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【エンジニアの生きる道】面接という「商談」を成功させるためには。

 株式会社VSN様(技術系人材サービス業)のWEBサイトにて、「経済評論家・山崎元の「エンジニアの生きる道」」というタイトルで、月一回、コラムを書いています。(※リンクをクリックすると、新しいページが立ち上がります。)

 私はこれまでに12回の転職を経験しています。面接を受けるだけではなく、面接をする側に回る機会も多く、面接とは縁深い職業人生を送ってきました。
 そうしたなかで、面接によって自分のキャリアやビジネスが動くのなら、むしろ、面接は自分(の労働力)を売るための「商談」だと考えるようになりました。

 そこで今回は、「 面接という「商談」を成功させるためには 」というテーマを選んで書いています。

 面接は冒頭の5分間が特に大切であり、この5分に向けていかに集中力を高めるかが重要になります。一般に、面接が短時間でも、長時間でも、採用される人物はほとんど同じだといわれています。

 次に覚えておくべきポイントは、面接する側が候補者について知りたいのは、次の4つの項目である、ということです。

(1)任せたい仕事をするうえで十分な能力を持っているか?
(2)本当に入社してくれるのか?
(3)一緒に働いて感じのいい人物か?
(4)仕事に対してどういう態度の人物か?

 あらかじめ相手の会社のことをよく調べてあれば、面接直前の準備はそれほど大変なものではありません。
 面接する側は、前述の4つのポイントを知るために候補者に質問をするので、自ずと面接での質問パターンは決まっているからです。

 自分の魅力を信じて、全力で相手と波長を合わせることに集中すると、面接はきっと上手く行きます。
 もちろん、面接官との個人的な相性や、他の候補者との競争もあれば、当日の出来・不出来もあります。私自身、何度も経験していますが、面接で落とされると気落ちするものです。それでも、気にせずに次の機会に臨んで欲しいと思います。

 面接には練習が必要であり、失敗の経験は後で生きてくるものです。その点でも、まさに面接は商談なのです。
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【現代ビジネス】「社長マーケット」の発展に期待する

 現代ビジネス「ニュースの深層」(隔週連載)に記事を書きました。
発展する 「社長の人材マーケット」 ローソン新浪会長サントリー入りの成否は「人事の実権」にあり
※リンクをクリックすると、新しいページが立ち上がります。

 サントリーホールディングスは、ローソンの新浪剛史会長を10月1日付で社長に招く人事を固めました。佐治信忠会長兼社長は、代表権のある会長に専念する予定だということです。

 新浪氏はもともと三菱商事出身であり(筆者はそこでの彼の同期の一人です)、海外ビジネスに強く、酒豪でこそありませんが、三菱商事、ローソンの両社の業務経験を通じて食品・飲料関係のビジネスに詳しい人物です。ローソンでの実績も申し分ありません。
 今後のサントリーの成長を牽引するに適任でしょう。

 さて、今回のサントリー以外にも、外部の人材が社長に迎えられる例が少しずつ増えて来ています。何れもプロの経営者としての腕を買われたものだと理解していいでしょう。
 経営戦略の変化と必要性に伴って、外部から能力のある経営者を招くことは、企業、特に企業のオーナーにおいて、合理的な選択肢の一つといえます。
 また、多くの企業における社長の人選対象が社外にも広がり、いわば「社長の人材マーケット」ができる事は、企業にとっても、社会にとってもいいことです。

 では、将来は是非「社長」というものになってみたいと考えるサラリーマンにとってはどうでしょうか。

 社長候補となり得る人材の多くは、社長ないしは経営幹部の経験者です。普通に企業に勤めるサラリーマンが、いきなり社長候補人材市場に名乗りを上げることは難しいでしょう。ですが、出向などで経験を積んで経営能力があることをアピールし、徐々に大きなポジションを取る道はあります。社長候補人材を目指す人にとっては、出向がチャンスになることがあります。

 新浪氏の場合も、三菱商事時代に、他社と共同出資していた給食会社に副社長として出向して経験を積み、実績を上げたことが三菱商事社内で評価された経緯があります。

 敢えて一つだけ、「社長人材の一般的適性条件」を挙げるなら、「寝ても覚めても、自分の会社のビジネスの事を考え続ける情熱と集中力のある人」でしょうか。給食会社に出向中の、さらにローソンの社長になってからの新浪氏は、まさにそのような人でした。
 単なるサラリーマン社長ではないので、サントリーの社員は、安心し、また期待してよいでしょう。
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【ダイヤモンドオンライン】セクハラ・リスクの測定と管理

