眼で観て、千の慈悲の手(千手)でお救い下さる尊格とされます。
菩薩ながら数々の大寺の御本尊として御座される、力感あふれる仏さまです。


【写真 上(左)】 本堂
【写真 下(右)】 本堂の扁額

■ 本堂関連の御朱印
〔 御本尊・本堂の御朱印 / 通常御朱印 〕

【写真 上(左)】 平成29年の御朱印
【写真 下(右)】 令和2年の御朱印

朱印尊格:大悲山圓通閣 直書(筆書)
札番:なし
通常御朱印の「大悲山圓通閣」は、御本尊・本堂をあらわす揮毫かと思われます。
中央に千手観世音菩薩の種子「キリーク」、「大悲山圓通閣」の揮毫と「キリーク」の種子の御寶印(蓮華座+火焔宝珠)、左に寺号と寺院印、右上に奉拝印が捺されています。

大悲とは衆生の苦しみを救おうとされる仏・菩薩の広大な慈悲の心で、当寺は大悲山を山号としています。
(「大悲殿」「大悲閣」はとくに観世音菩薩像を安置する仏堂を指し、観世音菩薩の御朱印を「大悲殿」「大悲閣」の主揮毫でいただくことも少なくありません。)

「圓通閣」は圓通大士(観世音菩薩)の御座す仏堂を指すので、この御朱印は山号+仏堂の主揮毫ですが、御本尊の種子の御寶印があり、御本尊の御朱印でもあると思います。
左に寺号と寺院印、右上に奉拝の印判が捺されています。
(関東周辺では主揮毫に山号が入る事例は少ないと思われます。)

御朱印界?ではすこぶる有名な御朱印で、さすがに流麗な筆致です。
↑ 【写真 上(左)】 が平成29年、【写真 下(右)】が令和2年の御朱印ですが、ほとんど筆致に差がないきわめて安定した揮毫です。
令和2年の御朱印では御寶印が火焔宝珠のみになり、寺院印もかわっています。

本堂脇授与所にて常時授与されています。

〔 御本尊の御朱印 / 関東八十八ヶ所霊場の御朱印 〕

【写真 上(左)】 関東八十八ヶ所霊場の札所板
【写真 下(右)】 関東八十八ヶ所霊場の御朱印 

朱印尊格:千手観世音 直書(筆書)
札番:関東八十八ヶ所霊場第72番
関東八十八ヶ所霊場の御朱印の「千手観世音」は、御本尊をあらわす揮毫かと思われます。
中央に千手観世音菩薩の種子「キリーク」の御寶印(蓮華座+火焔宝珠)と「千手観世音」の揮毫右上に「関東第七十二番」の札所印、左に寺号の揮毫と寺院印が捺されています。
左上にあるのはこの霊場の開創20周年特別巡礼記念印です。(平成28年)

通常御朱印「大悲山圓通閣」と札所御朱印「千手観世音」とで主揮毫が異なる例のひとつです。
本堂脇授与所にて常時授与されているようですが、見本が出ていないので霊場御朱印授与の申告が必要です。

〔 御本尊の御朱印 / 子年守本尊千手観音御朱印(限定) 〕

【写真 上(左)】 本堂向拝
【写真 下(右)】 子年守本尊千手観音御朱印

子年(令和二年)は御本尊・千手観世音菩薩が守り本尊となる、十二年に一度のご利益あらたかな年で、限定の特別御朱印が授与されています。
紺紙金泥の特別奉製で書置のみです。

朱印尊格:千手観音 書置(筆書)
札番:なし
中央に千手観世音菩薩の種子「キリーク」の御寶印(蓮華座+火焔宝珠)「千手観音」の揮毫、左に寺号と寺院印、右上に「子年守本尊」、左上に「秘佛」の印判が捺されています。

なお、令和元年の限定御朱印として「観音妙智力」の紺紙金泥の御朱印が授与されていましたが、筆者は拝受しておりません。

〔 二十八部衆の御朱印(限定) 〕

【写真 上(左)】 二十八部衆の御朱印の案内
【写真 下(右)】 二十八部衆の御朱印

本堂内の二十八部衆像が令和2年3月19日に国指定重要文化財に指定されたことを祝し、限定御朱印が授与されています。(いつまでかは不明)

二十八部衆は御本尊・千手観世音菩薩の眷属で、 東西南北と上下に各四部、北東・東南・北西・西南に各一部ずつが配されて、千手観世音菩薩を守護します。
本堂の二十八部衆像のうち二十三体は鎌倉時代の文永五年(1267年)から弘安十一年(1288年)にかけて仏師定快とその一門によって造られ、残り五体は室町時代の永正九年(1512年)、鎌倉仏師弘円による造像とみられています。

