もみさんの一日一冊遊書録( 2011年9月1日 スタート!: メメント・モリ ) ~たゆたえど沈まず~

年とともに人生はクロノロジー(年代記)からパースペクティブ(遠近法)になり、最後は一枚のピクチュア(絵)になる

4 042 中野信子「努力不要論」(フォレスト出版:2014) 感想2-

2015年02月07日 00時48分48秒 | 一日一冊読書開始
2月6日(金):

229ページ 所要時間 1:10   図書館

著者39歳(1975生まれ)。脳科学者、医学博士。

 1ページ15秒読みの縁結び読書。久しぶりに、感想2-という低評価の本に出会った。実がない。って言うか、身も蓋も無い内容の本である。ダメだーこりゃ!

 本気で「努力するのは、ほとんど報われないから無駄なので、やめた方がよい」と述べてるだけの内容。しかも、格差社会の問題などの認識が甘く、社会構造の問題を、個々人の思い込みであると言いくるめる考え方に、世の中を良い方に切り開き、牽引する意識がまったく読みとれない。4カ所ほどでそれらしい統計資料や、科学医療用語を持ち出してもっともらしさを演出するが、ほとんど内容がない。説得力も無い。「努力は無駄だからやめて、目の前の幸せを大事にしなさい」と言われて、「それじゃどうすりゃいいのよ?」

 著者の履歴、肩書きから懸け離れた空疎な本?らしき物にすぎない。

 そもそもが茂木健一郎をはじめとして、俺は「脳科学者」というのが信用できない。本書を手にしたのも、BSプレミアムの歴史番組「英雄たちの選択」のコメンテーターに専門家でもないのに著者が出演している「違和感を拭えるかもしれない」という思いからだったが、こんな空疎な内容しかない本を出す人間と分かって、ますます違和感が強くなった。

 「私は、実家が年収200万円を切るような時期も相当ありましたから、貧困層といって差し支えないほど貧乏な家庭の出ですが、奨学金制度や特待制度を利用して大学院まで行けました」って部分だけ、少し共感できたが、そこから導き出されるのが、日本格差社会は世界的に見ればましであり、考え方を切り替えればよい、というのでは何の問題提議にも、何の解決にもならない。

目次: はじめに――見返りを求めずに努力できるか? / プロローグ 「努力すれば報われる」は本当か? / 第1章 努力は人間をダメにする / 第2章 そもそも日本人にとって努力とは何か? / 第3章 努力が報われないのは社会のせい? / 第4章 才能の不都合な真実 / 第5章 あなたの才能の見つけ方 / 第6章 意志力は夢を叶える原動力 / エピローグ 努力をしない努力をしよう! / あとがき――なぜ、ある助産師はマタニティマークをつけることに反対したのか?

*1998年東京大学工学部応用化学科卒業後、同大学院工学系研究科を経て、2004年東京大学大学院医学系研究科医科学専攻修士課程修了。2008年東京大学大学院医学系研究科脳神経医学専攻博士課程修了、「高次聴覚認知における知覚的範疇化の神経機構 fMRI・TMSによる複合的検討」で医学博士[1]。2008年から2010年まで、フランス国立研究所でニューロスピン(NeuroSpin。高磁場MRI研究センター)の博士研究員として勤務。2013年から東日本国際大学客員教授、横浜市立大学客員准教授。株式会社ビッグベン所属。(ウィキペディア)
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