所属: 科学技術振興事業団 創造科学技術推進事業
報告概要 成体ラットから採取した肝細胞の増殖に最適な培養条件を探した。その結果,増殖能が高い小型肝細胞をウシ胎児血清,表皮成長因子、ニコチンアミド,活性持続型ビタミンC,ジメチルスルホキシド含んだ培養液中でSwiss3T3細胞と共培養すると,小型肝細胞がコロニーを形成しながら増殖することが分かった(図1)。また,この共培養では小型肝細胞のみならず肝実質細胞においても増殖・コロニー形成が起こった。
肝実質細胞の培養において,3T3細胞の培養上清を上記培地に加えると,Swiss3T3細胞と共培養したときの培養初期と同程度の増殖効果が見られた。3T3細胞培養上清中より肝細胞増殖促進因子を精製し,アミノ酸配列分析したところ,発生の時期特異的に強く発現する増殖関連因子のプレオトロフィンが同定された(図2)。3T3細胞のつくるプレオトロフィンが,肝細胞と3T3細胞の共培養系での主要な肝細胞増殖促進因子であることを示唆した。 J-Store >> 研究報告コード R990003839