アナーキー小池の反体制日記

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#34 くす玉割

2007年04月28日 | 勤め人時代
仕事柄、建設工事の完成式典に何度か携わっています。
おおむね、大過なく終了していますが、ボクの場合、くす玉割で大失敗しました。

昭和60年頃でしょうか。
鉄道の下を車が通れるようにする隧道工事が完成し、現地でその祝典が盛大に行われました。

ボクはくす玉の担当です。
当時はくす玉も手作りで、プラスチックのザルを2ヶ合わせて球形にし、中に紙フブキや垂れ幕を入れ、外側に色の付いたチリ紙で作った花を飾り付けるというものでした。

2週間も前から準備し、2度も3度も練習して、完璧なことを確認し、当日にのぞみました。

11月末か12月始めだったのだと思います。
雪混じりの強風が吹いている中、現場にようやくくす玉をセットし、まもなく式典が始まりました。

エライ人の挨拶とか工事報告とか退屈なものを終え、クライマックスを迎えます。
花火があがり、同時にくす玉割です。
司会者が「それではお願いします。」と声をかけると、両サイドのヒモを地元町内のおばさん2人が引くのです。

しかし、割れません。
ボクはこのとき、ようやく気がついたのです。
あんまり風が強いものだから、くす玉の2つのザルに針金で鍵をかけていたんです。
当然、式の直前には針金をはずすつもりが、忘れちゃったんです。

司会者は言います。
「もう一度、力を入れて引いてください。イッチ、ニーのサン!」
2人のおばさんは渾身の力を込めたのでしょう。
ヒモが途中で切れて、2人のおばさんは反動でひっくり返ってしまいました。

司会者は言いました。
「この吹雪で、くす玉が凍り付きました。今からはしごをかけてなんとか割ります。」

ボクは同僚とハシゴを持って駆けつけ、上に登って針金のカギを解き、ようやく開いたのです。
「祝開通」の垂れ幕が下がり、紙シブキが舞うと、それでも、お愛想の拍手がパラパラと聞こえました。

大失敗でした。
司会をしていた上司の機転に、ちょっとだけ救われました。

それから何年か後、他の完成式典で同じような光景を目にしました。
その時のボクは、手伝いで、少し離れていたところから見ていたのですが、やはりクライマックスのくす玉割で、「ヒモを引いてください」の合図でヒモをひっぱったら、くす玉そのものが割れずに地面に落ちてしまいました。

そうです。
くす玉って、とっても難しいものなんです。

ボクはこの頃、職場や家庭でポカをしては同僚や妻子に「ボケがきている」と言われ気にしているんですが、昔のこんな大ポカを思い出すと、「なーんだ、昔とちっとも変わらないぞ」と、ちょっと安心してしまうのは楽天的に過ぎるのでしょうか。

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