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【エンジニアの生きる道】「360」で今と老後をつなぐ

 株式会社VSN様(技術系人材サービス業)のWEBサイトにて、「経済評論家・山崎元の「エンジニアの生きる道」」というタイトルで、月一回、エンジニアの方に向けたコラムを書いています。
 今月は、「「360」で今と老後をつなぐ」と題する記事を書きました。

 「安心な老後には幾ら必要か?」は、マネー誌などでしばしば見かけるテーマですが、答えるならば「老後の生活による」としか言いようがありません。
 老後の生活について考える上での心構えは、3つあります。

1・老後は、現役時代と比べてお金が無くても、何とか生きてはいけるはずだ。
2・公的年金は、将来減りはするが、破綻して無くなることはないことを知っておく。
3・後の生活費の問題をお金の運用で一気に解決しようとしないことが肝心だ。

 老後の経済問題は、もっぱら現役時代とリタイア後の支出の時間配分の問題なのです。「老後不安商法」に引っ掛からないために、老後の心配に過剰反応しない事こそが重要です。

 更に記事本文では、老後の経済生活が大まかにどのようなものになるのか、具体的に考える方法として「360」という数字を使った方法をご紹介しています。

 もっとも、老後対策で最も重要なことは、高齢化しても働ける、能力・場所・健康の3点を準備しておく事です。インフレ対策の点でも、お金が必要になる不測の事態への対応の点でも、一番安心なのは、将来も稼ぐ方法を用意していて、働けるように準備しておくことなのです。
 セカンドキャリアは、健康で歳を取りさえすれば誰にでも訪れる問題ですが、準備には長い時間が掛かります。一般論を言うなら、45歳くらいから考え始めておくべきでしょう。
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【ダイヤモンドオンライン】経団連「6月選考解禁」の愚 無意味な就活ルールは廃止せよ

 ダイヤモンド・オンラインの「山崎元のマルチスコープ」に「経団連「6月選考解禁」の愚 無意味な就活ルールは廃止せよ」と題する記事を書きました。

 経団連が、昨年改訂した大学新卒者の採用活動のルールを今年、早くも改訂する意向のようです。
 就活に曖昧で余計なルールがあり、しかも、それが朝令暮改される現状は、無意味なルールに振り回される点でも学生が気の毒です。ルールの変更自体がもたらす不確実性のマイナス効果も無視出来ません。
 長期的な問題解決のためには、この採用におけるカルテル行為である経団連の就活ルールそれ自体を、廃止に追い込む事が適切です。

 今回の改訂によっても、この経団連による「採用カルテル」の効果は、基本的に変わりません。採用活動とはいえ、競争制限的な行為をしているのだから、日本の採用市場における、人材資源配分の効率性は大いに損なわれています。より自由な採用を行うようにした方が、学生は、より効率的に就職活動を行えるだろうし、評価の高い学生は、より良い条件を得ることが出来るでしょう。

 自由な採用活動を推し進めると、結果としていわゆる「青田買い」が、競争的に行われることになるかもしれませんが、企業の側でも、「候補者を早く確保するか」、「ゆっくり評価してから決めるか」の綱引きが働くので、青田買いが際限なく早まるとは思えません。
 一方、学生の側では、早く就職が決まると、勉強したい場合は、安心してより学業に集中出来る等のメリットがあるでしょう。
 さらに踏み込んで、例えば「飛び級卒業」を可能にするなど、大学教育を短期化・効率化して、若い労働力が社会で活躍する時間を伸ばす事を考える方が効果的ではないでしょうか。
 そして学生の皆さんには、現在の企業や大学のペースに惑わされずに「時間を有効に使え」と申し上げたいと思います。
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【現代ビジネス】NISAと確定拠出年金に必要な投資教育

 現代ビジネス「ニュースの深層」(隔週連載)に「銀行に人生設計を「お任せ」するのはやめなさい! ~「職場NISA」「企業型DC」の正しい運用法を教えよう」というタイトルで記事を書きました。

