評論家・山崎元の「王様の耳はロバの耳!」
山崎元が原稿やTVでは伝えきれないホンネをタイムリーに書く、「王様の耳はロバの耳!」と叫ぶ穴のようなストレス解消ブログ。
汚れた天馬、ディープインパクト
事実の推移を簡単に振り返ると、現地時間で10月1日、日本の競馬ファンの大きな注目を背にフランスの凱旋門賞に挑んだディープインパクト号は同レースで3着に終わり、11日には年内引退と51億円での種牡馬シンジケートを発表する。ところが、その後19日に、フランスでは使用が禁止されている薬物イプラトロピウムが尿から発見され、現在、疑惑の渦中にある。馬は元気であり、秋の天皇賞への出走登録もあったが、これを回避したものの、ジャパンカップには出走の意思を表明している。同号とともに凱旋門賞に挑戦した、池江調教師、武豊騎手は、この問題に関して基本的にノーコメント、JRAはイプラトロピウムが日本での禁止薬物に指定されていないことから、ディープインパクト号の日本での競争出走には問題ない、との立場だ。
事実関係が明かされていないので、何がどうなっているのか、正確なことは分からないが、今の段階で、思っていることを幾つか書いてみる。
先ず、凱旋門賞のレースだが、これは、武豊騎手の乗り損ないではないかと思うが、ディープインパクト号の価値を損なうものではなかった。
ディープインパクトは、珍しく好スタートを切り、馬群の先団、外側につけて、折り合うことが出来た。内に有力なライバルと目されたハリケーンラン、シロッコを見ることができ、アウェイ故に心配された他馬の妨害も受けないポジションが取れた。常識的には、またとない良い展開であり、上手く乗ったとも言えるのだが、いつも追い込んでいる馬がはじめて先行して戸惑った可能性は大いにあると思う。直線に入って追い出され、一時先頭に立つも、いつものような伸びはなく、斤量が3.5キロ軽い3歳馬二頭に差されて3着になった。
タラ・レバの類であることは承知で言ってみると、せっかく少頭数だったのだし、追い込みに徹していれば、勝てたのではないか。そう思う根拠の一つは、後から訂正されて発表されたレースのタイムが、あのタフな馬場にもかかわらず、2分26秒台と高速馬場の府中並みの時計だったことであり、ディープインパクトは、ハイペースを先行して、早めに抜け出しを図ったことになるからだ。つまり、武騎手はペース判断を誤った可能性がある。テレビ中継で、解説の岡部騎手が直線に入ってから「まだまだ!」と言っていたのが印象に残る。いつもの脚質通りの追い込み競馬をしていれば、かつてのダンシングブレーブのような豪快な快勝が見られたかも知れない。
しかし、馬の力の評価という点では、同斤量で走っている古馬の全てに先着し、特に、前記のハリケーンラン、シロッコの二頭に先着していることは大きく、同世代の古馬最強との評価が出来る。つまり、馬の能力評価を下げるようなレースではなかった。
種牡馬としての高い評価は当然だったと思うし、そう考えて、敢えて指摘すると、51億円は安すぎた。
ディープインパクト号のシンジケートは、8千5百万円で60口、とのことだが、近年の種牡馬の管理技術の進歩から見て、同号は、年間200頭ぐらいの種付けを行うことが期待できる。同馬の父、サンデーサイレンスは200頭ペースだったし、最高記録はダービー馬キングカメハメハの250頭台らしい。サンデーサイレンス並みの3千万円は無理としても、一回2千万円は取れるだろうから、年間の種付け料は40億円、無事に種付けすると2年間で元が取れる(40億円×2年=80億円)。これは、子供がレースに出走するのは3年目からなので、もし、ディープインパクトの子供の出来が冴えなくても、それが判明する前に利が乗っているということになる(もちろん、同馬の健康とか、事故のリスク、種付け能力の不確実性などはあるが)。その後も順調なら、大儲けが続く。
ディープインパクト号の年内での引退を惜しむ声があるが、賞金2億円かそこらの日本のG1レースを勝つことよりも、レース中の事故や、惨敗によって種牡馬としての評価が下がるリスクを考えると、本当は、もうレースを使いたくない、というくらいが馬主サイドの経済的な本音ではないかと思う。まして、もうシンジケート価格は決まっているのだ。
すると、何かおかしいことに気付かないか? そう。シンジケート価格が安すぎることと、その中途半端な時期だ。