 ダイヤモンド・オンラインの「山崎元のマルチスコープ」に「 「都議会やじ問題」で考える セクハラ・リスクの測定と管理 」と題する記事を書きました。(※リンクをクリックすると、新しいページが立ち上がります。)

 東京都議会で塩村文夏都議(みんなの党会派)に対し、明らかに「セクハラ」に該当する野次を飛ばした議員がいた問題について、ついに、自由民主党の鈴木章浩都議が、自分が野次を飛ばした事実を認めました。

 今回の鈴木都議は、当初自分の発言の事実を否定しており、問題が大きくなった後に、発言の事実を認めた経緯があります。発言だけが問題だったのではなく、その後の処理にミスがあったことが傷を深めたと言えます。

 野次の犯人は明らかになりましたが、この問題の難しい点は、塩村議員に「許すべきだ」とは道義的には誰も言えないし、逆に塩村議員が「許す」と言うなら、そこで問題が収束に向かう公算が大きいことでしょう。
 これだけ問題が大きくなってしまうと、「セクハラが重大な問題でないというメッセージを社会に与えかねない」といった配慮や圧力が働くので、塩村都議も簡単に「許す」とは言い難いでしょう。但し、許されるにしても、許されないにしても、塩村都議に徹底的に謝る事以外に鈴木都議の活路はあり得ないし、同時にそれが正しい道でもあります。

 今回の鈴木都議のケースばかりでなく、民間会社にあっても、セクハラは、文字通り「大問題」です。
 率直にいって、時代は変化しており、つい10年前なら許されたような言動が、今は、サッカーでいうとレッド・カード(1枚で退場)に該当します。

 それでは、一般的なビジネスパーソンは、何に気をつけたらいいのでしょうか。

 1つは、異性の部下ないし、会社の中で自分が影響力を持つ相手と、「二人っきり」の状況を作らないことです。
 男性の上司が女性の部下に日頃の仕事のお礼として食事をご馳走したいと思った場合、複数の部下と一緒にご馳走する程度の用心深さは必要です。本人に他意はなくても、「他人から見て」仕事上の立場を利用してデートを強要したと思われる可能性を排除しなければなりません。

 2つめは、「ババア」「オバサン」といった特定の性を前提とした言葉を封印することです。容姿、年齢、結婚などを話題は徹底的に避け、日頃から、会社の同僚は、男女や年齢の上下を問わず「さん」付けで名字を呼ぶことを習慣にしておくのがいいでしょう。
 また、「男らしくない」といった女性から男性への発言ももちろんアウトですし、やや先取りして「ハゲ」「チビ」「デブ」等、個人の身体的特徴などをからかうことも、今後、セクハラ同様の禁止事項になる公算が大きいでしょう。
 職場にあって熱くなりやすい性格の人は、セクハラや身体的特徴の言及に該当しない言葉で口論や喧嘩が出来るように、日頃から話し方を考えておく必要があるでしょう。

 今日のオフィスにあっては、テレビで話すのと同等、時にはそれ以上に慎重な言葉選びが必要だといえます。窮屈といえば窮屈かも知れませんが、慣れの問題であり、この問題については、自分を甘やかすのは危険です。

 なお、本記事では、民間企業でのセクハラ問題の例を3つ挙げています。何れも私が当事者ではないし、主として伝聞に基づく話であり、問題の本質を変えない程度に、事実とは異なる設定にしてありますが、十分に参考になるのではと思います。
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【夕刊フジ】日本の大学生に夏休みと部活は必要か?

 夕刊フジの木曜日号(水曜発売)に「経済快説」という短いコラムを載せています。これは、WEBでもお読み頂けます。
 今週は、「日本の大学生に夏休みと部活は必要か?時間とエネルギーのムダ 」と題する記事を書きました。
(※リンクをクリックすると、新しいページが立ち上がります。)

 日頃から感じている「日本の大学生に、夏と春の長い休みや部活は必要なのか」という疑問について書きました。

 これまでは、学生は甘やかし、スポンサーである親には「大学を出ないと(子供が)不利だ」と思わせて生徒を集めることで、大学のビジネス・モデルは機能してきました。しかし、大学は今後、真に学力のある卒業生を能率良く作り出すことに集中してはどうか、という主旨です。
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【ダイヤモンドオンライン】GPIFが株式を買い増ししない方がいい5つの理由

