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【ダイヤモンドオンライン】株価暴落時に投資家がするべきこと

 日本を含め世界の株価が急落したことを受け、今週のダイヤモンド・オンライン「山崎元のマルチスコープ」では、「株価暴落時に投資家がするべきこと」と題し、基本動作となる4ステップについてまとめています。

ステップ1.暴落の理由を理解する
 中国の株価と経済に対する懸念がきっかけになっていることについて、大方の意見は一致しているようです。
 今後、中国経済がバブル崩壊した場合、個々の企業単位でビジネス上深刻な影響を受けるケースがあるでしょう。しかし、その影響は、主に当事国である中国の経済減速に留まり、外国への金融的波及は大きくないように思われます。
 但し、中国の成長率低下が、日本の経済にもマイナスの影響を持つ事はある程度は仕方がありません。
 その他の大きな変化を挙げるとするなら、為替レートの円高と原油価格の下落でしょう。今以上に円高が進むようだと、デフレ脱却を目指す日銀としては何らかの追加緩和策を採る必要が出て来るかもしれません。

ステップ2.株価水準の高低を判断する
 株価が急落(あるいは急騰)した場合、真っ先に確認すべきは株価水準の高低です。利益・配当・純資産等に対して、株価が割高な状態で急落が起こったのであれば、下げ相場には抵抗しにくく、投資の大幅縮小を考えるべきケースも出てくるでしょう。
 今回、急落の理由と株価の水準を考えると、持っているリスクの水準自体が過大である投資家以外は、投資の縮小が必要な状況ではなさそうにみえます。

ステップ3.自分の許容リスクを確認する
 投資の形態がインデックス・ファンドのような投資信託なら1年後の最大損失の目処は3分の1くらい、1銘柄だけなら現値の3分の2から半値安くらいの株価変動の覚悟は必要です。自分で分散投資している場合は4割減くらいの見当で考えるといいでしょう。
 1年後に現状からその割合だけ株価が下落しても問題無いか、自分の許容リスクを確認しておきましょう。

ステップ4.投資行動を決める
 リスクが過大だと判断した場合は、躊躇なく投資額の「減額」をするべきですが、そうでない場合は、投資額を維持しながら、株価の回復を待つ方針でいいでしょう。
 今回は、投資をしていく中でしばしばあるレベルの波乱局面に過ぎず、現時点では株式の投資ポジションを大きく落とすべきではないと、私は考えています。
 基本は、中立的な水準ないし、ややポジションを下げた水準で株式を保有し続ける「待ち」ではないでしょうか。
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【ダイヤモンドオンライン】毎月分配型のダメさを指摘した日経の勇気を讃えたい

 ダイヤモンド・オンラインの「山崎元のマルチスコープ」に「毎月分配型のダメさを指摘した日経の勇気を讃えたい」と題する記事が掲載されています。

 今週は、『日本経済新聞』のコラムに載っていた「いい記事」と、『ZAi ONLINE』に載っていた「残念な記事」とを比べ、メディアと読者の期待のズレについて考えてみました。

 毎月分配型投信も、ラップ商品(ラップ口座、ラップ投信も含めて)も、どちらも投資家にとって、明確に「ダメ」な商品です。しかし、金融機関にとっては売れ筋であり、これらを売る金融機関は、メディアにとって、広告を出す有力なクライアントであると同時に、金融関連の記事のネタ元でもあります。

 今回、運用ビジネスについての的確な議論に加え、毎月分配型投信の類を「完全にダメ」な商品だと自信を持って結論づけている日経新聞の記事の、的確な問題意識と勇気に感心しました。

 一方、『ZAi ONLINE』のラップについての記事は、あまりに業界に甘い書きぶりに、読んでいて情けなくなります。
 全体を通してひたすら売れ筋のファンドを紹介するばかりで、広告主となる金融機関と投信運用会社に向けた「ヨイショ記事」であると感じました。

 両メディアを比較すると、ZAiの方がその特性としてマネー運用に特に熱心な読者が多いことでしょう。それにも関わらず、日経新聞と比較しても、ZAiの記事の方が運用業界寄りのヨイショ記事であるのはなぜでしょうか。

 私は、ZAiのようなマネー運用に特化した媒体にあっては、運用会社・金融機関からの広告料収入の多寡が、媒体の存続にとってより重要なのだろうと推測しています。
 目下、マネー運用に特化した媒体の記事の方が、その他の内容も扱う媒体の記事よりも信頼性が低いという残念な現象が起きています。これは、マネー以外のテーマを扱う媒体でも発生する可能性のある悪循環でしょう。

 もちろん、今回は大いに褒めた日経新聞(そして北沢編集委員)ですが、彼らが「本物」であるかどうかを見極めるためにも、今後、日経が「ラップ」について書く時に、どう書くかに注目したいと思います。
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【ダイヤモンドオンライン】バランスファンドが本質的にダメな4つの理由

