衝撃的だった「岩政大樹との出会い」慶應大・久保飛翔がJ2岡山入りを決めた理由
安藤隆人
2015年09月29日
自分の『伸びしろ』に気付かせてくれた元日本代表のアドバイス。
ある男との出会いが、彼を大きく変えた。
慶應義塾大4年のCB久保飛翔は、練習参加したJ2ファジアーノ岡山で、これまでの考え方を覆されるような経験をし、迷わず来季の加入を決めた。
愛媛県の強豪・済美高時代から、185センチの長身と高い身体能力で注目を集める存在だった。久保がいた世代の済美は、前線にFW藤本佳希(明治大4年)もおり、攻守の二枚看板を擁する好チームで、プリンスリーグ四国では圧倒的な力を発揮。プレミアリーグ昇格へあと一歩のところまで迫った。
慶應義塾大に進んだ久保は、持ち前の身体能力を活かしたプレーで守備の要へと成長し、プロのスカウトの視線を浴びるようになる。だが、順調に成長できているはずだと考えていた自分の考えの甘さを、岡山で痛感することになったのだった。
「岩政大樹さんと出会って、CBとしていろんなことを教えてもらいました。一番驚いたのが、本当にプレーの一つひとつ、意識の一つひとつを細かく考えながらやっていること。自分はおおざっぱで、感覚でプレーしていることが多いと痛感しました」
鹿島の黄金期を支え、日本代表でもプレー。さらにタイ、岡山と渡り歩き屈強なCBとして多くの経験を積んできた一方、東京学芸大時代は数学の教員免許を取得するなど、明晰な頭脳を持つ名手の言葉は、どれをとっても久保にとって驚きであり、刺激的であった。
「ヘディングひとつとっても、当てる場所、飛ぶタイミング、空中でのバランス、ヘッドした後の対応、それだけで40分以上も話してくれた。ヘッドは得意だったけど、甘かったと痛感した。自分はそこまで考えてサッカーをやっていなかった。でも、甘さが分かった以上に、嬉しかったんです。だって、それだけ自分にはまだ『伸びしろ』があると気付けたわけですから」
自分が知らなかった世界を知ることができた。では、自分が岩政のように考えながら、分析をしながらプレーしたらどうなるのか。“知らなかった”のは決して『悪』ではない。むしろ、“知ってからその先”が重要であり、そこでの努力が大きな成長へとつながるはずだ。
自分の可能性を見出すとともに、努力すべき方向性もはっきりと見えた。ここから練習に取り組む姿勢は大きく変わった。
「単に『弾けば良い』、『守れば良い』と思っていた自分が、理論的に考えるようになったことで、今までの自分はなんてプレーに無駄な動きや要素が多いのだろうと気付いた。もっとシンプルに、周りを意図的に動かしながら、プレーすることを意識するようになった」
関東大学リーグ15節の法政大との一戦で、久保は成長の跡を見せた。前半から巧みなラインコントロールで守備を統率すると、法政大ペースとなった後半は矢継ぎ早に攻撃を仕掛けてくる相手に対し、中央でどんと構え、必要以上にラインを下げることなく守り切る。
細かいラインコントロールをしながらも、果敢に空中戦を挑み、シュートブロックに身を挺し、要所では強気な守備で劣勢のチームを支え続けた。結果、0-0のドロー。後半はいつ失点してもおかしくない状況下を、無失点で切り抜けた。
これで慶應大は3試合連続無失点。逞しく成長したディフェンスリーダーに牽引され、慶應大は2位に浮上した。
「もっと考えてプレーしていきたい。それだけ伸びしろがあるわけですから」
自分はまだ伸びる。成長する喜びを味わっている久保の意欲は、まだまだ尽きることがないだろう。
取材・文:安藤隆人(サッカージャーナリスト)
岩政に感銘を受けた慶應義塾大学の久保飛翔くんである。
練習参加した岡山にて岩政に出会い、衝撃を受けたとのこと。
やはり岩政の持つ、選手としての偉大さ、そしてプレイ以外の部分は大きなものと言えよう。
それは、岩政のブログからも伝わってくる。
彼の内面からにじみ出る人間性には大きな感銘を受けるのは当然である。
選手としての岩政、人間としての岩政をこれからも応援していきたい。