朱印尊格:二十八部衆 書置(筆書)
札番:なし
中央に御本尊・千手観世音菩薩の種子「キリーク」の御寶印(蓮華座+宝珠)。「二十八部衆」と種子「キリーク」の揮毫。
右上に奉拝印、左上に「令和重文」の記念印が捺され、左下には寺号の揮毫と寺院印が捺されています。
お納めは500円ですが、「二十八部衆しおり」(一体)も授与いただけます。

〔 毘沙門天の御朱印 〕

【写真 上(左)】 参道からの本堂
【写真 下(右)】 毘沙門天の御朱印

密寺では、千手観世音菩薩や十一面観世音菩薩の脇侍として、不動明王と毘沙門天を置く例が多くみられますが、こちらもその例です。
こちらの毘沙門天は仏師快勢一門により鎌倉時代に像立されたとみられ、青梅市の有形文化財に指定されています。

朱印尊格:毘沙門天 書置(筆書)
札番:なし
中央に毘沙門天の種子「ベイ」の御寶印(蓮華座+火焔宝珠)と「毘沙門天」の揮毫。
右上に奉拝印、左に寺号と寺院印が捺されています。
本堂脇授与所にて、1、4、7、10月の月限定で書置で授与されているようです。

以上が、本堂に御座すとみられる尊格の御朱印です。

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本堂は舟に例えると舳先ないし艫(船尾)の高みに当たり、ここから舷(舟べり)にあたる部分が尾根となって、艫(船尾)ないし舳先の高みにあたる場所(つつじ山)に御座する「塩船平和観音」に至ります。

尾根に向かわずに船底部分に降りると新護摩堂弘誓閣、本坊、交通安全祈願堂、売店・普門閣などがあります。

真言宗醍醐派系の寺院の多くは山の気が横溢するような一種独特な雰囲気をもち、ここ塩船観音寺も山門から本堂にかけては例外ではありません。
ただ、本堂から新護摩堂弘誓閣にかけては上に開けていくような地形のためか、どことなくあかるいイメージもあります。


【写真 上(左)】 本堂から弘誓閣方向
【写真 下(右)】 招福の鐘からの弘誓閣

【 塩船平和観音 】
当寺開創1350年の記念行事として、平成22年(2010年)に建立された聖観世音菩薩の立像です。つつじの季節には絶好の被写体ともなる有名な観音様です。
本堂から平和観音に向かう尾根上に、安産に霊験あらたかとされる児玉稲荷社、当山鎮守の山王七社権現社、有料で撞ける「招福の鐘」があります。


【写真 上(左)】 児玉稲荷社と山王七社権現社
【写真 下(右)】 招福の鐘

このお寺は船形地形なので風がよわいですが、ここまで来るとかなり風が通ります。
近くまで寄るとかなりの大きさの観音様です。
右手は施無畏印、左手与願印の持物、水瓶は下向きの注がれるかたちで、大慈大悲の功徳の妙薬「甘露水」が無限に注がれるさまをあらわしています。



【写真 上(左)】 塩船平和観音(東国花の寺百ヶ寺霊場)の御朱印
【写真 下(右)】 塩船平和観音の御朱印

〔 塩船平和観音の御朱印 / 東国花の寺百ヶ寺霊場の御朱印 〕
朱印尊格:塩船平和観音 直書(筆書)
札番:東国花の寺百ヶ寺霊場東京第12番
東国花の寺百ヶ寺霊場の御朱印の「塩船平和観音」は、こちらの尊格をあらわす揮毫となります。
中央に「塩船平和観音」の揮毫と花(つつじ)の印、右上に「東国花の寺百ヶ寺」の霊場印、左に山号・寺号の揮毫と寺院印が捺されています。
弘誓閣横授与所で揮毫授与いただきました。

〔 塩船平和観音の御朱印 〕
東国花の寺百ヶ寺霊場の御朱印ではない、「塩船平和観音の御朱印」も授与されています。
こちらは弘誓閣横授与所にて、2、5、8、11月の月限定で書置で授与され、中央の印が聖観世音菩薩の種子「サ」(蓮華座+火焔宝珠)となり、つつじの花判も入る華やかな印象の御朱印です。

【 新護摩堂弘誓閣 】
本堂から坂を下って開けたところにある護摩堂です。お堂前には不動明王が御座します。
平成10年(1998年)4月に落慶した祈願堂で、正式名は攝受院 護摩堂 弘誓閣。
弘誓とは、菩薩が悟りを開き衆生を救済されようとする決意、誓いを立てることとされます。

