OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

好き好きマヌサルディ♪

2006-09-08 20:03:04 | Weblog

朝から伯父さんがやってきました。

狙いは鮎釣、でもこっちは仕事で週末も休めず状態……。せめて釣ったばかりの鮎でも食わしてもらおうと期待していますがねぇ……。

ちなみにこの伯父さんは、私に「花と蛇」を教えた張本人です。詳しくは↓をご一読願います。ただし18禁です。

http://www12.ocn.ne.jp/~nacky/yami/yami01.html

ということで、本日は私が好きなピアニストのこれを――

Outsatnding / Guido Manusardi (Splasch = CD)

グイード・マヌサルディは、多分イタリア人のピアニストで、そのスタイルはウィントン・ケリー+ビル・エバンスという、まあ、良いとこ取りです。

もちろんウィントン・ケリーほどの粘り腰も無く、ビル・エバンスのようなコード選びのディープさもありませんが、グルーヴィにスイングして知的な彩りもあるという、とても好ましいピアノを聴かせてくれるのです。

このアルパムは1986年のライブを収めたアナログ盤「Outstanding - Live Int Tirano (Splashc H115)」のCD復刻で、ボーナストラックとして未発表だったソロピアノ演奏が入っています。

メンバーはグイード・マヌサルディ(p)、Piero Leveratto(b)、Luigi Bonafede(ds) というトリオで、次の4トラックは前述したアナログ盤の復刻です――

01 On Green Dolphin Street
 モダンジャズでは説明不要の大定番で、数多くの名演が残されており、その意味では難曲でもあります。
 ここでの演奏はラテンリズムを交えたテーマ解釈から、トリオはオズオズとスタートしていますが、グイード・マヌサルディが優れたテクニックを駆使して、直ぐに独自の世界を築いていきます。
 しかしドラムスとベースが意外に頑固というか、自分達の主張を曲げないので、演奏は混濁しつつも、絶妙のグルーヴを生み出していくという仕掛けです。それはハードバップでもあり、新主流派のモード系でもありますが、基本はグイノリのスイング感に満ちているのでした。グイード・マヌサルディは随所でウィントン・ケリーしていますよ♪

02 Love For Sale
 これもお馴染みのスタンダード曲で、トリオは基本に忠実な演奏を心がけているようです。テーマ部分から Luigi Bonafede のブラシが心地良く、グイード・マヌサルディは遺憾なく歌心を発揮し、徐々に白熱した演奏に盛り上げていくところが、ジャズの王道です。ドラムスも大暴れしますが、終始、自己のペースを譲らない Piero Leveratto のベースも気になります。

03 But Not For Me
 これも人気スタンダード曲ですねっ♪ 個人的は大好きですから、大いに期待して聴いてみると、トリオでのテーマ解釈が洒脱で、まず惹き込まれます。
 そしてアドリブパートでもグイード・マヌサルディは歌心優先のフレーズ、ネバリのファンキー節、低域も交えた力強いコードワーク♪ 本当に私の好みがぎっしりと詰まった展開になるのですから、歓喜悶絶です!
 ドラムスとベースのサポートもツボを押さえて好ましく、爆発的なブロックコードで迫るグイード・マヌサルディを諌めるような場面すらあるのです。そして Piero Leveratto の歌心に満ちたベースソロに繋がるのですから、たまりません。
 さらにドラムスの Luigi Bonafede もソロ交換では意地の悪さを発揮し、グイード・マヌサルディを熱くさせる裏ワザが見事です。

04 Sorrow
 グイード・マヌサルディのオリジナル曲で、冒頭からソロピアノで好きなように弾きまくり、ちょっと「枯葉?」と思わせるフレーズ展開から早いテンポでアドリブパートに突入していきます。
 もちろん中身はバリバリにモード全開ですが、随所に僅かながら「泣き」が秘められているので、聴いているうちにそこを期待して、ハッと気がつくと地獄のトリオ演奏に惹き込まれているのでした。


さて次の3曲は1990年6月1日にライブ録音されたグイード・マヌサルディのソロピアノ演奏です――

05 Friend Of Standing
 そこはかとないブルース感覚が見事な、グイード・マヌサルディのオリジナル曲です。それはお約束のフレーズとモード系の早弾き、ガンガン叩くコード弾き、随所に「泣き」を入れた展開が本当に素敵で、最初っから惹き込まれますねぇ♪
 朝一番に聞いてのエンジン始動にも、ピッタリのトラックだと思います。実際、私はアサイチ定番として欠かせないものにしています。

06 I Love You, Porgy
 前曲で盛り上げておいて、いきなり、この名曲に繋げてしまうグイード・マヌサルディの荒業が、最初から輝きます。
 個人的にも大好きな曲なので、ここでゾクリとさせられ、後はもう、好きにして下さい……、という完全降伏状態になります。ちなみに私がこの復刻CDを入手したのは、この曲目当てでしたが、ここまでKO状態に追い込まれるとは、意想外の喜びでした。
 肝心の演奏は自由度が高いスローテンポですが、素直さを失わないメロディ変奏が最高です。かなりファンキー節が出たりするんですよ♪

07 Summertime
 そしてまたまた、この大名曲に繋げてしまうんですから、もう絶句というか、心臓がギュ~となるような究極の感動があります。
 まあ、そう言うのは、私のような万年感動人間だけかもしれませんが、でもこういうミエミエの仕掛けが、ジャズ者の琴線に触れるのは確かでしょう。なにしろ前曲とこの曲は、有名なミュージカル「ボギー&ベス」からの一番美味しい定番ですからねぇ~♪
 さて、ここでの演奏はストライドピアノの味も入れたりして、和み感を強く打ち出していますが、憎めないですねぇ。けっこうオスカー・ピータソンしている瞬間まで楽しめます。もちろん観客も私も拍手万来♪


最後の2曲は1986年春のスタジオ録音です――

08 Midnight Sun
 少しずつ下降していくメロディが印象的なスタンダード曲で、そのあたりのキメをスローテンポでじっくりと展開していくグイード・マヌサルディの繊細なアドリブ感覚が楽しめます。
 と言っても、過激な変奏はしておらず、あくまでも原曲を大切にした小技を使っていますから、好感が持てます。

09 Lush Life
 デューク・エリントン楽団の当り曲にして、今やジャズスタンダード化した名曲を、グイード・マヌサルディは、これまたジンワリと演奏してくれます。
 それは全く元メロディを弾いているだけなんですが、微妙に変化を付けつつ、アドリブも交えていくあたりが、素敵です。


ということで、これは徳用復刻盤です。

前半のトリオによる熱血演奏も最高ですが、私は後半のソロピアノにもグッときます。そして今や、このグイード・マヌサルディというピアニストにゾッコンで、いろいと音源を収集中という有様なのでした。

機会があれば、ぜひとも聴いていただきたいCDです。

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