9月10日(月):
二段組295ページ 所要時間8:00 図書館リサイクル本
著者52歳(1923~1996:72歳)
何度目だろう、NHK大河「軍師官兵衛 全50回」(2014)の録画にはまり続けている。先日、最終回まで観終わって、大満足したはずが、再び始めから見直し始めてる始末。そんな中で、手元にあったあまりきれいとは言えない43年前のリサイクル本を手にした。読み始めると意外と読みやすい。大河の映像があるので、登場人物たちの姿や光景が重なって見えて意外と読みやすい。何よりも司馬さんの本である。どうやってこんなに克明に当時の状況や人物について書けるのかと思えるほど読み買いがある。
黒田官兵衛の曽祖父の滋賀県北部黒田郷からの流浪に始まり、姫路に流れ着き、貧困の中にあって祖父重隆が学識人柄の良さを見込まれ、目薬屋をはじめる。父職隆(もとたか)の代で御着の大名小寺政職のもと家老職に就く。20歳で父から家と家老職を継ぐところから書き始める。
若き官兵衛が、京を中心に各地を回り見分を広げ、世の変化をじかに感じとる。京の繁華、ジェスイット会の宣教師の教えとそれをめぐる人々の姿、やがて信長の存在が田舎の播磨にまで聞こえてくると、官兵衛は毛利に付こうとする流れの強い播磨にあって織田に付くことを進めて孤軍奮闘する。
多くの戦国大名たちが登場し、当時の情勢とともに掌を指すように説明が加えられて行く。昔、聞いたり、読んだりしたことのあるエピソードが分かりやすく思い出される。それらがすごく心地よい。
大河ドラマ「軍師官兵衛」とは、内容が微妙にずれながら(例えば官兵衛が洗礼を受けてキリシタンになった時期など)、それほど気にならない。むしろそれはそれで互いに補完するような関係で双方の物語りに膨らみが出て悪くない。
官兵衛の人柄の特異性には魅かれるものがある。竹中半兵衛や信長、秀吉も魅力的に書かれている。やっぱり司馬さんの作品はすごい。
そういえば、三家老の内で栗山善助は出てきたが、井上九郎右衛門、母里太兵衛の二人が出てきていない。秀吉は、すでに播磨に進駐してきたのだが・・・
【目次】流離/播州/広峰/夏の雲/姫路村/彩雲/若き日日/青い小袖/潮の流れ/白南風/信長/英賀の浦/野装束/播州騒然/半兵衛