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【ダイヤモンドオンライン】マイナス金利の三大被害者は年金基金、生命保険、銀行

 ダイヤモンド・オンラインの『山崎元のマルチスコープ』に「マイナス金利の三大被害者は年金基金、生命保険、銀行」と題した記事を書きました。

 デフレ脱却に向けたマクロ経済政策として、総合的にはプラスに働くことが期待されているマイナス金利政策ですが、この政策によってマイナスの影響を与える主体が幾つかあります個別のケースで異なるでしょうが、金融関係では、主な被害者として以下の3つを取り上げました。

(1)年金基金
 長期金利の低下は、将来の年金支給に必要と計算される年金資産の現在価値を直ちに引き上げる効果を持つので、年金財政を直ちに圧迫します。

(2)生命保険会社
 生命保険会社もまた、年金基金同様「遠い将来にお金を支払わなければならない主体」です。
 契約期間が長くて貯蓄の要素が大きな保険を販売中止する生保が出てきており、今後は、顧客の側で、商品の損得に加えて、生命保険会社の長期的な破綻リスクを考慮する必要が増してきたと考えられます。

(3)銀行
 一般顧客向けの預金金利をマイナスに出来ない一方で、貸出金利が低下し、有価証券運用の利回りが下がるので、「資金利ざや」が縮小したり、マイナス幅が拡大したりしています。メガバンクよりも、地銀や第二地銀、信組、信金など中小の預金機関への影響がより大きいはずです。

 一般人にとってとくに注意が必要なのは、預金を集めても儲からなくなった銀行が、投資信託、生命保険、ラップ口座など、手数料の厚い商品のセールス攻勢をかけることです。銀行がこれらの販売に本気を出した場合に、顧客側が支払う莫大な手数料コストと、顧客が抱え込む最近の投信商品の大きくて複雑なリスクこそが、マイナス金利政策がもたらす最大の弊害かも知れません。

 マイナス金利の状況下にあっても、安全に運用したいお金は、「個人向け国債・変動金利10年型」を購入する事をお勧めします。
 尚、定期預金も国債も利回りが下がったので、普通預金にお金を置いておくことは、預金保険の保護限度は守るべきですが、案外悪くないことも付け加えておきます。
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【東洋経済オンライン】マイナス金利下の安全運用は「個人向け国債・変動10」が断然!

 東洋経済オンラインで掲載中のコラム「山崎 元が読む、ちょっと先のマーケット」に、マイナス金利下での安全資産運用について書きました。

 当面は、当座預金の10兆円程度に「-0.1%」のマイナス金利が適用されるだけですが、「限界的余剰資金の安全な置き場所のコスト」が動いたことにより、金融市場が被る影響は小さくありません。
 新聞や雑誌では、非常に細かな数字を並べてマイナス金利下の運用先を比較するような特集が目につきます。しかし、金利が下がったその時に、「お金はどこに預けるのが有利なのか?」という関心を持つのは、運用のセンスがいいとは言えません。
 仮に普通預金で考えると、利率0.02%から0.001%への変更は、100万円預けて、年間200円あった利息が、年間10円の利息に変化したということで、そもそも、利回りがいいとか、悪いとかを論じることにどの程度意味があるのかを、賢い利用者は考えるべきです。

 それでは、できるだけリスクを取らずに安全にお金を運用したい人は、どうすればいいでしょうか。
 結論を言うと「直ぐに使うお金ではない、まとまったお金」の運用には、圧倒的に「個人向け国債・変動金利10年満期型」(通称「個人向け国債・変動10」)がよいと言い切れます。
 この状況下で尚「個人向け国債・変動10」が優れている理由について、コラムでは以下3点にまとめて説明しています。

1.国債なので安全(信用リスク)面で銀行預金等よりも有利
2.長期金利上昇(=国債暴落)に強い
3.最低保証利回り0.05%が、今となっては有利

 最後に、「個人向け国債・変動10」は様々な金融機関窓口で購入できますが、窓口で他の商品(投資信託や保険など)を勧められても、「絶対に」買ってはいけません。稼げる手数料が極めて少ないため、これ以外の「暴利!」と言いたくなるような劣悪商品を売りつけようとしてくる、彼らのセールスに負けないで欲しいと思います。
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【ダイヤモンドオンライン】鴻海に買収されたらシャープ社員はどう振る舞うべきか

 ダイヤモンド・オンラインの『山崎元のマルチスコープ』に「鴻海に買収されたらシャープ社員はどう振る舞うべきか」と題する記事を書きました。
 鴻海による買収はまだ最終決定ではありませんが、シャープが完全に鴻海傘下に入った場合の元シャープの社員を例に、被買収企業の社員がとるべき行動についてまとめています。

 率直にいって、買収されるのは、悪いことばかりではありません。これまで経営層に上手く取り入ってきた「社内エリート」にとっては悲劇かも知れませんが、そうでない社員にとっては、その時に持っている実力と運に見合ったポジションを取ることが出来る可能性が生じる、大きなチャンスとなり得るイベントです。

