goo

【エンジニアの生きる道】新入社員への適切な接し方

 株式会社VSN様(技術系人材サービス業)のWEBサイトにて、「経済評論家・山崎元の「エンジニアの生きる道」」というタイトルで、月一回、エンジニアの方に向けたコラムを書いています。(※リンクをクリックすると、新しいページが立ち上がります。)

 今月は、「新入社員への適切な接し方」と題する記事を書きました。

 4月になり、新入社員を迎えたオフィスも多いでしょう。
 彼ら自身にとっても迎え入れる側にとっても、新人が「仕事のある生活」に十分慣れるように導くことが大切です。
 それには先ず、最初の1年で(1)時間厳守、(2)挨拶、(3)お金の管理、の3つが出来るようになれば、必要条件を満たしていると考えていいでしょう。

(1)時間厳守
 「会社」というものは他人と協力して何かを行うためにあり、それには他人と時間を合わせることが決定的に重要です。「時間を守る」という意識とそのための努力と達成の経験を持たせることが、新人の成長と戦力化のためには必要です。

(2)挨拶
 新人が、社内の先輩と良い人間関係を結び、さらに取引先から好印象を持って貰うためには、適切な「挨拶」がスムーズに出来ることが不可欠です。挨拶に対する適性には個人差や学生時代の経験による差はありますが、正しい原則を知った上での「練習」によって身につけていくとよいでしょう。

(3)お金の管理
 20代前半から貯金や投資をしなくてもいいと私は考えていますが、収入に見合った支出のペース管理は出来るようになって欲しいと思います。カード・ローンも含めて、小さくても借金は絶対にしないという経済感覚が必要です。

 以上の3条件に加えて、見込みのありそうな新人に対しては、「+α」に対する努力の必要性についても伝えるのが親切でしょう。
 日々仕事で覚えることだけに満足するのではなく、他人に対するプラスの「差」を作るために時間と努力を投資すること、特に入社してしばらくの20代前半の頃における学習の有無は、後の大きな差につながります。

 最後に、後輩で新人といえども、一人の社会人です。潜在的に仕事上の能力が自分より上の新人も少なくないはずだと、敢えて「さん」づけで呼び、対等扱いするくらいの用心深さが、先輩の側にもあるといいでしょう。良い新人の採用は、先輩社員に対してもいい教育効果があります。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【現代ビジネス】パナソニック「人事抗争」の教訓

パナソニック「人事抗争」の教訓。 「出世はIQより愛嬌」で低迷した名門」というタイトルで記事を書きました。

 会社の経営に利害か興味を持つ全てのビジネス・パーソンが是非読むべき本として、書籍「パナソニック人事抗争史」(岩瀬達也著、講談社、2015年4月1日刊)を取り上げました。この本を読めば、近年のパナソニックの意外なもたつきの原因が納得出来るだけでなく、幾つかの実用的な教訓も得ることが出来るでしょう。
 詳しくは本書をお読み頂くとして、本稿では、歴代社長の采配ぶりから読み取れる教訓をまとめてみました。

「万能の神様」のような経営者はいない
 あの松下幸之助氏でさえ、後継者のコントロールが十分に出来ませんでした。しょせん、人間が行う経営に「万能の神様」のような経営者はいないのだ、ということでしょう。

サラリーマンは、偉くなるほどIQよりも愛嬌だ
 組織の役職として上に行くほど、能力よりも上の人間に気に入られることが重要になるのは、サラリーマンにとって最も実用的な教訓です。

勘定よりも感情だ
 これは、行動経済学でよく使われるフレーズですが、会社、あるいは組織とは特にそのようなものだと覚えて置くとよいでしょう。
 経営はしばしば人事を巡る感情の影響によって合理性から逸脱します。5代目森下社長が、前任社長の谷井氏の施策の多くを否定しようとしたことによって、経営的な改革が遅れてしまった事例などは、その最たるものでしょう。

自信のないトップほど社内で威張る
 社内に対して独善的ともいえる強権的な態度で振る舞った森下社長や中村社長など、こうした人物ほど自分に楯突く人間を認めず、徹底的に排除するので、接し方は極めて難しいといえます。

しかし、パナソニックは潰れなかった
 最後に付け加えるならば、現任の津賀社長に至って、パナソニックはやっと「人事抗争」の悪影響を過去のものにし、「普通の、言いたいことを言い合える、活気あふれる会社」を目指しているといいます。
 パナソニックは潰れませんでした。そして、今のパナソニックに希望があることが、本書の救いになっています。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【ダイヤモンドオンライン】上西小百合議員から新入社員の採用・教育・トラブル処理を考える

 ダイヤモンド・オンラインの「山崎元のマルチスコープ」に「上西小百合議員から新入社員の採用・教育・トラブル処理を考える」と題する記事を書きました。(※リンクをクリックすると、新しいページが立ち上がります。)

