アイ・ラブ みどり

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ブルネイの稲作

2021年08月20日 | みどりの恵み

若い頃、ブルネイで原住民イヴァン族の稲作を見聞する機会に恵まれました。有力な稲作地帯はモンスーン地帯に分布します。ブルネイは、乾季のない赤道直下の熱帯降雨林地帯に属し、商業的な稲作は難しく、自家消費的稲作がおこなわれています。

イバン族は焼き畑農業部族ですが、ジャッングル内の窪地の水田で稲作を行っています。育つと、丈が2メートルにもなる頑丈で生育旺盛な稲を栽培します。幼穂形成期頃ネズミに根本を囓られ、稲はバタバタと倒伏してしまいます。倒伏しても、茎の節々から新芽が萌芽し、間もなく様々な生育段階の稲が混在するようになります。実った籾は野鳥の大群に啄まれてしまいます。

写真は。現地で購入した米倉の絵はがきです。ネズミや野鳥に害されても、何とか実っている穂だけを刈ってこの倉庫に保管しておくのです。食べ尽くしてしまえば、また水田に行き、実っている穂だけを刈ってくるのです。米倉は高床式になっており、各柱にはネズミ返し付いており、周囲は綺麗に清掃されて、雑草や木の枝を伝わってネズミが侵入してくるを妨げています。このように、イバン族はネズミや野鳥と共栄供存しているのです。一方モンスーン地帯では、数ヶ月に及ぶ乾季の間に地耐力を回復し、害虫のライフサイクルを断つことができ、商業的稲作が可能なのです。

産油国として経済的に潤うブルネイでは、食料はほとんど輸入しております。稲作を行うイバン族はほとんどいなくなりましたが、使われなくなった米倉は大切に保存されています。イヴァン族にとって、米倉は神が宿る掛け替えのない聖域なのではないでしょうか。私には何となく、日本の神社のルーツがここにあるのではないかと思われてならないのです。


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