評論家・山崎元の「王様の耳はロバの耳!」
山崎元が原稿やTVでは伝えきれないホンネをタイムリーに書く、「王様の耳はロバの耳!」と叫ぶ穴のようなストレス解消ブログ。
【経済快説】ショーンKにあえてエールを送る インチキだったで片付けるには惜しい能力
夕刊フジの木曜日号(水曜発売)に「経済快説」という短いコラムを載せています(web版はこちら)。
今週は、ショーンKこと、芸名ショーン・マクアードル川上氏の経歴詐称問題について書きました。
川上氏本人のスキャンダルとして軽く笑って終わりにするには勿体ない深みが、今回の問題にはあります。
経歴詐称自体は感心しないとしても、彼が出演した数多くの番組において、彼のコメントが商品として通用し、テレビ局から高い評価を得ていた事実をどう考えるべきでしょうか。経歴を問題とするなら、それを確認しなかった番組のプロデューサー、ディレクター、司会者の仕事振りは杜撰としか言えません。今や、本人のコメントを聞くべきは、川上氏よりも、彼を使ったテレビマン達の方です。
川上氏のセルフ・プロデュース能力自体は、驚嘆すべき高水準にあります。
川上氏は、その外見にあっても、中身にあっても「これ以上ない位テレビ的な人」であり、メディアの本質を批判的に教える生きた教材です。ぜひ、消えずに活動して欲しいと願います。
今週は、ショーンKこと、芸名ショーン・マクアードル川上氏の経歴詐称問題について書きました。
川上氏本人のスキャンダルとして軽く笑って終わりにするには勿体ない深みが、今回の問題にはあります。
経歴詐称自体は感心しないとしても、彼が出演した数多くの番組において、彼のコメントが商品として通用し、テレビ局から高い評価を得ていた事実をどう考えるべきでしょうか。経歴を問題とするなら、それを確認しなかった番組のプロデューサー、ディレクター、司会者の仕事振りは杜撰としか言えません。今や、本人のコメントを聞くべきは、川上氏よりも、彼を使ったテレビマン達の方です。
川上氏のセルフ・プロデュース能力自体は、驚嘆すべき高水準にあります。
川上氏は、その外見にあっても、中身にあっても「これ以上ない位テレビ的な人」であり、メディアの本質を批判的に教える生きた教材です。ぜひ、消えずに活動して欲しいと願います。
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【現代ビジネス】日銀の次の一手は、民間企業への「異次元関与」か
現代ビジネス「ニュースの深層」(隔週連載)に「日銀の次の一手は、民間企業への「異次元関与」か」というタイトルで記事を書きました。
先般、日銀は自身の発表の中で、新たな株価指数に基づく新種のETF組成について言及しました。
これは、株価指数の構成銘柄の形で、アベノミクスに協力的な企業を認定して、株式を買ってやると言う、いわば「アベノミクス協力企業株価指数」のインデックスファンドへの、日銀の投資宣言と読み取れます。
日銀は、金融緩和だけではなく、民間企業経営への影響力行使にあっても、「異次元」の段階に入ろうとしているようです。
現在日銀は、ETFの形で上場株式の買い入れを続けており、今や、GPIFに続く日本第2位の上場企業の大株主になっています。また、投資家としても、年間およそ3兆円の買い入れ額は決して小さくありません。
「デフレ脱却」に向けた金融緩和政策の一環として、何らかのプラス効果を持っている政策だとは評価できる一方で、大株主・大投資家として、日銀が株式市場で存在感を増すことに関して、幾つか懸念があります。
<日銀は民間企業の経営に影響力を行使するつもりなのか?>
公的機関であり、また銀行業界側の利害に深く関わる日銀が、株式の保有や売買を通じて、民間企業の経営に関与することは、少なくとも「余計」であり、同時に「有害」でもある可能性があります。
また、金融緩和を目的に株式市場に資金を流入させることは、本来自然に形成されるべき株価を歪め、「自然な株価」を分からなくさせてしまう弊害もあります。
<日銀は持ち株の議決権行使をどうするのか?>
大株主である日銀が、議決権行使に積極的に関わるなら、それは民間企業の経営への介入にあたり、関わらないと決めるとするなら、議決権の空洞化につながります。
現実に株式を抱えている以上、日銀はその方針をはっきり打ち出すべきです。
<日銀は持ち株の出口戦略をどうするのか?>
仮に、日銀が保有株式を市場で売却するとなると、株価に対してネガティブな影響が及ぶ公算が大きく、何れは売却を考えている場合、その「出口戦略」は、債券の場合よりも格段に難しいものになるでしょう。
以上、これら不都合の根本的原因は、日銀が株式を買入対象にしたことの「筋の悪さ」にあると私は考えています。
日銀には、はっきりとその考えを聞きたいものです。
先般、日銀は自身の発表の中で、新たな株価指数に基づく新種のETF組成について言及しました。
これは、株価指数の構成銘柄の形で、アベノミクスに協力的な企業を認定して、株式を買ってやると言う、いわば「アベノミクス協力企業株価指数」のインデックスファンドへの、日銀の投資宣言と読み取れます。
