【「板通スペシャルマッチ」2014J2第15節vsロアッソ熊本「足利市民デー」】鈴木隆雅選手「自分の良さを磨きながら。」
J昇格初年度でプレーオフ進出の快挙を果たしてみせたV・ファーレン長崎と対峙した前節。長崎は昨季の勢いそのままに、圧倒的な走力をベースとした、攻守においてアグレッシブに展開されるサッカーで、今季も数多の猛者達の進撃を抑え込んでいた。対する栃木は今季初の連敗を喫した直後に迎える試合とあって、並々ならぬ闘志と決意を煮えたぎらせてこの一戦に臨んでいた。結果は1-1のドロー。お互い喉から手が出るほど欲しかった「勝点3」は掴み取るに至らなかったものの、栃木としてはアウェイで最低限の収穫を得ることに成功した。しかもそれは、相手に先制を許したことで立たされた、局面的かつ心理的な劣性を跳ね除けて勝ち得た貴重な「勝点1」であった。栃木にとって先制を許した試合は、長崎戦を除けばここまで5試合あった。一旦は試合を振り出しに戻すことに成功した試合もあったが、終わってみればそのいずれもの試合において勝点奪取には至っていなかったのだ。事故は偶発的に、突発的に起こり得る。予期せずして立たされる苦境の中で最大限の力を発揮し、「結果」をもぎ取る力。栃木が長崎戦で味わったある一定の成功体験は、チームにさらなる「成長」の糧を与えてくれるに違いない。
そして栃木は今節、ホーム・グリスタでロアッソ熊本と激突する。ここまで4勝6分4敗(勝点18)で14位に位置する熊本は今季、かつてサンフレッチェ広島をJ1昇格へ導くなど豊富なキャリアと確かな実績を誇る小野監督を招聘した。20代前半の新戦力を多く加えて若返りが図られたチームの中で、新たに加入した元日本代表・巻誠一郎選手の印象は強烈で、ピッチ内外で精神的支柱としてチームを支える彼の存在は、栃木にとって大きな脅威となり得るだろう。
烈火の如くフィールドを侵略する「火の国・熊本」を、眩いほどの雷(イカズチ)で相手ゴールを貫く「雷都・栃木」が迎え撃つ。
前節・後半途中からピッチに立ち、精度の高いクロスで決定機を幾度も演出してみせた鈴木隆雅選手。まだあどけなさの残る若干20歳のスピードスターは、限られたチャンスの中でも「結果」を貪欲に追い求めていく。左サイドの若き才能に、意気込みを聞いた。
■鈴木隆雅選手コメント:
「(前節について)1-1の場面で僕がやることは、アシストなどでゴールの起点になること。そういった面では2本か3本上げたクロスがしっかりチャンスになっていたので、それを続けていきたいと思っている。ただ、本当は自分で突破してゴールすることが、僕が一番やりたいこと。まずはサイドバックとしてしっかり守備をして、本当にチャンスがあったら良いタイミングで上がってシュートまで行けたら良い。僕はアシストよりもゴールが獲れるサイドバックを理想としているので、ゴールにはこだわっていきたいと思っている。
自分自身が成長していければ自ずと試合に出られる回数も増えていくと思っているので、今は自分の良い所をしっかり磨きながら、苦手なことを克服していけるようにトレーニングに励んでいる。
鹿島の同年代の活躍は一番の刺激。同期で入った伊東選手は私生活でも一緒に過ごすほど仲が良かった。そういった選手が鹿島で試合に出ているのは凄く刺激になるし、自分も負けてられないと強く感じさせられる。2人で切磋琢磨してやっていきたい。」
次節・熊本戦に向けて意気込みを語る栃木の隆雅である。
「アシストよりもゴールが獲れるサイドバックを理想としている」と述べる。
何とも頼もしいコメントと言えよう。
このメンタリティは重要である。
写真も凛々しく感じられ、着実に成長を遂げておる様子。
いずれ鹿島に戻り、左サイドを切り裂く隆雅が拝めるのではなかろうか。
右のユキと並んで鹿島の矢となるのだ。
隆雅の活躍に注目である。