 ダイヤモンド・オンラインの「山崎元のマルチスコープ」に「バランスファンドが本質的にダメな4つの理由」と題する記事を書きました。

 運用商品としてのバランス・ファンドの可否について、私は明確に「否!」の立場です。理由は以下の4つに集約できます。

バランス・ファンドがダメな4つの理由
1. リスクの大きさ・内容が把握しにくい
2. リスクの大きさ・内容のコントロールが難しい
3. コストが割高
4. アセット・アロケーションの特別な能力は誰にもない

 近年、実質的にバランス・ファンドの運用をするものとして普及しつつある商品・サービスの形態に、証券会社又は信託銀行で手掛ける「ラップ口座」と、確定拠出年金向けの「ライフサイクル・ファンド」があります。
 両者は共に「バランス運用」であり、先の「バランス・ファンドの欠点」をすべて共有するだけでなく、それぞれに明らかで深刻な欠点を持っています。

 ラップ口座には、資金の運用者が手数料を貪るインセンティブがあり、現実に高い実質的手数料が掛かる場合が多く、バランス運用の中でも特に劣悪な運用サービスであり、決して近づかない方がいい商品です。
 また、ライフサイクル・ファンドをはじめ、確定拠出年金でバランス・ファンドを運用して複数のアセットクラスに投資することは、非課税のメリットを最大限に使うことが出来ないという「追加的な不都合」があります。

 実は、先の「4つの理由」の1と2については、主に1990年代の日本の企業年金の多くが、運用機関に勧められるままバランス・ファンドに運用を任せた結果、困難に陥った要因でもあります。

 個人投資家も、これら企業年金の失敗を教訓として、ラップ口座やライフサイクル・ファンドはもちろん、バランス・ファンドでの運用は避けるべきです。
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【現代ビジネス】在宅勤務拡大に賛成

 現代ビジネス「ニュースの深層」(隔週連載)に「リクルートが在宅勤務を導入 真剣に考えよう。クラウド時代に、会社に出勤する意味があるのだろうか?」というタイトルで記事を書きました。

 リクルートHDが、全社員を対象に、上限日数制限のない在宅勤務制度を導入するそうです。これは英断だと言えるでしょう。
 私は、在宅勤務の拡大に賛成です。
 私自身、兼業サラリーマンとして過去十数年に亘って、日数に上限のない在宅勤務を続けて来ましたが、大変大きなメリットがあったと感じています。
 今回は、もっと多くの職場で多くの人の在宅勤務が可能になることを願って、在宅勤務のポイントについて気がつくことをまとめました。

 在宅勤務で最大の問題は、仕事の成果測定と人事評価でしょう。この場合、成果のみによって社員を評価することに対する労使双方の了解が得られることと、「成果」が適切に定義されることの2つが大切です。
 調査やコンテンツ制作、あるいは大きなシステム開発の一部等のように、個々の成果の評価基準を設定することが難しい仕事もあります。
 他にも、広範囲に亘るいわゆる事務職で在宅勤務を可能にする場合、特に管理者側での、部下の適切なマネジメントが重要になります。在宅勤務の拡大は、マネジャーの負担を増やすことになるでしょう。
 一方、若手社員に対するOJTのような教育機会が減少する問題に手を打つ必要があるかも知れません。

 在宅勤務といえども「勤務」には違いないので、処理しなければならない問題は多数ありますが、在宅勤務自由化のメリットが大変大きいことは間違いなく、今後、規制が邪魔しないことを望みます。

 さらに、在宅勤務の自由化に加えて、副業の自由化についても、大いに進めて欲しいと願っています。両者の相性は良いはずですし、高齢者労働力の有効活用のためにも、早い段階から、副業ないし「複業」の可能性を開いておくことが有効です。

 在宅勤務と副業の自由化は、個人が様々な形で企業と契約出来るようになり、社会の活性化に繋がるでしょう。個々人の可能性が広がるのと同時に、企業にとってもメリットとなる制度です。
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【経済快説】企業の「談合」に過ぎない就職協定 学生のためにもなっていない現状

 夕刊フジの木曜日号(水曜発売)に「経済快説」という短いコラムを載せています(web版はこちら)。
 今週は、就職協定について書いています。

 今月1日より選考活動が解禁となり、いわゆる「内定」を出せるようになりました。しかし、実質的な選考活動はずっと前から行われており、既に「内定予約」とでも言うべき意思表示が取り交わされているのが現実です。

 就職協定は「早く内定が決まると、学業がおろそかになって困る」との大学側の事情による面がありますが、実質的な就職活動期間が長びくことで、学生の欠席が増えている印象もあります。
 学生が授業に来ないのは大学の質の問題です。企業も学生も「大人」なのですから、採用・就職は当事者が何時決めてもいいはずです。
 加えて、職業人生のスタートから、世の中のルールを破ってもいい場合があると若者に教える事がいいことだとは、到底思えません。
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【ダイヤモンドオンライン】「お金の問題」で後悔しないために、運用以外で大切なこと

 ダイヤモンド・オンラインの「山崎元のマルチスコープ」に「「お金の問題」で後悔しないために、運用以外で大切なこと」と題する記事を書きました。

 今回は、先月末に発売された拙著「図解 山崎元のお金に強くなる!」(ディスカヴァー・トゥエンティワン社)から、敢えて「運用以外で」お金について重要だと私が思うテーマについて、かいつまんでご紹介しました。

