Credo, quia absurdum.

旧「Mani_Mani」。ちょっと改名気分でしたので。主に映画、音楽、本について。ときどき日記。

「アウトロー」クリント・イーストウッド

2013-10-17 03:00:25 | cinema
アウトロー 特別版 [DVD]
クリエーター情報なし
ワーナー・ホーム・ビデオ


アウトローTHE OUTLAW JOSEY WALES
1976アメリカ
監督:クリント・イーストウッド
原作:フォレスト・カーター
脚本:フィリップ・カウフマン、ソニア・チャーナス
撮影:ブルース・サーティース
出演:クリント・イーストウッド、ジョン・ヴァーノン、ソンドラ・ロック、ビル・マッキーニー、チーフ・ダン・ジョージ ほか


南北戦争終結の頃のお話。

ここでの主人公のアウトロー像はアンビバレントなものです。
もともとは妻子を大事にする開拓者で土地を耕し定住する男だったのだけれど、
妻子が「レッドブーツ」達に殺され家を焼かれたことで、復讐の念を抱きつつ
彼らと敵対する南軍のひとりとして戦う。
けれど南軍が投降していくなか、復讐が目的の彼だけは投降せず、
そこから本当のアウトローとしての独り立ちがあるわけです。

しかし彼は孤高を目指すのではなく、
実はどんどん人と関わっていく。
彼が何に対して是とし、何に対して非というのか、が
ここからの話を推進します。

理不尽な暴力や抑圧(それはしばしば集団で行われる)に対しては反射的な嫌悪を抱き、
本来は平和を愛する孤独な人々に対しては庇護の念を(控えめに)表す。
その結果、アウトローたる彼の周りにはしだいに帯同者がふえていく。
ここが面白いところですね。
上記のような原理?から、帯同者には、原住民の老人、同じく原住民の女、
移住の途中で原住民に襲われていたところを助けた白人の老婦人と若い女性。
面白い所帯です。

彼らが落ち着くことになるミズーリ(だったっけ?)の農地とあばらやの近くにある
寂れた町の酒場(酒なんかほとんどないような)にたむろる連中ともなにかいい関係を築いちゃったりします。
彼らも交えて農場でバーベキューとかして歌い踊ったりして
つかの間の幸せって感じです。

全然アウトローな感じではありませんが、
こうした取捨選択の原理のなかに、正義と独立の矜持が貫かれているので、
つまりこういうことを貫くとアウトローにならざるを得ないということで、
別の面ではこれがアウトローになってしまう時代の悲しさというか
往々にして大きな力や体制のもとでは
人間の尊厳を守るということが些事になってしまうんだということをも
語っていると思います。

敗者、少数民族、女性、老人
そういった弱者の側に立つ強い個人、アンチヒーロー的ヒーロー。

実にイーストウッド的な
あるいは70年代的な主題を扱った映画だと思います。

******

ワタシはこういう価値観に染まって育ってきたので、
まあここでのイーストウッドには無条件に心酔しますです。

ソンドラ・ロックめちゃめちゃかわいいし。




@自宅録画
コメント (4)
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