もみさんの一日一冊遊書録( 2011年9月1日 スタート!: メメント・モリ ) ~たゆたえど沈まず~

年とともに人生はクロノロジー(年代記)からパースペクティブ(遠近法)になり、最後は一枚のピクチュア(絵)になる

147冊目 武田邦彦「放射能列島日本でこれから起きること」(朝日新書;2011.11.) 評価4

2012年02月09日 06時14分38秒 | 一日一冊読書開始
2月8日(火):夜のニュースを見た。原発の「地元」って何・何処ですか?福井県の大飯原発再稼働について、「地元の声」とニュースでやっていたが、原発の地元って何?何処のこと?。原発の建っている周辺町村だけが<地元>なのか?バカバカしい!原発で事故が起これば、必ず琵琶湖に放射能・放射性物質は降り注ぐ。ならば、関西の広域すべてが<地元>だろう!

219ページ  所要時間4:15

表題の続き→「誰も気づかない環境被害の真実。」

著者68歳。福島原発事故の実態に関する解説と政府・マスコミ報道への逆説的批判だけかと思ったら、後半では環境問題の嘘を巡って日本社会の歪みを指弾する著者の従来からの主張を全面的に展開(繰り返しが多い…)し始めた。最後に100年後の日本の未来像として<ドーム型都市構想>を詳述し、歴史を30年×5=150年ごとに大きな変化がある、として幕末以後に当てはめる歴史観を紹介。都市構想も歴史観も、なかなかの切れ味だったが、「またいきなり何を…」と乱暴過ぎる気がした。科学者なのに、政治批判的発言が多いのは、著者の環境問題の主張実現のために必要なことなのだろう。皮肉逆説的批判を得意とする著者の論法については、善し悪しは一概に解らないが、阿らない独自の確固とした科学的世界観をもった学者だと思った。最後まで読むと、妙なしみじみ感も醸していて、「まあ、この人の言っていることが真実なんだ、と信じてもいいかなあ」と思ってしまった。

カバー紹介文:「20年間も続くウソの環境問題と原発事故による最悪の環境問題。負の関係性を鋭く抉った新・環境論。リサイクル・ダイオキシン・温暖化…… かつて論じられた環境問題は、どうして消えてしまったのか。正義を隠れ蓑にした利権の中、また同じ過ちを繰り返してはいけない。これからの日本人へ生きる指針を示す待望の書。」

目次:
第1章 原発事故が起こした誰も言わない後遺症:1人類は地震に耐える原発をつくったことがない/2「原子力発電所は安全だけれど危険だ」という論理/3原発には救命ボートがなかった/4「本当は原発の電気代は高かった」理由/5原発を取り囲む間違った環境
第2章 体内被曝は何を基準に判断したらいいのか:1いつからか1年1ミリシーベルトの基準が変わった/2水の基準と食品の基準がまったく違う現実/3あいまいな日本の放射線防護基準/4生産者を優先し食べる国民を犠牲にする政策
第3章 不安な日本の将来を変えるエネルギー問題:1地球温暖化を隠れ蓑にした原子力発電/2原発を中止したらエネルギーは不足するのか/3化石燃料資源のコペルニクス的転回/4石油の枯渇は幻想だった/5世界を見て冷静に問題に取り組む
第4章 “ウソの環境問題”20年間のツケ:1「環境に良い原子力発電所」という偽善/2軽蔑していた中国から軽蔑される愚/3偽善の政策が日本をダメにする/4公的発表を隠れ蓑にした危ない日本

「私たち日本人は競争力もなく競争相手もいない電気会社の意のまま

第5章 最悪の環境の今、取り戻したい日本人の心:1幻の環境問題の萌芽/歴史は何を教えてくれているのか/3ここ20年間の重大な問題/4日本はどういう未来を歩んでいくのか/5“環境問題”のない理想の社会へ

「原発を建てた町は衰退する」と言われます。原発を建てて交付金をもらえば、それをもとに町を発展させることができそうな気がしますが、略、「何もしないのにお金をもらう」という癖がつくと、人間は発展のチャンスを失うのです。」

あとがき:「そういえば、世界で「温帯の島国」というのはほぼ日本だけです。イギリスは亜寒帯で気候も悪く、略。温帯の気候は人間にとって住みやすく、さらに島国なので、気温は安定し、水も豊富です。まさに山紫水明、四季のある瑞穂の国です。」「1930年には軍事、1960年には高度成長、そして1990年にはウソの環境問題が社会の関心を呼びました。/2020年には再び、まともな日本になるように、誠実で善良ではない人たちを政治家としても官僚としても、そして東大教授(*御用学者)としても、ぜったいに認めない社会に持っていければと願っています。」



限界、もう寝ます。書き足せれば、頑張って書き足します。




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