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サイケおやじの生活と音楽

黒い説教

2006-06-24 19:05:44 | Weblog

今日は休日だというのに、野暮用に追い回されました。まあ、仕方ないか……。

まずは気分を高揚させるために、これを――

The Sermon ! / Jimmy Smith (Blue Note)

昨日に続き、本日もジャム・セッション盤でいってみます♪

仕切りはブルーノート・レーベル、もちろん参加メンバーは超オールスタアですが、主役はあくまでもジミー・スミスという、黒人天才オルガン奏者というのがミソで、中身はどこまでも真っ黒いフィーリングが追求されているのでした――

A-1 The Sermon (1958年2月25日録音)
 まず初っ端から大ゴスペル大会のウルトラ・ハードバップが展開されます。
 参加メンバーはリー・モーガン(tp)、ルー・ドナルドソン(as)、ティナ・ブルックス(ts)、ジミー・スミス(org)、ケニー・バレル(g)、そしてアート・ブレイキー(ds) という、これで白かったら地球が転覆してしまいます!
 曲はジミー・スミスのオリジナル・ブルースで、アート・ブレイキーの強烈なバックビートに煽られ、ミディアム・テンポの快調な演奏がスタートします。もちろん先発はジミー・スミス! 強烈なネバリとスタッカートのコンビネーションで彩るフレーズがゴキゲンです。特に58秒目辺りから、いきなり聴き手をグリグリ刺激するのですから、うへぇ♪ 最高です♪
 アドリブ全体も難しいフレーズよりは、お約束のリフに近いノリで勝負していくジミー・スミスは、明らかにオルガンのチャーリー・パーカー(as) と称されていたビバップ王道の演奏スタイルからは逸脱していますが、時代的にファンキー&グルーヴィンな黒人感覚がウケていたことからの回答だと思います。
 そして続くケニー・バレルが、これまた最高♪ 同じくシンプルなフレーズを積み重ねる手法で真っ黒に行くかと思えば、一転、リズムに対して自在のノリと早弾きフレーズの妙♪ バックを彩るジミー・スミスのオルガンも聞きものです。
 しかし、いよいよ登場するホーン隊のティナ・ブルックスがいまひとつ調子が出ていません。この人はR&B色の強い演奏が得意なはずですが、う~ん、何故だ!? 妙にコルトレーンみたいになっているぞっ?
 と思う次の瞬間、リー・モーガンが破天荒に登場! 忽ち周囲を自分色に染めていくのです。このタメとぶっ飛びのフレーズには、アート・ブレイキーも自分の子分ながらツッコミを入れることが出来ませんし、ジミー・スミスもタジタジになっている様子が覗えます。
 ただし流石はジミー・スミスです。クライマックスに向けてコード弾きで応戦し、アート・ブレイキーもビシッとシンバルでキメていくのでした。
 こうしてトリはルー・ドナルドソンが余裕の吹奏でその場は真っ黒! 特に16分50秒目あたりから、バックが煽るほどに猛烈なフレーズを繰り出していくところが痛快です!
 ということで、LP片面全部を使った20分を越える演奏ですが、全体にジミー・スミスのバッキング、特にフットペダルとコード弾きでベースの役割を果す低音部だけ聴いていても、アート・ブレイキーとのコンビネーションが快感に繋がります。そしてこういうリズム隊があれば、演奏は自然と白熱し、聴き手はゴスペル感覚真っ只中に放り込まれるのでした。

B-1 J.O.S. (1957年8月25日録音)
 この曲はA面と録音日&メンツが異なっており、リー・モーガン(tp)、ジョージ・コールマン(as)、ジミー・スミス(org)、エディ・マクファーデン(g)、ドナルド・ベイリー(ds) という布陣で、ちなみにリズム隊は当時のジミー・スミスのレギュラー・トリオ!
 曲はジミー・スミスのオリジナルで、アップテンポのハードバップです。
 まずオルガントリオでテーマが演奏され、最初に登場するのがジョージ・コールマンですが、ご存知のように、この人はマイルス・デイビスのバンド・レギュラーとして有名♪ ただしそれは後年の事で、このセッション当時はメンフィスからニューヨークに出てきたばかりの新進気鋭として、スピード感満点の見事なアルトサックスを聞かせてくれます。
 するとリー・モーガンも負けられないという雰囲気で烈しく突進してくれます。あぁ、この勢い、この爆発力! 当に昇り調子の恐ろしさが存分に楽しめます♪
 こうなるとリズム隊も熱くなり、まずエディ・マクファーデンが小型ケニー・バレルという雰囲気で奮闘、主役のジミー・スミスはハードバップの枠を飛越えた物凄いフレーズを連発しています! これって、もうプログレ? フリー・ロック? いやいや、ジャズなんですねぇ、これがっ♪
 う~ん、バックで地味に燃えているドナルド・ベイリーのドラムスも最高です。

B-2 Flamingo (1958年2月25日録音)
 再び「A-1」と同じセッションから、メンバーはリー・モーガン(tp)、ジミー・スミス(org)、ケニー・バレル(g)、アート・ブレイキー(ds) というワンホーン編成で、スタンダード曲がジンワリと演奏されます。
 まずテーマを吹奏するリー・モーガンの「味」は、やはり天才の証明です。また、こういう雰囲気が十八番のケニー・バレルが素晴らしいですね♪
 そしてアドリブパートに入っては、リー・モーガンがファンキー味を滲ませながらも暖かい歌心を披露♪ 続くケニー・バレルはムード優先で実力を発揮しています。
 肝心のジミー・スミスはアート・ブレイキーと黒子に撤するサポートですが、それあってこその名演というべきかもしれません。ズバリ、和みます♪

ということで、これは素敵な名盤に偽りなし! 冒頭から熱く高揚し、最後で和むというプログラムが絶妙です。あぁ、ジャズってこういうもんなんでしょうねぇ。妙に納得させられるアルバムです。

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