また,しばらく更新がご無沙汰になってしまいました。
いよいよ大統領選挙です。
共和党ロムニーさんの追い上げがスゴイみたいですが,私ゃオバマさんが勝つと予想してますが,どうですかね。
選挙ネタの前に,ちょいと本のご紹介です。
これ,大学院で地域経済論をとってて,課題図書になった本ですが,かなり良い本です。てか,今年ベストかな。
昔々,出張でニューヨークに行った時,レストランや,どこでも,狭い階段でお先にどうぞをすると,にっこり笑って,サンキュウ。まるでお友達に対するようなリアクション。
無関係で初対面の人でも,結構,相手を認めて話もしっかり聞く習慣というか姿勢に,まあ,なんて過ごしやすそうな気持ちの良い場所なんかいな,と感じたことを覚えているんですな。日本だと,赤の他人は,存在しないのと同じ。目を合わせず,知らんぷりが普通です。
この感触,どういうことなんだろう,とずっと気にかかっていたんですが,本書ですっきりしました。
端的に言えば,日本は安心社会ではあるが,信頼社会ではないという主張です。
村の濃密な人間関係でがんじがらめになっていて,気心の知れた人達に囲まれてれば安心,一方で,外部の人間に対する信頼度はかなり低い。
そして,そんな,赤の他人に対する信頼感をもてない社会はチャンスを十分に生かすことができず,つまり気心の知れた人たちだけでまとまると,機会費用が高くついて発展しにくいんじゃないかという指摘なんですね。
そして,
集団に対する従属心が日本人はもともと強いというのは誤った先入観で,単にそういう環境にあるときにそうなっているだけ,ということを確認した心理実験も紹介されています。
つまり,環境を整備することで,安心社会から信頼社会にギヤチェンジしてゆくことができるし,それが必要だ,ということなんですね。
安心社会から信頼社会へ―日本型システムの行方 (中公新書) | |
クリエーター情報なし | |
中央公論新社 |
いろんな問題を考える上で,一つのコアになり得る議論だと思います。
なぜ日本では産業集積の中から新規事業が生まれにくいのか。
起業に不可欠である,人的ネットワークを持っている人が他国に見られるようにドシドシ生まれてこないのはなぜなのか。
読み物としても面白いし,お勧めです。