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新しい酒(2001年以降のアードベッグ)に期待できるのは嬉しい

 写真のボトル5本は、数日前に私が神保町の”モルトの師匠”のバーで飲んだものです。右から左に向かって飲みました。

(1) 最初のキングスバリーのポート・エレンは1979年蒸留のもので、アタックは強くありませんがバランスの取れた上質のポート・エレンでした。ポート・エレンもやはり、70年代のものの方が1980年代(最後の年は1983年)のものよりも美味しい。

(2) 次のアードベッグの1974もボトラーはキングスバリーですが、同じシリーズの1973よりも骨太でしっかりした感じでした。アードベッグ特有の金属的な刺激に、ピートの煙、皮革のような香り、オレンジ・ピールのようなフルーティーさなどが混じって複雑な味わいです。

(3) 三番目の少し背の高いボトルはアードベッグの2001年蒸留のもので、ボトラーはウィスキー・ソサイエティです。度数が61度強で若いお酒なので、刺激が勝っていますが、クリアで僅かにフルーティーな気配(将来熟成するとフルーティーな面が出るような感じ。フルーツはベリー系か?)があり、もちろんピートのスモークもきいていて、「期待の持てる若者!」という感じでした。
 アードベッグは1970年代のものが美味しいのですが、経営難から1980年代に操業を停止、1990年代前半に稼働するものの以前の味とは異なり(1991年物には美味しいのがありますが、少しヨーグルトっぽい乳酸臭があります)、1997年にグレン・モレンジ傘下になってからもしばらく美味しい物が出ず、特に1998年から2000年くらいのものはエグみが出てダメでした。この日も師匠が1998年のあるボトルを一口味見させてくれましたが、粘土のような椎茸のような臭いがして、口の中が渋くなりました。
 ところが、2001年蒸留物になって、明らかにクリアな味わいで美味しいものが出てきたようです。師匠によると、このウィスキー・ソサイエティのボトルと、ウィスキー評論で有名な山岡秀雄氏(ウィスキー評論家マイケル・ジャクソン氏の著作の翻訳家にして、小学館の漫画雑誌の編集長です。驚いたことに、私の小学校の同級生だったことが判明しました)が選んでボトリングしたボトルの2本が「共に2001年物で、なかなか美味しい」とのことでした。
 別のものも飲んでみなければ分かりませんが、2001年以降のアードベッグは期待できるのではないでしょうか。熟成するとさらに美味しくなりそうです。20年後が楽しみになってきました。

(4) 刺激の強いものを飲んだので、4杯目はスペイサイドのキャパドニックというモルトの34年物を飲みました。ボトラーはダンカン・テイラーです。「軽くて、フルーティーだけれども、味わいのあるもの」というリスクエストに対して師匠が選んでくれたものです。ライチ、洋なし、グレープフルーツいずれを挙げるか悩みますが、敢えて一つに決めるとライチでしょうか。フルーティーな香りが口中に拡がり、優しい味わいですが、決して物足りなくないという素晴らしいボトルでした。アードベッグの間に入れる口直しくらいの気分で頼んだのですが、それにとどまらない佳品でした。

(5) 最後は、キングスバリーの「ハンド・ライティング」シリーズのアードベッグで1972年物です。師匠によると「アードベッグのベストは1972年」だそうで、通常なら真打ちクラスの1974年(あるいは1973年)を更に上回るインパクトとフィニッシュで、特にフィニッシュが素晴らしく、帰りの夜道(徒歩、25分)の間ずっと香りが戻ってくる感じがして、翌朝にも印象が残っていました。

 非常に満足の5本コースでしたが、5杯は飲めないという方は、3、4、5番目を試されるといいと思います。
 モルトでもブレンディッドでもウィスキーは古い蒸留のもの(1970年代以前)が圧倒的に美味しく、最近の物が明らかに負けていることに、傾向として新しもの好きで過去を賛美することが嫌いな私としては少々ガッカリしていたのですが、2001年以降のアードベッグに希望が見えたという意味で、3番目のアードベッグは価値がありました。新しいものに期待が出来るというのは、いい気分です。
 もちろん、今飲むものとしての完成度と感動は4番、5番が素晴らしいと思います。

(※) 東京近辺の方で上記を試してみたい方は、神保町の”師匠”(三輪さんという方です)のお店「Bar.PolkaDots & MOONBEAMS」をお訪ね下さい。モルトの初心者も、好みに合わせて丁寧に指導してくれます。食べ物のメニューは少ないので、軽く食事をして腹ごしらえしてから行くのがお勧めです。

「Bar.PolkaDots & MOONBEAMS」
千代田区神田神保町2-2-12 サンエスビルB1 03-3263-3211 最寄駅:神保町
神保町の交差点の「キムラヤ」の斜め裏にあるビルの地下一階です。
(お店のHP)http://www.ff.iij4u.or.jp/~yukiom/
(食べログ)http://r.tabelog.com/tokyo/A1310/A131003/13011381/
(livedoorグルメ)http://gourmet.livedoor.com/restaurant/307880/
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最近の家飲みボトル

 私は家でもお酒を飲むし、特に、モルト・ウィスキーは夜中の原稿書きの友だ。しかし、ここのところウィスキーの買い出しに行っていないので、在庫が減ってしまった。
 現在の家飲みボトルは、何れも蒸留所のオフィシャル・ボトルで写真の3本しかない。しかも、うち2本は、近所のスーパーマーケットに常備されている現行品だ。
 左から順に、ラフロイグのカスクの(樽出しのアルコール濃度の)10年物、ラガヴーリンのダブル・マチュアード1990年、それにポートエレンの3rdリリースだ。順に、5千円、1万円、3万円を僅かずつ切る値段で買ってきた。

 カスクのラフロイグは度数55.7度のもので、これは確か、ウィスキー雑誌で非常に高い評価を得ていたものだ。どこでも買えるモルトとしては、お買い得な一本だ。ストレートで飲んでも十分美味しいが、ラフロイグはソーダ割りに合うので、ソーダで割って飲むことが多い。一杯目のビールの代わりによい。もっとも、ソーダで割るなら、カスクのタイプででなく、もっと安価な普通のものでも美味しいので、そちらで十分だ。
 ラフロイグのカスクのオフィシャル・ボトルは、クレゾール風の刺激臭はそう強くないが、口に含むと煙臭さがひろがる。空いたグラスがすっかり乾いてからでも、鼻を突っ込むと、かなり煙い。ラフロイグは刺激的だが、陽性で健康的な麦の印象が伝わってくる、酒質の「太い」(?)ものが多いように思うが、このボトルはまさにそのタイプだ。度数が高いせいもあって、インパクトが強く、ストレートでは、一度にそうたくさん飲めるお酒ではない(←経済的かも)。