 ダイヤモンド・オンラインの「山崎元のマルチスコープ」に「 GPIFが株式を買い増ししない方がいい5つの理由 」と題する記事を書きました。(※リンクをクリックすると、新しいページが立ち上がります。)

 今回は、このブログでも何度か取り上げているGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の運用改革について、特に、GPIFが「国内株式」を買い増ししない方がいい理由を、以下の5つにまとめ、それぞれについてお話ししています。

1.政府機関であるGPIFが上場企業の大株主となることで、政府は日本企業の株主であると同時に監督者でもあるという「利益相反」が強化される。

2.GPIFが上場企業の大株主になることで、議決権の空洞化と企業統治の弱体化が起こる。

3.大資金の公的資金であるGPIFの売買は市場参加者に利用され、国民の年金積立金の運用が「カモ」にされる。

4.大きすぎる公的資金としてGPIFの情報管理が難しい。GPIFが運用方針に関する説明責任を十分果たすと市場参加者に出し抜かれやすくなるし、情報漏れは市場参加者間に不公平を作りやすい。

5.GPIFに株式をため込んでしまうと、将来の年金積立金縮小の際の株価の下落等の影響が大きくなる。

 政府が行うべきことは、株価が上がるような経済環境を用意することであって、資金だけ出して一時的に株価を上げることではありません。
 GPIFの運用方針見直しは、GPIFの資金運用を受託して手数料を稼ごうとする金融機関と、GPIFの動きを利用して稼ごうとする金融機関の二種類の「金融的バイ菌」を増殖させることに繋がるでしょう。
 経済常識的な推測として、今回の新方針は、バイ菌に感染した人々が後押しして決まったものだと考えるのが妥当なのかも知れません。

 結論として、記事では「GPIFの株式買い増しは弊害が大きい。」とまとめています。
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【現代ビジネス】GPIF運用見直しの効果を推測する

現代ビジネス「ニュースの深層」(隔週連載)に記事を書きました。
「国内株式22%」なら日経平均2万円も。GPIF運用見直し後の株価を推測してみた
※リンクをクリックすると、新しいページが立ち上がります。

 現在、政府が期待をかけているGPIFの運用方針見直し(による株式等の買い増し)について、前提として、GPIFで株式運用を行うこと自体に問題があり、その拡大が予想される「運用方針見直し」も、政策として決して好ましいものではありません。
 ですが、今回は、善し悪しの議論をしばし棚上げして、この見直しが、マーケットにどう影響するかということだけを考えてみました。

 GPIFの運用方針見直しでは、基本ポートフォリオの資産配分が1%変わると、1兆3千億円の売買が生じる計算です。また、GPIFの運用が「事実上のベンチマーク」となる公的年金を考慮に入れると、「GPIFの1%の方針変更」は、単純計算すると1.75兆円より少し少ない程度の影響をもたらすことになります。

 GPIFの現在の基本ポートフォリオでは、「国内株式」の標準配分比率が11%、許容乖離幅が6%あるので、国内株式は最大資産の17%まで、また、「外国株式」は同様に標準比率9%、許容乖離幅5%で最大14%まで持つことが出来るようになっています。実際には、昨年の大幅な株価上昇と現在の株価水準を考慮すると、ともに、この上限に近い値になっていると推測出来ます。

 それでは、GPIFはどの程度の規模で運用方針の見直しを行うのでしょうか。
 国内株式について言えば、運用委員会の長である米澤氏等の発言や、既に17%近く保有していることから、20%を切る配分比率は考えにくいと思われます。仮に、20%を下回る配分計画が発表された場合、市場参加者からは「失望売り」が出て、株価が下がってしまう事態が十分考えられます。

 また、「外国株式」と「外国債券」の比率も増加方向で見直される公算が大きく、仮に、両方合わせて7%配分が増えるとすると、GPIFの運用資産だけで9兆円強の「外貨の買い」が発生することを意味します。
 これは、相応の円安効果をもたらしますが、仮に5%の円安効果があれば、10%程度追加で株価を押し上げる効果があるでしょう。

 繰り返しになりますが、見直しの規模がどれくらいのものになるかは、現時点では分かりません。
 したがって、これらの数値感は、私のごく大雑把な感覚によるものですが、リスク資産全体が増加すると大まかに考えた場合、「国内株式」の計画比率が「17%」から1%増加する毎に、日経平均に換算して1千円ずつくらいの上昇インパクトがあると考えてみてよいのではないでしょうか。
 「国内株式=20%なら日経平均1万8千円」、「国内株式=22%なら日経平均2万円」、というくらいの目安です。

 さて、仮に、GPIFの運用方針見直しが上記のような効果を持つとした場合、マーケット参加者にとっては「重大注意事項」とも言うべきポイントが2つあります。

 第一に、株価上昇が実現するとしても、GPIFの新運用方針が発表されてからになるとは限りません。
 新しい基本方針の発表前から株価は大きく反応するでしょうし、発表された結果によっては、「失望売り」による株価下落の可能性もあります。

 第二に、GPIF等の資金投入による株価上昇は、しょせん需給による一過性のもので、これが維持される公算は低いと言えます。
 株式の価値が改善するような変化が十分伴わない限り、投資家は、GPIF効果による株価上昇を信用してはなりません。

 「GPIF効果があれば、利食い売りの足しに使え!」というのが、私から一般投資家向けのアドバイスです。
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【夕刊フジ】市場のカモにされる「GPIF」 株価上昇効果も一時的

 夕刊フジの木曜日号(水曜発売)に「経済快説」という短いコラムを載せています。これは、WEBでもお読み頂けます。
 今週は、「市場のカモにされる「GPIF」 株価上昇効果も一時的 」と題する記事を書きました。
(※リンクをクリックすると、新しいページが立ち上がります。)

 GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は、合計130兆円に迫る日本の厚生年金と国民年金の積立金を運用する、世界最大級の機関投資家です。

 今般、安倍首相はGPIFの運用方針の見直しを9月から10月をめどに行うよう指示しましたが、彼らが運用方針を見直しし、株の買い増しを実施した場合、株価は上昇する公算が大きいと思われますが、「GPIFの買い」自体が企業業績を改善する訳ではないので、効果は一時なものでしょう。
 また、その動きを見越した投資家が高値で株を売り、GPIFや、その方針に影響を受ける他の公的年金は、高値で仕込むことになるでしょう。

 公的年金の積立金運用は、「池の中のクジラ」であると同時に、手続きと説明責任を十分果たすと市場のカモになる、というお話です。
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【ダイヤモンドオンライン】非正規労働者向け資格創設の無意味

ダイヤモンド・オンラインの「山崎元のマルチスコープ」に「 非正規労働者向け資格創設の無意味 」と題する記事を書きました。(※リンクをクリックすると、新しいページが立ち上がります。)

 6月8日付の読売新聞によると、政府は非正規雇用で働く人の待遇改善や正社員への登用を進めるため、非正規雇用労働者を対象とした資格制度を創設する方針にあるそうです。
 新たな資格は、1流通、2派遣、3教育、4健康の4業種で、接客などの対人サービスに従事する人を対象とし、資格の認定には、厚労省から委託を受けた業界団体があたる予定です。
 さて、この試みは成功するのでしょうか?

 個人的な意見として、この資格制度は、無駄であり、上手く行かないと考えています。

 アルバイトや派遣契約でしばらく使ってみると、その人が雇い主側で要求する接客力水準に達しているか否かは、簡単に分かります。また、いきなり正社員で雇うことには自信が持てなくても、30分くらい面接してみると、その人物が、当該業務で必要とする接客に向いた人であるか否かは、相当程度分かるのではないでしょうか。

 一方、資格を制度化する以上、資格試験があるでしょうし、ペーパーテストや研修を用意することも考えられます。しかし、もともと多くの非正規労働者を正社員に登用して欲しいという制度の趣旨と、現実の受験者の適応レベルからして、試験は本格的なビジネス能力を問うような有効で難しいものにはならないでしょう。
 そうなると、この資格の有無は、雇い主側から見て、30分の面接から得られる情報価値に到底及ばない結果になることは明らかです。

 結局、新たな公的資格を立ち上げたところで、意味がないばかりか、官僚の仕事と天下り先が増えて、役所に上手く取り入った業者が、研修等で多少のビジネスを作り、それで終わりです。何と無駄なことか!