 お金の問題において、更には人生を経済的に豊かに暮らす上で最も重要な意思決定は、「いかに働き、いかに稼ぐか」、そして、そのための能力や機会をいかに手に入れるか、です。
 そのためには、自分自身の「人材価値」を頼りにすべきであり、その人材価値を育て、且つ活かすのに必要な「時間」の使い方、つまりキャリア・プランニングを考える事が重要になります。

 二番目に大切なこととして「お金の貯め方と上手な使い方」を挙げています。
 この分野では明らかな劣等生である私からは、貯蓄は予め額を決めて「天引き」で行い、現金払いを原則とすることの他は、大いに稼げ! しっかり貯めろ! 離婚はするな! くらいしか言えることはありません。
 記事(と拙書)では、生活の収支を合わせることの重要性と共に、借金がいかに不利であるかについて、大いに強調しておきました。

 その他、家を買うか買わないか、生命保険といかに付き合わないか、年金はどれくらいあてにしていいのか等、いずれも「運用以外」であって、しかしながら個人の経済的意思決定において重要なトピックについて紹介しています。
 記事で紹介し切れなかったトピックも含め、全ては、お金と爽やかに付き合うために必要な内容ばかりです。お金は、それ自体が「目的」なのではなく、合理的・効率的に使われるべき「手段」であり、私自身は「吸った息を吐くように」お金と関わる人生を理想としています。
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【ビジネスジャーナル】転職を正当化できる3つの理由

 「ビジネスジャーナル」で連載中の『山崎元「耳の痛い話」』に、「 転職に、後ろめたさや躊躇はまったく必要ない 転職を考えてよい3つの「場合」 」と題する記事を書きました。

 転職の目的は、人生の時間を有効活用するためであり、自分の人材価値を活かすために行うものです。今の職場よりも、次に現実に手に入れられる職場の方がいいと結論出来るなら、転職を決めることに躊躇も後ろめたさも必要ありません。

 記事では、転職を肯定する典型的な状況を3つ挙げました。自分が転職したいと思う理由が、これら3つの何れかで説明出来るなら、その転職は、考えてみる価値が大いにありそうです。

1・自分の仕事のスキルを高めるための転職
 仕事のスキルを身につけるには、仕事を教えてくれる「師匠」や「手本」がいる職場や「ライバル」がいる職場で、実際に仕事をすることが有効な場合が多く、この目的で転職をするのは、20代が多いでしょう。

2・より良い仕事の場を確保するための転職
 仕事のチャンスや経済条件、人間関係など、「良い仕事の場」の意味は人や場合によって異なりますが、十分考えるに値します。
 この種の転職を最も考えやすいのは、ある程度仕事を覚えている30歳代前半でしょう。この場合、その問題を改善できるという、確実ではなくとも十分な見通しを持って転職を決めることが必要です。

3・求めるライフスタイルに近づくための転職
 最後に、自分が求めるライフスタイルと両立する職場に移る転職があってよいでしょう。
 私の場合は、40歳代の前半に、働く時間と対外的な発言の自由度の高い職場に移り、会社からの収入は下がりましたが、経済評論の仕事と勤め先の仕事を両立せる道を模索しました。誰でも所属組織を離れた後の人生のことを考える必要がありますし、それはなるべく早いほうがいいのも事実です。

 以上、転職を考えている方は、自分の転職が何を目指したものなのかを改めて考えてみるといいでしょう。
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【ダイヤモンドオンライン】日経がFT買収、他の経済メディアは対抗できるか?

 ダイヤモンド・オンラインでの連載「山崎元のマルチスコープ」に、日本経済新聞社によるフィナンシャル・タイムズ・グループ(以下「FT」)買収のニュースから、日経のライバルたるメディアが国内に必要ではないか、という趣旨の記事を書きました。

 日本のビジネスメディアの世界にあっては、日経だけが突出してさらに力を付けるよりも、日経のビジネス分野と有効に競争出来るライバルが日本国内にも存在する方が、ユーザーにとって好ましいでしょう。

 日経の現在の地位は、経済メディアとしての実力の賜物ではありますが、競争による切磋琢磨がなく、企業報道に深みが生まれない点が読者の側では物足りなく感じます。
 また、日経平均その他のデータ使用コストの高さにあっても、日経と有効に競争出来る、資金力とマンパワーを備えたライバルがいて欲しいところです。

 それでは、これらの面で日経に対抗しうる資金力を持つ、日経のライバルたり得るビジネス主体はどこに存在するのでしょうか。
 今のところ、何れの会社も単独では力不足であると思われます。
 そこで、読売・朝日といった大手総合紙が、この連載の掲載媒体を擁するダイヤモンド社または東洋経済新報社を買収する、或いは、ブルームバーグと手を組んで、海外経済メディアの日本ビジネス展開の先兵となる、といった展開はどうでしょうか。コラムでは、これらの組み合わせについて、あれこれ考察を加えています。

 何はともあれ、日経は思い切った手を打ちました。このこと自体は、一読者・ユーザーとして大いに歓迎しています。次に問われるのは、ライバル候補達の行動力です。
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