ディープインパクトが使用したとされるイプラトロピウムは、日本では流通していないが、喘息の薬であり、呼吸機能を改善する効果がある。また、その後の報道によると、ディープインパクト号は、日本でも喘鳴というほどではないが、呼吸器系のトラブルがあって、呼吸機能を改善する治療を行ったことがある、という。もちろん、少なくともレース後の検査で分かる形で禁止薬物を使ってはいないので、ルール上は問題がない。
但し、凱旋門賞の3着が薬物問題で取り消されることになると、国際的な評価は下がるだろう。また、イプラトロピウムは日本で禁止薬物ではないというだけで、ディープインパクト号が呼吸器系に弱さを持っていたことや、過去にもこれを治療しながらレースに出走していたことは、同号の評価を大きく下げる可能性のある情報だ。いくらか刺激的な言い方になるが、「ディープインパクト号は、種牡馬としてキズモノなのだ」ということが、現時点では、なにがしか言える。この点は、薬物の投与が陣営の意図的なものであっても(普通はそうだろうが)、フランス競馬界の陰謀(?)であっても、基本的には変わらない。
この薬物は競争能力には関係がない、との意見もあるが、呼吸機能・心肺機能は馬にとって重要であり、特に、馬が息を止めて走る、最後の直線にどれだけ力を残せるかという点は、馬の酸素摂取能力に大きく関わる。過去に、ディープインパクト号が使ってた薬や行った処置が、同号の競争能力を増進していた可能性も疑われることになる。「馬に罪はない」ので、同馬を悪く言うことははばかられるが、「ディープインパクト号はドーピング馬だった!」という疑いさえも可能だ。もちろん、日本のルールでは問題のない状況で使われていたのだから、これを「悪事」であると批判することは現段階で不当なので、注意しなければならない。
ディープインパクトに帯同していて、本来なら、事情を説明してしかるべき、池江調教師がこの問題についてコメントしないことは、好ましくないし、不自然だ。彼を口止めできるのは、馬主かJRAということになるが、シンジケートがご破算になることを避けたい馬主サイドから堅く口止めされている、という事情なら、彼の立場は理解できる。ただ、JRAの立場も、国民的な人気のあるディープインパクト号を汚れた存在にはしたくないだろうから、JRAからも、コメントするな、という圧力がかかる可能性はある。
それにしても、薬物投与の事情については疑問が残る。フランスでは、同国の免許を持った獣医師以外に馬に対する治療行為を行えない。この点で、ディープインパクトが「ハメられた」というフランス人陰謀説が成り立つ余地はあるが、調教師や助手、日本から帯同した獣医などが、レースまでに残存する可能性のある薬物の投与をOKすることは不自然だ。この点については、池江調教師のコメントが求められるところなのだが、どうなっているのか? 最もありそうな状況は、薬の残存期間について、コミュニケーションの問題があって、陣営が勘違いをした、ということだが、どうだろうか。
フランスの競馬会は、禁止薬物は発見されたが、投与に悪意は無かったと思われるというような、微妙なコメントを発表して調査を続行中だ(それにしても、これしきの調査に、そんなに時間が掛かるものなのか?)。ルール違反なので凱旋門賞の3着は取り消されるが、関係者は処分されないので、日本の競馬に出走することは問題ない、ということであれば、フランスの競馬界にとっても、JRAにとっても、良い落とし所になるが、さて、どうなるのか。
ともあれ、ディープインパクト号は、弱点が公表される以前に急いで割安にシンジケートされたのであり、株式でいうと、創業者(この場合、馬主)が、重要な経営問題を隠したまま公募価格を決めて、急いで公開して売り抜けようとしている、といった状況に見える。51億円は、一見割安に見えるが、実は、とんでもない割高価格なのかもしれない。
ファン心理(私はディープインパクトが本当に好きだった)としては、ディープインパクト号の名誉を保ち続けたいという気持ちもあるが、これまで、どのような治療行為をしてきたのか、そして、フランスで何があり、シンジケートの事情がどのようなものだったのか、といった事実が、納得の行くように明らかにされないと、この馬を素直に応援することは出来ない。