 非正規労働者に正社員での雇用チャンスを増やすことが目的なら、取り組むべきは、正社員ポストの流動化を通じた、正社員と非正規労働者との間の距離の縮小でしょう。

 現状の正社員が過剰に保護されていることによって、雇用者側が正社員を固定的コストと認識し、その雇用を躊躇する要因となっています。
 この正社員を雇うことの固定性が緩和されれば、間違いなく正社員での雇用が増えるでしょう。正社員雇用の機会自体が増えるでしょうし、入れ替えが活発になることも、有能な非正規労働者の正社員での就職チャンスを増やすことにつながると考えています。
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【Fanet MoneyLife】地銀の整理統合を急げ

 「Fanet MoneyLife」という投資情報サイトでコラムを連載しています。今月のテーマは「 地銀の整理統合を急げ 」としました。
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「・・・貸出拡大の困難から預貸率(預金に対する貸し出しの比率)が50%を切って、国債を中心に有価証券運用に資金を回す「国際金融機関」ならぬ「国債金融機関」のような地銀も少なくない。こうした地銀は、今後に生じる金利上昇局面で、急激に財務内容が劣化するリスクがある。・・・」(記事から引用)

 いわゆる「アベノミクス」の効果でデフレを脱却しつつある日本経済ですが、一つ大きな案件が積み残されたままになっています。「地域金融機関の整理統合」です。

 そう遠くはない将来に、多くの地方自治体の「消滅」が現実味を帯びて語られているなか、今後の人口動向から見て、地方経済の規模そのものが急激に縮小に向かう地域が少なくないはずです。「一県一行」は、経済合理的とはとても言えません。

 金融行政の観点から、地銀の整理統合は待ったなしの状況ですが、困ったことに、経営が順調な間は、合併後に主導権を取ることが難しいと考える金融機関は、徹底的に合併を避けようとします。
 民間企業の経営に過剰な干渉はできませんが、さりとて、嫌がる者の自主性に任せていては物事が進みません。障害になるのは人事であり、特に劣位で合併する立場の銀行のエリート層が抵抗勢力になることが考えられます。

 長期的には、合併後の銀行人事の成功モデルを作ることが肝心です。
 地銀に対してどうやって合併する気になって貰うかは、金融庁と共に、合併を仲介する投資銀行マンにとっても工夫のしどころです。
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【楽天証券】バランス・ファンドを巡るあれこれ

 楽天証券のホームページの連載「山崎元のホンネの投資教室」に「第222回 バランス・ファンドを巡るあれこれ 」と題する記事を書きました。(※リンクをクリックすると、新しいページが立ち上がります。)

 バランス・ファンドとは、内外の株式・債券といった複数のアセット・クラス(資産分類)に投資するタイプの運用商品を指します。「株式が国内・海外合わせてこれくらい」といった大まかな性格が決まっていて、アセット・アロケーションをプロの運用者に任せることが出来る点が売りになっている場合が多いでしょう。

 実は、私がファンドマネジャーになって、はじめて担当したファンドは、こうしたバランス・ファンドでした(当時の野村投信の「株式型エース8602」という投資信託でした)。
 個人的に、自分が運用する対象としてであれば、バランス・ファンドが大好きです。アセット・アロケーションを変更出来る自由度は、ファンドマネジャーにとって戦略の幅が拡がって、心地のいいものでした。

 しかし、運用商品としてのバランス・ファンドに対しては、だいたいにおいて、私は否定的な立場です。

 マネー誌などで「バランス・ファンドは初心者向け」だという意見をしばしば見かけます。しかし、バランス・ファンドに投資した場合、運用の中身が実際にどうなっているのか把握できないことが多いし、ある程度分かったとしても、今後はどうなるのかについて曖昧さが残ります。
 バランス・ファンドは、それだけリスクの把握が難しい商品です。「初心者向け」だといっている人は、おそらく、投資の初心者がリスクの把握を放棄することを前提としているのでしょう。もちろん、これは不適切且つ無責任です。

 また、NISA口座でバランス・ファンドを買うのも正しい選択ではありません。
 NISAは運用益が非課税になる仕組みなので、自分の運用全体の中で期待リターンの高い資産の運用をNISA口座に集中させることが「得」になります。NISA口座でバランス・ファンドに投資すると、NISAの非課税のメリットを、その分薄めてしまうことになるからです。

 加えて、バランス・ファンドに投資するよりも、バランス・ファンドと同等のリスクを自分で組み立てる方が「安上がり」です。
 また、バランス・ファンドの売り文句として登場する「プロによるアセット・アロケーションの付加価値」も、資産配分のタイミングで安定的に成功する運用者を見つけることが難しいのは、資産運用業界の常識です。だからこそ、機関投資家の運用の世界では、投資家自身が資産配分を決めて、アセット・クラス毎に運用を任せる相手を選ぶスタイルで運営することが標準になっています。
 