   「職場NISA」と称する、醜悪な内容のビジネスモデルが普及しつつあるようです。金融機関、主に銀行が、取引先企業に働きかけて、社員のNISA口座を取り込もうとするスキームです。
 これのどこが醜悪なのかと言うと、銀行が取引関係を梃子にして取引先企業の社員を取り込み、投信の手数料をむしり取る悪だくみの仕組みになっているからです。
 加えて、これらの銀行は、加入者である従業員への投資教育セミナーも行っています。実際にセミナーを取材していないので想像の域を出ませんが、恐らくは「投資教育セミナー」は親切を装った、セールスの場になっていることでしょう。

 この職場NISAと似た仕組みに、確定拠出年金(以下DC)があります。DCでは投資教育の提供が必須であるため、ここでも職場NISA同様に、社員が手数料の高いバランス・ファンドに誘導されていることがよくあります。
 職場NISAやDCに限らず、投資教育では、商品の売り手である金融機関の者ではなく、有料であっても、その金融機関やそのグループと利害のない外部の講師を頼むべきです。商品やサービスの売り手が買い手に施す教育が、中立で合理的であるはずはないと考えるのが、経済的常識でしょう。
 特にそれが「タダ」である場合、実施にかかるコストをどこで回収しているのかを考えるべきです。

 記事本文ではさらに、NISAとDCの運用について、以下4つの重要なポイントを紹介しています。
 NISAでもDCでも、バランス・ファンドのような商品は、制度を十分利用できていない点で失格だということがおわかり頂けると思います。

1.リスクの大きさは自分で決める。
2.年齢や投資経験にこだわらない。
3.全体の中の一部としてリターンの高い商品をNISA、DCを割り当てる。
4.手数料が安いインデックスファンドのみに投資する。

 投資教育については、商品を提供する側からの「タダの投資教育」に頼らず、DCを導入した金融機関と関わりのない外部の講師に「正しい投資教育」を何度もやって貰うのがよいでしょう。
 「タダほど高いものはない」という諺は、こうした商品を提供する側からの、タダの投資教育を安易に利用するような愚行を戒めるためにあります。
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【経済快説】郵政株の賢い買い方を考える 「絶対」はないのが相場

 夕刊フジの木曜日号(水曜発売)に「経済快説」という短いコラムを載せています(web版はこちら)。

 今週は、来月4日に上場予定の郵政関連株について書きました。関連3社合わせて資金調達額が1兆数千億円に及ぶ大型上場となり、株式市場としては大イベントです。
 しかし、株式投資の原則論から結論を言えば、このタイミングで買うのは賢いとは言えません。様子を見て、株価が十分安いと思える水準に来てから買うのが正解です。

 上場時は不確実性が大きく株価形成が安定しないことに加え、仮条件の上限に近い株価となる場合、PERは現在の市場平均並みで、割安感はありません。
 但し、国策企業として現在明らかな非効率性を抱えているとすれば、将来、これを改善するだけで業績もイメージも改善する事が出来るので、投資対象として魅力的な物になる可能性はあります。
 気長に眺めて、魅力的な株価があれば買ってみるという方針がいいでしょう。

 以上のように書いたのですが、これに加えて、ファンドマネジャーは郵政関連3社をポートフォリオに加えるために他の銘柄(主に金融?)換金売りを出す可能性があります。この場合の売りは、銘柄の投資価値の判断に関わるものではない「非情報的なトレード」なので、換金売りで値下がりした対象に投資のチャンスが生じる可能性があることを指摘しておきたいと思います。
 何れにしても、郵政3社ではないところにチャンスを探す方が気が利いています。
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【ダイヤモンドオンライン】「リスクを取るのは嫌」な人のための資産運用法