また、競馬サークルが、現在、どの程度閉鎖的なものなのか良く分からないが、マスコミは、今後の取材の都合もあって、ディープインパクト号のこの問題について、厳しく追及していないように見える。この国のジャーナリズムは、一事が万事こんな感じなのだろう。
事実関係が明かされていないので、何がどうなっているのか、正確なことは分からないが、今の段階で、思っていることを幾つか書いてみる。
先ず、凱旋門賞のレースだが、これは、武豊騎手の乗り損ないではないかと思うが、ディープインパクト号の価値を損なうものではなかった。
ディープインパクトは、珍しく好スタートを切り、馬群の先団、外側につけて、折り合うことが出来た。内に有力なライバルと目されたハリケーンラン、シロッコを見ることができ、アウェイ故に心配された他馬の妨害も受けないポジションが取れた。常識的には、またとない良い展開であり、上手く乗ったとも言えるのだが、いつも追い込んでいる馬がはじめて先行して戸惑った可能性は大いにあると思う。直線に入って追い出され、一時先頭に立つも、いつものような伸びはなく、斤量が3.5キロ軽い3歳馬二頭に差されて3着になった。
タラ・レバの類であることは承知で言ってみると、せっかく少頭数だったのだし、追い込みに徹していれば、勝てたのではないか。そう思う根拠の一つは、後から訂正されて発表されたレースのタイムが、あのタフな馬場にもかかわらず、2分26秒台と高速馬場の府中並みの時計だったことであり、ディープインパクトは、ハイペースを先行して、早めに抜け出しを図ったことになるからだ。つまり、武騎手はペース判断を誤った可能性がある。テレビ中継で、解説の岡部騎手が直線に入ってから「まだまだ!」と言っていたのが印象に残る。いつもの脚質通りの追い込み競馬をしていれば、かつてのダンシングブレーブのような豪快な快勝が見られたかも知れない。
しかし、馬の力の評価という点では、同斤量で走っている古馬の全てに先着し、特に、前記のハリケーンラン、シロッコの二頭に先着していることは大きく、同世代の古馬最強との評価が出来る。つまり、馬の能力評価を下げるようなレースではなかった。
種牡馬としての高い評価は当然だったと思うし、そう考えて、敢えて指摘すると、51億円は安すぎた。
ディープインパクト号のシンジケートは、8千5百万円で60口、とのことだが、近年の種牡馬の管理技術の進歩から見て、同号は、年間200頭ぐらいの種付けを行うことが期待できる。同馬の父、サンデーサイレンスは200頭ペースだったし、最高記録はダービー馬キングカメハメハの250頭台らしい。サンデーサイレンス並みの3千万円は無理としても、一回2千万円は取れるだろうから、年間の種付け料は40億円、無事に種付けすると2年間で元が取れる(40億円×2年=80億円)。これは、子供がレースに出走するのは3年目からなので、もし、ディープインパクトの子供の出来が冴えなくても、それが判明する前に利が乗っているということになる(もちろん、同馬の健康とか、事故のリスク、種付け能力の不確実性などはあるが)。その後も順調なら、大儲けが続く。
ディープインパクト号の年内での引退を惜しむ声があるが、賞金2億円かそこらの日本のG1レースを勝つことよりも、レース中の事故や、惨敗によって種牡馬としての評価が下がるリスクを考えると、本当は、もうレースを使いたくない、というくらいが馬主サイドの経済的な本音ではないかと思う。まして、もうシンジケート価格は決まっているのだ。
すると、何かおかしいことに気付かないか? そう。シンジケート価格が安すぎることと、その中途半端な時期だ。
ディープインパクトが使用したとされるイプラトロピウムは、日本では流通していないが、喘息の薬であり、呼吸機能を改善する効果がある。また、その後の報道によると、ディープインパクト号は、日本でも喘鳴というほどではないが、呼吸器系のトラブルがあって、呼吸機能を改善する治療を行ったことがある、という。もちろん、少なくともレース後の検査で分かる形で禁止薬物を使ってはいないので、ルール上は問題がない。
