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サイケおやじの生活と音楽

ふたつのMJQ

2008-04-16 17:22:20 | Weblog

今日は初夏のような陽射しでしたから、昼飯は冷やし中華を注文♪

すると全然知らない周りのお客さんも連鎖反応的に、俺も、同じの! これが食堂の連鎖反応というか、妙な連帯意識なのでした。

ということで、本日は――

MJQ / Modern Jazz Quartet & Milt Jackson Quintet (Prestige)

MJQと言えばモダン・ジャズ・カルテット! まあ、マン●●タン・ジャズ・クインテットなんていうのも存在しているらしいですが、もうひとつ、ミルト・ジャクソン・クインテットの演奏をカップリングして仕立て上げられたLPです。

あまりにもベタでシャレになっていないアルバムタイトルが憎めないほどですが、もちろん中身も統一された企画というよりは、SP音源と10吋盤を12吋盤に拡大収録したのが実相です。

しかし演奏はモダンジャズ上昇期の快演集♪

☆Modern Jazz Quartet
 A-1 All The Things You Are
(Prestige 828 / SP)
 A-2 La Ronde (Prestige 828 / SP)
 A-3 Vendome (Prestige 851 / SP)
 A-4 Rose Of The Rio Grande (Prestige 851 / SP)
 MJQが最初期の録音から発売されたSP2枚の4曲が、これです。
 元々はディジー・ガレスピー楽団のリズム隊からユニットごと独立したMJQは、後にサボイレコードからLPに纏められる音源を吹き込んでいましたが、特に単独でモダン・ジャズ・カルテットを名乗って発売したのが、これらの4曲だと言われています。
 録音は1952年12月22日、メンバーはミルト・ジャクソン(vib)、ジョン・ルイス(p)、パーシー・ヒース(b)、ケニー・クラーク(ds) という、これが一応のオリジナルバンドでした。
 中でも注目されるのが、何と言っても「Vendome」でしょう。バロック音楽の様式美をモダンジャズの中に大胆に持ちこみ、見事な構成とアドリブの両立は永遠に不滅です♪ というか、実はどこまでが即興演奏なのか、些か疑問もあるんですが……。なんというか、リハーサルで煮詰められた完成度の高さが感じられ、日々のライブの場でも全く同じ演奏とアドリブになっていたのでは?
 そういう部分は「All The Things You Are」でも同様ですが、こちらは聞き慣れた有名スタンダードの演奏に新鮮な色合を加えたという趣が素晴らしく、また「Rose Of The Rio Grande」では緻密なアレンジがミエミエなところに、かえって魅力を感じてしまいます。
 しかし「La Ronde」と名付けられた曲は、有名なビバップの定番「Two Bass Hit」と同じですから、ケニー・クラークのドラムスが炸裂し、ミルト・ジャクソンが豪快なアドリブを聞かせるという痛快な仕上がりです。
 ちなみにケニー・クラークは、後にコニー・ケイと入れ替わってバンドを去り、それ以降がMJQの全盛期とされていますが、私はケニー・クラーク時代のバンドに愛着があって、この演奏などは特に大好きなのでした。

☆Milt Jackson Quintet
 A-5 Opus De Funk
 B-1 I've Lost Your Love
 B-2 Buhaina
 B-3 Soma

 こちらは10吋LP「Milt Jackson Quintet (Prestige 183)」として発売された音源の再発です。
 録音は1954年6月16日、メンバーはヘンリー・ブージアー(tp)、ミルト・ジャクソン(vib)、ホレス・シルバー(p)、パーシー・ヒース(b)、ケニー・クラーク(ds) となっていますが、演目では特に「Opus De Funk」に注目が集まるでしょう。
 もちろんこれはホレス・シルバーの高名なオリジナルで、ミルト・ジャクソンも後に十八番として自己のリーダー盤「オパス・デ・ジャズ(Savoy)」で超快演を聞かせ、それを名盤化させたほどですが、このセッションのバージョンも、なかなか良い感じです。
 まずホレス・シルバー以下のリズム隊に勢いとエグミがあり、ミルト・ジャクソンが間然することの無い強烈なアドリブを展開すれば、ホレス・シルバーはファンキーど真ん中の大熱演! テーマではミュートで迫ったヘンリー・ブージアーのトランペットもアドリブではオープンで吹っ切れたような快演です。あぁ、演奏時間の短さが残念でなりませんねぇ~。
 また「I've Lost Your Love」はミルト・ジャクソンの得意技というスローバラードの歌物解釈が絶品♪ 明確にアドリブらしい部分はないのですが、ほんのりとディープに響くヴァイブラフォンの音色も心地良く、ヘンリー・ブージアーのトランペットも朗々とテーマメロディを吹奏しています。
 そして続く「Buhaina」はゴスペルファンキーがモロ出し、「Soma」はレイジーなジャズフィーリングが素敵な演奏で、やはりハードバップ万歳! じっくり構えてブルースに耽溺していく表現はミルト・ジャクソンならではと思います。
 またトランペッターのヘンリー・ブージアーは無名に近い存在ですが、R&Bっぽい感覚の持ち主で、捨てがたい魅力がありますねぇ♪ ホレス・シルバーのファンキー節も言わずもがなです。

ということで、両セッションともにイノセントなジャズの魅力がたっぷりと楽しめます。特にA面の4曲はMJQがモダン・ジャズ・カルテットになった瞬間を記録した名演揃い♪ ケニー・クラークのドラミングも、なかなか芸が細かく、豪快なところも流石だと思います。

また後半のミルト・ジャクソンのリーダーセッションでも、シルバー、ヒース&クラークというリズム隊がシャープなグルーヴを作り出していて、これもなかなかイケてますねぇ♪

全く純粋にモダンジャズを楽しめるアルバムだと思います。輪郭のはっきりした録音も秀逸なのでした。

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