牛に引かれて善光寺参り

善光寺の仲見世通りの案内所に牛の銅像が置かれていました。牛は善光寺と関わりが深いようで、「牛に引かれて善光寺参り」は江戸時代の女性向け教養書に記述されているそうです。
ガイドさんによると、心悪しき女性が軒に布を曝していたところ、牛が角に布を引っ掛けて逃げてゆきました。怒った女性が布を取り戻そうと善光寺まで牛を追いかけました。そこが聖地であることを知った女性は毎年参詣するようになり、とても優しい心の持ち主となり皆から慕われるようになったとのことです。
この故事に習い「牛に引かれて善光寺参り」が言われるようになりました。国語大辞典によると、その意味は「思いがけないことが縁で、また、自身の発意からではなく、偶然、よい方向に導かれること」となります。考えてみれば私の人生は、ピンに跳ね返るパチンコ玉のようなもので、無数の偶然の積み重ねではありませんか。
牛は善光寺のマスコット的存在となり、1951年にはインドから白牛３頭が贈られ、かの案内所に場所で飼われていたそうです。1965年には乳業会社から親子牛の像が贈られ現在本堂脇に安置されています。案内所の牛は2004年に長野市在住の女性から寄贈されたものです。また、「牛に引かれて善光寺参り」をヒントに、かの「心悪しき女性」がかつて住んでいた千曲市から善光寺まで30キロを歩く会が毎年開催されています。今年は28回目となったそうです。30キロを歩き通してお参りする善光寺の有難さは感慨一入とのことです。