但し、凱旋門賞の3着が薬物問題で取り消されることになると、国際的な評価は下がるだろう。また、イプラトロピウムは日本で禁止薬物ではないというだけで、ディープインパクト号が呼吸器系に弱さを持っていたことや、過去にもこれを治療しながらレースに出走していたことは、同号の評価を大きく下げる可能性のある情報だ。いくらか刺激的な言い方になるが、「ディープインパクト号は、種牡馬としてキズモノなのだ」ということが、現時点では、なにがしか言える。この点は、薬物の投与が陣営の意図的なものであっても(普通はそうだろうが)、フランス競馬界の陰謀(?)であっても、基本的には変わらない。
この薬物は競争能力には関係がない、との意見もあるが、呼吸機能・心肺機能は馬にとって重要であり、特に、馬が息を止めて走る、最後の直線にどれだけ力を残せるかという点は、馬の酸素摂取能力に大きく関わる。過去に、ディープインパクト号が使ってた薬や行った処置が、同号の競争能力を増進していた可能性も疑われることになる。「馬に罪はない」ので、同馬を悪く言うことははばかられるが、「ディープインパクト号はドーピング馬だった!」という疑いさえも可能だ。もちろん、日本のルールでは問題のない状況で使われていたのだから、これを「悪事」であると批判することは現段階で不当なので、注意しなければならない。
ディープインパクトに帯同していて、本来なら、事情を説明してしかるべき、池江調教師がこの問題についてコメントしないことは、好ましくないし、不自然だ。彼を口止めできるのは、馬主かJRAということになるが、シンジケートがご破算になることを避けたい馬主サイドから堅く口止めされている、という事情なら、彼の立場は理解できる。ただ、JRAの立場も、国民的な人気のあるディープインパクト号を汚れた存在にはしたくないだろうから、JRAからも、コメントするな、という圧力がかかる可能性はある。
それにしても、薬物投与の事情については疑問が残る。フランスでは、同国の免許を持った獣医師以外に馬に対する治療行為を行えない。この点で、ディープインパクトが「ハメられた」というフランス人陰謀説が成り立つ余地はあるが、調教師や助手、日本から帯同した獣医などが、レースまでに残存する可能性のある薬物の投与をOKすることは不自然だ。この点については、池江調教師のコメントが求められるところなのだが、どうなっているのか? 最もありそうな状況は、薬の残存期間について、コミュニケーションの問題があって、陣営が勘違いをした、ということだが、どうだろうか。
フランスの競馬会は、禁止薬物は発見されたが、投与に悪意は無かったと思われるというような、微妙なコメントを発表して調査を続行中だ(それにしても、これしきの調査に、そんなに時間が掛かるものなのか?)。ルール違反なので凱旋門賞の3着は取り消されるが、関係者は処分されないので、日本の競馬に出走することは問題ない、ということであれば、フランスの競馬界にとっても、JRAにとっても、良い落とし所になるが、さて、どうなるのか。
ともあれ、ディープインパクト号は、弱点が公表される以前に急いで割安にシンジケートされたのであり、株式でいうと、創業者(この場合、馬主)が、重要な経営問題を隠したまま公募価格を決めて、急いで公開して売り抜けようとしている、といった状況に見える。51億円は、一見割安に見えるが、実は、とんでもない割高価格なのかもしれない。
ファン心理(私はディープインパクトが本当に好きだった)としては、ディープインパクト号の名誉を保ち続けたいという気持ちもあるが、これまで、どのような治療行為をしてきたのか、そして、フランスで何があり、シンジケートの事情がどのようなものだったのか、といった事実が、納得の行くように明らかにされないと、この馬を素直に応援することは出来ない。
また、競馬サークルが、現在、どの程度閉鎖的なものなのか良く分からないが、マスコミは、今後の取材の都合もあって、ディープインパクト号のこの問題について、厳しく追及していないように見える。この国のジャーナリズムは、一事が万事こんな感じなのだろう。
コメント ( 20 ) | Trackback ( 0 )
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その中で池江調教師は取材に協力的と聞いていましたが今回の薬物の件はダンマリのようですね。
余計な事は言わないのが美徳。
藤沢調教師もジョッキーがテレビに出ている事に苦言を言われてました。
