■ジュディーのごまかし/ John Fred & His Playboy Band (Paula / キング)
日本人が洋楽を聴く場合、そのほとんどは外国語の歌詞が理解出来ないわけですから、つまりは曲メロや演奏が調子良かったり、あるいは琴線に触れる何かがあれば、それでヒットしてしまうのが本当のところだと思います。
ただし、これは例えば英語圏においても、ボブ・ディランの歌う言葉の意味なんて、ほとんどのリスナーには意味不明の場合が多いそうですから、所謂語呂と音楽のリズム&ビートがジャストミートの快感(?)を提供してくれるのならば、それはそれでヒットするのが世の常なのかもしれません。
そこで思い出すのが本日ご紹介のシングル曲「ジュディーのごまかし / Judy In Disguise」という、1968年の特大ヒットなんですが、とにかくイントロから調子良すぎるポップで弾んだ歌と演奏は、聴けば一発で虜にされること請け合い♪♪~♪
我国のラジオを中心とした洋楽番組でも爆発的にウケまくりでしたし、このイントロをパクッたテレビバラエティのジングルやCMソングも以降、数多流れていたほどです。
ところが、この歌は実に曲者というか、流行っていた時には何も考えずに楽しんでいたサイケおやじにしても、後に曲タイトルや歌詞がビートルズの「Lucy in the Sky with Diamond」に影響を受けた云々というエピソードを知ってからは、心中穏やかではありません。
それは確かに訳してみれば、「変装したジュディー」という曲タイトルやほとんど散乱した夢や夢精の如しという歌詞の内容が、当時流行のサイケデリックど真ん中のスリクでラリルレロという感じではありますが、その実態は作者のジョン・フレッドが件の「Lucy in the Sky with Diamond」を初めて聴いた時、「Lucy in the Sky」を「Judy In Disguise」と思い込んで聞いてしまった事に由来するとか!?!?
う~ん、そう言われればジョン・レノンのひしゃげて加工されたボーカルから、そんな風に思えないこともないんですが……。
この、実は今や有名となった裏話をサイケおやじが知ったのは、やはりラジオの洋楽番組で某評論家の先生が半分は笑い話的に語られた事あり、思わずホンマカイナァ~~? と関西弁が出そうになったほどですよ!?!?
ちなみにジョン・フレッドが、これをネタに「ジュディーのごまかし / Judy In Disguise」をヒネリ出した時には、完全に周囲から爆笑されたそうですし、実際にマイナーなインディーズからレコードを出した時にさえ、誰も本気にしなかったというのですから、これが1968年初頭にビートルズの「Hello Goodbye」に次いでヒットチャートのトップに輝いたという現実は信じ難いお伽噺でしょう。
そんな因縁を知ってみると、確かに中盤のモヤモヤしたサウンドコラージュンは一瞬、サージェントペパーズ症候群だと思えますし、歌詞を詳細に検証すれば、本家の「caleidoscope eyes」を「Cantalope eyes」と変換する強引なワザの幾つかが散見されますよねぇ。
ただし曲調は既に述べたように、お気楽なバラエティロック(?)だとサイケおやじは独り、思っていますから、念の為!
最後になりましたが、ジョン・フレッドとプレイボーイバンドは実在したバンドということで、一応は6人組のグループショットが洋楽雑誌に掲載されていたのをサイケおやじは見た事もありますが、主役のジョン・フレッドは典型的な二枚目のアイドル系シンガーですし、恐らくはレコードでの演奏はスタジオセッションのミュージシャンが動員されたんじゃないでしょうか。
なかなか上手く仕上がったバブルガムとしても一級品だと思います。
コメント、ありがとうございます。
所謂カタカナ英語で洋楽の歌詞を覚えてしまうところから、空耳が頻発するわけですが、同じような事が欧米でもあるという真実に、驚いたんですよ(笑)。