寄棟造銅板葺流れ向拝付き。照り屋根で荘厳な印象。向拝まわりの装飾は少ないですが、水引虹梁梁間の紋入蟇股、がっしりとした海老虹梁が目につきます。
向拝内身舎上部に「弘誓閣」の扁額。
身舎柱に「関東八十八ヶ所霊場」「東国花の寺百ヶ寺」の札所板が掲げられていて、こちらが霊場札所であることを示しています。

山内の掲示によると、弘誓閣の御本尊は、かつての本堂御本尊十一面千手観世音菩薩の御前立としてお祀りされていた尊像です。
よって、霊場巡拝の御真言も千手観世音菩薩の「オン バザラ タラマ キリク」です。
堂内西に不動明王、東にお大師様が御座し、東の間には八百比丘尼の尊像が安置されているそうです。


【写真 上(左)】 弘誓閣周辺
【写真 下(右)】 山腹からの弘誓閣

護摩堂(弘誓閣)向かって右(本坊内)に御朱印授与所があり、本堂横の授与所とは異なる御朱印が拝受できます。
(寺院印もこちらのものは山号入りで、本堂脇授与所のものとは異なります。)


【写真 上(左)】 弘誓閣
【写真 下(右)】 千手弘誓閣の御朱印

〔 千手弘誓閣の御朱印 〕
朱印尊格:千手弘誓閣 直書(筆書)
札番:なし
中央に御本尊・千手観世音菩薩の種子「キリーク」の御寶印(蓮華座+火焔宝珠)。
中央に「千手弘誓閣」の揮毫。右上に奉拝印、左に寺号と寺院印が捺されています。

真言密教の護摩堂の御本尊は不動明王が多いのですが、弘誓閣の御本尊は十一面千手観世音で御真言も千手観世音菩薩のものが掲出されています。
弘誓閣の御朱印尊格も「千手観世音菩薩」となっているかと思われます。

「大悲山圓通閣」「大悲山弘誓閣」とともに塩船観音寺を代表する御朱印とみられ、どっしり安定感のある素晴らしい筆致です。
※ 令和2年秋時点で弘誓閣横授与所の通常御朱印は「白玉椿姫」となっており、現在でも「千手弘誓閣」の御朱印をいただけるかは不明です。


【写真 上(左)】 東国花の寺百ヶ寺霊場の札所板
【写真 下(右)】 東国花の寺百ヶ寺霊場の御朱印

〔 大悲山弘誓閣の御朱印 / 東国花の寺百ヶ寺霊場の御朱印 〕
こちらは東国花の寺百ケ寺霊場の御朱印です。
「大悲山弘誓閣」は山号+仏堂の主揮毫だと思われます。

朱印尊格:大悲山弘誓閣 書置(筆書)
札番:東国花の寺百ヶ寺霊場東京第12番
中央に千手観世音菩薩の種子「キリーク」、「大悲山弘誓閣」の揮毫と「つつじ」の花の印判。右上に印刷で霊場名と札番(東国花の寺東京第十二番)、「東国花の寺百ケ寺」の札所印、左に寺号の揮毫と寺院印が捺されています。
なお、こちらは現在、霊場規定用紙書置きタイプの授与のみと思われます。
本堂脇授与所で授与いただきました。

Web上では東国花の寺百ヶ寺霊場の御朱印で、主揮毫が「大悲山弘誓閣」のものと「塩船平和観音」のものが見つかります。
これは断言できないのですが、「東国花の寺百ヶ寺」で申告した場合、本堂脇授与所では「大悲山弘誓閣」(現在・規定用紙書置)、弘誓閣横授与所では「塩船平和観音」(御朱印帳書入)の御朱印の授与となるような感じがします。

こちらはつつじの名所なので「花の寺」で授与を受ける参詣者が多く、しかも本堂脇授与所は山門寄りに位置する(=入り口に近い)ので、「大悲山弘誓閣」の御朱印拝受の方が多いのではないでしょうか。


【写真 上(左)】 弘誓閣の扁額
【写真 下(右)】 白玉椿姫の御朱印(以前)

〔 白玉椿姫の御朱印(以前) 〕
白玉椿姫は大化年間(645~650年)、当山を開山されたという八百比丘尼様の別名とされます。
八百比丘尼様のお像は弘誓閣内に御座されています。

朱印尊格:白玉椿姫 直書(筆書)
札番:なし
中央に三寶印と「白玉椿姫」の揮毫。右上に奉拝印、左に山号・寺号の揮毫と寺院印が捺されています。


【写真 上(左)】 弘誓閣の向拝
【写真 下(右)】 白玉椿姫の御朱印(現行)