 今回は、上西衆議院議員の党除名問題を、会社の新入社員に重ねて考えてみました。「株式会社・維新」としては、採用と社員教育、さらにトラブル処理にどんな問題があったと考えられるでしょうか。

 私の率直な意見は、(1)リクルーティングとして彼女を総選挙の候補者に採用したことは大失敗、しかし(2)問題が起きてからのトラブル処理としては維新の党は彼女を再教育するという建前の下でいったんは庇うべきではなかったか、というものです。

 上西氏が維新の候補者になった経緯は、企業の社員採用に喩えると「縁故採用」にあたるようです。会社に相応のメリットをもたらすほどの縁故ではない以上、有力者の紹介だったとしても、維新の党は面接段階で不採用にすべきでした。「社員」が同時に「商品」でもあるビジネスのリクルーティングとして、同時に製品の品質管理として、彼女の採用は杜撰な仕事だったと言えます。

 一般社会でも、縁故採用の無能社員、遅刻や欠勤する新入社員、顧客への口の利き方を知らない社員、日頃から性欲を隠せない社員などは存在します。
 こうした社員(議員や候補者)を雇った場合、会社(政党)はどう対応すればよいのでしょうか。

 そもそも、議員や候補者に高度な能力や高潔さを求めるのは非現実的です。
 政党としては、リクルーティングに力を入れるのももちろんですが、既に招き入れてしまった人材の教育に関しても、対象とする相手のレベルに合わせつつ、丁寧に手間を掛けるべきではないでしょうか。

 私は、上西氏やその秘書の家城氏を可哀想だから、まして議員や公設秘書に適任だから残せと言いたい訳ではありません。彼らの適否は、何れ有権者が判断するでしょう。
 組織として、問題児は、切り捨てるよりも抱え込む方が無難な場合もあります。また、そもそも集めることが出来た人材のレベルに合わせたマネジメントが必要でしょう。

 維新の党の場合、厳格なイメージは残しつつも、面倒見の良い包容力を同時に訴えることが出来ると、組織がもう少し上手くまとまるのと同時に、有権者の支持も拡がるのではと思います。
 それにしても、政党でも会社でも、問題児の扱いは難しいと感じた今回の一件でした。
コメント ( 1 ) | Trackback ( 0 )
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【ダイヤモンドオンライン】異次元緩和の「2年で2%」未達をどう考えるか

 ダイヤモンド・オンラインの「山崎元のマルチスコープ」に「異次元緩和の「2年で2%」未達をどう考えるか」と題する記事を書きました。(※リンクをクリックすると、新しいページが立ち上がります。)

 2013年4月、黒田日銀総裁が「2年で2%」の消費者物価上昇率を目標に掲げた金融政策を発表しました。丸2年が経過した現在、この物価目標は未達と言わざるを得ません。
 ただし、結果こそ出せませんでしたが、一方で、「物価上昇率が2%に達するまで政府・日銀が金融緩和を継続する」という行動の意味での約束は守られていますから、この物価目標は、現在でも一定の有効性を持っているといえるでしょう。

 「2年で2%」の未達原因には、黒田総裁が強調する原油価格の下落もあるでしょうが、消費税率8%への引き上げの悪影響が大きかったと考えるのが自然です。デフレ脱却を目指すプロセスにあっては、増税で財政を引き締めるのではなく、財政収支の赤字を拡大すべきであり、財政・金融共に、物価が上昇した場合に引き締めるのが適切です。状況に関係なく一定のペースで財政赤字を減らすのは、はっきりと愚策です。

 仮に、2016年度に「2%」が達成されたとしても、翌年4月には「不景気の予約」である消費税率の引き上げが予定されています。再び昨年のような景気の後退を引き起こすと、「物価上昇期待」が十分定着しない可能性があります。消費税率の引き上げは、デフレ脱却が十分達成されたと判断してから行うべきでしょう。

 記事では最後に、主に株式に投資している投資家が今後のマクロ経済環境をどう考えるべきかを簡単にまとめています。
 デフレ脱却が遠のいたことは、早期の金融引き締めに至らないという点で、株式投資家にとってはむしろ好都合です。最大の山場となるのは、今年後半に予想されるアメリカの金融引き締めへの転換がどの程度の影響力を持つかでしょう。

 言うまでもなく、マクロ経済の先を読むことは簡単ではありません。現実的な対応としては、株価水準に応じてマイルドに投資額を調整することでしょうか。
 「標準」と思う投資額を、株価が高い場合に少々減らし、株価が安い場合に少々増やす、というくらいの要領です。「あれこれ考えてはみたが、現状維持だ」という状況は、投資にあっては普通のことなのです。
コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする