もみさんの一日一冊遊書録( 2011年9月1日 スタート!: メメント・モリ ) ~たゆたえど沈まず~

年とともに人生はクロノロジー(年代記)からパースペクティブ(遠近法)になり、最後は一枚のピクチュア(絵)になる

123冊目  山崎豊子「運命の人(一)」(文芸春秋;2009) 評価4

2012年01月14日 05時46分56秒 | 一日一冊読書開始
1月13日(金):

251ページ  所要時間5:35

著者85歳で、この長編は驚嘆に値する。週末に読む本を図書館で探していて、「沖縄返還」問題を題材にしているのと、お手頃な厚みだけに魅かれて、4巻まとめ借りをした。

読む前に、ネットで下調べをしたところ、明後日15日(日)の夜から連続ドラマ化されているのを知ってびっくりした。本木雅弘さんと松たか子さんが主演である。二人とも好きな役者さんなので、ちょっと嬉しい偶然のめぐり合わせである。

内容は、「第3次佐藤内閣の1971年、日米間で結ばれた沖縄返還協定に際し、「アメリカが地権者に支払う土地現状復旧費用400万ドル(時価で約12億円)を日本政府がアメリカに秘密裏に支払う」密約が存在するとの情報を、毎日新聞の西山は、女性事務官に酒を飲ませて泥酔させた上で半ば強制的に肉体関係を結び、その関係を基に外務省極秘電文のコピーを盗み出させ、これを得た。略。

1972年、社会党の横路孝弘と楢崎弥之助が西山が提供した外務省極秘電文のコピーを手に国会で追及した。この事実は大きな反響を呼び、世論は日本政府を強く批判した。政府は外務省極秘電文コピーが本物であることを認めた上で密約を否定し、一方で情報源がどこかを内密に突き止めた。

佐藤首相は西山と女性事務官の不倫関係を掴むと、「ガーンと一発やってやるか」(3月29日)と一転して強気に出た。西山と女性事務官は外務省の機密文書を漏らしたとして、4月4日に国家公務員法(守秘義務)違反の疑いで逮捕、起訴された。」(以上、ウィキペディア「西山事件」の項)という沖縄密約事件(外務省機密漏洩事件)を基に小説化したものである。

「この事件の後、西山の所属した毎日新聞社は、本事件での西山のセックススキャンダル報道を理由とした不買運動により発行部数が減少し、全国紙の販売競争から脱落した。また、オイルショックによる広告収入減等もあり、1977年に一度倒産した。」(以上、ウィキペディア「西山事件」の項)


主人公は、毎朝新聞の傲慢な剛腕記者弓成亮太(西山太一)とされ、ほぼウィキペディアの記載に沿った形で話が展開されるが、第一巻の段階では、肩は凝らないが、いま一つ面白いとも思えない。沖縄返還時の日米両政府間の密約を第4の権力・新聞(マスコミ)が暴露したという物語ではなく、虎の尾を踏んで、国家権力の逆鱗に触れたところから本当の物語は始まるのだろう。第一巻の終わりは、警視庁に任意出頭した弓成記者が、取調室で逮捕令状を読み上げられるシーンで終わった。
"
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« アーカイブ 2008年1月・2月... | トップ | 124冊目 山崎豊子「運命の人... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

一日一冊読書開始」カテゴリの最新記事