イタリア紀行2004-25 イタリア4日目 ウフィツィ美術館 受胎告知 ヴェッキオ橋 聖家族 レオ10世と2人の枢機卿
ウフィツィ美術館ではルネサンスに絞った作品の見学だった。教科書では盛期ルネサンスの3巨匠としてレオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、ラファエロを学んだように記憶している。
ボッティチェリに圧倒されたあとにもかかわらず、レオナルド・ダ・ヴィンチの「受胎告知」でまたまた目を奪われた。なんと、20才になったばかりの作品にはすでに神々しさがあふれている。表現も緻密である。人体の形、動きは実に正確で、生き生きしているのはたぐいまれなる観察力によるのであろう。
右手のマリアと左手の大天使ガブリエルの動きで三角形を構成していて、安定感をつくり出している。その三角形の中ほどの奥にぼかした山が描かれている。ルネサンス初期に遠近法が使われ始めたが、レオナルドは遠くのものをぼかすことで遠近感を強調している。この空気遠近法を編み出したのがレオナルドであった。
続いてミケランジェロの部屋で「聖家族」を見た。やはり20代の作品である。中央のマリアが体を大きくひねり幼子イエスを抱き上げて後ろのヨセフに渡そうとしてる動きのある作品である。ミケランジェロは彫刻に秀でた才能を見せただけに、この絵も立体的である。背景の手前にヨハネが描かれ、その奥に裸の男が描かれている。ミケランジェロは作品にメッセージを込めるのが得意で、「聖家族」では背景の裸の男が未開の時代、ヨハネが旧約聖書の時代、そして手前イエスによって人々が救済されることを意味していると考えられている。
ミケランジェロの部屋の奥がラファエロの部屋で、ここで「レオ10世と2人の枢機卿」を見た。ラファエロは20才のころフィレンツェに出てきて、メディチ家の復興をなした枢機卿ジョバンニ認められ、ローマに向かうことになる。ローマではヴァチカンのラファエロの間などよく知られた作品を残す。ジョバンニはやがて教皇レオ10世になり、暗殺されたジュリアーノ・デ・メディチの遺児ジュリオが枢機卿になる。ラファエロは大恩人を生き生きとした表情で描き出している。
ルネサンスの陰にメディチありということがよく分かった。
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