■Rainbow Bridge / Jimi Hendrix (Reprise)
ジミヘンの死後、確か1971年末頃に出た未発表テイク集で、ジャケットには「レインボウ・ブリッジ」という映画のサントラみたいな記載もありますが、中身は全くの別物!
実は後にビデオですが、その映画を観た印象は、確かにジミヘンのライプステージも映ってはいたものの、ほとんど意味不明……。画質が悪いなぁ……、なんていう嘆きのほうが強かったですね、正直。
しかし、このアルバムは当時としては内容が充実の極みでした。
A-1 Dolly Dagger / 1970年7月1日録音
A-2 Earth Blues / 1969年12月19日録音
A-3 Pali Gap / 1970年7月1日録音
A-4 Room Full Of Mirrors / 1969年11月17日録音
A-5 Star Spangled Banner / 1969年3月18日録音
B-1 Look Over Yonder / 1968年10月22日録音
B-2 Hear My Train A Comin' / 1970年5月30日録音 (live)
B-3 Hey Baby (New Risinig Sun) / 1970年7月1日録音
まあ、今となっては各曲が様々な復刻CDに纏められ、なんか個人的には分散という気もしているんですが、とにかくこのアルバムは無かったことにされています。
それでもサイケおやじは、ジミヘンの死後に出た作品群の中では、些かの詐術も憎めないほどに愛聴した1枚です。
まず冒頭の「Dolly Dagger」からしてジミヘン流儀のファンキーロックが敢然と披露され、もちろんこれは未完成ながら、本来はシングル曲候補になっていた真相も理解出来るところです。本当にジミヘン自らの手で作られた完成テイクが聴きたかったですねぇ~。しかし、これでも相当に熱くなれるんじゃないでしょうか。
そして続く「Earth Blues」が、フィル・スペクター関連の黒人女性コーラスグループというロネッツを迎えての演奏として、その周辺のマニアからも熱い注目を集めたテイクなんですが、結論から言えば、彼女達はキメのコーラスフレーズを短く歌う程度です。しかしジミヘンの歌とギター、そして強靭なドラムスやベースと共謀した、しなやかな感性がたまりません。
それはフュージョン前夜祭という感じの「Pali Gap」へも受け継がれています。
ちなみに参考として記載したセッション年月日には様々な諸説があり、また後年に出たCDのプックレット等々を勘案しつつ、全くの個人的推察なのを御断りもしたうえで書きますが、このアルバムの中で一番に古いと思われ録音の「Look Over Yonder」はもちろん、またウッドストックでの強烈な陶酔演奏が印象的だった「Star Spangled Banner」にしても、その前向きな姿勢が実に潔いというあたりは感服するしかありません。
特に後者はアメリカ国家というよりも、ギターの執拗な多重録音や各種効果音の複合ダビングが本当に熱い、聴けば納得の反逆のテーマ!
そんな流れの中で違和感があるライプ録音の「Hear My Train A Comin'」でさえ、やっぱりジミヘンは、これでなきゃ~~ねっ!
ということで、これまたリアルタイムでの思い入れがなければキツイ作品集かもしれませんが、逆に言えば、今日の纏まった編集CDは音が良いかもしれませんが、私のような者にはちょいと構えて聞かされるのが正直な気持です。
ご存じのように、ジミヘン関連の音源は本年より契約会社がソニーになったとかで、またまたこれまでのオリジナルアルバムや編集盤が出直しになるようですが、もちろん様々なお楽しみやお宝の御開帳が予定されているとはいえ、実は初出の形態が無視されていくのは、いかがなもんでしょう。
それらは確かに、ジミヘン本人の意思とは無関係に節操なく出されたものではありますが、歴史であることも否定出来ないでしょう。
個人的には音質や音圧に幾分のバラツキも散見されるこのアナログ盤が、紙ジャケ仕様で当時の雰囲気を大切にしたリマスターによって発売されるなら、買ってしまうでしょうねぇ。
そんな儚い夢をジミヘンは許してくれるでしょうか。
最後になりましたが、前述した映画の「レインボウ・ブリッジ」に映し出されていたジミヘンの演奏は、全くこのアルバムには入っていません。しかし今日では準公式盤として、その1970年7月30日のライプ音源が出回っていますし、映画の演奏シーンだけ纏めた30分程度のビデオやLDも存在しています。
もしも願いが叶うなら、そうした未確定の音源や映像も抱き合わせて復刻し、リアルな「レインボウ・ブリッジ」アルバムの登場も熱望しているのでした。
はじめまして、いらっしゃいませ♪
コメント、ありがとうございます。
やっぱり「Pali Gap」は素晴らしいですよね♪
ジミヘンの諸作は配給元が変わる度に変化していますが、過去の秀逸なボックス物とか、ダビングして作り出されたフェイクアルバムだって、歴史として貴重な名作だと思うんですよ。
妙に無視されるのは、納得していません。
これからも、よろしくお願い致します。
しかし私も愛聴していました。
Pali Gapの美しさ、儚さは格別です。
映画のほうは確かに「なんじゃこりゃ?」でしたが、ライブ演奏シーンは釘付けになって見てましたね。
さて、音源管理会社が変わってRainbow Bridgeも生まれ変わってくれるのでしょうか・・・?