3月2日(土):
206ページ 所要時間2:20 図書館
著者48歳(1963生まれ)。女性関係のルポライター。バツ1、独身、未産かつ出産願望あり。「子どもを生む努力をするべきだった?/私はまだ妊娠できる?」という著者自身の強い思い(前向き、後悔、喪失感…?)を動機として書かれた。未産を中心に、既産、離婚などさまざまな状況の女性たちに事情や率直な思いについて取材を重ねた内容である。
あくまでも聴き取りを主としたレポート集であり、厳密な裏付けのある内容ではない。ただ俺は、「好著だ!」と思っている。感想4も前向きな評価をしたつもりである。理由は、この取材と著作活動が、著者自身の人生の問題解決を目指して行なわれているので、種々多様な女性たちの生き様が取材されているが、内容の軸がぶれていないからだと思う。
48歳で妊娠・出産・育児への意志を持ち得ている著者には多少の驚きを覚えるが、「やはり(自分の人生の中で)自分の子供が欲しい」という願いは人間にとって本然的なものであるからこそ、ぶれることも無いし、羨みを隠すことも無いし、悲観し過ぎることもない。ありのままの思いが素直に表現されているのだ。
*「「子どものいない人生を、あなたはどう受け止めていますか?」という、最初の一言を切り出すのには、勇気と覚悟がいる。聞かれた側も、まずは引く。略。しかし、いったん語り出すと、饒舌になる女性は少なくなかった。略。「未産である」ことの語り合いを通じて、また新たな絆で結ばれたと実感することもたびたびあった。」194ページ
*むかしはDINKS(ディンクス;ダブル・インカム・ノー・キッズ)が、もてはやされたが、今は母でありつつ、仕事をバリバリこなし、週末を子どもと楽しむ女性が羨ましがられる。
*夫婦、特に女性が妊娠・出産を決意する要因に経済力・貧困が如何に大きい問題なのかがわかる。離婚して子どもを育てる母親の経済的苦労は並大抵ではない。
*SNSではシングルマザー関連のコミュニティが大盛況。
*女性にとって女性が味方とは限らない。特に未産、既産の間にはそれなりの溝がある。
*人工授精は健康保険が適用されず、全額が自己負担で、現在でも1回1万円から3万円程である。成功率は10%前後と言われ、しかも回を重ねるごとに下がっていくため、チャレンジは10回ほどが目安とされている。略。体外受精を行うには、30万円から50万円程かかる。市町村から助成金が出る場合もあるものの、最低でも10万円以上の出費は必要だ。事前に排卵誘発剤などの注射を受け、全身麻酔をして採卵をするため、卵巣に腫れなどが起きる。だからすぐには移植できず、卵子を凍結して待機することになる。凍結するのにも、レーザー線を当てるなどの加工をほどこすのにも、また費用がかかる。凍結卵を移植したあとも、着床しやすくするため黄体ホルモン等の投薬が必要だ。「人工授精ですら、こんなにクタクタなのに、体外受精なんて、とても無理でした。妊娠できたとしても、出産、育児と、突っ走っていくパワーは残っていないと思いました」53・54ページ。
*2010年、50歳男性の未婚率は19.4%である。これは、女性の「産める環境」の大きな侵害である。
*高齢の男性には「液への誤解」がある。つまり、射精できれば生殖能力があると勘違いしている。精液にも不妊につながる老化や精子の量・質の問題が生じていることが多い。
*「子どもを産めば一人ぼっちじゃなくなる?つまり子供を『1人』とカウントするわけですか? それは間違いです。子供は、一人前の人間じゃない。略。子育ては孤独ですよ。一人でいるときよりも、もっと深い孤独です」156ページ
*子どもを持てないことを深刻に思い詰めてると、気付かないが、子どもを持てば別の多くの苦しみがある。同時に「こいつらのためなら死ねる」という確かな存在を持つことにもなる。子供の有無を嘆くことも有って当然だが、比較の問題にはならない。
【目次】
第1章 私に子供がいない理由
第2章 思い切って聞いてみた
第3章 社会の変化にとまどう
第4章 男の「女性問題」
第5章 私でも育てられる?
