ビルオーナー氏のところに行きました。
オーナー氏は「本来こちらから出向くべきなんだけど、過去にいろいろあって役所に行きにくいのです。来ていただいて申し訳ない」と言います。
さっそく簡単に今回の用途地域の変更の内容と、手続きの経緯を知らせました。
オーナー氏は、「私は駅近辺のビル以外にも不動産を所有している。その不動産の一つ(建物)が今回の用途地域変更により、用途不適格となる。この後どんな扱いになるのか?」と詰問します。
ボクは、「今の建物はそのまま使える。建物の最小限の改修は可能だが、新たな建て直しはできない」と伝え、言い訳がましく地域ごとの説明会を開催し、都市計画審議会に諮り了承を得ていることを告げたのでした。(都市計画審議会とは法定のモノですが、行政のアリバイつくりのための名ばかり審議会の一種です)
何度か言葉での応酬がありました。
そうして、渋々だけど理解を得られた、と感じ職場に戻ったのです。
彼からはその後一切、このことに触れたことは言われませんでした。
・・・
その半年後ぐらいでしたでしょうか?、今度は父親のほうのコンクリート会社会長が職場に来てボクを指名するのです。
呼ばれたので行ってみると、随分と年老いたコンクリート会社の元社長がいます。
「昔 相談にあがった者なんだけど、もらった名刺を頼りに来た。またお話を聞きたい」と会長名の名刺をボクに差し出します。
ボクは「以前のことは存じています。ボクはタマタマその時とおんなじ職にいます」と応えました。
何か言いづらそうな表情だったのでボクは「別室でお伺いしましょうか?」と言葉を向けると、会長は「そう願います」といいます。
会議室で二人だけになりました。
会長は背広の胸ポケットから手紙を出してボクに「読んでください」と渡しました。
宛名は会長名で差出人はあのビルオーナー氏です。
息子から父への手紙でした。
便箋数枚の分厚い手紙です。
手紙の内容は、例の用途変更による用途不適格となった建物について、父親を批判するものでした。
その建物は父親が会長を勤めるコンクリート会社に近接しているのです。
手紙は、その建物が用途不適格となるのを知っていながらなぜ知らせてくれなかったのか?なぜ説明会で市にそこのところの指摘をしなかったのか?、を繰り返し記していました。
ボクは会長に「今回の用途地域変更の説明会の開催は地域ごとに分かれてはいるけど、全体の区域を表示し、市内の不動産所有者には住んでいるところに係わりなく参加できたはずで、そこのところは市広報誌に記載されている」と、言い訳がましく言いました。
そして「息子さんが言っているような、お父さんの責任は無いはずです。息子さんにはこちらから説明して理解してもらったと思っていたのですが・・・」と余計なことを言いました。
会長は「わかりました。お手数をおかけして申し訳ありません」と言うのです。
その後30分ぐらいでしょうか?、会長は彼と彼の息子のことについて語り続けたのです。
そして「愚痴(グチ)を言ってしまったようだ。聞いてくれてありがとう」と言って帰っていきました。
もう随分ご高齢だったのだけど・・・その帰る後姿を見てボクは涙が出そうになりました。
彼にとって、息子はいつまでたっても愛する息子なんです。
そんな切ない親心を目の当たりにして、ボクも切ない思いに駆られたのでした。
駅前再開発事業に関する、ボクが職場で出会った理不尽な出来事、を記しているつもりがつい感傷的なものになりました。
再開発事業の件は本当にお終いですが、”ボクが職場で出会った理不尽な出来事”シリーズはコーヒーブレークを挟んで再開します。
オーナー氏は「本来こちらから出向くべきなんだけど、過去にいろいろあって役所に行きにくいのです。来ていただいて申し訳ない」と言います。
さっそく簡単に今回の用途地域の変更の内容と、手続きの経緯を知らせました。
オーナー氏は、「私は駅近辺のビル以外にも不動産を所有している。その不動産の一つ(建物)が今回の用途地域変更により、用途不適格となる。この後どんな扱いになるのか?」と詰問します。
ボクは、「今の建物はそのまま使える。建物の最小限の改修は可能だが、新たな建て直しはできない」と伝え、言い訳がましく地域ごとの説明会を開催し、都市計画審議会に諮り了承を得ていることを告げたのでした。(都市計画審議会とは法定のモノですが、行政のアリバイつくりのための名ばかり審議会の一種です)
何度か言葉での応酬がありました。
そうして、渋々だけど理解を得られた、と感じ職場に戻ったのです。
彼からはその後一切、このことに触れたことは言われませんでした。
・・・
その半年後ぐらいでしたでしょうか?、今度は父親のほうのコンクリート会社会長が職場に来てボクを指名するのです。
呼ばれたので行ってみると、随分と年老いたコンクリート会社の元社長がいます。
「昔 相談にあがった者なんだけど、もらった名刺を頼りに来た。またお話を聞きたい」と会長名の名刺をボクに差し出します。
ボクは「以前のことは存じています。ボクはタマタマその時とおんなじ職にいます」と応えました。
何か言いづらそうな表情だったのでボクは「別室でお伺いしましょうか?」と言葉を向けると、会長は「そう願います」といいます。
会議室で二人だけになりました。
会長は背広の胸ポケットから手紙を出してボクに「読んでください」と渡しました。
宛名は会長名で差出人はあのビルオーナー氏です。
息子から父への手紙でした。
便箋数枚の分厚い手紙です。
手紙の内容は、例の用途変更による用途不適格となった建物について、父親を批判するものでした。
その建物は父親が会長を勤めるコンクリート会社に近接しているのです。
手紙は、その建物が用途不適格となるのを知っていながらなぜ知らせてくれなかったのか?なぜ説明会で市にそこのところの指摘をしなかったのか?、を繰り返し記していました。
ボクは会長に「今回の用途地域変更の説明会の開催は地域ごとに分かれてはいるけど、全体の区域を表示し、市内の不動産所有者には住んでいるところに係わりなく参加できたはずで、そこのところは市広報誌に記載されている」と、言い訳がましく言いました。
そして「息子さんが言っているような、お父さんの責任は無いはずです。息子さんにはこちらから説明して理解してもらったと思っていたのですが・・・」と余計なことを言いました。
会長は「わかりました。お手数をおかけして申し訳ありません」と言うのです。
その後30分ぐらいでしょうか?、会長は彼と彼の息子のことについて語り続けたのです。
そして「愚痴(グチ)を言ってしまったようだ。聞いてくれてありがとう」と言って帰っていきました。
もう随分ご高齢だったのだけど・・・その帰る後姿を見てボクは涙が出そうになりました。
彼にとって、息子はいつまでたっても愛する息子なんです。
そんな切ない親心を目の当たりにして、ボクも切ない思いに駆られたのでした。
駅前再開発事業に関する、ボクが職場で出会った理不尽な出来事、を記しているつもりがつい感傷的なものになりました。
再開発事業の件は本当にお終いですが、”ボクが職場で出会った理不尽な出来事”シリーズはコーヒーブレークを挟んで再開します。