バベル
2006アメリカ
監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
脚本:ギジェルモ・アリアガ
音楽:グスターボ・サンタオラヤ
出演:ブラッド・ピット(リチャード)ケイト・ブランシェット(スーザン)ガエル・ガルシア・ベルナル(サンチャゴ)アドリアナ・バラーザ(アメリア)エル・ファニング(デビー)ネイサン・ギャンブル(マイク)役所広司(ヤスジロー)菊地凛子(チエコ)
うまく説明できないけれど、観ていて早く家に帰りたいと思ったよ。子供をうっちゃって高い金払ってこんなところで映画を観ている自分はアホなんじゃないか?家で子供のためにメシを作ってやるほうがなんぼかましやないんか?
そりゃそのとおりか
**
「バベル」と銘打つわけだから、コミュニケーションの断絶が大きなテーマなんだろうし、それは痛いほど伝わった。(痛くて涙が出たよ)
けれど、わたしにはそれとは別に「喪失とそれを生きる家族の物語」にも見えたな。自分が家族持ちだからかな。
ここには3つ(あるいは4つ)の家族が登場するが、それぞれなにかを、既に喪失してその中を生きている、あるいは今喪失してこれからその中を生きていかなくてはならない。
その喪失は、子供であったり、妻であったり、母であったり、あるいは自分自身であったりするけれども、いずれも残された者は深い傷と悲しみとともに生きてゆかなくてはならない。
しかもその深さと悲しさは、結局の所大概は自分たちの愚かしい行動に由来するもので、またその愚かさは自分たちの属する社会~世界の持つ有形無形の歪みと関わっている。そこがなんともやりきれない。
無邪気に銃を撃ってみる子供も愚かなら、子供が死んだのを母親のせいにする男も愚か。国境で偏見丸出しの警備員に切れてアクセル全開にする奴も愚かなら、今の日本でハンティングを趣味にするエリートも愚か。新宿でパンツ脱ぐ女子高生も愚か。
でもその愚かさはいまや世界中に疫病のようにうずまいていて、誰も彼もが無縁に賢くはありえないということは間違いなく、間違いないことを間違いないと言ってしまうこの映画はある意味非の打ち所がなく、逃げ場がない。今はみな愚かさと喪失に耐えて生きなければならないのだ。世界中が。
***
なわけで、すごく賛否のわかれそうな映画~
わたしはどっちだ?
基本的には人間ってこうだぞ!とか正面切って言われるのは苦手なので、普通なら辟易してしまうところ。
だけどもしそういう人間像にマジに直面する生涯をおくりつつある人間がいて、彼(彼女)が「人間ってこうなんだ!」と言うこと自体はまったく否定できないと思う。
だから賛か否かと言われたらまあ賛成票をいれましょう。
モロッコチームのカメラ・・・貧しい生活の雰囲気にあったハンディカム風でしたね~・・・というのはいかにも映像による恣意とその隠蔽なのかもしれないな(こういう演出はあまり好きじゃない(汗))
菊地凛子のチエコは、傷と悲しみが性的リビドーと不可分になってしまっている危うい存在で、あらゆるハザードが精神的/内的な問題に収斂してしまうのが今の日本での個人のありかただということを描いたという点では、ちゃんと評価をする必要があるだろう。某賞ノミネートうんぬんとは別にね。
で話題になった1時間20分ころのあのシーンは、確かに強烈なので、これから観る人は要注意。でもあのシーンは、チエコがこんなコミュニケーションは嘘だ!と自覚する重要なシーンで、観る方もそれなりの覚悟をして観るべきだから、気分が悪くなろうとも直視してあげなければいけない!(あ、いや、嘘、やっぱり適当に目をつぶった方がいいです(笑))
ケイト・ブランシェットは、今回は常に死にそうな状態の演技だったけど、よかったなあ。ほんとに死にそうだったよ。
ダコタ・ファニング似のかわいい女の子だなあと思ったら、エル・ファニング、ダコタの妹さんでした。そっくりだな。ステージママとかいるのかな。
******
さてと、
今回は新宿に出来た某バ●ト9というシネコン初体験でした。
シネコンってどうも生理的に好きじゃなくてね。
あの全席座席指定ってのも好きじゃないし、コナンとハンニバル・ライジングのチケットを買う人が同じ所に並ぶってのもやだし、並ぶ所がジグザグに仕切ってあるのもディ○ニーランド観たいでやだな~
あとあのエレベータ。待ちが長いしめちゃくちゃ混むし;;
なんかさ、映画を見ることへの虚勢だけどもなんとか肩肘張った主体性、みたいなモノが、おしきせの箱のなかに入れられてへなへなと萎えちゃうような気がするのね。
今回はそのせいもあって、冒頭の早く家に帰りたいになっちゃったんじゃないかなあ。
で、「バベル」観終わって、パンフに使用音楽の情報が載ってたら買おうかなと思って、売り場のおねえさんに「パンフをちょっと見せてもらえますか?」と頼んだら、「見本はおいておりませんのでお見せ出来ません」とか冷たい顔でいわれちゃったよ。
いまどき、消費者は商品買うのに、その内容をちゃんと吟味してから買うっちゅ~の。中身の確認できない映画パンフなんて、そんな危ないもん買えますか?
