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【ダイヤモンドオンライン】「職域NISA」を警戒せよ!

 ダイヤモンド・オンラインの「山崎元のマルチスコープ」に「 「職域NISA」を警戒せよ! 」と題する記事を書きました。(※リンクをクリックすると、新しいページが立ち上がります。)

 「職域NISA」とは、金融機関が取引先の職場単位でNISAの口座を獲得し、給与天引き(銀行の場合)あるいは口座の自動振替の形(証券会社の場合)で積立投資を行うような営業形態です。
 個人単位の働きかけでは口座と資産獲得の効率が悪いことなどから、今度は取引先企業に働きかけることで顧客の「囲い込み」を目指すのが、金融機関の目下の動きというところです。

 職域NISAのビジネスとよく似たものに、企業型確定拠出年金の営業があります。
 企業型確定拠出年金では、金融機関と日頃やり取りをしている企業の財務マンが、メインバンクや主幹事証券との取引関係を良くするために従業員の年金を「売る」ことは、ビジネス上有力な選択肢になります。結果、企業によっては、明らかに確定拠出年金に不向きな運用商品が並んでいたり、商品が多すぎて選びにくいケースも多々見られます。
 職域単位でNISAの投信積立が導入される場合にも、これと同様の弊害が起こる可能性は十分にあります。

 さらに、NISA推進・連絡協議会が定めた「職場積立NISAに関するガイドライン」を読むと、相当の人手とコストとを掛けられるようでなければ、積立NISAを扱うことはまかりならないと言っており、大手金融機関グループ以外の業者を排除する参入障壁のような自主ルールを作ろうとしているように見えます。
 ここで掛かる諸々のコストは、当然ながら、運用商品の手数料等の形で回収されるわけであり、よく分かる投資家にとっては、余計なお世話でしかありません。

 また、職域NISAによる従業員持ち株会という「恐ろしい可能性」にも注意が必要です。これは「個別株式、特に勤め先の株式への投資はリスク集中の観点から、NISAにはふさわしくない」という、資産運用のセオリーからは外れた投資です。

 職域NISAは、金融機関にとって合理的なビジネス手法なので、今後進む事が予想されますが、みなさんは大いに警戒しましょう。
 どんな取引でも、売り手に「囲い込み」されてろくなことはないと肝に銘じておくことが重要です。
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【ダイヤモンドオンライン】住宅は「賃貸よりも購入がいい」のか?

 ダイヤモンド・オンラインの「山崎元のマルチスコープ」に「 住宅は「賃貸よりも購入がいい」のか? 」と題する記事を書きました。(※リンクをクリックすると、新しいページが立ち上がります。)

 先日実施されたアンケート結果によると、「家は買うか借りるかどちらがよい?」という質問に対し、回答者のほぼ4分の3の74.7%が「買う方がよい」と答えていました。
 私自身は「中立派」であり、購入か賃貸かの判断は、投資として考えた場合に、住宅価格が十分安ければ買うのがいいし、逆に高い場合には賃貸で住む方がいいと考えています。

 購入派と賃貸派それぞれに言い分はあるでしょうが、住宅ローンを使っての購入の損得について言えば、「現金での購入の損得+ローンの損得(借入金利と市中金利の差から生じる)」として考えるべきであり、基本的に金融機関の儲けの分だけ、住宅購入者の損になります。

 目下、住宅ローン金利は最低水準を更新中です。そのため、「住宅ローンの利用に伴う損」がかなり圧縮出来ている、と考える事には一理あります。
 一方、日銀による超低金利政策の不動産価格に対する効果の評価は些か微妙です。
 株式と同様に、将来のキャッシュフロー(不動産の場合家賃収入)を現在価値評価する際の割引率と、キャッシュフローの成長率とは、名目成長率が上昇すると金利が上昇する関係を通じたある種のバランスがあるはずですが、金利が人為的に抑えられると、このバランスが変化します。
 人為的低金利による不動産価格の高騰が既に起こっているとすれば、金融政策が平時に戻った段階では、先のバランスが回復する効果があるので、成長率の上昇よりも長短の金利上昇幅の方が大きくなって、不動産の理論価格は大きく下落する可能性があることになります。

 人為的な長短金利の形成が、資産の適正価格を分かりにくくしていますが、デフレ脱却への手段としても資産価格が使われていることを考えると、そろそろ「高値づかみが怖い」という意識を持ち始めるのが頃合いでしょう。
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【夕刊フジ】方向性は正しい「正社員廃止論」 クビになっても再就職が容易に

 夕刊フジの木曜日号(水曜発売)に「経済快説」という短いコラムを載せています。これは、WEBでもお読み頂けます。
 今週は、「方向性は正しい「正社員廃止論」 クビになっても再就職が容易に 」と題する記事を書きました。

 竹中平蔵氏がテレビ番組で、正社員を廃止しようと述べたことが話題になりました。この正社員廃止が、正社員の過剰な保護を適切に「薄める」ことを意味するなら、企業は現在よりも積極的に正社員を雇用するようになるはずです。
 現在の過剰な正社員の保護は、企業が正社員の雇用増を躊躇し、非正社員の雇用を増やす理由になっています。

 私自身は、正社員の解雇を金銭補償で可能にする、なるべくシンプルなルールを設けることが、適切な「正社員の改善」だと考えます。
 企業は将来の雇用調整コストを見込んだ上で、今よりも積極的に正社員を雇うことが可能になります。働く個人にとっても、正社員の解雇がしばしばある社会の方が、再就職先を探す場合に「空き」のポストを容易に見つけやすく、また、正社員を離れることのコストが小さくなるため、離職して大学院に通ったり、ボランティア活動をしたりといった柔軟な人生設計がよりやり易くなることでしょう。
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【ビジネスジャーナル】日本企業のマネージャーの将来像