 今回のシャープに限らず、被買収企業の社員はどのように考えて買収を迎えるべきか、記事では、以下の3つの心得にまとめています。

【被買収企業社員の心得3箇条】

1.自分にとっての損得に集中せよ。昔の仲間と群れるな。仕事に不可欠な者以外の同僚は、仲間ではなく、ライバルである
2.様子を見ずに、極力早く買収側の積極的な味方であることを表明せよ
3.買収側にとっての「自分の価値」を最大化せよ

 尚、ここで、大事なことは、「自分にとってどうか?」という視点で考えることです。「われわれ(職場単位等)」でも、まして「シャープ」にとってどうか?等と考えてはいけません。そのような利害の単位は、実質的には存在しなくなるからです。

 今回の拙稿をお読みになったシャープ社員及びシャープ社員でない読者は、日和見的且つ露骨に、個人的な損得をここまで強調するのかと、意外感や嫌悪感を覚えられたかも知れません。しかし、外資系企業や、国内でも金融機関同士の経営統合(という名の実質は吸収合併)の現実を踏まえると、「マインドセットを個人中心に変えよ」ということこそが、正しいアドバイスだと考える次第です。
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【現代ビジネス】内部告発をやるなら、甘利事件の告発者の手法に学ぶべし

 現代ビジネス「ニュースの深層」(隔週連載)に「内部告発をやるなら、甘利事件の告発者の手法に学ぶべし」というタイトルで記事を書きました。

 甘利明前TPP担当大臣の辞任発表のニュースは、翌日に発表されたマイナス金利を巡る報道をもってしても印象を薄めることが出来ない程の大きな話題になっています。

 また、今回の甘利前大臣の問題は『週刊文春』が独占的に報道しています。結論から言うと、私は週刊文春の報道を支持しています。しかし、まさに犯罪を行おうとしている現場に立ち合って取材をしている、同誌の本件での立ち位置は、相当に微妙なものです。
 報道を決断した理由は推測するしかありませんが、自身が微妙な立場に立つことも考慮に入れつつ、週刊文春は、甘利大臣の問題を世間に対して報じることに、より大きな「公共の利益」があると判断したのでしょう。

 一方、本件の告発者である一色氏について、告発の意図ないし原因はどこにあったのでしょうか。彼が週刊文春に語った内容からは、甘利事務所の秘書たちの「タカリ」に腹を立てた、私憤のように読めます。実際にそうであったとすれば、甘利事務所はあまりにもうかつでした。
 もちろん彼らにとっての教訓の第一は「悪い事をしてはいけない」であるべきですが、第二の教訓は「一人の人間を心底怒らせてはいけない」ということでしょう。

 尚、一色氏は今回の告発にあたって、相当に周到に証拠固めをしたようです。
 今回の告発は、実に模範的な方法で行われています。一色氏がとった行動のように、証拠を確保することと、証拠が失われないようなバックアップを取ることは、告発の成功のためにも、自分の身を守るためにも、大変重要な手段です。また、複数のチャネルを常に持つことも、ポイントとして付け加えておきます。
 今回のケースは、個人が何らかの不正を告発して戦うことを決めた場合に、貴重な参考事例となるでしょう。

 最後に繰り返しますが、本件の告発及び報道は、結果的に国民が知るべき情報を広く明るみに出したという点において、「公共の利益」にかなっています。私は、一色氏の告発と、週刊文春の報道を支持します。
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【ダイヤモンドオンライン】マイナス金利時代の個人資産運用はどうすべきか

 ダイヤモンド・オンラインの「山崎元のマルチスコープ」に「マイナス金利時代の個人資産運用はどうすべきか」と題する記事を書きました。

 1月29日に、日銀が日本の金融政策としては初となる、マイナス金利政策を発表しました。
 銀行が余剰資金を貸し出しに振り向け、市中に出回るお金が増えることが期待されますが、優良・有望な貸出先や資金需要が急に増える事はないので、この効果は限定的でしょう。
 日銀当座預金から相対的にお金の安全な置き場所である国債に銀行の買いが殺到する理屈から、現実に、長期国債の利回りが急落しています。さらに、対米ドル為替レートは円安に向かい、これに伴って株価は一時、急騰しました。今回のマイナス金利導入は、デフレ脱却に向けた金融緩和策として、一定の効果はあるとみていいでしょう。

 記事では、こうした金融環境の変化を受けて、普通の個人がお金の運用をどうしたらいいのかについてまとめました。

 まず、今後一層の利回り低下が予想される銀行預金に対し、0.05%の最低利回りが保証されていて、元本割れせず、しかも利回りはプラスにしか変動しない、個人向け国債・変動金利10年満期型は、無リスクで無難に運用したい資産の運用先として、圧倒的に優位だといえます。
 当面使う可能性のあるお金を銀行の普通預金に置き、使わないお金で安全に運用したいものは個人向け国債・変動金利10年満期型で運用する、と決めておいていいでしょう。
 尚、マイナス金利の決定を受けて利ザヤが縮小するので、銀行は、手数料稼ぎのビジネスに一層注力する事が予想されます。本ブログにおいて、常々お伝えしている「銀行で、投信・保険を買ってはいけない」ということを、一層しっかり覚えておいて頂きたいと思います。

 それにしても、今回のマイナス金利によって、ますます「普通に取引されていたら形成されるはずの自然な金利水準」が分かりにくくなったのは不気味と言う他ありません。
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