9月16日(日):
二段組276ページ 所要時間8:35 図書館リサイクル本
著者52歳(1923~1996:72歳)
今日一日で一冊を読み切ったが、所要時間8:35に少し呆然としている。「そんなにかかったのか・・・」。意味は二つ、「一冊にこんなに時間をかけていては話にならん。」と、「時間をあまり意識せずに読み切れたのはやっぱり司馬さんの力である。」ということ。
一方で、振り返ってみて、読んだ内容をぼーっとしか思い出せない。司馬さんの下調べ、調査能力のすさまじさは記憶に残っている。司馬さんの著作のすごさは会話文などは極力少なく、時代背景や人物紹介の細やかさ、たくさんのトリビアな知識などが物語りの中でが展開されていく。その中で、深い思慮分別が説教臭くなくさまざまに示される。司馬さんの精神性のすがすがしさも、人物への嫌悪感も自然に伝わってくる。
下巻では、三木城落城後の、城主逃亡後の御着の無様さ、秀吉の本軍2万人+宇喜田軍1万人の計3万人での本格的毛利攻め、備中高松城水攻めの様子、信長の影に怯え苦しむ毛利、清水宗治の潔さを持て余す毛利、安国寺恵瓊の動き、中国大返し、山崎合戦での明智光秀討滅(本能寺の変から11日後!)までで、事実上本編は終わった。大河ドラマ「軍師官兵衛」では、全50話中の第30話「中国大返し」までであり、残り20話分、すなわち豊臣政権と関ヶ原での官兵衛の存在は本編では書かれていない。
そのあと残り22ページを使って、駆け足でその後の秀吉政権成立、無謀な朝鮮侵略、秀吉の死、豊臣政権の亀裂に便乗する徳川家康、関ヶ原の戦いと同時に官兵衛が九州制圧を目指して挙兵、関ケ原の戦いが半日で決着がついたのを知り、あっさりと撤収する、までが非常に読みやすくまとめられていた。
・備中高松城の水攻めでは、堰堤を作ることよりも、本当に難しかったのは足守川の流れをせき止めて変える工事だった。
・印象に残った魅力的人物は、小早川隆景と清水宗治。
・小早川隆景が、安国寺恵瓊を危険視していたのは知らなかった。
・関ヶ原の戦いを前にした黒田長政の徳川方に立った政治工作は官兵衛の指示であったのも知らなかった。
【目次】野火/山陽道/備中の山/備中高松城/安国寺殿/変報/東へ/尼ヶ崎/遠い煙/如水/あとがき