 ラガヴーリン(ある専門家のご教示によると「ラガヴァリン」ではなく、こう読むのが正しいらしい)のダブル・マチュアードは、熟成の途中でシェリー樽に移し替えて仕上げたダブル・マチュアードのシリーズの現行品だ。このシリーズでは、1989年蒸留のものが美味しくて人気がある。実は、近所のスーパーマーケットに1989年物が同じ値段で売っていたのだが、一本だけあったボトルを買って、当然ながらさっさと飲んでしまったら、次に補充されたものは1990年物だった。
 こちらは加水タイプなので度数が低く43度で、シェリー樽の影響で、ラガヴーリンとしては甘口だが、ラガヴーリンらしい刺激臭(正露丸の臭いの気持ちのいいところだけを残したような)と僅かな煙臭さとオイリーな風味が最初にあって、その後からシェリー樽のややタンニンを含んだような渋い甘さが出てくる。飲み干した後に喉の奥から戻ってくる香りにも甘さがある。鋭い香りも残っていて、「シェリーぼけ」した感じにならない点がさすがラガヴーリンだ。
 味に拡がりがあって、フルーティーなニュアンスも僅かに感じた1989年物には及ばないが(←記憶が頼りだから、比較は不正確なのだが)、値段を考えると十分満足だ。
 口当たりがいいので、減りが早い。また買いに行くことになりそうだ。

 ポートエレンの3rdリリースは、昨年11月に原稿書きが溜まっていたときに、コーヒー豆を銀座に買いに行くついでに買ってきた。家でもちょっといいものを飲もうと思い、働く自分に褒美を与えることにした。ポートエレンはもともと好きなお酒だし、その前に、2ndリリースを一本飲んで満足していたので、3rdリリースを買ってみた。
 ポートエレンは、アイラモルトのクレゾール的な刺激と同時に、乾燥フルーツの渋みのような、僅かな甘さと華やかさを感じさせる甘美なモルトだ。何となく女性的なニュアンスを感じるお酒だ(対して、ラガヴーリンはいかにも男性的だ。思い込みかも知れないが)。
 しかし、ポートエレンには、「外れ」も多い。神保町の師匠の言によると、ポートエレン蒸留の最終年の1983年物には特に外れの危険性が大きいという。
 この3rdリリースは、1979年蒸留の24年物で、79年は信用できそうだし、オフィシャル物なので無難だろうと思った。度数も57.3度あって期待できると思った(一般に加水して度数を下げたものよりも、樽出しの度数のものの方が風味が豊かなことが多い)。
 味は悪くはないが、正直に言うと、少し期待値を下回った。口に含んだ際のインパクトは十分にあるし、刺激臭も、甘みも、華やかさも予定通りあるのだが、香りと甘さが幾らか過剰で、たとえて言うなら化粧品臭い。
 外資系の会社の受付によくいるような香水の強い女性がお好きな方にはいいかも知れないが、私は、お酒も女性も化粧品臭いのは苦手だ。

 何はともあれ、在庫が3本では、夜中に一人で「バー・ヤマザキ」をやっても面白くない。近日中に買い出しに行って来ようと思う。取りあえず、アードベッグ、タリスカー、ロングモーン辺りのボトラー物(蒸留所の瓶詰めではなく、ボトラーが樽を買い付けて瓶詰めしたもの)が狙いだ。
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旨い焼き鳥が食べたい

 拙宅からの徒歩圏内に、飲食店は数多く、その中の一軒に、かつて数年間贔屓にしていた焼鳥屋がある。焼鳥屋としてよくあるように、その店の店名にも「鳥」の文字が入っている。その「鳥●」には、数年前まで素晴らしく上手い焼き手が居た。
 当時の彼は五十代前半くらいだったのだろうか。細面の寡黙な人で、既に串を打って下ごしらえしてあるネタを、大胆に塩を振ってから、さまざまに仰ぎ方を変えつつ団扇を休むことなく動かし続けて、炭火で焼いていた。カウンターが中心の店で、カウンターに約10人、奥にテーブル席があって、最大20名くらいのキャパシティーの店だが、彼が一人で焼いていた。カウンター内に1人助手が居て、カウンターの外に着物姿の女性が2人ウェイトレスの役割を果たすという体制だったが、焼き手の忙しさが突出していた。
 ネタが下ごしらえ済みで、カウンター前の冷蔵ケースに納まっているとはいえ、いつも満員に近いあの店で、一人で焼きを担当する彼は本当に多忙だった。しかし、焼き上がりは、ネタの種類毎に個別に的確で、焼け方にバラツキは全くなく、正確な仕上がりだった。
 ささみは表面だけが硬くならない程度に焼けていて中はひんやりと冷たいレアに保たれていた。殊に見事なのはレバだった。鳥レバが大きめに切られてまとめて串を打たれ、モスラの幼虫のような姿になったその串は、強く塩を振られた表面だけパリッとした歯ごたえがあるが、中は暖かく火が通っていながら、信じられないくらいジューシーだった。このレバがないと寂しいので、私は、入店すると直ぐに、ネタケースの中のレバの串の在庫本数を確認するほどだった。皮や、ぼんじり、手羽先のような油の多いネタは、中まで完全に火が通っていて、口の中には油の香ばしさがぱっと広がり、表面は程良くぱりぱりと焼けていて歯触りが良かった。つくねも、焦がすことなく中まで火が通った熱々のつくねだった。野菜を焼いても、焦がすこともなければ、縮ませることもなく、しかし、青臭さを残さずに焼いてくれた。
 多くの串を塩・タレで両方で出していたが、私も含めて、殆どの客が「塩で」と頼んでいた。特別に珍しいものは何もないが、全てのネタが堂々としていた。
 焼き手は、景気よく塩を振って、あとはひたすら炭火で焼くだけだ。それだけで、全てが旨い。他店と広く較べた訳ではないが、当時の「鳥●」は、焼き鳥ではここがベストだろうと思ったし、鳥料理としての一つの完成形であったと思う。あの焼き手は、つくづく名人なのだと当時は思ったし、それは今でも変わらない。
 当時、私は、ささみのサビ焼き(ささみをレアに焼いてワサビを乗せたもの)から始まって、かしわ、レバ、皮、ししとう、ぼんじり、うずらの卵、ぎんなん、かも、つくね、最後に手羽先といった調子で、単品の串を10本少々食べて、鳥丼又は鳥茶漬けで締める、というような食べ方をしていた。平均よりもやや大食らいの客だが、ビール2杯に、日本酒2合位を飲んで、支払いは1万2千円前後(何人かで食べに行くので、一人当たり)だった。焼鳥屋さんとしては高級店で、簡単な接待にも使われていたし、外国人のお客さん(接待されている人が多かった)も多かった。安い店ではないが、価格を考えた満足度は十分高かった。

 店に最初の変化が訪れたのは10年くらい前だっただろうか。この焼き手が、おそらくは突発性難聴で、耳が不自由になった。片耳に聴力が少し残っていて、補聴器を入れて、相手に大きな声で話して貰うと、言葉が聞こえるらしいし、彼が話すことは出来るのだが、会話が少し不自由になった。
 店では、はじめの頃、大きな声で注文して下さいと言われていたが、その後、注文はカウンター内の助手に通すようになった。私はいつもポストイット(正方形のもの)を持っていたので、連れの分も含めて、これに注文を3種類くらいまとめて書いて、助手ないし、焼き手ご本人に渡していた。帰り際には、「おいしかった」、「どうもありがとう」と口の動きも分かるようにはっきり告げて帰ることにしていたが、その度に嬉しそうに笑ってくれた。こちらは上機嫌だから、握手をして帰ったこともあっただろうか。
 もともと寡黙な人だし、それで私としては何の不自由もなかったのだが、本人は時々いらだたしそうにすることがあった。事情を知らない客とは、時々意思の疎通を欠くことがあったようだ。
 たぶん、耳の調子が悪くなって2年くらい経ったときだったと思うが、この焼き手が店を辞めてしまった。店主らしき女性に訊いても、辞めた事情や、彼のその後は教えてくれなかった。だから、どんな事情で辞めたのか、私は知らない。ある日その店を訪ねたら、焼き手が代わっていたのだ。