第6章 未産予備軍の女たち
第7章 最初の一言
【帯文】:産んでいなくたっていいじゃない! 「結婚、妊娠、出産、育児」を巡る、女性たちの心の葛藤と人生の選択。
M58歳未婚「キャリアを重ねて、子どもを産まずにすんだことに誇りを感じています」/T52歳既婚「不育症で3回流産しました。今なら産めたかもしれないのがつらい」/F56歳既婚「人工授精8回失敗、体外受精の気力は尽きていました」/N41歳既婚「卵巣に問題。「私がなぜ?」と頭が真っ白になりました」/R48歳既婚「もっと積極的に不妊治療を受ければよかったのかなあ…」/T49歳未婚「お局様になって会社に居残ろうときめました」
206ページ 所要時間2:20 図書館
著者48歳(1963生まれ)。女性関係のルポライター。バツ1、独身、未産かつ出産願望あり。「子どもを生む努力をするべきだった?/私はまだ妊娠できる?」という著者自身の強い思い(前向き、後悔、喪失感…?)を動機として書かれた。未産を中心に、既産、離婚などさまざまな状況の女性たちに事情や率直な思いについて取材を重ねた内容である。
あくまでも聴き取りを主としたレポート集であり、厳密な裏付けのある内容ではない。ただ俺は、「好著だ!」と思っている。感想4も前向きな評価をしたつもりである。理由は、この取材と著作活動が、著者自身の人生の問題解決を目指して行なわれているので、種々多様な女性たちの生き様が取材されているが、内容の軸がぶれていないからだと思う。
48歳で妊娠・出産・育児への意志を持ち得ている著者には多少の驚きを覚えるが、「やはり(自分の人生の中で)自分の子供が欲しい」という願いは人間にとって本然的なものであるからこそ、ぶれることも無いし、羨みを隠すことも無いし、悲観し過ぎることもない。ありのままの思いが素直に表現されているのだ。
*「「子どものいない人生を、あなたはどう受け止めていますか?」という、最初の一言を切り出すのには、勇気と覚悟がいる。聞かれた側も、まずは引く。略。しかし、いったん語り出すと、饒舌になる女性は少なくなかった。略。「未産である」ことの語り合いを通じて、また新たな絆で結ばれたと実感することもたびたびあった。」194ページ
*むかしはDINKS(ディンクス;ダブル・インカム・ノー・キッズ)が、もてはやされたが、今は母でありつつ、仕事をバリバリこなし、週末を子どもと楽しむ女性が羨ましがられる。
*夫婦、特に女性が妊娠・出産を決意する要因に経済力・貧困が如何に大きい問題なのかがわかる。離婚して子どもを育てる母親の経済的苦労は並大抵ではない。
*SNSではシングルマザー関連のコミュニティが大盛況。
*女性にとって女性が味方とは限らない。特に未産、既産の間にはそれなりの溝がある。
*人工授精は健康保険が適用されず、全額が自己負担で、現在でも1回1万円から3万円程である。成功率は10%前後と言われ、しかも回を重ねるごとに下がっていくため、チャレンジは10回ほどが目安とされている。略。体外受精を行うには、30万円から50万円程かかる。市町村から助成金が出る場合もあるものの、最低でも10万円以上の出費は必要だ。事前に排卵誘発剤などの注射を受け、全身麻酔をして採卵をするため、卵巣に腫れなどが起きる。だからすぐには移植できず、卵子を凍結して待機することになる。凍結するのにも、レーザー線を当てるなどの加工をほどこすのにも、また費用がかかる。凍結卵を移植したあとも、着床しやすくするため黄体ホルモン等の投薬が必要だ。「人工授精ですら、こんなにクタクタなのに、体外受精なんて、とても無理でした。妊娠できたとしても、出産、育児と、突っ走っていくパワーは残っていないと思いました」53・54ページ。
*2010年、50歳男性の未婚率は19.4%である。これは、女性の「産める環境」の大きな侵害である。
*高齢の男性には「液への誤解」がある。つまり、射精できれば生殖能力があると勘違いしている。精液にも不妊につながる老化や精子の量・質の問題が生じていることが多い。
*「子どもを産めば一人ぼっちじゃなくなる?つまり子供を『1人』とカウントするわけですか? それは間違いです。子供は、一人前の人間じゃない。略。子育ては孤独ですよ。一人でいるときよりも、もっと深い孤独です」156ページ
*子どもを持てないことを深刻に思い詰めてると、気付かないが、子どもを持てば別の多くの苦しみがある。同時に「こいつらのためなら死ねる」という確かな存在を持つことにもなる。子供の有無を嘆くことも有って当然だが、比較の問題にはならない。
【目次】
第1章 私に子供がいない理由
第2章 思い切って聞いてみた
第3章 社会の変化にとまどう
第4章 男の「女性問題」
第5章 私でも育てられる?
第6章 未産予備軍の女たち
第7章 最初の一言
【帯文】:産んでいなくたっていいじゃない! 「結婚、妊娠、出産、育児」を巡る、女性たちの心の葛藤と人生の選択。
M58歳未婚「キャリアを重ねて、子どもを産まずにすんだことに誇りを感じています」/T52歳既婚「不育症で3回流産しました。今なら産めたかもしれないのがつらい」/F56歳既婚「人工授精8回失敗、体外受精の気力は尽きていました」/N41歳既婚「卵巣に問題。「私がなぜ?」と頭が真っ白になりました」/R48歳既婚「もっと積極的に不妊治療を受ければよかったのかなあ…」/T49歳未婚「お局様になって会社に居残ろうときめました」