〔 白玉椿姫の御朱印(現行) 〕
「開山八百比丘尼」の印判が追加され、山号・寺号の揮毫が寺号のみになっています。寺院印もかわっています。


【写真 上(左)】 八百比丘尼様の説明
【写真 下(右)】 開山八百比丘尼の御朱印 

〔 開山八百比丘尼の御朱印 〕
朱印尊格:開山八百比丘尼 直書(筆書)
札番:なし
Web上で「開山八百比丘尼」を主揮毫とする御朱印を確認していたので、お訊ねしたところいただけました。印判は「白玉椿姫」と同じものです。
現在、「白玉椿姫」の御朱印に「開山八百比丘尼」の印判が捺されますので、この「開山八百比丘尼」の御朱印は授与されていないかもしれません。

【 薬師堂 】
本堂階段下にあり、青梅市の有形文化財です。
桁行三間梁間二間の寄棟造藁葺。太い丸太の垂木が印象的です。
こちらも阿弥陀堂と同様、天井張りがないので、身舎の規模のわりに内部が広く感じます。

向拝部は桟唐戸上桟連子他入子板ですが、両開きで日中開扉されているので御本尊を直接拝めます。

御本尊として藤原仏とみられる木製の薬師如来立像が御座します。
寺伝によると、かつては脇侍として日光、月光両菩薩がおられたそうですが、いまは遺失しています。
ぼけ封じに霊験あらたかとされるお薬師様で、毎年9月の第二日曜日に薬師如来大祭 ~ぼけ封じ生姜まつり~ が行われます。
今年は9月13日の予定でしたが、新型コロナ感染拡大を受けて中止となっています。
ただし当日、ご縁日(大祭)の御朱印は授与されていました。



【写真 上(左)】 薬師堂の御朱印(平成29年)
【写真 下(右)】 薬師堂の御朱印(令和2年)

〔 薬師堂の御朱印 〕
朱印尊格:瑠璃殿 直書(筆書)
札番:なし
授与御朱印の「瑠璃殿」は、こちらの尊格をあらわす揮毫かと思われます。
中央に薬師如来の種子「バイ」の御寶印(火焔宝珠)と「瑠璃殿」の揮毫。
右上に奉拝印、左に寺号の揮毫と寺院印が捺されています。

薬師如来は薬師瑠璃光如来とも称され、「瑠璃殿」は薬師如来が御座す仏堂を指します。上野・寛永寺の「瑠璃殿」の御朱印は有名です。
この御朱印はWeb上で発見し、本堂脇授与所で薬師如来(薬師堂)の御朱印の有無をお尋ねしたところ、この「瑠璃殿」の御朱印を拝受できました。
令和2年秋現在、月替わり御朱印となっており、本堂脇授与所にて2、5、8、11月の月限定で書置で授与されているようです。
令和2年の御朱印では、奉拝印と寺院印が変わっています。


【写真 上(左)】 薬師如来大祭の案内
【写真 下(右)】 薬師堂(薬師如来大祭)の御朱印

〔 薬師堂(薬師如来大祭)の御朱印(限定) 〕
朱印尊格:瑠璃殿 書置(筆書)
札番:なし
緑紙に金泥奉製で書置のみです。
中央に薬師如来の種子「バイ」の御寶印(火焔宝珠)と「瑠璃殿」の揮毫。
右上に奉拝印、左上に「薬師如来大祭」の印判、左下に寺号の揮毫と寺院印が捺されています。

【 大師堂 】
薬師堂の向かって右手のこぢんまりとしたお堂です。
薬師如来とお大師様が御座され、奥多摩新四国八十八ヶ所霊場の第59番札所となっています。

切妻造妻入り桁行一間。梁に「弘法大師」の扁額、柱に「奥多摩新四國霊場第五十九番」の札所板を掲げています。堂内には御詠歌の掲出もあります。
札番が刻まれた石造台座のうえ、向かって左手にお大師さま、右手に薬師如来。
奥多摩霊場の尊像はかわいい感じのものが多いのですが、こちらのお像もそのようなイメージです。
たくさんのお供えがあり、大切に供養されていることがうかがえます。

奥多摩新四国八十八ヶ所霊場(奥多摩霊場新四国八十八札所)は、奥多摩(東京都西部・埼玉県西南部)地域にある弘法大師を巡拝する88か所の霊場で、昭和九年(1934年)に西多摩郡瑞穂町の武田弥兵衛らを中心とする大師講(東京善心講)によって彫られた88体の大師像および尊格が寺院などに安置され札所となって開創されました。