 中年の男性2人が新たな焼き手だった。やはり、あの店の焼き手は1人では大変な仕事量だったのかと再確認した思いだったが、問題は、すっかり味が変わってしまったことだった。経営的には上手く行っているように見える店だったし、値段からみても、経験者を雇ったのだろうと思うが、正直に言って、味が著しく落ちた。ネタ・ケースを見る限り、ネタの質や、下ごしらえの内容が変わった感じはしない。少なくとも、大きくは違わないだろう。
 塩を振って、炭で焼くというプロセスも同じだ。しかし、ささみのサビ焼きには表面の香ばしさがないし、焼き終えた串の姿を手で何度もぐずぐずと整えるので、視覚的にも旨そうな感じがしない。最も楽しみだったモスラの幼虫(=レバ)も、下ごしらえの形は同じだが、味は普通の生焼けの鳥レバだ。こうなると、かしわも弾力が乏しく思えるし、ぼんじりなどの脂身はスッキリ焼けていないように感じる。物理的に全てがダメだったわけではないのだろうが、こちらの心理的にはもうすっかりダメだった。
 店の感じや居心地は決して悪くないのだが、それからその店に行く気は全く起きなくなってしまった。
 それにしても、全く同じものを、同じ設備で焼いて、焼き手によってこんなに味が違うものだとは思わなかった。焼き鳥の世界も奥が深い。

 「鳥●」の焼き手が代わって、2年くらい経った時だっただろうか。私が当時勤めていたUFJ総研に一通の葉書が届いた。差出人は、あの上手い焼き手だった。
「私は、鳥●にいた、耳の悪かった者で、辞める前にお礼を言おうと思っていたけれども、その機会がなかった。先日テレビを見ていたら、あなたが映っていて、勤め先が分かったので、一言当時のお礼を言いたくて、この葉書を書いた」というようなことが、あらまし書いてあった。現在どうしているか、ということは何も書いてなかった。
 差出人の住所氏名が書いてあったので、「その後、お元気でしょうか。あなたの焼いた焼き鳥は最高に美味しかった。現在でもこれからでも、焼き鳥をまた焼くことがあったら、是非そのお店に伺いたいので、教えて欲しい」というような返事を出したが、その後、返信はない。
 今にして思うと、「あなたの焼き鳥が食いたい」という一点だけが勝った、いささか思いやりのない手紙だったかも知れない。彼は、体調がすぐれないなど、働くことができない状態だったのかも知れないし、「鳥●」に遠慮して、自分が新たに働いている店の名前は出すまいと思っていたのかも知れなかった。
 その時に、どんな返事を書けば良かったのか、今でも分からないが、焼き鳥が焼き手によってかくも異なる奥の深いものなのかということと共に残念な思い出として記憶に残っている。

 先日、数年振りに、「鳥●」にランチの焼き鳥丼を食べに入ってみた。ランチは昔からやっていたのかどうかは分からないが、値段を考えるとどうということのない焼き鳥丼だった。焼き手が、あの時に見た後任者の2人のどちらかだったのかは、記憶が定かでない。周囲は、飲食店の激戦区なので、他に客はいたが、ランチ時なのにカウンターに所々という客の入りで、店内がくすんで見えたし、手洗いの清掃も不十分だった。店自体は続いているようだが、夜にまた来てみたいとは思わなかった。
 その数ヶ月後、店の近所のバーに、焼鳥屋の女主人が、店で着ているのと同じ着物を着て年配の客とおぼしき男性と一緒に入って来て、かなり酩酊した状態で、あれやこれやと飲み物を注文しているのを見かけた。「鳥●」は、きっと夜の雰囲気も変わったのだろうと思った。

 上手い焼き手が焼いた、香ばしく焼けた焼き鳥がまた食べたい。
 最近、焼鳥屋ではなく、少し変わった鰻を出す鰻屋なのだが、焼きの上手い若い料理人を見つけた。同じものを焼いても、彼が焼くと、ひと味違うようだ。今度、彼の焼いた鳥を食べてみよう。密かに期待している。
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「ミシュランガイド東京2008」の印象

 22日に発売された「ミシュランガイド東京2008」を発売当日に買ってきた。初版が15万部も刷られたらしいが、即日完売に近い状況のようだ。私は江戸っ子ではなく、蝦夷っ子(北海道出身)だが、初物は好きだ。加えて、かのミシュランがどのような構成で店の評価を載せているのかを見たかった。

 率直にいって、ガイドブックとしての実用性は高くない。一店について見開き2ページで、文章は右側の1ページで、20字×(20行~最大30行)という構成だが、説明は店(料理人)の歴史と内装に偏っていて、料理そのものの良し悪しや、何がどのように美味しいのか、その店は何が得意なのか、どのくらいの価格かという点に関する情報量が乏しい。
 ガイドブックとしては、例えば文芸春秋社の「東京いい店うまい店」のような和製のグルメガイドの方が、情報量が豊富だし、食べ物のイメージが湧きやすい。

 ミシュランの文章は、鮨屋でいうと、「朝は築地の馴染みの店で素材を買い付けに行く」(鮨屋なら当たり前だろう)とか、「塩と酢をしっかり利かせた自慢のシャリ」といった程度の当たり前のことが書いてあるだけで、好みの鮨屋を選ぶ参考にはならない。
 ただ、取り上げた店に関しては、個々の店に十分敬意を払った書き方をしているので(一つ星であっても)、「評価してやる」というような高圧的な感じや、嫌味な感じはない。この辺りは、ミシュランが、長続きしている秘訣なのかもしれない。
 結局、評価情報そのものは星の数に集約されてしまうので、星の数をネットか何かで調べてしまうと、後は、わざわざ本を買うには及ばない。
 
 一つ大きな不満を言うと、掲載されている写真の出来が悪い。店内の様子を映した正方形の大きな写真と、後は、得意な料理と思われる料理を写した小さな写真が二点あるのだが、どちらもプロが撮ったものだとは思うが、写真そのものの魅力も画質も今一つだ。店内が実物よりも良く写りすぎていない点で、情報としては案外いいのかも知れないが、料理の撮り方に一貫性がないので、他店と比較する場合の参考にならないし、いい店で食事をした後の思い出を振り返る上で、この写真ではつまらない。

