OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

ブルースとバッハで朝を迎える

2007-11-17 16:18:53 | Weblog

今日は楽器屋でギターを物色♪

アコギをあれこれと選んで、楽しい一時を過ごしました。

はっきり言って、中年者の溜まり場と化していますねぇ~~♪ フィンガーピッキングの上手い人が多く、普段エレキ派の私は……。

ということで、本日は――

Blues On Bach / The Modern Jazz Quartet (Atlantic)

MJQはバンド名どおり、バリバリのモダンジャズを演奏していますが、そのバックボーンはブルースとクラシックであり、それはミルト・ジャクソンとジョン・ルイスという中心メンバーのルーツでもあろうかと思います。

そうした資質と個性はバンド結成時から、煩いほどに批判と賞賛が入り乱れていたようですが、バンド側としては、それを別に隠そうとかウリにしようとかいう思惑は強くなかったと思われます。

ただ、自然体で、それをやりたかったのでしょう。

しかし、ここで登場したアルバムは、タイトルからしてスバリと本音を吐露しています。「ブルース」と「バッハ」の美しき邂逅♪ 

録音は1973年11月26&27日、メンバーはジョン・ルイス(p,harpsichord)、ミルト・ジャクソン(vib)、パーシー・ヒース(b)、コニー・ケイ(ds)という不動の面々ですが、実はこのセッションに先立つ1972年12月、MJQは特別コンサートの企画として、このアルバム収録曲と同じプログラムを演じていたと言われています――

A-1 Regret ?
 バッハの「コラール前奏曲」を基にジョン・ルイスがアレンジした神聖なスロー曲です。
 まずジョン・ルイスの厳かなハープシコードが響き、ベースが重い存在感を示していますが、アドリブパートは特に無くとも、やはりミルト・ジャクソンのヴァイブラフォンが、一層の魅力を放っています。
 
A-2 Blues In B Flat
 シンプルなテーマ曲からグルーヴィなブルース演奏という、MJQが十八番の展開をたっぷり楽しめます。もちろんその要はミルト・ジャクソンのヴァイブラフォンですが、ベースとドラムスが仕掛けてくるキメとか、ジョン・ルイスの隙間だらけのピアノも侮れません。
 否、むしろミルト・ジャンソン抜きのパートが凄い密度だと思います。そしてそこへ乱入し、自己のベースを掴むべく奮闘するミルト・ジャクソンとバンドのノリが、全く最高なのでした。
 あぁ、こんなグルーヴィなバンドはありませんよっ!

A-3 Rise Up In The Mornig / やさしき朝の光
 元ネタはバッハの「コラール / 目を覚ませと呼ぶ声が聞こえ」ですから、ジョン・ルイスのハープシコードが目覚まし時計のコールに聞こえたりもしますが……。バロックの優雅さを失っていないアレンジは流石だと思います。
 そしてバンド全体のビートの出し方が完全にジャズになっていますから、朝の珈琲も美味いというわけです。

A-4 Blues In A Minor
 再びブルースの世界に戻っていますが、テーマがなんとなく日活アクションのサントラのようでもあり、マイナーの味わいがじっくりと楽しめます。
 あぁ、ミトル・ジャクソンのヴァイブラフォンが素晴らしい! ミディアムのグイノリを醸し出すバンドのグルーヴも、強烈なジャズ魂かと思います。
 またジョン・ルイスのシンプルなフレーズと隙間の芸術、それを埋めてグルーヴを生み出すパーシー・ヒース、さらに自分の役割に撤するコニー・ケイ! これがMJQの魅力でしょうねぇ~♪

B-1 Precious Joy
 バッハの「コラール / 主よ、人の望みの喜びよ」を元ネタにしたジョン・ルイスのオリジナル曲で、聴けば納得の有名なメロディが楽しめます。
 ミルト・ジャクソンのヴァイブラフォンは、こういうものを演じても最高♪ ジョン・ルイスのハープシコードも嫌味がありませんから、私は朝の一発目に聴いていることも♪♪~♪

B-2 Blues In C Minor
 前曲の爽やかさから、一転してマイナーな世界に陥れられる「泣き」の名曲・名演です。
 ジンワリとしたビートの中で、ミルト・ジャクソンが奏でるメロディは、ひとつの無駄も無いアドリブパートも含めて出色! 緩いファンの回転から生み出されるヴァイブラフォンの響きと余韻を読みきったジョン・ルイスの伴奏も凄いですねぇ~♪
 聴いているうちに、身も心も虜になってしまうのでした。

B-3 Don't Stop This Train
 如何にも俗っぽいタイトルですが、元ネタはバッハの「フーガ・二短調 / クラヴィーア小曲集」とされています。
 肝心の演奏はコニー・ケイの早打ちシンバルが列車の走る様を表しているようですし、他の3人がフーガ形式で演奏するテーマメロディの練熟が痛快なのでした。もちろんアドリブパートはありません。

B-4 Blues In H(B)
 そしてミトル・ジャクソンが書いたピートの強いブルースへ!
 もちろんアルバムに収録されたブルースの曲名を繋げると、「B-A-C-H」となる稚気も憎めません♪
 肝心の演奏は手慣れた中にもグルーヴィなハードバップのブルース大会ですが、その中にもジョン・ルイスのクラシックへの憧憬が滲み出ていますから、アルバムの企画意図を逸脱しない目論見がスバリと的中しているのでした。

B-5 Tears From The Children
 これもバッハのパラフレーズなんでしょうが、ちょっと元ネタがわかりません。もちろんジョン・ルイスのハープシコードが全体の色合を決定しているのですが……。

ということで、バッハとブルースが交互に出てくるプログラムは、「あざとい」中にも、深い味わいがあります。

ご存知のようにMJQは、1年後の1974年11月に解散してしまうのですが、それは数年前からメンバー間で合意していながら、巡業スケジュールに縛られていたのが実状という噂もあります。

そしてこのアルバムは、一応は最後のスタジオレコーディングということで、本音とタテマエの真情吐露だったのかもしれません。もしそうだとしたら、ミエミエの企画も憎めないのですが……。

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