OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

関西レディソウルの歌謡バラード

2013-06-17 13:51:39 | 歌謡曲

聞いててや / 大上留利子 (SMS)

毎年、今頃の時期になると夏の様々な音楽フェスが告知されますが、もちろんメインが野外である事は言わずもがな、そうした大規模なイベントが昭和40年代後半から我国でも普通に運営されるようになったは、例のウッドストックに象徴されるロック黄金時代の恩恵でした。

そしてサイケおやじに今も強い印象を残しているのが、昭和50(1975)年8月に大阪の万博記念公園で行われたヤマハ主催の通称「8.8 Rockday」です。

ちなみに当日は確か9日だったんですが、2~3年前に本格開催されたのが「8月8日」だったので、以降続く夏の恒例行事として「ハチハチ」になったと思われますが、出演するのが多くは関西ベースのセミプロか上手いアマチュアであり、またゲストのプロにしても、ある意味ではマニアックな選出が特徴的でした。

なにしろこの年の大きな話題は、沖縄で活躍していたハードロックバンドの「紫」でしたからねぇ~~~♪ 驚くなかれ、「本土初上陸!」なぁ~んていうウリは外タレ並みだったんですよっ!

当然ながら、サイケおやじも「紫」は大いに楽しみだったんですが、それともうひとつ、当時入れてもらっていたバンドに以前所属していた先輩が出るというで、その激励応援が本来の目的でありました。

ところがその日、サイケおやじを一番に浮かれさせたのは、本日掲載のシングル盤を後に出すことになる大上留利子が歌っていたスターキング・デリシャスという、ホーンセクションも入れた本格派の大所帯ソウルバンドで、ご存じのとおり、その頃の関西で主流(?)となっていたのが何故か歌謡曲でもフォーク&ロックでも、極めてブルースやソウル風味が強かったとは言え、スターキング・デリシャスは圧巻!

オーティス・レディング等々の持ちネタを叩きつけるようなピートと粘っこいグルーヴでやりまくり、その結果としてスターキング・デリシャスが最優秀賞、大上留利子もボーカル賞を獲得したのは当然が必然でありました。

いゃ~、思い出しても、あの日の興奮が蘇ってきますねぇ~~♪

この時の音源は後にレコード化されたんですが、なんとなく妙にチープなミックスのレコーディングに感じられたのは、サイケおやじだけでしょうか?

まさに一期一会の現場が幸せな思い出となった事に感謝する他はありません。

さて、そこでようやく本日の1枚なんですが、スターキング・デリシャスは自分達のレコードも出しながら、全国的には残念ながらブレイクせず、昭和52(1977)年頃に解散……。

そして大上留利子がソロシンガーとして歌謡曲からゴスペルやR&B等々で特有の関西ソウルを歌い続けている中で、特にサイケおやじが好きなのが、この昭和55(1980)年のA面曲「聞いててや」なんですねぇ~♪

説明不要かもしれませんが、彼女は質量感満点の迫力バディで披露する強靭なボーカルコントロールの節回しが十八番ですから、前述した「8.8 Rockday」のステージでサイケおやじを圧倒した激情の表現は言わずもがな、しかしここでは気持が離れていく男に対するせつない想いを、すらりと歌ってくれますよ。

もちろん康珍化の作詞、鈴木キサブローの作曲、そして程好いソウルで彩った大野久雄のアレンジはツボを押さえたプロの仕事であり、大上留利子の資質を完全に活かしたものと思います。

こみあげてくるものを抑えたソフトなブラックフィーリング♪♪~♪

あぁ~、聴くほどに滲みてしまいますねぇ~、レディソウル!

ということで、もっと大上留利子は広く評価され、聞かれていくべき歌手と確信しているのですが、なかなか世の中は儘なりません。

というのも、実は前述した昭和50(1975)年の「8.8 Rockday」でサイケおやじをKOしたもうひとりのボーカリストが、ズームというバンドを率いてブルースロックっぽい事をやっていた篠原義彦だったんですが、なんとっ!

この人は後に円広志へ改名、「夢想花」の一発メガヒットを出し、文字通り「飛んで、回って」浮き沈み、今やバラエティタレントであり、作曲家としてヒット作を提供し続ける芸能界どっぷり男ですからねぇ!?!

あの日のポール・ロジャース的な熱血の歌いっぷりは、どこへ置き忘れてしまったんでしょうか……。

人の生き方は其々個人の自由であり、外側から口出しするなんてことは余計なお世話なんですが、あの日の「8.8 Rockday」を体験していればこそ、大上留利子の歌は皆様にも、ぜひっ!

スターキング・デリシャス時代も含めて、完璧なアンソロジーが出される事も決死的に熱望しております。

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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
紫の (セブン)
2013-06-17 16:22:14
ボーカルの人には会ったことがあります。
たしか70年代の終わりごろだったと思いますけど
当時いたバンドがボーカルを募集したら来たのです。

「曲は全て俺が書く」「あんた等は俺の言うことを聞いてれば良い」
みたいな感じで、私たちがオーディションをしていて彼はそれを受けてる立場なのに、非常に尊大な態度でロックを感じさせてくれるお方でした。

何曲かセッションしたと思いますが、残念ながらどうだったか憶えてないのです。

別口でチャリートとセッションしたのは良く憶えていてイッツ・トゥーレイトとかを演奏しました。

彼女は「音が大きすぎる!」と、呆れていました。
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Unknown (HOOP)
2013-06-17 19:13:06
懐かしき88は結局行けずじまいで終わってしまいましたがナマで見たかったバンドは数しれず、
スターキング・デリシャスももちろんそのひとつで
アルバムもよく聴いておりましたが、
残念ながら現在は手元にはなく88関連では唯一
ソーバッドレヴューの1st1枚があるだけです。
これを機にまた集めてみたくなりました
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俺が俺が (サイケおやじ)
2013-06-18 11:10:24
☆セブン様
貴重なお話、ありがとうございます。

プロでやっていける人は、ほとんとが自信満々というか、傍目には唯我独尊が多いと思いますよ。また、そうでなければ、メシは食えないのが世の中の理かもしれません。

ターヘでも売れたり、上手すぎて理解してもらえない人が出てくるのも、そこがポイントでしょうか(笑)。
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関西ディープフィーリング (サイケおやじ)
2013-06-18 11:15:56
☆HOOP様
コメント感謝です。

ソー・バット・レヴューも熱かったですねぇ~~!
でも、数回接したライブではメンバー間の意地の激突みたいな感じがして、イマイチ和めませんでした。

それにしても関西系のミュージシャンって、ど~してブルースやソウルっぽい方向を好むのでしょうかねぇ~?
個人的には決して嫌いではないんですが……。
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