 肝心の星による店の評価については、まだ調査が不十分なのだろうと思う。掲載されている店よりも明らかに美味しかろうと思う店で出ていない店が幾つもある。「店構え」に対する評点のウェイトが高すぎるのかも知れないが、もう少し、食べ物本意の評価と情報提供を期待したい。もっとも、調査を始めたばかりなのだろうし、調査員も不慣れで(かつバレバレで)あるらしいので、第一回目はこんなものだろうか。
 何はともあれ、和製の他のグルメガイドブックの出来の良さが際立つ「ミシュランガイド東京」2008年版の出来栄えといえる。

 ところで、このブログを始めるとき、食べ歩き、飲み歩きの記事をかなりの分量、たぶん二、三割くらいは書くのではないかと思っていたのだが、振り返ってみると、「飲み食い」のカテゴリの記事が少ない。理由は二つある。
 一つには、食べ物を目の前にして写真を撮るのがマナー上どうにも感じが悪く思えて抵抗があることだ。もう一つは、店の「評価」を書こうとすると、いいことばかりは書かないと思うのだが、自分の書いた文章が、現実に商売をしている人達のマイナスになるかも知れないことについて、食べ物の世界では覚悟を十分持てないことが原因だ。金融商品に関しては、インチキな商品や、手数料の高すぎる商品について、何のためらいもなく、こき下ろすことが出来るのに、我ながら少し不思議な弱気だが、食べ物の良し悪しについては、金融商品ほどはっきり分からないので、これでいいのかも知れない。
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ボトルの個体差と経時変化のことなど

 ここのところ昼型生活(私には早起きだが7時台の起床で「朝型」は恥ずかしい)で、帰宅が早いため、バーに寄る回数が減っている。3日ほど前、友人と食事をする用事の帰りに久しぶりに、シングル・モルト専門(と表示しているわけではないが、実質的にそういう店)の我が師匠M師の店に寄って、1時間少々で5杯半飲んだ。「半」というのは、写真の右から二番目のボトルに僅かにお酒が残っているが、5杯飲んだ後に、これを片付けたために、「半」が追加された。
 写真の右から2番目と真ん中のボトルは、ゴードン&マクファイルというボトラーのコニサーズ・チョイスというシリーズ名によるボトリングのアードベッグで1974年蒸溜・樽詰めのものだ。ラベルは微妙に違うが(出荷された地域の違いだろう)共にボトル詰めは2003年のものだ。度数は40度、ということは、もともとの樽出しの状態(50~60度前後)に加水されていて、モルト好きとしては、普通は少しガッカリするところなのだが、このお酒に関しては、当てはまらない。2本とも、アードベッグ独特の金属臭を伴った刺激的で心地よい鋭い香りが立ち上り、口に含むと焦げたオレンジピールのような柑橘系の香りと、カカオのような甘さを感じさせて、それだけでなく、アードベッグらしいヨードっぽさもあって、飲み込んだ後も、帰りのタクシーの中までたっぷり余韻が返ってくる逸品だ。
 但し、新旧二本のボトルの香りと味には、少しだが、はっきりした違いがあった。旧瓶の方が、香りが華やかで、味が複雑なのだ(二杯並べて、較べて飲んだので、私でも、かなり明確に違いが分かった)。
 お酒のタイプにもよるが、ボトルの開けたては、香りも味も十分開ききっていないことがある。開けて数日後くらいが、ベストの飲み頃になる場合が多い。モルト・ウィスキーの場合、時間の経過による劣化は僅かで、特に、ボトル内の酒量が十分あれば、数ヶ月くらいは、味が落ちた、と感じることなく、状態の変化を楽しめる範囲で推移する。ただし、最後の3~4センチくらいになると、香り、味共に、「抜けてしまった」「インパクトが落ちた」と感じることがある。
 しかし、ウィスキーの場合、開栓してからの経時変化は、ごく僅かだし、保存状態による差も出にくい。何れもワインとは、二桁(?)は違うといっていいだろう。尚、M師のバーもそうだが、管理に気を遣うバーでは、開栓後は、ボトルの栓の周囲をテープで巻いておくことが多い(回転のいいオフィシャル・ボトルや明らかに安い物は対象外だ)。栓の部分の個体差にもよるのだろうが、結構な差が出る。テープで巻いていないバーでは、残量の減ったボトルは避けたほうがいい場合がある。
 私が感じた新旧ボトルの味の違いの原因は、先ず、開栓からの経過時間の差が影響していると考えることができる。旧瓶の開栓は、4カ月少々前だったし、新瓶は、記念すべき口切りを飲ませて貰った。新瓶に関しては、今後数日間で、香り、味共に開いてさらに美味しくなる可能性がある。
 また、ボトルの個体差も時にある。今回較べたものの中身は、ボトリング当初は、ほぼ同じ(全く同じの可能性もある)ものであっただろう(樽は1つではなさそうだ)。それでも、個々のボトルによって、多少の差が出ることはある。
 ウィスキー好きが追求するジャンルで、オールド・ボトルと呼ばれる、ボトリングの古いものに関しては、この個体差が大きくて、開けてみるまでどのくらい良いか悪いか分からない、というケースが多いようだ。私は、とてもオールド・ボトルまでは手が回らないが、何杯か美味しいものを飲んだことはある。
 今回の二本に関しては、場合によっては、旧瓶が個体として例外的に素晴らしかったのかも知れないが、まだ、新瓶がレベルを上げて来る可能性が残っている。成長を見守ることになるか、老化に付き合うことになるか、分からないが、今後、M師の店を訪ねるたびに、飲むことになるだろう。

 幾らか趣味性を持って飲むお酒としてシングル・モルト・ウィスキーを考えると、幾つか長所がある。特に、ワインと較べてみよう。
 
(1)シングル・モルト・ウィスキーの場合、保存管理がデリケートではないので、いろいろな場所で、ほぼ同じものを飲むことができる。大きな期待外れは少ない。
 ワインは、ラベルが全く同じものであっても、流通過程や保存の状態によって随分味が変わる。輸入から保存まで一貫して管理しているレストラン(たとえば三田の「シュヴァリエ」)で飲むと、そう高くないものでも、非常に美味しい。産地で飲み頃のものを飲むと、本当に美味しいのだろうなあ・・・。この頃は、「キミは、インド洋で一度死んだのだね」(輸送中の暑さでダメになった状態)と言いたくなるような、明らかに変質したものは減ったが、それでも、ワインの場合、どのように保存されているものを飲むかによる満足度の差は、非常に大きい。
 酒質の安定性は、家で飲む場合にも大いに助かる。
 尚、ウィスキーの場合、ワインのように寝かせて置いておくと、コルクが溶けてまずくなる。コルクが壊れて瓶の中に落ちる「コルク落ち」と共に警戒したい。