ムカッ!
ときて「じゃいいですっ」と冷たくいって帰ってきたけど、まああのおねえさんには罪はないのかもしれないな。
これに懲りてバル○9には極力行かないことでしょう。
(そもそも表記するなら「ヴァルト」じゃないんかな??)
で、終映後すぐに家に電話したわたしです。
↑なんかけっこうすごい組み合わせかも
アース・ウインド&ファイアーとデヴィッド・シルヴィアンが同じ盤にいるなんて!!
【追記】
格の違いをありありと知るブログ&サイトを発見。
革命の日の朝の屑拾い日記:バベル
好き度:
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↑ぼちっとオネガイします。
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2006アメリカ
監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
脚本:ギジェルモ・アリアガ
音楽:グスターボ・サンタオラヤ
出演:ブラッド・ピット(リチャード)ケイト・ブランシェット(スーザン)ガエル・ガルシア・ベルナル(サンチャゴ)アドリアナ・バラーザ(アメリア)エル・ファニング(デビー)ネイサン・ギャンブル(マイク)役所広司(ヤスジロー)菊地凛子(チエコ)
うまく説明できないけれど、観ていて早く家に帰りたいと思ったよ。子供をうっちゃって高い金払ってこんなところで映画を観ている自分はアホなんじゃないか?家で子供のためにメシを作ってやるほうがなんぼかましやないんか?
そりゃそのとおりか
**
「バベル」と銘打つわけだから、コミュニケーションの断絶が大きなテーマなんだろうし、それは痛いほど伝わった。(痛くて涙が出たよ)
けれど、わたしにはそれとは別に「喪失とそれを生きる家族の物語」にも見えたな。自分が家族持ちだからかな。
ここには3つ(あるいは4つ)の家族が登場するが、それぞれなにかを、既に喪失してその中を生きている、あるいは今喪失してこれからその中を生きていかなくてはならない。
その喪失は、子供であったり、妻であったり、母であったり、あるいは自分自身であったりするけれども、いずれも残された者は深い傷と悲しみとともに生きてゆかなくてはならない。
しかもその深さと悲しさは、結局の所大概は自分たちの愚かしい行動に由来するもので、またその愚かさは自分たちの属する社会~世界の持つ有形無形の歪みと関わっている。そこがなんともやりきれない。
無邪気に銃を撃ってみる子供も愚かなら、子供が死んだのを母親のせいにする男も愚か。国境で偏見丸出しの警備員に切れてアクセル全開にする奴も愚かなら、今の日本でハンティングを趣味にするエリートも愚か。新宿でパンツ脱ぐ女子高生も愚か。
でもその愚かさはいまや世界中に疫病のようにうずまいていて、誰も彼もが無縁に賢くはありえないということは間違いなく、間違いないことを間違いないと言ってしまうこの映画はある意味非の打ち所がなく、逃げ場がない。今はみな愚かさと喪失に耐えて生きなければならないのだ。世界中が。
***
なわけで、すごく賛否のわかれそうな映画~
わたしはどっちだ?
