もみさんの一日一冊遊書録( 2011年9月1日 スタート!: メメント・モリ ) ~たゆたえど沈まず~

年とともに人生はクロノロジー(年代記)からパースペクティブ(遠近法)になり、最後は一枚のピクチュア(絵)になる

4 009 斎藤孝「絶対感動本50」(マガジンハウス;2003)感想3+

2014年10月11日 20時29分20秒 | 一日一冊読書開始
10月11日(土):

302ページ  所用時間 3:40    図書館

著者43歳(1960生まれ)。

膨大な著作を出している多作の人である。しかし、著者の作品で今までにすごく感動、感心したという記憶が俺にはない。むしろ、社会に適応する(阿る)能力の高い世渡り上手で、うす味な気がするのだ。悪気はないし、善良ではあるが要領がいいだけで魅力に乏しい作家という感じである。

それでも多くの本を書き続けらることに凄みと敬意を感じるべきだと言われれば、別に争う気はないが、俺は評価する気はない、と答えるのみだ。

本書も、基礎体温は低い印象である。絶対に外れない確実な本と、ひねりを衒った、あまり知られていない本を半々の塩梅で手堅く選定している。「売らんかな」の市場調査優先で選定した著作という感じである。

とはいえ、手堅い内容にはなっている。器用な人なのだ。既読の作品もあったが、名前だけ知っていた作品の概要がわかったり、それなりに参考になった。ノンフィクションの賞味期限切れが目立った。11年の歳月に耐えるのは、やはり古典的作品群だ。当時のはやりを取り上げた作品はいまいちだった。

目次 : *気になった作品を赤字にします。
自伝・エッセイ紫の履歴書(美輪明宏)/ チャップリン自伝(チャールズ・チャップリン)/ 若き数学者のアメリカ(藤原正彦)/ 生きて行く私(宇野千代)/ 父・こんなこと(幸田文)/ 自分の中に毒を持て あなたは“常識人間”を捨てられるか(岡本太郎)/ 色を奏でる(志村ふくみ・文 / 井上隆雄・写真)
ノンフィクション :神の肉体 清水宏保(吉井妙子)/ もの食う人びと(辺見庸)/ 聖の青春(大崎善生)/ ヨハン・クライフ スペクタルがフットボールを変える(ミゲルアンヘル・サントス)/ 素晴らしきラジオ体操(高橋秀実)/ 嬉遊曲、鳴りやまず 斎藤秀雄の生涯(中丸美繪)/ 印度放浪(藤原新也)/ パリ左岸のピアノ工房(T・E・カーハート)
身体・心理・哲学 :胎児の世界 人類の生命記憶(三木成夫) /野口体操 からだに貞く(野口三千三)/ ことばが劈かれるとき(竹内敏晴)/ 「いき」の構造(九鬼周造)/ 開かれた小さな扉 ある自閉症児をめぐる愛の記録(バージニア・M・アクスライン)/ ツァラトゥストラ(ニーチェ)/ ゲーテとの対話(エッカーマン)
歴史世に棲む日日(司馬遼太郎)/ 氷川清話 付勝海舟伝(勝海舟 勝部真長編)/ ある明治人の記録 会津人柴五郎の遺書(石光真人編著)/ 夜と霧 ドイツ強制収容所の体験記録(V・E・フランクル)/ 望郷と海(石原吉郎)/ 腕白小僧がいた(土門拳)
神話の世界ギルガメシュ王ものがたり(ルドミラ・ゼーマン/文・絵)/ リトル・トリー(フォレスト・カーター)/ 神話の力(ジョーゼフ・キャンベル/ビル・モイヤーズ)/ 風の博物誌(ライアル・ワトソン)
絵本・漫画: クレーの絵本(パウル・クレー・絵/谷川俊太郎・詩)/ 高野文子作品集 絶対安全剃刀(高野文子)/ まんだら屋の良太(畑中純)
文学・小説ほか: 中国行きのスロウ・ボート(村上春樹)/ 爆発道祖神(町田康)/ 風と光と二十の私と/夜長姫と耳男 【坂口安吾全集】(坂口安吾)/ 両手いっぱいの言葉 413のアフォリズム(寺山修司)/ 謎とき『罪と罰』(江川卓)/ 古典落語 志ん生集(古今亭志ん生 飯島友治編)/ ライ麦畑でつかまえて(J・D・サリンジャー)/ トレインスポッティング(アーヴィン・ウェルシュ)/ 悪童日記(アゴタ・クリストフ) /停電の夜に(ジュンパ・ラヒリ)/ 欲望という名の電車(テネシー・ウィリアムズ)/ 微笑を誘う愛の物語(ミラン・クンデラ)/ 百年の孤独(G・ガルシア=マルケス)/O・ヘンリ短編集(O・ヘンリ)/ 小説作法(スティーヴン・キング)
あとがき

*スティーヴン・キングの「小説作法」解説がよかった。

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