(2)シングル・モルト・ウィスキーは、飲み方が簡単だ。
 栓を開けて、注いで、飲めばいい。M師のバーでは、味のインパクトに重点があるお酒の場合のグラスと、香りを楽しむことに重点がある場合のグラスが違うが、グラスにはそう気を使う必要はない。尚、なぜだか分からないが、香りは、お酒を注ぎ終わった後のメジャーカップで調べるのと、よく分かる。
 一方、ワインの場合、特に赤ワインの重いもの(←個人的には好み)は、開栓して、しばらく(数十分から、2,3時間まで幅があるが)してから飲む方が、明らかに美味しい。レストランで、しばらく時間が経った最後に残った赤ワイン(4人だと、白、赤、赤、と飲むことが多い)を、もったいないからと思って飲んでみると、別物のように美味しいことがある。少なくとも、開栓直後の赤ワインが、そのワインにとってベストの飲み方である可能性はほぼゼロだろう。最近、気に入っている喩えを使わせて貰うと、「開けて直ぐのワインを飲むなんて、寝起きの女を美人コンテストに出すようなものだ」ということではないのか。短時間で空気に触れさせるデキャンティングという技があるが、あれは、「急いでする化粧のようなもの」で、開栓してしばらく置いておいたものには叶わない。味が荒れた感じがする事が多い。所詮、テレビ局のメークのようなもので、生で近くで見ても美しいというレベルには達しない(それでも、テレビ画面で見ると、きれいなのだから、驚く)。
 レストランで、フランス料理やイタリア料理を食べるときに、ワインの飲むのは楽しみの一つではあるが、リストからワインを選んで、そこで栓を抜いて直ぐに飲むのだから、美味いはずがない。正確にいうと、お金を出すと、「寝起きでもイイ女」みたいなものに会うことはできるが、相手がベスト・コンディションでないことは確かだ。
 私は食い意地が張っているからそう思うのかも知れないが、レストランでは、ワインにはお金を掛けずに、料理にお金を掛けたい。もう一歩踏み込んで言うと、フレンチ、イタリアン共に、ワインで稼ぐビジネス・モデルの店が少なくないが、出てくるワインのコンディションを考えると、これに付き合うのは馬鹿馬鹿しい。

(3)シングル・モルト・ウィスキーは費用対効果がいい。
 特に家飲みを考えた場合、かなり高価なお酒を買っても、楽しめる回数を考えると、シングル・モルト・ウィスキーは安い。通販のワイン(私の場合、本当は「楽天!」と言わねばならないが、ヴィノス・ヤマザキである)の費用対(満足)効果はかなり改善したと思うが、それでも、アルコール量換算を考慮しても、シングル・モルト・ウィスキーは割安だと思う。もちろん、保存や飲み方まで考えると、圧倒的に扱いやすい。

 ワインも美味しいと思うし好きだけれども、趣味的な対象としてはシングル・モルト・ウィスキーがいいな、と近年、強く思っている(注;友人に告ぐ。「ワインの選択は、お任せします!」)。

 趣味として楽しむには、ベーシックな知識と経験(要は飲むこと!)を、ある程度効率良く手に入れたい。詳しいバーテンダーが居るバーで指導を乞うのが一番だと思うが、東京近辺にいらっしゃる方のために、M師のバーをご紹介しておこう。特にIslay系のモルトがお好きな方にはいいだろうと思う。
 店名は、正式には「Bar. Polka Dots & MOONBEAMS」、簡単に言うと「ムーンビームス」。住所は東京都千代田区神保町2-2-12サンエスビル地下1階、電話03-3263-3211。神保町の交差点のキムラヤのナナメ裏にあるビルの地下一階だ。ホームページは、 http://www.ff.iij4u.or.jp/~yukiom/。日曜休日。時間は「一応」午前2時までだが、零時を過ぎる場合は、電話した方がいい。
 簡単なメニューしかないので、自分が知っているつまらないカクテルやバーボンの名前を叫んで自爆(?!)するお客さんが居るが(もちろん、カクテルも作ってくれるのだが・・)、目の前に、数百本のシングル・モルトが並んでいるのだから、何を飲んだらいいか、相談してみるのがいい。好みと、知識に応じて、指導してくれる(たとえば、初心者は、徐々に慣らしてくれる)。値段は同種の店と比較して高くはないし、値の張る物については、事前に説明してくれる。お腹に溜まるツマミはないので、軽く腹ごしらえしてから、行くといい。
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朝起きたら、Ardbegになっているかも

 今日は、神保町の「我が社」(=株式会社マイベンチマーク)に出勤。原稿を二本書いてから、同僚(大げさに言うと共同経営者)と共に、モルトの師匠M氏のバーに行った。
 
 昨夜の寝不足もあり、いつもほど飲めなかった(今日は6杯)のだが、コニサーズ・チョイスの1974年のアードベッグ(アメリカ向けのボトルで、1993年に瓶詰めのもの。常連で斯界の権威、Y氏のご好意によって入手できたらしい)が何とも滋味深く、美味しかった。

 度数が40度(樽出しの状態ではなくて、加水されている)ということなので、「最高」は期待していなかったのだが、強くて深い香りと、優しいが隙のない味わいが同居した、素晴らしいお酒だった。

 繊細な金属臭(イライラさせるような悪い感じではなく、感性を目覚めさせるような鋭い香り)と、上質の皮革(高いものの香りがいいのかどうかは、分からないが)のような豊かな香りが、グラスに残り僅かになっても、全く衰えることなく、継続していて、勿体なくて、なかなか飲み干せない。

 口当たりはソフトなのだが、低度数のものにありがちな、緩んだ感じが皆無で、味わいに全く隙がない。飲んでいるうちに、何やら自分が思慮深い人間になったような錯覚(絶対に、錯覚に違いないけれど)を覚えた。

 現在、帰宅してから、1時間半が経過しているが、未だに香りの余韻が喉と口中に残っている。

 カフカの「変身」は、朝起きたら、自分が醜い虫になっていた、という話だったが、朝起きたら、自分が一本か一樽か分からないが(最近、太ったので、樽かも知れない)、アードベッグ(Ardbeg)になっていた!ということは、ないだろうか、と今現在、想像している(できれば、ブッシュのようながさつな人物には、飲まれたくない・・・)。

 勿体なくて、まだ水が飲めない。
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ロングモーン

他人に銘柄を勧められるほど、私は、まだシングル・モルトに詳しくないのですが、せっかくのご質問なので、ぶんよう様に回答します。

味が濃いのがお好き、とのことですが、私が昨日買ってきた、このロングモーンは、条件にかなうと思います。ゴードン&マクファイル社がボトリングしたもので、1973年-2005年の、シェリー樽フィニッシュで、カスク・ストレングス(樽のままの濃さで、加水していない)56.2度のものです。銀座の信濃屋で17800円で買いました。

ちょっと高いかなあ、とも思ったのですが、私が飲むとしても数日は間違いなくあるので、一本3000円くらいのワインを6本買うくらいの効用は間違いなくある、と計算して購入しました(欲しければ、素直に買えばいいのに、余計なことを計算します)。

事務所に持ち込んで、同僚(=モルト好き)と味見してみましたが、風向きによっては隣のテーブルにあっても香るような強い香りの持ち主で、口に含むと、干しぶどうのような深い味(もちろんスコッチの味もするのですが、上質のブランデーをもっと落ち着かせたような味が混じっています)と共に、軽くミントのような香りが喉に抜けていきます。開栓したてということもあるのでしょうし、度数も高いのですが、インパクトが強くてロングモーンとしては、幾らか辛口に思えます。フルーティーな味もあるのですが、現段階では後方に控えています(たぶん、数日するともう少しフルーティーになると思います)。加えて、何よりも特徴的なのは、飲み終わった後の香りの戻り(「フィニッシュ」と呼ぶらしいです)が強くて長いことです。これは、「一杯だけ」のぶんよう様に向いていると思います。