競走馬は少なからず故障している部分はあるようです。
それをダマシダマシ使う。
それが調教師の技術なので公表するのが難しい。
ただ疑惑に関しては誰が、いつ、どのような薬物を投与したのか公表して欲しい。
本当に残念です。
http://kurodae.iza.ne.jp/blog/entry/60927/
「圧力」をかけているのはフランスギャロとJRAのようです。
今年3月25日にあったドバイワールドカップでは、2位入線の馬が薬物違反で失格となりましたが、失格処分の発表が5月3日、関係者の異議申し立てを経て着順が確定したのは6月28日でした。この例を参考にすると、真相がある程度明らかになるまではもう数週間かかりそうです。まったく、煮え切らない話ですね。
さて、「シンジケートを組みなおすべきではないか」という先生のご意見ですが、ノド鳴り(喘鳴症)が競走能力に大きな影響を与える病気であること、遺伝の可能性があること、などを考えると、まったく同感です。ただ、ディープインパクト号と池江厩舎には名誉挽回のチャンスが残されています。気管支の不安を乗り越えて国内の残り2戦を圧勝すれば、再び同規模以上のシンジケートを組むことができるでしょう。
今回の薬物違反は大変残念で、違反に応じた処分を受けるのは当然だと思いますが、そのことはディープインパクト号の過去の実績や将来の可能性を否定するものではありません。我々を感嘆させる強さを再び見せてくれることを期待しています。
いらしゃいませ。
株式でさえディスクロージャーのルールがあるのですから、同じくお金がかかっている、競馬では、もっとオープン且つ厳密に情報公開がなされるべきだと思います。
それに、フランスで明らかなルール違反をしたにもかかわらず(或いは、その疑いがあるにもかかわらず)、日本でのレース出走に問題はない、というJRAの些か早すぎる(だって、フランスの調査が終わっていないのですから)寛大な処置には疑問があります。現時点では、陣営が「クロ」と決まったわけではありませんが、公明正大に「シロ」と言えるわけでもありません。
>yagiさま
有用なブログのご教示ありがとうございます。競馬記者もいろいろと大変なのだなあ、と思うところがありました。
例のシンジケート(今となっては、「怪しいシンジケート」と言わざるを得ませんが)については、値決めも含めて、もう条件が変わらないものなのか、契約条件が分からないので何とも言えませんが、株式投資の世界から見ると「安そうに見えるものは、実は安くないことが多いのだなあ」という教訓と重なって見えます。
ところで、ディープインパクトの一番はっきりとした名誉回復法は、来年、凱旋門賞ないし、それに相当する海外G1に、クリーンに出走して勝つことでしょう。関係する人間は、そのような大きなリスクを取りたくないでしょうが、馬にはそのようなチャンスがある、ということは覚えておきたいと思います。
走らせるのも人間のエゴですが、リスクを取らないのも同様に人間のエゴですね。
何れにしても、ディープインパクトは可哀想です。
薬物に汚染されたというより、彼の名誉が、という意味では「汚れた」ではなく「汚された天馬」にタイトルを修正していただきたい位です。
本当に、不憫です。確かに、「馬に罪はない」のです。
仮にここで、名誉を回復するといっても、馬にとってはレースは辛いものでしょうし、本当に馬の立場に立つには、どうするといいのか、というのは難しい問題です。
今のような状態では、ディープインパクトのこの後のレースを以前と同じような態度で見ることが難しいのが残念です。
ハリケーンランは凱旋門賞のあと、チャンピオンステークス(3着)、ブリーダーズカップターフ(11月4日)にと「最チャレンジ」のチャンスがあっていいなあと思います。馬は疲れるかもしれませんが、ディープインパクトだって日本であと2回走るようだし。
環境の変化に敏感なサラブレッドですから、とくに頭の良さそうなディープインパクトが、周りのピリピリした雰囲気に「僕がなんか悪いことをしたかなあ」とストレスを感じていないとよいのですが(あんまりメルヘンに擬人化するのもよくないですけど)。
そうなのです。どうもマスコミのムードがおかしい、というのが、今回の件で一番気に掛かってることです。どうなっているのでしょうかね?