日銀は、金融緩和だけではなく、民間企業経営への影響力行使にあっても、「異次元」の段階に入ろうとしているようです。
現在日銀は、ETFの形で上場株式の買い入れを続けており、今や、GPIFに続く日本第2位の上場企業の大株主になっています。また、投資家としても、年間およそ3兆円の買い入れ額は決して小さくありません。
「デフレ脱却」に向けた金融緩和政策の一環として、何らかのプラス効果を持っている政策だとは評価できる一方で、大株主・大投資家として、日銀が株式市場で存在感を増すことに関して、幾つか懸念があります。
<日銀は民間企業の経営に影響力を行使するつもりなのか?>
公的機関であり、また銀行業界側の利害に深く関わる日銀が、株式の保有や売買を通じて、民間企業の経営に関与することは、少なくとも「余計」であり、同時に「有害」でもある可能性があります。
また、金融緩和を目的に株式市場に資金を流入させることは、本来自然に形成されるべき株価を歪め、「自然な株価」を分からなくさせてしまう弊害もあります。
<日銀は持ち株の議決権行使をどうするのか?>
大株主である日銀が、議決権行使に積極的に関わるなら、それは民間企業の経営への介入にあたり、関わらないと決めるとするなら、議決権の空洞化につながります。
現実に株式を抱えている以上、日銀はその方針をはっきり打ち出すべきです。
<日銀は持ち株の出口戦略をどうするのか?>
仮に、日銀が保有株式を市場で売却するとなると、株価に対してネガティブな影響が及ぶ公算が大きく、何れは売却を考えている場合、その「出口戦略」は、債券の場合よりも格段に難しいものになるでしょう。
以上、これら不都合の根本的原因は、日銀が株式を買入対象にしたことの「筋の悪さ」にあると私は考えています。
日銀には、はっきりとその考えを聞きたいものです。
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【ダイヤモンドオンライン】「トランプ現象」と「橋下徹ブーム」を比較する
ダイヤモンド・オンラインの『山崎元のマルチスコープ』に「「トランプ現象」と「橋下徹ブーム」を比較する」と題する記事を書きました。
アメリカ共和党の大統領選挙候補者選びで、ドナルド・トランプ氏の勢いが止まりません。
今回の「トランプ現象」的なブームは、民主主義においては、いつ、どこで起きても不思議ではありません。振り返れば、近年の日本でも、日本維新の会が国政進出を目指し「橋下徹ブーム」とでも言うべき現象が巻き起こった時期がありました。
今週は、政策論ではなく政治現象としての「トランプ現象」と「橋下徹ブーム」の共通点を挙げ、両者を比較することで、日本の課題が分かるかもしれませんし、トランプ氏の今後の注目点が分かるかも知れません。
<「トランプ現象」と「橋下徹ブーム」の共通点>
1.テレビにおける知名度と人気の利用
2.素人政治家の清新さ
3.「自分の言葉で話す」ことの強さと刺激的発言
4.既存勢力に対する不満の受け皿
5.ナショナリズムとの連動
6.人材集めに対する不安
以上、記事では6つの共通点について書きましたが、特に、橋下徹氏にとって過去の大きな問題であり、トランプ氏にとって今後の課題と見えるものの一つとして、「側近」を含めた人材集めへの不安があります。
個人的な人気を獲得する天才は、しばしば組織作りが下手です。トランプ氏にさらに勢いが増して、しかし、お粗末なスタッフの下で、「トランプ大統領」が実現する、ということになると、米国は相当に混乱するでしょう。その余波は、米国から見て、実質支配子会社のような存在である日本にもいずれ及ぶことになります。
目下進行中の「トランプ現象」については、彼が自分の周りにどのような人を集める事が出来るかに最も注目したいと思います。
アメリカ共和党の大統領選挙候補者選びで、ドナルド・トランプ氏の勢いが止まりません。
今回の「トランプ現象」的なブームは、民主主義においては、いつ、どこで起きても不思議ではありません。振り返れば、近年の日本でも、日本維新の会が国政進出を目指し「橋下徹ブーム」とでも言うべき現象が巻き起こった時期がありました。
今週は、政策論ではなく政治現象としての「トランプ現象」と「橋下徹ブーム」の共通点を挙げ、両者を比較することで、日本の課題が分かるかもしれませんし、トランプ氏の今後の注目点が分かるかも知れません。
<「トランプ現象」と「橋下徹ブーム」の共通点>
1.テレビにおける知名度と人気の利用
2.素人政治家の清新さ
3.「自分の言葉で話す」ことの強さと刺激的発言
4.既存勢力に対する不満の受け皿
5.ナショナリズムとの連動
6.人材集めに対する不安
以上、記事では6つの共通点について書きましたが、特に、橋下徹氏にとって過去の大きな問題であり、トランプ氏にとって今後の課題と見えるものの一つとして、「側近」を含めた人材集めへの不安があります。