我がモルトの先生、M師によると、「ロングモーンに外れなし」なのだそうですが、長期熟成のロングモーンの場合、確かに、これはハズレ!と思ったことはありません。しかし、幾つかタイプがあり、甘くて重いシェリー樽の味の強いもの(この場合もミント臭を感じますが、味わいがいくらか重い。そんなもの、食べたことはありませんが、ちょっとコールタールを混ぜた干しぶどうのような感じ)、フルーティーでふわふわと軽い千疋屋(←老舗の果物屋さん)風、何れとも異なる、マジメで辛口のロングモーンです。

実は、このボトルを買うのは2本目で、1本目はとある銀座のバーにキープ用に(キープ手数料を払ってキープして貰う)持ち込んだのですが、たまたま近所のバーのバーテンさんが来ていて、彼にも飲んで貰ううちに、彼の同僚が現れ、また逆隣のお客さんにも一杯差し上げ、当然のようにバーの女主人もテイスティングして、という具合に、初日に半分以上なくなりました。何れの方にも好評だったので、サンプル調査としては、まだまだ不十分ですが、お勧めする次第です。

「うーん、家で飲むには、ちょっと高いなあ」、「近所の酒屋にはないよ」という場合の、割合どこにでもあるもので費用対効果が良いものは、ラフロイグのカスク・ストレングス(10年)のものでしょうか。こちらも55度くらいありますが、ラフロイグなので、看護婦さんの匂いがしますし、麦の香ばしさのような陽性で力強い味があるので、アイラ好きの方の家飲み用にはいいと思います。

奥様がアイラは苦手、というような場合は、炭酸水を買ってきて、ソーダ割りにすると、たぶん喜ばれると思います。ラフロイグのソーダ割りは、M師が、「アイラはまだちょっと」というお客さんのアイラ調教の初期に使うテクニックの一つですが、二、三回飲むと、「なんとなく、こんな刺激がないと、物足りない」という気分になります。思えば、私の場合は、十数年前に、新橋にあったバーのマスターSさんが、調教してくれたのでした。
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友人とシングル・モルトをどう飲むか

 残念ながら、およそもてなかった若手社員時代、ある友人と、ワイン・パーティーをどのように開くか、ということを考えた。

(1)ホテルのスイートルームを借りる。
(2)男性参加者は、一人1本以上、「いいワイン」を持ってくる。
(3)女性参加者は、それぞれ食事やおつまみを作って持ってくる。
(4)費用は、ワリカンでもいいが、まあ、男性参加者の頭割りにするか。
  <以下略>

 これでは、何のこと無い、下心丸見えの合コンではないか。しかも、時代が古い(四半世紀前)とはいえ、女性は食べ物を作る(のが、向いていて、嬉しいだろう)と決めつけていて、面倒くさいプロセスを女性に頼もうとしているのだから、全く話にならない。もてなかったことは、全くの自己責任だと、よく分かる。全く、お恥ずかしい限りだ。

 さて、月日は流れて、もうメンバーは男女どっちでもいい(本当、本当!ある程度はね・・・)のだが、いろいろなお酒を、気楽に(一杯の量や値段を気にせずに)、かつ楽しく、試してみたい。もちろん、ワインも飲むのだが、状態の管理が面倒なことと、誰かが必ず行うワインの講釈にいささかくたびれる。この際、最近よく飲んでいるシングルモルト・ウィスキーを多人数で飲む手順を考えてみたい。

 実は、行きつけのバーでは、時々「感謝祭」などと称して、途中まで空いているボトル20~30本くらいを何らかのコンセプトで並べて、30-40人くらいの愛好者を招いて、会費制で、立ち飲みのパーティーを催す。この感謝祭は、較べてみたいお酒を自分で注いで飲むことが出来るし、なかなか楽しいので、概略を書いてみよう。

 参加申し込みは必要だが、先ず、入場する際に所定の会費を払う(たとえば5千円とか、8千円とか。内容に対しては、非常に割安!)。その際に、自分用のテイスティング・グラスと500ccの水(ボルヴィック)が入ったペットボトル(チェイサーである)を受け取って、後者には、マジックで名前を書く(取り違いを避けるため)。あとは、バーの椅子を取り払った会場で、決まった場所にボトルを固めて並べて、これを参加者は手酌で飲むのが基本だ。「どれが旨かったですか?」などとお互いに話が弾む。

 ゆっくり食べられるだけのスペースが無いことと、「飲む」ことが中心であることもあって、食べ物は、ベーコン、ナッツ、チーズといったウィスキーに合う塩気のあるものと、場合によってはサンドイッチ、焼き鳥などの軽食が多少ある程度の場合が多い。手製のつまみを持ってきてくれる参加者もいる。

 バーの店主も参加して、彼は、水の追加(チェイサーは結構飲むことになるので、大きなペットボトルを置いて、参加者が自分のペットボトルに水を追加する場合もある)、お酒の解説、適宜生じる後片付けなどの仕事をこなす(だいたい2,3人のボランティア協力者がいることが多いが)。開催時間は、3-4時間であることが多いが、人の入れ替わりもあるので、受付や、店主をはじめとするお世話係は結構忙しい。

 さて、この店で開催される「感謝祭」は、大変楽しいのだが、一つには、バーの場所が居るし、もう一つには、もう少し少人数の友達同士でも、このような感じで、モルトの飲み比べをしてみたいと思う。どんな感じで開催するといいか、考えてみた(というか、まだ、考えている途中だ)。

 場所は、休日のバーなり喫茶店なりを借りることができると快適だが、少々大げさになるし、気を遣う。誰かの自宅か、会社の会議室のような場所で我慢するか。但し、最低限グラスを洗わなければならないので、近くで水が使える台所のような設備がないと難しい。できれば、冷凍冷蔵庫も一台近くに欲しい。施設としては、学校の教室や、家庭科室のような所は素晴らしいが、世間様の目を考えると、そうも行くまい。ある程度の広さのある家ということは、家族が同居している場合が多いだろうから(ホリエモンのような独身・金持ち男が居ると別だが)、その家の家族に気を遣いそうだ。
 
 ホテルのスイートルームは少々高い。その費用はお酒に回したい。持ち込みOKのカラオケボックスというような手もあるかも知れないが、台所が使えないし、歌い始める奴が居ると、収拾がつかなくなりそうだ。ちょっと無粋な感じだが、自由に使える点で、誰かの会社の会議室がいいだろうか。

 お酒は、一人が一本持ってくると、分量的には多過ぎるだろう。しかし、何かゲームでもやって、残ったお酒を(量・質両方を評価して)勝った順番に好きなものを選んで自宅に持ち帰ることが出来る、という仕組みにすると、盛り上がりそうだ。ここは、是非、一人一本としたい。

