ロビンの観劇日記

芝居やオペラの感想を書いています。シェイクスピアが何より好きです💖

「スルース 探偵」

2017-01-05 10:13:19 | 芝居
11月30日新国立劇場小劇場で、アンソニー・シェーファー作「スルース 探偵」をみた(演出:深作健太)。
トニー賞受賞の傑作推理劇を、今回は探偵バージョンとスルースバージョンで上演する由。
その探偵バージョンの方を見た。

舞台は三角形。奥の部屋と2階に通じる階段。時計の音が大きく響いている。クッションの模様が妙に落ち着かない。
推理小説作家アンドリュー・ワイク(西岡徳馬)が原稿を読んでいる。警察官のセリフ、そして探偵のセリフ。そこへ来客のベルの音。
入って来たのはマイロ・ティンドル(新納慎也)。緊張している。それもそのはず、彼は実はワイクの妻マーガリートの愛人で、それを知ったワイク
に呼ばれて来たのだった。
マーガリートは浪費家らしい。ワイクには別の愛人がおり、マーガリートと離婚してもいいと言う。ただ「貧乏な君にはとても彼女を養っていけない
だろうから、うちの金庫に入れてあるルビーのネックレスを盗んだらどうか」と奇妙な提案をする。自分には保険金が下りるし、と言うのだ。
ティンドルの父はイタリアからの移民(30年代に英国に来たと言うと、ワイク「ああ、ユダヤ人」)。父はティンドリーニという名前を英国風に
ティンドルに変えたが、今はイタリアに戻っている。マイロは旅行会社をやっている。

部屋の隅に水兵服を着た等身大の子供の人形があり、テーブルのボタンを押すと、けたたましく笑う。

ピエロの扮装が気に入り、子供のようにはしゃぐティンドル。ワイクに言われるままに彼の立てた筋書きに従って強盗のふりをするが・・・。
1幕ラストでティンドルはピエロの格好のまま撃たれて倒れる・・・。

2幕、ワイクは鼻歌を歌いつつご機嫌で酒を飲もうとしていると、一人の老刑事がやって来る。ティンドル失踪事件の捜査中と言う。
ティンドルは金曜の夜以来家に帰っていない。家にワイクが書いたメモが残されていたことから、ワイクは金曜の夜に起こったことを話す羽目に
なる。ただ、最後の弾は空砲で、マイロを脅かして懲らしめるためだったと言うが・・・。

新納慎也はナマで見たのは初めて。非常に声がよく、しかも演技もうまい。大河ドラマ「真田丸」に出ていたが、その時はただ、甘い声だなあ、と
思っただけだった。背も高く、舞台映えする。

中盤で、二人は大いに盛り上がり、愉快に楽しく語り合う。見ている方も嬉しくなる。ここでやめておけばよかったが、ティンドルの復讐は
いささか過剰なほど続き、ついにワイクのプライドをことごとく打ち砕き・・・。

確かに面白い劇だ。少し納得のいかない点もあるが、まあそういうことは時々あるし。
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