個人的な人気を獲得する天才は、しばしば組織作りが下手です。トランプ氏にさらに勢いが増して、しかし、お粗末なスタッフの下で、「トランプ大統領」が実現する、ということになると、米国は相当に混乱するでしょう。その余波は、米国から見て、実質支配子会社のような存在である日本にもいずれ及ぶことになります。
目下進行中の「トランプ現象」については、彼が自分の周りにどのような人を集める事が出来るかに最も注目したいと思います。
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【エンジニアの生きる道】エンジニアの合理的「お金道」入門
株式会社VSN様(技術系人材サービス業)のWEBサイトにて、「経済評論家・山崎元の「エンジニアの生きる道」」というタイトルで、月一回、エンジニアの方に向けたコラムを書いています。
今月は、「エンジニアの合理的「お金道」入門」と題し、エンジニアが自分自身のお金を扱う上での勘所をご案内する記事を書きました。
お金は、一貫した考え方の下で論理的に扱うことができ、また、それが望ましく、論理と計算に強いエンジニアには、実は向いた世界なのです。
今回は「入門」として、これだけ知っていれば大きな間違いを犯さずに済むという、基本となる心構えとして「お金の基本四原則」を紹介しています。
【お金の基本四原則】
1.金融商品を購入する相手と「相談」しない
合理的「お金道」の第一の心得は「お金の問題にあっては、他人を信じるな」という性悪説です。
お金のアドバイスを他に求めるのなら、金融商品購入の相手にはなり得ない、中立な専門家が相手でなければなりません。無料相談であってもそれは同じです。
2.手取り収入の2割貯める
老後不安の問題は、基本的に時間別の支出配分の問題だと考えましょう。運用や保険、不動産等で、一気に解決出来る方法があると考えるのは、間違いの元です。
現役時代に、手取り収入の2割貯めておくなら、将来、年金と合わせて、概ね現役時代並みの支出が可能になるでしょう。
3.手数料の高い物・分からない物に投資しない
手数料とは「確実なマイナスリターン」ですから、この手数料が分からないということは、実質的なリターンも、ひいてはその運用商品の仕組み自体もわかっているとは言えません。
リターンの分からないような物に、お金を投じるべきではありません。
4.勝ち負けにこだわらない
過去に自分が買った値段は「過去のこと」であり、将来の値動きには無関係です。そして、お金の運用では、「将来の事だけ」を考えて、今の行動を決めることが大切なのです。
大いに運に左右される「たかだかお金の問題」なのだから、たまたま市場の変動で起こった損得を自分の優劣や勝ち負けと同一視しないことが大切です。
但し、手数料の高い商品を間違って買ってしまうような明らかな損や、金融商品の売り手にアドバイスを求めるような不用意なリスクは、運に関係無く評価できることであり、厳しく排除しなければなりません。
今月は、「エンジニアの合理的「お金道」入門」と題し、エンジニアが自分自身のお金を扱う上での勘所をご案内する記事を書きました。
お金は、一貫した考え方の下で論理的に扱うことができ、また、それが望ましく、論理と計算に強いエンジニアには、実は向いた世界なのです。
今回は「入門」として、これだけ知っていれば大きな間違いを犯さずに済むという、基本となる心構えとして「お金の基本四原則」を紹介しています。
【お金の基本四原則】
1.金融商品を購入する相手と「相談」しない
合理的「お金道」の第一の心得は「お金の問題にあっては、他人を信じるな」という性悪説です。
お金のアドバイスを他に求めるのなら、金融商品購入の相手にはなり得ない、中立な専門家が相手でなければなりません。無料相談であってもそれは同じです。
2.手取り収入の2割貯める
老後不安の問題は、基本的に時間別の支出配分の問題だと考えましょう。運用や保険、不動産等で、一気に解決出来る方法があると考えるのは、間違いの元です。
現役時代に、手取り収入の2割貯めておくなら、将来、年金と合わせて、概ね現役時代並みの支出が可能になるでしょう。
3.手数料の高い物・分からない物に投資しない
手数料とは「確実なマイナスリターン」ですから、この手数料が分からないということは、実質的なリターンも、ひいてはその運用商品の仕組み自体もわかっているとは言えません。
リターンの分からないような物に、お金を投じるべきではありません。
4.勝ち負けにこだわらない
過去に自分が買った値段は「過去のこと」であり、将来の値動きには無関係です。そして、お金の運用では、「将来の事だけ」を考えて、今の行動を決めることが大切なのです。
大いに運に左右される「たかだかお金の問題」なのだから、たまたま市場の変動で起こった損得を自分の優劣や勝ち負けと同一視しないことが大切です。
但し、手数料の高い商品を間違って買ってしまうような明らかな損や、金融商品の売り手にアドバイスを求めるような不用意なリスクは、運に関係無く評価できることであり、厳しく排除しなければなりません。
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