 残念ながら、バランス・ファンドの側に有効な反論はありません。
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【夕刊フジ】「残業代ゼロ」構想のブラック度 日本企業では労働強化の恐れも

 夕刊フジの木曜日号(水曜発売)に「経済快説」という短いコラムを載せています。これは、WEBでもお読み頂けます。
 今週は、「「残業代ゼロ」構想のブラック度 日本企業では労働強化の恐れも 」と題する記事を書きました。
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 個人的には、勤務時間ではなく成果に対する評価や期待で報酬を払うのが、フェアだし、当然だろうという感覚を持っています。
 しかし、こうした年俸制のような制度がフェアに機能するためには、

1.会社側が個々の社員の「成果」や「能力」を個別に評価することが可能であり、且つ、その評価を納得的に社員に説明することが出来るということ

2.社員側で、条件が不満な場合には転職の選択肢が現実的にあるということ

の、2つの条件が必要です。

 今回、政府の成長戦略の一環として、「残業代ゼロ」の賃金制度の導入が検討されています。
 しかし、「給与テーブル」のようなもので社員の給料を決める大雑把で横着な経営者・管理者と、転職の機会も経験も乏しい社員が多数集う日本企業で、フェアに機能するとは思えません。
 賃金を増やさない労働強化に偏って影響が表れる「ブラック効果」の方が大きいでしょう。

 私自身は、残業代ゼロよりも、労働者には一見より厳しいといわれるかもしれませんが、

1.「手厚い金銭補償を伴う正社員解雇ルール」の確立

2.年金・退職金などの制度に含まれる転職者の不利を除去して、人材の流動化のための条件整備

を先に行うべきだと考えています。

 中小・零細企業の社員は、事実上勝手に無補償で解雇されることが多いことから、金銭補償の明確化は、決して労働者側の不利ばかりではありませんし、まず人材市場が流動化しないと、会社を辞めた場合に行き場がなく、社員は会社に対して十分な交渉力を持てないと考えるからです。
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【ダイヤモンドオンライン】すき家の教訓は何か?

ダイヤモンド・オンラインの「山崎元のマルチスコープ」に「 すき家の教訓は何か? 」と題する記事を書きました。(※リンクをクリックすると、新しいページが立ち上がります。)

 夜中の1人オペレーションや、手間のかかる鍋定食メニューの導入に始まる「鍋の乱」と呼ばれるアルバイト従業員の反発など、牛丼チェーン「すき家」の労働環境が最近話題になっています。

 先日は、すき家のアルバイトに一斉に欠勤を呼び掛けるストライキがネット上で呼び掛けられたといいます。
 今回は結果的に不発であったとしても、チェーン店のアルバイトなどがSNSなどで一斉に連帯的な行動を取ることが可能になったことは新しい環境変化です。働く側にとって、費用が掛かる割に頼りにならない組合などよりも、遙かに低コスト且つ効率的な交渉力の持ち方になり得るからです。

 すき家の状況は、今、労働環境を巡って起こっている幾つかのトピックについて考えるきっかけにちょうどよいでしょう。

 まず、以前から、いわゆるリフレ派の論客達が説いていたことですが、デフレ対策であった金融緩和政策が、結果的に最も有効なブラック企業対策になっていた、ということの正しさが実証された形になりました。
 マクロ的に需給ギャップを埋めて労働需給をタイト化させると、すき家に限らず、雇用者側は、労働条件の改善を考えなければならなくなることが分かりました。これは、雇用市場における「最弱者」であるアルバイトの需給改善と時給向上につながっています。
 また、アルバイトの需要が増え、労働者側の他の選択肢が増えることによって、「キツイ職場だ」、「ブラック企業だ」といった風評の悪影響が、人余りの時代よりも強く経営に響く結果になります。
 経営側から見て効率的に働いてくれるようなオペレーションの設計は、世の中の経済環境が正常化すると機能しなくなる、ということです。

 記事では、「少々の経済的条件の改善よりも、気分よく働ける職場と仕事(オペレーション)の設計が大切だということが、一連のすき家のケースの広く共有すべき最大の教訓なのではないだろうか。」と、意見をまとめています。
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