 経験的にいって、チェイサー用の水は相当潤沢に用意しておく方がいい。一人1リットルプラスαくらいを用意しておきたい。また、冷蔵庫があれば、ギネスやヒューガルデンなどのビールを冷やしておくと、きっと喜んで飲む人が出てくる。

 食事はどうしようか。世話役がデパ地下に繰り出して、出来合いのものを買ってくるのが一番簡単そうに思える。ただ、小さなまな板とナイフはある方がいいだろう。ウィスキーの場合、それほど豪華なつまみは無くても十分に楽しめる。イギリス人の食べる程度のもので十分だ。

 しかし、つらつら思うに、最近は、ウィスキーを好んで飲む人があまり居ない感じがする。たとえば、8人くらい(別に合コンではないから偶数でなくとも良いが)のウィスキー大好き人間を集めるのは、案外大変かも知れない。全く同じでなくとも、ある程度、飲む量が同じでないと、「格差」が問題になるかも知れない。構想はしてみるものの、このような集まりは、なかなか実現が難しいかも知れない。

 このように考えると、一升瓶をぶら下げて、あとはプラスチックのコップとするめくらいあれば、インドアでも、アウトドアでも、どこでも何人ででも酒盛りが出来る日本酒というお酒は、社会性に優れたお酒なのかも知れない。
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10月16日~17日にかけて飲んだ8杯

ここのところ、当ブログでの私の発言は、エントリーもコメントも、憤ったり、心配したり、というものが多い。もちろん、「怒るべき時は、正しく怒る」ということも大切だし、議論もいいのだが、たまには、お酒の話でも書いてみよう。16日(月)から17日(火)にかけて、飲んだシングル・モルトウィスキーだ。

実は、土曜・日曜・月曜と、原稿書きの〆切が9本ほど立て込んでいた。16日の夜に、神保町に借りているオフィスで、9本目を書き終わったときには、さすがに少しくたびれた。近所にある、師匠M氏(勝手に入門したのだが)がやっているバーに、一人で飲みに行くことにした。いつも、一緒に会社をやっているH氏と一緒に行くことが多いのだが、今回は一人だった。

結局、8杯飲んだのだが、簡単に思い出してみる。私は、ウィスキー通でもなんでもないので、以下のコメントは、話半分くらいに読み流して欲しい。また、「酒を飲んでいて、覚えていない」というような言い訳は嫌いだが、これを書いている現在は、ショットで8杯飲んだ酔っぱらいである。アルコール検査をされれば、間違いなく陽性だろう(もちろん、タクシー&徒歩で帰ってきました)。

写真は、私が飲んだお酒のボトルを、右から飲んだ順に並べたもので、鞄の中に入っていたデジカメ(リコーのGR)を、ブレないように、チェイサーのグラスの上に乗せて、撮ったものだ。

以下、飲んだ順に印象を思い出してみる。尚、飲み方は、何れもストレートだが、消化器のために、チェイサーをたっぷり飲みながら、飲んだ。

1)ラフロイグのオフィシャルボトルだが、字体が現在のものと少し違う。実は、60年代に仕込まれて、70年代にボトリングされたオールドボトルで、店主が、最近仕入れた自慢の一本だ。度数は43度で、加水されたものなのだが、ラフロイグなのに、メロンのようなフルーティーな味がする。穏やかで、深い、余韻の残る不思議なお酒だが、オールド・ボトルの全てがこんなに美味しいわけではあるまい。どうしてこうなるのか分からない、神秘的な一杯からスタートした。

2)二杯目は、ここ二ヶ月くらい、ほぼ毎回飲んでいる、ハートブラザーズというボトラーが詰めたラガバリンだ。カスク・ストレングス(樽のままで、加水していない)なので、50数度あるが、これは、ラガバリンらしいインパクトが存分にあり、多少煙くてオイリーだが、しかし、香ばしいという、申し分ないお酒だ。

3)ウィスキーフェアのタリスカーで、度数は46度だ。タリスカーらしいスパイシーさと、蜂蜜とまではいかないまでも、ある種の甘さとが、バランス良く、同居している。こんなのが、家にあるといいな、という一本。

4)ウィスキーフェアのラフロイグで、熟成は16年、度数は確か50度強。これは、多少のヨード臭とピートの煙臭さ、しかし同時に、上手く言えないが、麦の陽性な香ばしさとでもいった感じが程良く詰まっていて、しかも、年数の割に「枯れた感じ」(師匠)もあり、深い。

5)やっぱり、アードベッグも飲みたいと、ケイデンヘッドがボトリングした、1994年仕込みの12年物を頼んだ。度数は、59度強あり、90年代のアードベッグに独特の乳酸臭が一際強い。同じケイデンヘッドのボンドリザーブシリーズも乳酸臭が強かったが、あちらの方が金属的な鋭さと煙さがあった。これは、麦の香りを何やら「太く」感じる逞しい風合い。最近のケイデンヘッドの(オーセンティック・コレクションというのだろうか)瓶詰めのものには、どこの蒸留所のものでも、こうしたニュアンスを感じる(実は、事務所に置いてある、グレンファークラスとラフロイグもなかなか旨い)。

6)ベンリアック、という私は聞いたことがなかったスペイサイドの蒸留所のもので、1968に仕込まれた37年物で、度数表示は47度だが、これは、上品でトロピカルな香りの不思議なお酒だった。本日、一番の収穫だ。優しくて、フルーティーなのだが、果物で言うと、生臭くないパパイヤ、あるいはライチのような感じだろうか。

7)本日は、これが目当てであった、1972年仕込みのロングモーンだ。度数は、確か、45度だったが、十分に深い味わいだ。シェリー樽のもので、干しぶどうのような風合いと、いくらかミントのような香りがするのは、長期熟成のロングモーンに共通だが、味が濃いのにしつこくない。しかし、余韻は十分ある。これは、いい、これで、仕上げと思ったのだが・・・。

8)自らにトドメを刺すために、キングスベリーのタリスカーを注文した。1979年仕込みで14年物というのは、ケイデンヘッドの緑のボトルで、同じものがかつてあり、これは、翌朝までフィニッシュ(喉からの戻り香)が残っている、というような、桁外れの一品だった。このタリスカーも素晴らしく、スパイシーな感じと、香ばしさが、交互に登場して、いつまでも余韻が残っている。度数は64度もあり、これの次に飲んで「負けない」お酒を探すのは、難しい。納得のシメであった。

今日の話は、単に、こうしてお酒を飲んで、大変幸せな気分で帰宅した、というだけで、それ以上に何か思索があるわけではない。

シングルモルト・ウィスキーにご興味のある方のために、師匠の店(カウンターのバー)をご紹介しよう。「Bar, Polka Dots & MOONBEAMS」 という店で、場所は、神保町交差点のキムラヤの裏にあると思えばいいだろう。地下一階の店で、店主は37才くらいの渋めのいい男だ。電話番号は、03-3263-3211。営業時間は平日は「約」午前2時までで、土曜日は0時まで(日祝休日)。音楽は、ジャズかブルースだ(音量は大きくない)。詳しくは、お店のホームページをご参照下さい。(http://www.ff.iij4u.or.jp/~yukiom/)

