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【東洋経済オンライン】黒田日銀は、どこまで市場を「操作」できるか

東洋経済オンラインの「競馬好きエコノミストの市場深読み劇場」というコーナーに、『山崎 元が読む、「ちょっと先」のマーケット』というコラムを書いています。

本日、「黒田日銀は、どこまで市場を「操作」できるか」というタイトルで、最近の黒田日銀総裁の発言を検討してみました。また、コラムの規格に従い、文末で、今週末の皐月賞の予想を書きました。

 黒田総裁については、4月4日に発表された日銀の政策決定会合後の記者会見での「リスクプレミアムにはまだまだ圧縮できる余地がある」との発言が意味する実質的な「株価目標」論と、また、4月10日に行われた大手新聞によるインタビューでの発言から読みとれる「3つの不安材料」から、今後に想定し得るシナリオについて考えてみました。
 4月4日に発表した緩和策パッケージが、暗黙の操作目標である為替レートと株価に対して大きな効果を発揮して、今のところ自信満々であろうと推測される黒田総裁ですが、記者会見やインタビューを読むと、所々に将来の不安を感じさせる(財務官僚臭い…)発言があります。
 組織論的に難しいとしても、理想的には「岩田規久男総裁」だったかな、と思う次第です。
 相場については、「アベノミクス相場」が直ぐに終わるとは思っていませんし、書いてもいませんが、当面の「中だるみ」リスクを少し心配しています。

 たまに予想を載せて、ここでも恥をかいてみましょう。
 皐月賞の予想は、◎ロゴタイプ、○エピファネイア、▲コディーノ、△コパノリチャード、△タマモベストプレイです。理由は、記事を読んでみて下さい。
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【ダイヤモンド・オンライン】黒田日銀の「目標株価」を推測する

 久しく休んでいた、原稿の紹介を再開することにした。あちらこちらに書いた原稿の全ては紹介できないだろうが、なるべくマメにご紹介していきたい。

 4月9日アップのダイヤモンド・オンラインに、「黒田日銀の「目標株価」を推測する」という記事を書いた。

 4月4日、日銀は、黒田東彦総裁が「これまでと次元の違う」と表現する大胆な金融緩和政策を発表した。資本市場には「猛烈」といっていいくらいの効果が表れたが、筆者の驚きはむしろ、政策よりも、黒田総裁の記者会見の発言にあった。日本銀行ホームページ「総裁記者会見要旨」(4月5日付け)から引用しよう。「…そこで、今のリスクプレミアムの状況をみると、まだまだ圧縮できる余地があるということで、ETFの保有額を 2 倍以上増やそうと決めたわけです」

 この発言は、分かりやすく言い換えると「現状の株価は安すぎるので、ETFを買って株価上昇を目指すことにした」となる。「株式のリスクプレミアムを圧縮する」とは、「株価を上げる」と言っていることに等しいのだ。これを、日銀総裁が言うのだから、驚いた。

 率直にいって、為替レートと並んで株価は、「アベノミクス」の初期の重要な波及経路の一つであり、黒田氏個人も組織としての日銀も、為替レートや株価の具体的な水準を意識していないなどということは「考えられない」。

 では、黒田総裁は、どのくらいの株価が適正だと考えているのか。
細かい計算式やデータの引用などは、掲載記事を読んで頂くとして、記者会見前日の株価(12,362円)と、東証一部の今期予想利益に対するPER(21.5倍)から算出される利益の利回りは4.65%だ。ここで、「圧縮の余地」がどのくらいなのかは総裁ご本人から聞かないと分からないが、仮に、「『まだまだ』というくらいだから、2%くらいは可能だと思っているのではないか」と考えると、益利回りは2.65%ということになる。

 すると、計算上の株価は、「リスクプレミアム2%の圧縮」に対して日経平均で21,691円。また、現在の予想利益に対しては、PERで37.7倍となる。加えて、利益の上方修正が伴うと、株価はもっと上昇する可能性がある。どれくらいの期間でかは分からないが、日銀はこの程度の株高を目指している可能性が十分あるのではないだろうか。

 黒田総裁の「まだまだ圧縮できる余地がある」をどの程度と見るか、また、そもそも黒田総裁の見解をどう評価するか(信じるか否かも含めて)は、もちろん読者次第だ。
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