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【現代ビジネス】要注意!銀行口座データの「営業利用」はどこまで許されるのか

 現代ビジネス「ニュースの深層」(隔週連載)に「要注意!銀行口座データの「営業利用」はどこまで許されるのか」というタイトルで記事を書きました。

 先月の日経新聞に、「顧客行動の予測 精度競う」、「地銀が履歴解析、IT進化テコに」という見出しで、取引履歴システムを導入し、個人の口座の入出金情報を分析して営業活動に利用している地銀の記事が載っていました

 元々、銀行は自行の口座の入出金をモニタリングすることによって、個人や法人の信用状態に関する情報を持ち、これを融資の判断に生かすことができる、というビジネスモデルです。
 銀行員は口座の資金の動きから、顧客の生活状態を相当に詳細に推測できますし、データを本格的にコンピューターで解析するなら、例えば、運用商品の勧誘を断る確率が小さい、要はセールスに弱い顧客などをスクリーニングすることは難しくないはずです。
 さらに、銀行側からは顧客のお金の動きが見えているので、退職金入金のタイミング等、顧客は丁度良く且つ無防備な状態で営業攻勢に晒されることになります。

 これに対しては、個々の顧客である個人が、自分自身のために警戒するしかありませんが、金融機関が自分自身に関するビッグ・データを持っていて、営業アプローチに及んでいることを理解しておくことが重要です。
 具体的には、退職金を始め、資金の受け払いをする金融機関で金融資産の運用を一切行わないことが適切です。顧客の立場からすると、どこからどのような収入を得て、どのようにお金を使っているのかという自分の懐具合を熟知した相手は、セールスマンとしてはあまりに手強く、遠ざけるべき相手です。

 売り手側の練度が上がっているのだから、買い手側での警戒心の醸成が必要です。不適切な運用商品による被害の額を考えると、「金融機関の運用商品セールスに注意して下さい」という呼び掛けを、振り込め詐欺対策並みの頻度と熱意を持って行うべきなのかも知れません。

 尚、個人が注意し遠ざけるべき商品は、9月に公表された金融庁の「金融レポート」を見ると、毎月分配型投資信託、貯蓄性保険、ラップ口座、の主に三種類です。大いに気を付けて欲しいと思います。
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【DOL】ヤフーも導入「通年採用」が社員と人事にもたらすプラス効果

 ダイヤモンド・オンライン『山崎元のマルチスコープ』に、「ヤフーも導入「通年採用」が社員と人事にもたらすプラス効果」と題する記事を書きました。

 大手企業のヤフーが、「通年採用」の仕組みを導入することを発表しました。
 今年に入って、経済同友会や世耕経産相も、通年採用への切り替えや一括採用の見直しについて公に言及するなど、通年採用には好ましい面があることが理解されつつある一方で、現実には、今ひとつ拡がりを見せていません。

 確かに、人事担当者の負担増やコスト面の問題はあるでしょう。更に、通常時の就活で内定を得られなかった学生が「通年採用」の後半に混じることによる、応募者の質の低下の懸念など、不安要素はいくつか挙げられます。

 しかし、今回のヤフーのように、対象年齢を18歳以上30歳未満と大きく拡げることで、例えば他社からの転職や、海外からの帰国者、さらには、超優秀な学生の青田買いの可能性など、企業側にも求職者側にもメリットが生じる組み合わせが新たに生じる可能性はあります。

 加えて、企業は、人事制度を根本的に作り替える契機として、通年採用の導入を考えてもいいのではないでしょうか。
 「年次」ベースの輪切り型の人材管理では、無駄や不足或いは評価に対する不満が発生します。何よりも、手持ちの社員の能力を最大限に発揮させる上で、既存の人事管理システムには限界があります。

 実際、私自身は、通年採用がきっかけとなって進むはずの、人事システムの進化の方により期待しています。
 若い頃から、年次や給与テーブルといった形式化された基準に関係なく働き、報酬や次の地位・仕事などを貰う関係に慣れるなら、仕事に向いた力のある社員は大いにやり甲斐を見いだすでしょう。一方、マネージャーの側では、部下の使い方と報酬について、人材を最大限に活用する努力が必要になるはずです。
 通年採用には、人事管理制度を、ビジネスの実態に合った社員の能力をより効率的に発揮させるものに変える上でのきっかけになり得る積極的意味があるでしょう。
 通年採用の普及拡大と、これが日本の人事システムを改善するきっかけになることを大いに期待しています。
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