酒飲みなら、バーの中に入って、席に着いたら、どんなお酒があるか見回してみよう。置いているお酒の8割以上は、シングル・モルトで、とりわけアードベッグの種類が多い。「何か、美味しい、シングルモルトはありますか?」と質問すると、大いにヤル気を出してくれるだろう(バーボンやカクテル、ビールなども、あるにはあるが、店主の頭の中には無い、と言った方が正確だ。悪いことは言わないから、店内を見てから注文しよう)。「取りあえず、ビール」などと言いたくなる場合は、「ラフロイグのソーダ割り」あたりを代わりにオーダーしてはどうか。今なら、ソーダ割りにすると非常に美味しい、オールド・ボトル(70年代のボトリング)のホワイトホースなどもある(いつまでもあるとは限らない・・)。ともかく、何を飲むか、相談してみることをお勧めする。
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最近、家で飲んでいるお酒

最近家で飲んでいるお酒のラインナップを写真と共に紹介する。別にポリシーがあるわけではないが、何れも、蒸留所のオフィシャル物ではなくて、ボトラー(樽を選んで買い付けて、瓶詰めする業者)物である。

左から。
①コニサーズ・チョイスのアードベッグで1995年に仕込まれたもの。度数は40度で、つまり、樽出しの原酒に水を加えたものだ。この種のものを同僚の服部氏とは「水割り」と呼んでいるが、このお酒はそれなりに「煙っぽく」「ヨード香があって」「やや乳酸臭がある」90年代アードベッグの典型的な個性を備えている。これらの特徴は、字面を見ると、とても美味しそうに思えないかも知れないが、アードベッグ党には好ましい性格なのだ(乳酸臭は意見が分かれるが)。

②キングスベリーのラフロイグで1988仕込みのもの。度数は59.1度で樽出しそのまま。一つの樽から詰めた「シングル・カスク」であり、240本のうちの170番目という表示が手書きで記されている。もう飲んでしまったかと思っていたら、三日前にまだあることを発見、嬉しい誤算だった。酒質が非常にしっかりしていて、セメダイン的な強烈なインパクトと、モルトの豊かな香ばしさが同居している。ストレートで飲むと、満足度は高いのだが、そう続けて飲める酒ではない。ところが、ほんの少し水を加えると、ぱっと花が開いたように香りが開く(インパクトは相変わらず強烈だが)不思議な酒だ。残り少ないのが残念だ。

③同じくキングスベリーのスペイサイドのお酒で、バリンダロッホと蒸留所が記されている。つまり、グレン・ファークラスである。年数が経っている割に54.1度と度数が高く、甘辛いようなカラメル臭と共に、シェリー樽の風味がたっぷり着いている。不出来なシェリー樽のモルトにはガッカリすることがあるが、これは長期間熟成しているにもかかわらず、嫌な感じがない。味が濃いのでデザート的に飲んでいる。

④ダグラス・レインというボトラーの「トップ・ノッチ・コレクション」と題した酒で、「スカイ島の蒸留所」ということは、中身は「タリスカー」だ。これも、シングル・カスクである。タリスカーはスパイシーで深みのある、時にとんでもなく素晴らしい酒を生む良い蒸留所だが、このボトルは、アルコール度数50度に調整されていて、バランスが取れた優等生的な味わいになっている。全体としておとなしいが、タリスカーの深みは十分に表現されており、飲み飽きしない出来映えだ。タリスカーのオフィシャル・ボトルの20年物の方が値は張るのだが、こちらの方がずっと美味しいように思う。この道の我が師匠(神保町のバーのMさん)によると、ダグラス・レインは費用対効果が良いことが多いという。

これらを舐め舐め(チェイサーに水か炭酸水を用意している)原稿を書いているのが、我が深夜の日常だ。先日、喉の痛みのために行った病院で調べられた(頼んでもいないのに!)γ-GTPは34と、正常上限値の60に対してまだまだ余裕があった。歳(=47歳)を考えると油断してはいけないのだろうが、もうしばらく楽しんでも良さそうだ。
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バー始めの続き

いろいろ飲んで、今日の最後の〆(シメ)は、キングスベリー(これは、ボトラー名)のヘブリディーズ1970にした。この道の師匠であるバーテンダーM氏によると、中身はタリスカー(これは蒸留所)で、蒸留所があるスカイ島がヘブリディーズ諸島の中なので、こういった名前がついたらしい。

キングスベリーのこのデザインのボトルは他にも色々あるが、シンプルでありながら有難味があって(個人的な先入観かもしれないが)好きだ。肝心の味だが、これが素晴らしくて、特にフィニッシュ(飲んだ後の香りの戻り)の継続が群を抜いていて、〆向きのお酒だ。これから、余計な飲み食いをせずに眠ると、明日の朝にもまだ余韻があるというくらいの逸品だ。
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今年のバー始め

1月4日は外向けの仕事始め。元日から3日も家で仕事をしていたのだが、今日は(もう日が変わってしまったが)、今年はじめて世間に出掛ける日だ。

サラリーマンとしての楽天証券への初出勤では、何と一年の初日の今日、健康診断があり、ガラガラの六本木ヒルズクリニックで30分で一連の手続きが終わった。その後、神保町の自分の会社(株式会社マイベンチマーク)に行って、飲みに行く調子をつけるために一本原稿を書いて、いざ出陣!

最初に飲んだのは、写真の左、ケイデンヘッズ(ボトル詰め業者)のアードベッグ(1994年、樽出しの54度台の度数のもの)だ。この時期のアードベッグ特有の乳酸臭があるが、スッキリしたインパクトがあって同時に繊細な感じもあり昨年来のお気に入りだ。

右隣のコニサーズ・チョイス(これもボトラー物)のポートエレンは、加水タイプで40度のものだが、それでも華やかな香りと、とろっとしたコクがあって何とも美味しい。数年前に何度か飲んだ記憶があり(正確に同じものではなかったかも知れないのだが)、懐かしさもあって、これは嬉しい。

今年も美味しいお酒をいっぱい飲めるといいな!
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元日に飲んだお酒

年末年始の休みは基本的に休肝日モードで行こうと思っていましたが、元日だというのに全然お酒を飲まないのも味気ないので、シングル・モルト・ウィスキーを舐めながら単行本の原稿を書くことにしました。
記念すべき元日(というほどでもないか)のお酒に選んだのは、シグナトリーというボトラーのポートエレン(1978年の物。54.3度)です。ISLAY島のポートエレンという蒸留所はもうウィスキーを作っていませんが、香りのいいお酒なので気に入っています。オーク樽(バーボン樽)の普通の色のもので、度数が高い加水していないタイプなので、割合外れがない(色が濃いシェリー樽熟成のポートエレンには時々外れがあるそうです)、とこの道の師と仰ぐバーテンダー氏にお聞きして酒屋で買ってきたものです。

「飲む度に期待以上!」という逸品ではありませんが、「期待通りの味はある」という堅実な優等生です。ISLAY系のヨード臭的な癖や僅かな塩気も感じますが、この種のものの中では甘みとコクを感じます。華やかな香りが口の中に拡がって、飲んだ後にも余韻があっていい気持ちになります。
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