もみさんの一日一冊遊書録( 2011年9月1日 スタート!: メメント・モリ ) ~たゆたえど沈まず~

年とともに人生はクロノロジー(年代記)からパースペクティブ(遠近法)になり、最後は一枚のピクチュア(絵)になる

10 011 桜井信一「下剋上受験 両親は中卒 それでも娘は最難関中学を目指した!」(産経新聞出版:2014、2016文庫)感想特5

2021年03月02日 01時30分20秒 | 一日一冊読書開始
2月28日(日):  

405ページ      所要時間10:50      ブックオフ108円

著者46歳(1968生まれ)。

2度目。前回は図書館の本で2:05の眺め読みだった。今回は、自分の本なので思う存分、付箋、線引きをしながら読んだ。内容は圧倒的な具体性と説得力を伴い、文句なしに面白かった。中卒の著者の筆力は半端ではない。自分の娘を思う父親の思いが、どんどん読み手に伝わってくる。暑苦しいほどの熱意で自身の身も心も焼き尽くしながら、うつ病になり、心療内科で大量の薬を処方されながら、娘とともに超難関中学受験のための問題を解き続ける。

中学受験の現場レポートとしても、読み物としても秀逸である。中学受験のもつ可能性と難しさの両面をよく理解させてくれる。子どもの教育とは、結局親自身も成長する覚悟を問われる取り組みであり、人生の一大事業である。

もしもう一度最初から佳織と始めるなら今度は中学受験塾に通わせるだろう。略、私は決して親塾で正解だったと思っているのではなく、むしろ改めて中学受験塾のすごさに驚いている。もう一度チャンスがあれば、今度こそ中学受験塾に佳織を行かせ、毎晩の復習を今回以上必死になって一緒に取り組むと思う。381ページ

毎日を頑張っていること、これを評価してもらおうとしてはいけないんだ/父さんのような三流の人間はいつも頑張りを評価してもらおうという発想があるから使えない人間なんだ/結果を出すことに慣れていないから、つい頑張りを評価してもらおうとする/この考えが染みついているんだ。この染みは簡単には抜けない/だからおまえは父さんの二の舞になっては行けない/つまり、毎日頑張っていることを評価してもらおうとする人間になってはいけないんだ/プロセスが大事だなんて言葉を信じてはいけない/結果にこだわるから評価されるプロセスになるんだということに気づかなければならないんだ  398ページ  *新自由主義の連中が喜びそうな論理だが、著者の我が子に対する気概としては素直に受け止めようと思う。

5 056 桜井信一「下剋上受験」(産経新聞出版:2014) 感想4+
2016年06月06日 00時25分44秒 | 一日一冊読書開始

2016年6月5日(日):      副題「両親は中卒/それでも娘は最難関中学を目指した!」

351ページ   所要時間 2:05     図書館

  忙しい日々、まったく読書できない日々が続く中、ふと思い立ち手に取った本である。1ページ15秒ペースで目を這わせた。
  宿命としての「中卒」を叫ぶ父親の文章は最初随分と「言葉数だけは多いな!」と、冗舌に思えた。しかし、それが淀みなく300ページ以上続くと「これはもう相当の筆力だ!」と認めざるを得ない気になった。中卒=低学力・拙劣な文章ではないのだ。時間をかけて読めば、ずっと面白かったはずだが、眺めて展開を追うだけでも十分に興味深く、学べることが多かったと思う。

  まず、中学受験で一番大事なことは親が一緒になって伴走してやることの大切さがよく伝わってきた。やり方は人さまざまだろうが、親が子供の教育に寄り添うことの大切さがよく分かった。次いで、中学受験では、中卒の親であっても子供と一緒に勉強をすれば可能な部分が相当ある。そして、中学受験に子供がきちんと取り組むことができれば、それは間違いなく子供を大きく成長させる貴重な経験となり、子供の顔つきや意識を良い方向に変えることになる。しかし、そのためには親の本気の覚悟が必要であり、かつ親にとっても大変遣り甲斐のある取り組みである。

  5年生の9月から偏差値トップの桜蔭中学を目指した中卒の父による「親塾」と娘の挑戦は、桜蔭不合格だったが同程度の偏差値70の別の私立中学合格という結果を生んだ。娘の中学受験に対する父親の取り組みは、自ら「うつ」を発症し、薬漬けになるなどかなり凄絶だったが、「高校受験では親が直接勉強にかかわることは難しいが、中学受験では勉強の内容に踏み込んで関われる」ことがわかって面白そうだと思った。受験というと責任重大で重苦しい印象ばかりだったが、子供との貴重な共同体験の機会でもあると思えてきた。

内容紹介:目指せ桜蔭! 中学受験ブログ人気No.1著者の書き下ろし/塾なしで偏差値41から70へ/全受験生の親必読の感動ノンフィクション! // 昼はガテン系仕事、夜は娘と勉強、そして朝まで娘のための予習…。/わが子に全てを捧げた父親の壮絶記録/中学受験ブログ人気NO.1著者の書き下ろし。// 中卒の父と、偏差値41の娘が、進学塾にも行かず、2人で桜蔭中学を目指す-。/話が無茶苦茶すぎて信じてもらえないかもしれません。でもこのお話はすべて真実なのです。そして今、私たち父娘は思うのです。/この挑戦が決して無謀ではなかったことに。そして、届かない夢ではなかったことに…。

【主な目次】 序章 絶望と猛追/ 第一章 こんな場所にいてはいけない/第二章 中学受験というギャンブル/第三章 異常な水準の世界/ 第四章 本当の馬鹿を理解して欲しい/第五章 父さんは人柱になる/第六章 受験前夜/ 第七章 「最難関」の本当の意味

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