居直りじゃなくて、素直に自分を表現することは難しいです。
自分に正直に生きることは、もっと難しいわけですが、せめて日常生活では、少しでもそうありたいと願うばかりです。
例えば、朝起きて、何か音楽を聴こうとするとき、ラックの前で慎重にアルバムを選び出す時間は、正直言って、ありません。ここでじっくりと余裕があれば、日々の生活もまた違ってくるんでしょうが……。
で、とりあえず季節感で選んだ本日のBGMが――
■Wishbone Ash Four (MCA)
70年代初頭にツイン・ギターの絡みをウリにして人気が出たイギリスのバンドがウィッシュボーン・アッシュでした。やっていることはイギリス民謡モードのハードロックで、独特の泣きを含んだメロディ展開が新鮮でした。
もちろんウリである2本のギターの絡みも心地よく、加えて生ギター系のサウンドも魅力的でした。つまりドカドカ煩いバンドではなかったのです。
このアルバムは、そんな彼等の4枚目、どうやらアメリカ進出を狙ったらしいですが、中身は相変わらずのアイルランド・モードが聴かれます。特に「ビーコンのバラッド」は、翳利あるメロディと跳ねるベースラインが、個人的にツボでした。
また「エブリバディ・ニーズ・ア・フレンド」は詩もメロディも、これ以上ないほど素直な世界で、こういうところは、他のバンドじゃ照れくさくて出来ないでしょう。でもそれを、臆面もなくやってしまうところが、ウィッシュボーン・アッシュの魅力なんです。
こういう曲を秋の空を眺めてつつ聴いていると、心が大らかになるというか、安らぎます。
また当然、ハードロック全開の曲も入っていますが、現代は便利なCD時代♪ 気分に応じての選曲が、楽しかったりします。