 ダイヤモンド・オンラインの「山崎元のマルチスコープ」に「「リスクを取るのは嫌」な人のための資産運用法」と題する記事を書きました。

   金融資産の運用で、リスクを取ることは一切嫌だと考えている人は、少なからずいます。当然ながら、投資は、無理に強いるべきものではありません。やりたい人が、自分の計算で得だと思った場合にのみやればよいものです。
 そこで今回は、できるだけリスクを取らない運用はどうするのがいいかについて、考えてみました。

 問題は、運用手段のちがいによる、(1)安全性の評価と、(2)利回りとリスクの有利・不利です。後者は、通常のリスクを取った運用と同様の考え方ですが、この場合、リスク拒否度が非常に大きい、つまりリスクへのペナルティが大変大きい場合を考えるのだと整理するといいでしょう。

 さて、それでは、銀行の預金はどの程度安全なのでしょうか。
 率直に言って、直ちに「危ない」と思う日本の銀行の名前を直ぐ挙げる事は出来ません(私が知らないだけかも知れませんが)。しかし、2、3年先には「危ない銀行」が出てくる可能性は無視出来るほど小さくないと思います。
 銀行の安全性に加えて、運用手段の有利・不利に大きく関わるのが、金利の推移であり、特に近い将来の長期金利がどうなるのかが重大です。
 利率にもよりますが、10年の期間がある債券は、1%の利回り上昇で価格が1割弱下落しますし、政府による「中長期の経済財政に関する試算」をみても、当面は、長期の利付債券や定期預金などでお金を運用することは得策でないということが容易に想像出来ます。

 それではどうしたらいいのか、記事では最後に、安全第一でお金を運用したい個人にとっての、現時点での、運用対象ベスト3を紹介しています。

【安全運用商品ベスト3】
1.個人向け国債・変動金利10年満期型
2.銀行の普通預金(但し1人、1行、1千万円以下)
3.MRF

 皆さんには、今回の「リスク嫌いの人向け」の運用をご参考にして頂いて構いませんが、「そこそこのリスク」を取る運用の選択肢についても、嫌わずにご検討頂けるとさらにいいと思います。
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【ダイヤモンドオンライン】企業の不祥事に社員が違法と知りつつ関わる理由

 ダイヤモンド・オンラインの「山崎元のマルチスコープ」に「企業の不祥事に社員が違法と知りつつ関わる理由」と題する記事を書きました。

 排ガス不正問題で、フォルクス・ワーゲン社(VW社)が今後支払う金額は、途方もない金額になりそうです。さらに、企業イメージ上のダメージも大きいでしょうし、ドイツ国内での雇用や経済にも影響の及ぶ可能性があります。

 経営者を含む社員が、不祥事に関わってしまうのはなぜでしょうか。
 煎じ詰めると、個人にとってそれが合理的に思えるからなのでしょうが、結果から見て合理的でない場合や、判断に当たって特有の心理的な歪みが発生している場合もあるでしょう。

 全ての企業不祥事に共通とまでは言えませんが、記事本文では、多くのケースで共通する心理として、以下の3つを挙げています

1.個人が組織から受ける重圧
2.組織を建前とする個人の責任意識の希薄化
3.問題を軽視する現実認識の楽観的歪曲

 例えば、東芝の不適切会計問題では、各部門は上からの要求を断れず、現場の社員も部門マネジャーの指示に従わざるを得なかったのでしょう。不正を知る立場にある社員の心理としては、「会社のため」だから「やむを得ない」と思うことで、倫理観が麻痺していた部分はあったと思います。
 VW社においても、「我が社の場合は、たいした問題にはならない」という過度に楽観的な現実認識が、経営者をはじめ関係者にあったのではないでしょうか。

 正直な国民性と思われていたドイツにおいても、先進的とされる日本型企業ガバナンスにおいても不正は起こるという事実には、社会的には歓迎できないことながら、人間とビジネスの普遍性を感じて、ある種の感慨を覚えます。
 不祥事というものは、国民性やガバナンスくらいで抑え込むことができるヤワな生き物ではありません。
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