■たった一度の人生 c/w 気楽にいこう
/ マイク真木・前田美波里 (フィリップス / 日本フォノグラム)
自分の人生は一度っきり!?!
―― とは、巷間云われ続けている真実ではありますが、それを意識して生きていく事は、なかなかに難しく、強い意志が必要だと、サイケおやじは齢を重ねた今になっても、そんなふうに思っております。
さて、そこで本日取り出したのは、これが発売された昭和46(1971)年当時は夫婦だったマイク真木と前田美波里が出したシングル盤でして、もちろん収録A面曲「たった一度の人生」は、そんなこんなを歌っているんですが、元ネタは作曲:レモ・ゲルマーニと記載されているとおり、イタリア産の洋楽歌謡フォークであり、そのメロディに日本語の歌詞を附したのは安井かずみ、そして編曲はボブ佐久間とクレジットされています。
しかし、告白すれば、サイケおやじは件のレモ・ゲルマーニのオリジナル自作自演バージョンを聴いた事が無かったわけですから、ここに提示されているアップテンポのカントリーロック風のサウンドスタイルが正解なのかは、ちょいと判別が……。
それでも真摯(?)に歌う前田美波里を茶化すが如き合いの手を入れるマイク真木のコンビネーションがサビに入ってからの絶妙の盛り上がりに繋がっているあたりの仕掛けの妙は、やはり夫婦ならではの恣意的なセルフプロデュースという結果なんでしょうか?
皆様ご存じのとおり、前田美波里は日米ハーフの美女として、当初はミュージカルスタアを目指していたものの、資生堂のキャンペーンガールに選ばれてからは、その美貌と抜群のスタイルで忽ち大ブレイク♪♪~♪
その昭和41(1966)年頃から、当時18歳だった彼女の水着ポスターは街中に溢れ、同時に雑誌のグラビアや表紙、さらにはテレビや映画への出演に加えて、当然ながら歌手活動も展開していたんですから、昭和43(1968)年にマイク真木と結婚という、突然のニュースには日本中が驚愕させられましたですねぇ~~!?!
当然ながら、音楽活動のベースに、マイク真木との夫唱婦随があり、掲載盤を含めてのレコーディングも、それなりに残していたんですが、結果としては大きなヒットが出せず、前田美波里は別方向への活動を模索していたのでしょうか、一人息子を残して、マイク真木との別居 ~ 離婚という道を選び、以降は女優・歌手・モデル・ダンサー等々、多才な芸域を披露して、今日に至っているのですから、正に曲タイトルに偽り無しの「たった一度の人生」を貫いているのは、流石と思うばかりです。
また、もうひとりのマイク真木にしても、今日まで再婚・離婚を繰り返しつつ、マイペースな活動を続けている事は、既に掲載盤B面に収録されている自作自演のソロトラック「気楽にいこう」で決意表明されていたんですから、いゃ~~、結果論とはいえ、これまた素晴らしいですねっ!
ちなみに、この「気楽にいこう」も田辺信一のアレンジによるカントリーロック風味に仕上げられた歌謡フォークなんですが、一般的には、モップスの鈴木ヒロミツが自ら出演したモービル石油のテレビCMで使われていたモップスのバージョンが耳に馴染んでいるんじゃ~ないでしょうか (^^)
まあ、それもこれも、時代の空気と申しましょうか、モーレツとか無責任とかが滲み込んでいた昭和40年代前半から、いよいよビューティフルな1970年代への入口に流れていた日本の名曲・名唱という印象もある様な気がしております (^^)
ということで、最近は「自分の人生」について、考える事も以前に比べれば、少しは時間を使う気分になっております。
ただし、生来お気楽な自分の性格を想う時、成り行きを大切にするのも、また「良」とする次第でございます <(_ _)>