ところで、ディープインパクトは猫より何倍も人間の話し言葉(少なくとも雰囲気)を理解もしくは察知できるのではないかと思います。
彼の周囲で怪し気な会話や所作をしていれば、それがいつもと同じ行為であったとしても、何かいつもと違う意図への違和感を感じるのではないかと思いました。とすれば、それは彼にとって長年(?)築いてきた人間との信頼関係に影を落とすものになり、ひいては凱旋門賞での走りに大きく影響したとは考えられないでしょうか。彼の心理としては、もうそれだけで出走拒否したい気持ちになっても不思議ではないかもしれません。あの結果は、彼が自ら不本意ながらも示した精一杯の抵抗だったというのは飛躍し過ぎでしょうか...。でも、あの時点で相当ストレスがあったことは確かだと思います。(感情移入のし過ぎかもしれませんが)
馬に感情移入できるところは、競馬のおもしろいところでもありますね。
ただ、一競馬ファンとしての私の凱旋門賞でのディープインパクトの走りに対する評価は、「こんなに強かったのか!」です。
いつもなら飛ぶように伸びる直線で、じれったい走りに見えましたが、ハイペースなのに早めに先頭に立ち、ゴール前まで粘り、負けた相手とは3.5キロの斤量差があるのですから、通常の評価では、出走馬で一番強い競馬をした馬だ、ということになります。
責めるのは酷だと思いますが、武騎手の乗り方が良かったのかどうか、ということが、私は気になります。
そしてイプラトロピウムの使用については、フランスで申請をだせば、レース8時間前までの投与は認められるそうです。
この事実を知って、陣営の準備不足やJRAのサポート体制の無さに正直愕然しました。
以前からJRAの管理体制の無さはよく耳にしますが、それをフランスの凱旋門賞で、恥をさらすなんてとても悲しい事です。
一競馬ファンとしては、今後が不安です。
イプラトロピウムが競争能力にどう関係するのか、また、日頃使われているのかどうかについては、私は全国紙の新聞報道以上のことを知りません。
これまでの報道による説明は、(1)イプラトロピウムは競争能力には関係ない(カマセではない)、(2)日本では禁止薬物外だが少なくとも馬用には使われていない、(3)フランスでは残存薬物は一切だめ(馬は自然のままでないとダメ)、というような話でした。(1)も含めて、何れも、信用していいのかどうか、私には確認できません。
仮に、8時間前までなら申請すればOKで(そんな例外があるのか?)、フランス人医師はそのつもりで「問題ない」と言って処方し、厩舎側で手続きが出来ていなかった、というようなことなら、フランス競馬会が「禁止薬物なので失格だが、悪意はなかったらしい」と言った話も筋が通ります。
ただし、(1)ルール違反の下での凱旋門賞3着であること、(2)呼吸器系が弱かったのは事実、という二点で、ディープインパクトの競走馬としての価値が損なわれていることは間違いありません。また、傍目には、シンジケートの状況が、やはり不自然ではありました。
もちろん、これは、関わった人間が悪くて、そのような評価になってしまう、ということなので、ファンとしてはやりきれません。
他方、馬にとってレースで走ることは苦痛なのでしょうから、「汚名挽回のために、もっと走らせてやれ!」というのも、身勝手なような気がして躊躇してしまいます。
ファン的にはJCと願わくは来年の凱旋門賞で文句なく勝ってくれれば一番なのですが、馬・馬主的には、さっさと種牡馬になって、子供が海外G1を勝ってくれれば、種牡馬価値が一気に上がるので、それが一番いいのかも知れません。
困惑している感じですね。
天皇賞はインティライミが逃げてペースが速くなって意外だったなあとか、そういう気楽な話のほうが楽しいんですけどね。(ダービーと同じ、対ディープインパクト用作戦?)
やっぱりダイワメジャーは2000mでもあれだけ走れるのか・・・。
北海道日本ハムファイターズに続け、のコスモバルクも残念でした。
>Blessingsさん
米・英出身の外国産馬には英語で話しかけると落ち着くことがある、と岡部騎手も言っていましたね(Take it easyとか)。
天皇賞、ダイワメジャーは上手くレースが運べましたし、強かったですね。私は、アドマイヤムーンとの馬連を買っていましたが、スウィフトカレントを軽視して外してしまいました。
>某Sさま
いらっしゃいませ。
値段の比較をすると、確かに、日本の種牡馬の値段は高すぎるとの印象を私も持ちます。しかし、それで多くのシンジケートが成立しているということは、種付け料も高い(高すぎる)ということなのでしょう。
ディープインパクトの場合、種付け料が2千万円前後ではないかと言われていますし、馬が健康でさえあれば、初子世代の結果が出る頃にはモトが取れそうな51億円は、安いのかな、という気がしなくもありません。
もっとも、かつてバブルの頃、日本の株価や地価が突出して高かったものが、その後のバブル崩壊と市場の国際化で、たとえば株価はPERなどで見ると、世界相場並みになって来ましたが、競馬についても、こうした現象が起こる可能性があるような気もします。
もちろん、日本調教馬も強くなってはいるので、馬の実力と共に、種牡馬の相場もフェアバリューに落ち着いた、ということになると、気分良く納得できそうです。
それにしても、ジャパンカップには、本当に出るのでしょうか?
