1月22日(火):
4280円!
1月8日夜、アマゾンで大河ドラマ「利家とまつ〜加賀百万石物語〜」(2002)全49話DVDの台湾からの逆輸入版(音声:日本語 / 字幕:中国語)を超破格の新品4280円!で見つけた。膝を打って即注文を出した。翌日、早々に届き、それからは連日「利家と松」三昧だった。そして本日、めでたく全49話を見終わった。
感想は、「十分満足した。楽しかった!」に尽きる。やはり視覚、聴覚で脳に焼き付けられたイメージは強力だ。そして、最近のハズレ大河とは違って、本作はキャストの俳優陣が実に、非常に良かった。切れっ切れの名演技につい心がほだされて見続けてしまった。
佐々成政、前田慶次郎、山上宗二など、今まで断片的にしか知らなかった人物をはじめ、当時の戦国武将たちの人間関係の機微が、松(前田利家妻)、おね(豊臣秀吉妻)、はる(佐々成政妻)ら女性側から描き出されているのでわかりやすかった。
女性の立場から映されたちょっと甘たるい<戦国のホームドラマ>みたいな印象を受ける時もあったが、俺には新鮮さの方が勝った気がする。通常の内助の功も含めて、戦国時代の女性が果たした役割・存在の大きさを改めて知ることができた。最終回、利家の死後、関ケ原の戦いを前にして、前田の松(芳春院)が自ら江戸に人質として向かったことが、その後の前田家を救い、120万石の大大名たらしめたことは間違いないのだ。
また、賤ケ岳の敗戦後、利家が籠もる越前府中城に秀吉が大胆にも単騎で乗り込み、それを利家の妻松が味噌汁で迎える。「豪姫の母上殿」と秀吉が呼びかけ、松が微笑みつつ来訪への感謝を述べる。そこに利家が現れ、「おやじさま(柴田勝家)を討つのは、自分でなくてはならない」と秀吉に先陣を申し出るシーンなどは、圧巻であった。語り尽くされた感のある信長、秀吉の時代の物語りだが、本作品はなかなか味わい深かった。百姓上がりで家柄のない、譜代の家臣のいない<成り上がりの天下人>の秀吉にとって、前田利家がどれほど得難い親友・知己であったのか。
秀吉の後を追うように亡くなった前田利家が、詮無き想像ではあるが、あと5年元気で生きていれば、家康側に付いた加藤清正、福島正則、黒田長政ら豊臣恩顧の大名の多くが前田利家への人望で反家康で結束した可能性は十分にあっただろう。少なくとも豊臣恩顧の諸大名の無様な分裂を避けることはできたであろうことを考えるなら、徳川の天下も危うく、豊臣氏の天下維持も十分に考えられた。もし、利家が10年元気で生きていれば、家康は老い、秀頼は元服、成人する。大坂の陣も視野に入れて、さて天下の帰趨はどうなっただろう。徳川の天下も、必ずしも既定の路線という訳ではなかった。
利家の死後、松(芳春院)が自主的に江戸に人質として向かい、関ヶ原で前田利長が徳川方に付いたことは、徳川家康にとって確かに合掌したいような有難さの極致であっただろう。その後、利長が江戸へ参勤をして諸大名に範を垂れて参勤交代制が始まることを思い合せれば、徳川政権下で前田家が加賀・能登・越中120万石もむべなるかなである。
こうして話の内容をあれこれ思い出し始めると、見ごたえのある名シーンが次々と浮かんでくるので切りがない。ここらで終わるが、歴代大河ドラマの中でもかなり出来の良い作品だったと思う。