基本的には人間ってこうだぞ!とか正面切って言われるのは苦手なので、普通なら辟易してしまうところ。
だけどもしそういう人間像にマジに直面する生涯をおくりつつある人間がいて、彼(彼女)が「人間ってこうなんだ!」と言うこと自体はまったく否定できないと思う。
だから賛か否かと言われたらまあ賛成票をいれましょう。
モロッコチームのカメラ・・・貧しい生活の雰囲気にあったハンディカム風でしたね~・・・というのはいかにも映像による恣意とその隠蔽なのかもしれないな(こういう演出はあまり好きじゃない(汗))
菊地凛子のチエコは、傷と悲しみが性的リビドーと不可分になってしまっている危うい存在で、あらゆるハザードが精神的/内的な問題に収斂してしまうのが今の日本での個人のありかただということを描いたという点では、ちゃんと評価をする必要があるだろう。某賞ノミネートうんぬんとは別にね。
で話題になった1時間20分ころのあのシーンは、確かに強烈なので、これから観る人は要注意。でもあのシーンは、チエコがこんなコミュニケーションは嘘だ!と自覚する重要なシーンで、観る方もそれなりの覚悟をして観るべきだから、気分が悪くなろうとも直視してあげなければいけない!(あ、いや、嘘、やっぱり適当に目をつぶった方がいいです(笑))
ケイト・ブランシェットは、今回は常に死にそうな状態の演技だったけど、よかったなあ。ほんとに死にそうだったよ。
ダコタ・ファニング似のかわいい女の子だなあと思ったら、エル・ファニング、ダコタの妹さんでした。そっくりだな。ステージママとかいるのかな。
******
さてと、
今回は新宿に出来た某バ●ト9というシネコン初体験でした。
シネコンってどうも生理的に好きじゃなくてね。
あの全席座席指定ってのも好きじゃないし、コナンとハンニバル・ライジングのチケットを買う人が同じ所に並ぶってのもやだし、並ぶ所がジグザグに仕切ってあるのもディ○ニーランド観たいでやだな~
あとあのエレベータ。待ちが長いしめちゃくちゃ混むし;;
なんかさ、映画を見ることへの虚勢だけどもなんとか肩肘張った主体性、みたいなモノが、おしきせの箱のなかに入れられてへなへなと萎えちゃうような気がするのね。
今回はそのせいもあって、冒頭の早く家に帰りたいになっちゃったんじゃないかなあ。
で、「バベル」観終わって、パンフに使用音楽の情報が載ってたら買おうかなと思って、売り場のおねえさんに「パンフをちょっと見せてもらえますか?」と頼んだら、「見本はおいておりませんのでお見せ出来ません」とか冷たい顔でいわれちゃったよ。
いまどき、消費者は商品買うのに、その内容をちゃんと吟味してから買うっちゅ~の。中身の確認できない映画パンフなんて、そんな危ないもん買えますか?
ムカッ!
ときて「じゃいいですっ」と冷たくいって帰ってきたけど、まああのおねえさんには罪はないのかもしれないな。
これに懲りてバル○9には極力行かないことでしょう。
(そもそも表記するなら「ヴァルト」じゃないんかな??)
で、終映後すぐに家に電話したわたしです。
バベル-オリジナル・サウンドトラックサントラ, グスタボ・サンタオラージャ, チャベラ・バルガス, アース・ウィンド&ファイアー, ファットボーイ・スリム, 小山田圭吾, 坂本龍一, アマデオ・パセ, スケッチ・ショー, デヴィッド・シルヴィアンユニバーサルクラシックこのアイテムの詳細を見る |
↑なんかけっこうすごい組み合わせかも
アース・ウインド&ファイアーとデヴィッド・シルヴィアンが同じ盤にいるなんて!!