出てきたら、「息の長い末足」(息は薬で補っていたのかもしれませんが)が今回もあるかどうか、どうも馬格がない分、叩き合いに弱いのではないか、といった点をチェックしたいと思います。
武豊騎手は、今回は実に上手く乗りましたね!
デットーリのウィジャボードが、ディープの後ろに付けて、たぶん外から被せてスパートしようとしていたのでしょうが、これを察して、ウィジャボードの更に後ろに付けて、ワンタイミング早くスパートして、外に持ち出しました。こうなると、本当に伸び伸び走るし、瞬発力があるので、もうつかまりませんね。好騎乗だと思いました。
たぶん、ディープインパクトは、外から被せられるのが嫌いでしょうし、馬格がない分、叩き合いにはやや疑問があります。こうした難点を上手にカバーして、完勝した、ということではないかと思いました。
ハーツクライは、考えてみるに、ディープのシンジケートの主要株主である社台の馬ですから、今回は、ディープと本格的に戦うモチベーションが陣営にありません。
ドリームパスポートはフジキセキの子なのに、なかなか底力がありますね。ウィジャボードは、ディープにあれだけ上手く乗られてしまうと、チャンスがありません。しかし、きついローテーションで3着に来たわけですから、世界のトップ級だと思います。
私は、ウィジャボード(というよりも騎手のデットーリ)からディープを本線に買い、両馬から、ドーリームパスポートの馬連を抑えましたが、ウィジャボードの単勝も買ったため、投資額の75%回収に留まりました。
何はともあれ、ディープインパクトが良いレース振りでスッキリ勝ったのは嬉しいことです。とはいえ、池江調教師に対するペナルティー無しを含めて、JRAの薬物不正問題への対処の甘さは、未だに釈然としません。ディープインパクト陣営が不正をはたらいて、かつ、これは馬券にも影響した(4着のハリケーンランの複勝を勝っていた彼の地のファンは納得できないでしょう)のですから、もっと厳しい対処が必要だったのではないかと、私は思っています。
また、ディープインパクトそのものの名誉ということに関しては、本当は、来年の凱旋門賞(に限らず、海外G1)に再チャレンジするのが、一番スッキリすると思うのですが、51億円の種馬が壊れてしまっては元も子もないので、陣営は、そうはしないでしょうね。
サンデーサイレンス系の値があふれている中、小柄なディープが種牡馬として成功するものなのか、数年後が楽しみです。
サンデーの死もあって、伝説級最強馬レベルがどうしても欲しかった社台、
そして伝説級最強馬に恵まれなかった豊という、
当時競馬界を完全に牛耳ってた三者がつるんで無理矢理産み出した伝説が、ディープだ
アンチの妄想というには、あまりに方法がエグいんだよ
ポスターを配ったり銅像を設置したり飛行船飛ばしたり三冠祈念弁当用意したり
それを日本国政府が資本金の全額を出資する、天下り団体のJRAがやるんだからな
JRAは騎手免許や調教師免許を発行して、
調教コースや競馬場を設置提供して、その馬場管理をしてる特殊法人だ
そのJRA+社台の、異常なバックアップを受けたのがディープだぞ
騎手も調教師も「ディープに勝つのは許されないという空気」だった
現実に、空気読まずに勝っちまったルメールについて
「余計なことをしてくれた」と言ったJRA職員もいたんだからな
実力で勝った?
オペラオーみたいな包囲網をされて、オルフェみたいなタックルくらっても勝ってるなら
それも信じていいけどな
薬物度外視しても、3歳有馬2着。凱旋門賞3着。
ディープは強い馬だったと俺も思ってる。だが断じて史上最強馬では無い。
それと、フランスまで行って使用したのはもう、イプラなしでは走れなかった何よりの証拠かと
大金叩いて、世界のディープを見逃すなとCMまでやってるのに軽率にクスリを投与するとか普通は考えにくいかと
そう言えば、帰国して復帰戦のJCでは喉なりでまともに走れない天敵ハーツ相手に快勝して強いディープを演出しましたけど、さすがに引きましたわ
あの茶番劇は競馬界の汚点の歴史の一つでしょう間違いなく