専用納経帳は昭和46年11月に発行されていますが、現在入手はむずかしくなっているかもしれません。(復刻版があるようです。)
個人宅納経もあるので御朱印帳や書置による授与は困難で、専用納経帳に捺印をいただく(もしくは自分で捺す)という形となります。


【写真 上(左)】 大師堂
【写真 下(右)】 奥多摩新四国八十八ヶ所霊場の札所板


【写真 上(左)】 小さなお堂ですが華やぎがあります
【写真 下(右)】 奥多摩新四国八十八ヶ所霊場の御朱印 

〔 大師堂の御朱印 / 奥多摩新四国八十八ヶ所霊場の御朱印 〕
朱印尊格:弘法大師・薬師如来 専用納経帳に捺印
札番:奥多摩新四国八十八ヶ所霊場第59番
御朱印は冊子版の専用納経帳にいただきました。
上に薬師如来と真如親王様のお大師様の御影。中央に薬師如来の種子「バイ」の御寶印(火焔宝珠)。「本尊 薬師如来」は印刷です。
右上に「奥多摩新四国第五十九番」の札所印、左に寺号(印刷)と寺院印という構成です。

なお、Webでは御朱印帳にいただいたとみられる奥多摩新四国八十八ヶ所霊場第59番の御朱印がみつかりますが、こちらの朱印揮毫も薬師如来となっています。
※現時点では、御朱印帳授与はされていない模様です。


【写真 上(左)】 大師堂の扁額
【写真 下(右)】 お大師さまの御朱印

〔 お大師さまの御朱印 〕
朱印尊格:南無遍照金剛 書置(筆書)
札番:なし
お大師さまの種子「ユ」の御寶印(蓮華座+火焔宝珠)、「南無遍照金剛」(御寶号)の揮毫。右上に奉拝印、左に寺号の揮毫と寺院印が捺されています。
真言宗ならではのありがたい御朱印です。
弘誓閣横授与所にて3月、6月、9月、12月の月限定で書置で授与されているようです。

なお、お大師さまの種子は弥勒菩薩と同じ「ユ」ですが、これは、お大師さまのご誓願「われ、閉目ののちは兜率天に往生し、弥勒慈尊の御前に仕え、五十億余年ののち、必す慈尊とともに下生せん」(「高野山霊宝館公式Web」より)にちなみ、定められたとされています。
御朱印拝受のための参拝先は、弘誓閣か大師堂のいずれかだと思われますが、いずれにしても御朱印をいただく折には、御寶号「南無大師遍照金剛」のお唱えは必須かと。

■御朱印授与所
上記のとおり、本堂脇と弘誓閣横の二箇所あります。

○ 本堂脇授与所でいただいた御朱印
 1.「大悲山圓通閣」(本堂)/通常御朱印
 2.「千手観世音」(御本尊/関東八十八ヶ所霊場)
 3.「瑠璃殿」(薬師堂)(2月、5月、8月、11月限定)
 4.「本尊 薬師如来」(大師堂/奥多摩新四国八十八ヶ所霊場/専用納経帳に捺印)
 5.「大悲山弘誓閣」(東国花の寺百ヶ寺霊場/規定用紙書置)
 6.「毘沙門天」(1月、4月、7月、10月限定)
 7.「阿弥陀三尊」(3月、6月、9月、12月限定)
 8.「二十八部衆」(国指定重要文化財奉祝御朱印/限定)
 9.「千手観世音」(子年守本尊千手観音御朱印/限定)
 10.「瑠璃殿」(薬師堂)薬師大祭(薬師大祭限定授与)

○ 弘誓閣横授与所でいただいた御朱印
 1.「白玉椿姫」(開山 八百比丘尼様の別名)/通常御朱印
 2.「千手弘誓閣」(弘誓閣) ※ 現在の授与不明
 3.「塩船平和観音」(東国花の寺百ヶ寺霊場)
 4.「開山 八百比丘尼」 ※ 現在の授与不明
 5.「南無遍照金剛」(3月、6月、9月、12月限定)
 6.「明王殿」(不動明王)(1月、4月、7月、10月限定)
 7.「塩船平和観音」(2月、5月、8月、11月限定)

原則、ともに1.の通常御朱印のみ御朱印書き入れ可です。
ただし、令和2年10月上旬時点では、新型コロナ感染拡大対策として通常御朱印も書置対応となっています。

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【 BGM 】
Ebb and Flow (凪のあすから) - LaLa


西風の贈り物 - 志方あきこ


SterCrew - みにゅ

抜群の美声。SterCrewのベストテイクでは? もう歌ってくれないのかな? 歌ってほしい曲がいっぱいある。
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