■アキラでボサ・ノバ / 小林旭 (日本コロムビア)
もちろん、今となってはボサノバという音楽のイメージがクールでアンニュイなブラジルのモダンジャズという認識であれば、金井克子の「恋はボサノバ」と同様にラテンポップスな歌謡曲に仕上がっている小林旭の「アキラでボサ・ノバ」の突き抜けた明るさは、どこがボサノバ!?
なぁ~んていう疑問や誹りは避けられないとは思いますが、当時は我が国だけじゃ~なく、アメリカでも欧州各地でも、ボサノバは所謂ラテンロック系の新種のポップスという解釈が一般的だったようで、だからこそ涼やかな音楽というよりは、ちょっぴり滲む哀愁も好ましいラテンリズムの陽気なノリが求められていたのでしょうか?
しかし、それはそれとして、作詞:水島哲&作編曲:狛林正一が提供した「アキラでボサノバ」の痛快さは、まさに小林旭ならではの素っ頓狂なグルーヴに満ちているのですから、たまりません♪♪~♪
バックの演奏を担当した河辺公一は、その頃の日本では実力派のトロンボーン奏者であり、それゆえに自らのバンドを率いてのラテンジャズっぽいノリも余裕の安定感で良い感じ♪♪~♪
ちなみにジャケットにも掲載があるとおり、この「アキラでボサ・ノバ」は主演映画「唄う暴れん坊」の主題歌だそうですが、残念ながらサイケおやじは本篇を観たことがなく、それでもジャケ写でポーズをキメる小林旭の意気揚々の雰囲気からして、まさに高度成長期の勢いが表出したヒット作であろうと思うばかり!
逆に言わせてもらえば、それほど「アキラでボサ・ノバ」は前向きな歌謡ポップスというわけです。
ということで、今じゃ~、ここまで破天荒(?)な歌が作られる事も無くなり、それもこれも世の中の閉塞感が作用しているのかもしれませんが、ならば御大・小林旭にもう一度、「アキラでボサノバ」の21世紀バージョンを出していただきたいと、サイケおやじは切望しております。
うむ、今年の夏は、こ~したラテンポップス歌謡でキメてみようかなぁ~~~。