 サイゾー社が運営するWEBメディア「ビジネスジャーナル」に、「 かわいそうな日本の管理職?圧倒的な権限のなさ、辟易する面倒さ…いつでも取り替え可能 」と題する記事を書きました。
(※リンクをクリックすると、新しいページが立ち上がります。)

 日本企業のマネジメントは、今後外資系風に変化しつつあるように思われます。その背景には、転職の一般化、今後予想される正社員の解雇条件に関する規制緩和に加え、ビジネス環境の変化スピードが上がりこれに適応する必要性が挙げられるでしょう。

 日本企業における中間管理職のあり方は、第一に正社員の解雇が難しくコスト高であることと、第二に全社の人事を統一的に管理する中央集権的な人事部があるという2つの要因に特徴があります。
 一方、外資系的なマネージャーのあり方とはどのようなものかというと、以下のような特徴にまとめられます。

(1)明確な「レポートライン」
 常識的に「ボス」とは、指示に従い報告義務を負う、自分のレポートライン上の上司のみであり、それ以外は日本的にいう「上の人(偉い人)」も含めてすべて「同僚」です。

(2)予算に対する責任
 マネージャーは、端的にいって「いくら儲けるか」の予算目標に対して責任を負います。達成したらたっぷりボーナスをもらい、達成できなければマネージャー自身がクビになるというのが、原則とまで言えませんが、だいたい基本的な考え方とみてよいでしょう。

(3)ヘッドカウント
 マネージャーが雇っていい部下の人数上限をヘッドカウントと称し、会社はコストとマネジメント管理の手段として使います。

(4)人事権(部下の採用、解雇、ボーナス評価、の権限を持つ)

 日本企業と大いに異なるのは、マネージャーの人事権の内容です。もちろんフェアな理由が必要ですが、原則として使いたい部下を採用し、クビにしたい部下をクビにすることができます。また、部下を評価しボーナスを決定するのもマネージャーです。

 「血も涙もないやり方だ」とも思うかもしれませんし、実感としては、オフィスでは大いに血と涙が流れています。しかし、ゲームのルールとしては、フェアであり合理的な面があります。
 今回述べたような外資系的マネージャー像が、すべての日本企業にただちに拡がっていくわけではないでしょうが、ビジネスのグローバル化、環境変化のスピードアップ、人材の流動化を考えると、方向性はこのようなものでしょう。
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【現代ビジネス】1億総投資家時代の「節税運用」活用術

 現代ビジネス「ニュースの深層」(隔週連載)に記事を書きました。
DC&NISA大幅拡充の時代到来!? 「節税運用」を最大限活用する10のポイント
※リンクをクリックすると、新しいページが立ち上がります。

 昨年末に発表された自民党の税制改正大綱を読むと、確定拠出年金(以下「DC」)とNISA(少額投資非課税制度)の大幅な拡充を目指す内容になっています。これらを通じてさらにリスク資産に投資せよという、「一億総投資家時代」を政府は目指しているのでしょう。
 こうした動きは、「国を当てにせずに、国民各自が自分の老後の用意をせよ」という政府からのメッセージだと受け取ってよいでしょう。DCやNISAについては、無いよりもある方がずっとましな制度なのですから、前向きに利用することを考えるのが現実的です。

 今回の記事では、DCとNISAを利用する上での考え方を、以下の十原則にまとめました。

<DC&NISAを利用する10個の原則>
1 運用全体の中の一部として考える
2 「最悪の損失」も見当をつけておく
3 資金枠は可能な限り大きく利用する
4 DC、NISAには期待リターンの高いものを集める
5 流動性に注意する
6 お任せ運用ではなく単品を自分で組み合わせる
7 手数料の安さで商品・金融機関を選ぶ
8 インデックス・ファンドにのみ投資する
9 インカム収入にこだわらない
10 怪しい民間療法的な運用手法(ドルコスト平均法は有利な投資方法だ、など)にとらわれない

 各原則の詳しい内容は「現代ビジネス」の記事をご覧頂くとして、ここではざっと項目だけを並べましたが、殆どのケースがこれで判断出来る筈です。
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【夕刊フジ】低金利下のマネー運用 目先の利回りを追うべからず

 皆様、あけましておめでとうございます。本年もどうぞ宜しくお願い致します。

 本年最初の夕刊フジ連載『経済快説』に、「低金利下のマネー運用の考え方」というコラムを書きました。

 低金利下のマネー運用の要諦を一言で言うと「堅く見える利回りを敢えて追わないこと」です。

 プロが運用しても短期金利はほぼゼロなのですから、この場合、普通預金での運用は、市中金利が高い場合に比べて「もったいない」運用ではありません。定期預金や債券などで運用した場合の利回りと較べても同じことが言えます。特に、多少の利回りの上積みを求めて長期債で運用してしまうと、満期までの期間が長いため、将来の金利上昇で損をするリスクがあります。

 具体的には、リスクを取りたくない方は、個人向け国債の変動金利で10年満期のタイプがいいでしょう。そして、リスクを取ってもいい方は、インデックス投信などで株式に少し投資しても良いでしょうが、上げ相場が既に後半戦に入っていることは意識しておきたいところです。
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