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476 イタリア紀行2004-24 「ヴィーナスの誕生」はボッティチェリの挑戦ではないか 

2015年04月14日 | 旅行

イタリア紀行2004-24 イタリア4日目 ウフィツィ美術館 ヴィーナスの誕生 春 

 ウフィツィ美術館のコレクションは膨大である。美術館案内のガイドはフィレンツェで美術を学んでいる日本人女性で、「フィレンツェといえばメディチ家、メディチ家といえばルネサンス、わずか1時間の見学なのでルネサンスにしぼります」といって、まずフィレンツェ生まれのチマブーエの「荘厳の聖母」の紹介をした。
 続いて、フィレンツェ出身のジオットの「荘厳の聖母」、フィレンツェ出身のマザッチオとアレッツォ生まれのマソリーノによる「聖アンナと聖母子」を説明した。
チマブーエの立体的な表現がジオットではさらに立体感が増し、マザッチオでは遠近法が用いられ始めているのが分かる。
 次の、フィレンツェ出身のフィリッピーノによる「聖母子と四聖人」では、それまでの聖母子画の背景が単色であったが、フィリッピーノは背景を余すところなく描きあげていた。
 次がいよいよボッティチェリである。ボッティチェリはフィリッピーノの父フィリッポ・リッピの工房でフィリッピーノとともに修業していたが、メディチ家に認められ、次々と名作を生み出した。
その一つが教科書でも習った「ヴィーナスの誕生」である。中央のホタテ貝に乗った全裸のヴィーナスが、左の西風の神ゼピュロスに吹かれて、いままさに岸に着こうとしている。右には季節の女神ホーラが絹のローブを持って待ち受けている。
 この絵にはさまざまな意味が込められているから、詳しくはホームページのイタリア紀行か美術解説書を読めばいい。
 私が驚いたのは、それまでの聖書を題材にした作品とは違って、ヴィーナスをしかも全裸で描いたことだ。ローマ・カトリックにおける考え方ではイエス・キリスト以降の新約聖書を絶対とし、ひたすら清貧であることを是としてきたはずだが、ボッティチェリは革命的な絵を描こうとしたことだ。
 「春」は「ヴィーナスの誕生」よりも8年ほど前に描かれていて、こちらもギリシャ、ローマ神話を題材にしているが、登場する女神たちは透けているものの衣をまとっている・・「春」にもさまざまな意味が込められている・・。ボッティチェリは「春」で人々の評判、とくにローマ・カトリックの反応を見て、お咎めなしだったことから「ヴィーナスの誕生」で思い切った絵に挑戦したのではないだろうか。

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