【追記】
格の違いをありありと知るブログ&サイトを発見。
革命の日の朝の屑拾い日記:バベル
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↑ぼちっとオネガイします。
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なるほど、シネコンにはそう言うところ多いですね。
たとえばシナリオが再録されていたら、
それだけでも購入価値あったりするのに、
それも分からないのでは話にならないですね。
う~ん。由々しき事態だな。
コメントありがとうございます。
シナリオ採録いいですね~買いですね。
中堅でもミニシアターでも最近はちゃんとパンフの見本が置いてあるような気がするんですけどね~
映画観る側としては資料としてしっかりしたものを買うという姿勢を示すことが大切だと思うんですが、どんなもんでしょうかね。
あ。シネコン嫌いな気持ちもわかります。やっぱり映画館って有楽町のスバル座や単館みたいに”映画好きな人が集まってくる~”っていう感じがいいのですよね。ただシネコン便利(笑)
でも、その中で理解しあおうとする心が、この映画の救いかもしれません。
評価は、分かれる作品だと思いますが、私は結構面白かったです。
それにしても、シネコンはもっとサービスを考えるべきですね~。
バル9は行ったことありませんが、レディースデーのないシネコンなんて一生行かないと思います。
すべてのシネコンはポップコーン売るのやめてほしいですー。
そうなんですよね。パンフ見本も見られないんですよね。
ミニシアターではいつもじっくり立ち読みして情報収集をする私ですが・・・。
モロッコパートが好きという感触が残っていたんですが、あそこはハンディカムだったんですね。
この映画では坂本龍一との共作ですよね。
未見なんですがどこでかかってました~?エンディング?
パンフの見本なんて基本的にミニ・シアターでなくても
置いてありますよね。普通の劇場ならば。
アンケート用紙が置いてあるかどうかチェックして
文句書いても良かったのでは?
同じ映画上映してる日比谷の映画館でパンフの見本無いとも
思えませんし...。
(一律パンフ見本無しだったら笑えますけどね。
その会社の良識を疑うという意味で...。)
私のような指定席のシネ・コン嫌いは
(自由席のシネコンは点が甘くなります。すいてたりするし...。)
そこでしか観れない場合を除いて少し遠出しても避けます。
特に指定席には腹が立ちますが、
サスガに最近は始めた当初のような
ガラガラなのに前や隣に人が座ってるという
バカな!なのは減りましたね。
(私は勝手に席変えてましたけどね~。<笑)
ミニ・シアターとかだとしょうがない部分もありますが
入れ替え制というシステムも基本的に嫌いですね。
その昔、すいてる時に劇場(ミニ・シアターですが)の人に
頼み込んで入れ替え制なのに
1回分のチケットでもう1度観せて貰った事があるので
あまり大きな声では言えないんですが...(笑)。
あの時は言ってみるもんだと思ったものでした。
味しめて複数やりましたけどね~。
(今は融通ききそうに無いんでやりませんが...。)
そう言えば、この映画の点滅効果ダイジョブでした~?
私は使用曲の確認は目星付けて
エンディングのタイトル・ロールで確認しますよん。
サントラ未収録の例も多いですし、
パンフに掲載無しもしょっちゅうですから。
映画使用ヴァージョンとサントラ収録ヴァージョンが
異なるというのも多いですし...。
見落とすと結局、借りたり買ったりでDVDになりますが、
エンディングは画面小さくて読み難かったりするんですよね~(笑)。
iMDbも使用曲一覧まで載せてくれると助かるのですが...。
こんにちは。
愚かという点では、バベルの塔を描いたブリューゲルの親子やその系統のボスの、愚者の群像を描いた絵画や版画を思い起こさせるものでしたね。
ああ、自分もこの群像の一部分だったんだと・・(笑)
愚かな中でわかり合おうとする、そのことが大切なのかもしれませんね。
少なくとも多くの登場人物は自分の愚かさを自覚したと思いますしね。
こんにちは
この映画、救いとも絶望ともとれますね。愚かさとその自覚、そういう両義性があるんだと思いました。
シネコンもそうあってもらいたい?
こんにちは~
レディスデー!うらやましいですね~女性!
ミニシアターは仕方ないというか、そういうポリシーだといわれるとそうですかという気になりますが、シネコンでそういうサービスがないといわれると納得いきませんね~
ハンディカムというのが正しいかどうかわかりませんが、要は手持ちカメラの揺れを意識的に使っていたということですね。わたしは船酔い系に敏感なのですぐに気づくんです(笑)