今日は束の間の休日ということで、未見のDVDを鑑賞したり、サイトの更新作業が出来ました。
とはいえ、連休明けには大仕事が控えているので……。
ということで、本日は――
■Newk's Time / Sonny Rollins (Blue Note)
ただでさえ豪放磊落な吹奏をウリにしているソニー・ロリンズが、何時も以上にワイルドに吹きまくったアルバム! というのは全くの個人的感想に過ぎませんが、中身は豪快無比なハードバップの傑作じゃないでしょうか。
録音は1958年9月28日、メンバーはソニー・ロリンズ(ts)、ウィントン・ケリー(p)、ダグ・ワトキンス(b)、フィリー・ジョー・ジョーンズ(ds) という凄いカルテットです――
A-1 Tune Up
マイルス・デイビスのオリジナルとされていますから、そのバンドレギュラーを務めていたフィリー・ジョーにとっても慣れきった演奏かと思いきや、ソニー・ロリンズの緩急自在な吹奏に翻弄されるリズム隊の必死さが素晴らしい緊張感を生み出した名演です。
初っ端からキレの良いシンバルワーク、絶妙のスネアを活かしたフィリー・ジョーのドラミングが炸裂しますが、ソニー・ロリンズは決して妥協しません。アップテンポでの豪快なウネリ、モールス信号と呼ばれた同一短音の連続吹き、リズムを好き放題に引っぱる独特のノリは痛快至極!
もちろんリズム隊も負けずに突進し、特にフィリー・ジョーは堂々と対決姿勢を鮮明していますし、飛び跳ねるウィントン・ケリーにどっしり構えたダグ・ワトキンスという布陣ですから、流石のソニー・ロリンズも勝負無しというところで――
A-2 Asiatic Raes
ケニー・ドームスが書いた有名なメロディは、まさにソニー・ロリンズが泰然自若の吹奏にはピッタリ♪ ラテンビートも混ぜ込んだ真性モダンジャズのグルーヴの中で暴れるテナーサックスの魅力は絶大で、そこから正統派4ビートに持っていくバンド全体の意思統一も流石だと思います。
いゃ~、何度聴いてもシビレます!
もちろん要はフィリー・ジョーが最高のドラミングなのでした。
A-3 Wonderful! Wonderful!
ソニー・ロリンズのオリジナルですが、前曲のムードをそのまま引き継いだような曲展開がたまりません♪ つまり悠然としたテナーサックスにイケイケのリズム隊という対決姿勢が鮮明なのです。しかし決して悪い関係ではないという意気込みが見事ですねぇ~~。
ソニー・ロリンズのテナーサックスからは十八番のフレーズとリズム的な興奮が溢れ出し、快適にスイングするウィントン・ケリー、ビシバシにキメまくるフィリー・ジョー、さらにグイノリのダグ・ワトキンスという、ハードバップが最良の瞬間が楽しめると思います。
B-1 The Surrey With The Fringe On Top / 飾りのついた四輪馬車
これもマイルス・デイビスの名演が残されているスタンダード曲ですから、ソニー・ロリンズの演奏は如何に!? と興味津々のファン心理を逆手をとったかのような、フィリー・ジョーとデュオで好き放題に吹きまくった大名演がこれです。
ご存知のように、ソニー・ロリンズはこのセッションから1年を経ずして自分の演奏に疑問を感じたようで、一時的に活動を停止してしまうのですが、ここでの暴れっぷりを聴く限り、そんなことは微塵も感じないのがファンの偽り無い心情だと思います。
それはただ豪放に吹きまくるのではなく、ちゃんと原曲メロディを大切にした歌心のあるアドリブであり、独自のリズム感に基づいた強烈なウネリ、フィリー・ジョーの必死のドラミングに花を持たせつつも、決して安易に妥協しない頑固さが、良い方向に作用しているのでしょう。本当にそう思います。
もちろんフィリー・ジョーは畢生の名演!
B-2 Blues For Fhilly Joe
その名ドラマーに敬意を表した楽しいブルース♪ ウキウキするようなテーマ演奏から旨味がいっぱいのアドリブを展開していくソニー・ロリンズ以下の面々は、自分達でプレイする事を楽しんでいるのでしょうねぇ。そういう、実に良い雰囲気です。
リズム隊はソニー・ロリンズのアドリブを先読みしてキメを入れたり、それに呼応してさらにノリまくるソニー・ロリンズの姿勢も潔く、どこまでもグルーヴィな演奏が続くのでした。
B-3 Namely You
オーラスはスタンダード曲を素材にソニー・ロリンズが己の本質を披露した名演で、朗々とした歌心が唯一無二の魅力です。
またウィントン・ケリーが短いながらも「泣き」の入った素敵なアドリブを聞かせてくれますよ♪ もちろんブラシで快演のフィリー・ジョー、強いビートを弾き出すダグ・ワトキンスと、やっぱり役者が揃っていますから、これが当たり前なのが恐いほどです。
ということで、これはモダンジャズ全盛期に残された普通に凄いアルバムです。ソニー・ロリンズに限っても「サキソフォン・コロッサス(Prestige)」や「ウェイ・アウト・ウェスト(Contemporary)」という2大名盤の後に隠れている感はありますが、実は真の裏人気盤でしょう。まあ、この時期のソニー・ロリンズには名盤・人気盤が有り過ぎるのですね。
天邪鬼の私なんか、それゆえにフィリー・ジョーを中心に、このアルバムを聴いているほどで、フィリー・ジョー・ジョーンズのカルテット! こう分類してレコード棚に収めているのですが……。
結末はやっぱりソニー・ロリンズの天才性にKOされるのでした。
緊迫した「飾りのついた~」に続く「BLUES FOR PHILY JOE」の流れが最高です!
ケリーのピアノも聴けますし、ジャケのフォトも最高のロリンズ盤ですね♪
ところで録音年月日には諸説あるんでしょうかね。
「ヴァンガードの夜」の2ヵ月前、57年9月とする説もありますね。
ステレオ録音、ロリンズのプレイ等々からして58年の気もしますが…。
如何なもんでしょうね。
いずれにしても数少なくなった生ける伝説、来月の公演では元気な姿を見せて欲しいものです。
上記bobさんが書かれているように、録音年月日は諸説があるようですね。手許の米国版のCDのクレジットには1957年9月22日と記載されています。
まあ、録音年月日がいつであれロリンズとフィリー・ジョーの快演はTIMELESSな輝きを放っています♪
おぉ、録音年月日には諸説があるのですねっ!
確かにケリーのピアノには1957年の味わいがあるような気がしています……。
ロリンズに関しては「コンテンポラリー・リーダーズ」の雰囲気が濃厚なんですよね。
とにかくフィリー・ジョーは快演としか言えません。これだけ奔放に暴れるのはマイルスのバンド内では不可能でしょう。
そういえば昔、このアルバムはA面が良いか、B面が良いか、なんて論争もあったようですね。私は両面好きですが、ジャズ喫茶をやるとしたらB面でしょうか。