チェ ダブルパック (「28歳の革命」&「39歳別れの手紙」) [DVD]NIKKATSU CORPORATION(NK)(D)このアイテムの詳細を見る |
「チェ28歳の革命」「チェ39歳別れの手紙」
チェ 28歳の革命
CHE: PART ONE THE ARGENTINE
2008アメリカ/フランス/スペイン
監督:スティーヴン・ソダーバーグ
脚本:ピーター・バックマン
撮影:ピーター・アンドリュース
出演:ベニチオ・デル・トロ、デミアン・ビチル 他
チェ 39歳 別れの手紙(2008)
CHE: PART TWO GUERRILLA
2008フランス/スペイン
監督:スティーヴン・ソダーバーグ
脚本:ピーター・バックマン
撮影:ピーター・アンドリュース
出演:ベニチオ・デル・トロ、デミアン・ビチル 他
二本続けて観たです。
で、例によって1本目はすやすや寝てしまってほとんどまともに思い出せず;;
そのかいあって?39歳のほうは全く眠らなかった。
全く眠らなかった映画劇場鑑賞は久しぶりで大変ありがたいことだ(笑)
(多分「ダイアリー・オブ・ザ・デッド」以来)
ソダーバーグはほとんど観ていないのだが、彼は「セックスと嘘とビデオテープ」「ソラリス」の2本で見事なまでにワタシに苦手意識を叩き込んだ強者です。
なので今回も怖いもの観たさに、題材に惹かれていったわけです。
しかし肝心のキューバ革命の顛末をほぼ寝てしまい、後半のボリビア挫折記のほうをしっかり観てしまったので、なにやらうら悲しい印象のみ残る鑑賞でした。
主に『39歳~』について語ると・・・
描きっぷりは、挫折記という類似性もあって、『実録/あさま山荘への道程』と比べずにはいられませんでした。
どちらも、外からの視点は極力排除し、実際に当事者には何が起こっていたのか?を淡々と描こうという姿勢を持っている点で共通したものがありました。
しかし、こうして比べてみると、『実録~』のほうは、冷徹な視線というものを装って、実は登場人物たちに深いシンパシーを寄せていた作品であったということがよくわかりました。『39歳~』のほうは、英雄ゲバラが支援も共感も得られずただ失敗していく様を、本当に無機的に描いたという点では、偶像破壊的な力すら持っていたように思えます。
これもひとえに、絵面的にはただただジャングルの木や草をかき分け進み、時折いきなり銃撃戦が始まる、それの繰り返しに終始するという、いわば映画的創意工夫のなさ(笑)が、意外にもゲバラへの覚めた視線というものを確立するのに貢献したものでしょう。
怪我の巧妙というヤツです(笑)
この冷徹な無味乾燥な絵面によって、ゲバラの失敗の本質が上手いことあらわになっていたのではないでしょうか。かつ、ゲバラの思いもよく伝わったのではないでしょうか。成功や挫折の物語に酔うのではなく、成功や挫折の伝説の中で人は実際はどのようであるのか、という説話を越えた地点から、ゲバラという人物に、たまたま偶然に?するっと迫ることができちゃった、という印象です。
ソダーバーグの持つ不思議な映画作法(ex.なにを基準に編集しているのかよくわからない、などなど(笑))によって、ワタシはかえって『39歳~』を好意的に受け取ってしまったということになるでしょう。
いや~映画ってのは観てみないとわからんもんだなあ。。。
ラストの数十秒のカットは、おそらく『28歳~』を覚えていないせいで全く意味不明だったが、その前の・・・・・なカットは、唐突に訪れた最期の意味をよく伝えて秀逸だったと思いますし。
*****
それから、ボリビアというのが、ワタシの経験的には「希望果てる地」として刷り込まれていて、それもこの物悲しさという印象に一役買っているのだろうと思います。
ボリビアという地のことを初めて意識したのは、ジョージ・ロイ・ヒル『明日に向って撃て!』でブッチとサンダンスが最後にたどりつくのがボリビアだったということによります。
あの映画ではまさにボリビアは夢の終焉の地としての特徴を備えた土地として描かれます。貧しい農村、寂びれた街、せこい銀行、ろくでもない警察、そしてむやみに強い軍隊。
この印象は『39歳~』でも変わることがなく、むしろさらに現実味を増して描かれます。
それから、ガルシア=マルケスの小説『迷宮の将軍』の主人公、シモン・ボリバルが、コロンビアで統一を成し遂げたあと、南米北部の統一を夢見て成し遂げられなかった地もまたボリビアであったと思います。ボリビアの名称はボリバルから撮られているのは周知のことです。
『明日に向かって~』もボリバルも、そして『39歳~』も、いずれもボリビアの地にやってきた外国人の挫折、というテーマで括ることが出来ます。ボリビアに限定する必要はないかもしれませんが、流浪の末の挫折、というものには、妙に惹かれるものがありますね。
****
さらに付け加えると、今公開中の『007/慰めの報酬』では、どうやらボンドが赴く地がボリビアだということらしいじゃないですか!ボンドが挫折するとは思えませんが、時ならず共鳴しているこのボリビアの響きに導かれ、ぜひとも『007~』も観てみたいところです。前作も観たことだしね。
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↑なにとぞぼちっとオネガイします。
そうか、ブッチ・キャシディと
サンダンス・キッドが
命を散らしたのもボリビア。
いまゾクッとしました。
コメントありがとうございます
共鳴してくださいましたね!ボリビア
ブッチとサンダンスの史実はもっと前の時代ですが、あの映画は確か69年。ゲバラの死は67年ですから、映画企画時にゲバラのことが制作者たちの胸をよぎったかどうか・・ロマンティックな想像ですがね。
私も違うポイントで、何度か『実録/あさま山荘への道程』を思い出しましたよ。
あちらは、ヘンな女が上の立場にいたのが大きな問題だったなぁって。
あの人たちに比べたら、チェは何て素晴らしいリーダー気質をもっていたのでしょうって。
いや、ボリビアに散る、これはおおいに関係ありますよ。こうなると一大映画ジャンル(笑)
あさま山荘ね~
でもチェほどの気高い人はそういませんよね。周りを見渡しても(笑)
連赤はもう民衆の支持とかそういう次元ではなかったですしね。