11月14日俳優座劇場で、フロリアン・ゼレール作「嘘」を見た(演出:西川信廣)。
ポール(清水明彦)とアリス(若井なおみ)は親友の夫婦ミシェル(井上倫宏)とロランス(米倉紀之子)をディナーに招待している。
二人が来たらとっておきのワインを振る舞おうと張り切るポール。
しかしアリスは「ディナーをキャンセルして」と言い出した。
実はさっき街でミシェルが見知らぬ女とキスしているのを目撃し、ロランスに話さずにはいられないからと。
それを聞いたポールは「しゃべっちゃダメ」と大反対。
結局「今夜はキャンセル!」と決めたそのとき玄関のベルが鳴り、やむなくディナーは始まってしまう・・・!(チラシより)
2018年2月に同じ作者の「真実」を見た(文学座公演)。
その時と同じ名前の4人が登場する姉妹作の由。
「真実」と「嘘」という語が頻出。
「嘘こそが友情(愛情)のあかし」というセリフや「デリカシー」という語も。
結局ポールはお人好しで吞気な夫のように見えて、実は相当したたかな奴だということが分かるし、アリスも冒頭、潔癖な女性のように見えたが、実は
それどころか彼女には愛人がいて、その彼の新しい彼女に対して嫉妬に燃えていただけだと分かる。
4人共不倫しているわけだが、それぞれ自分の伴侶が不倫していることは知らない。
あるいは薄々感づいてはいても、相手が誰なのかは知らない。自分の浮気に夢中で、伴侶の裏切りにはさほど関心がない、とも言える。
最後にポールとアリスはやっとそれを知らされる。
ポールは平然とニヤニヤ笑っているが、アリスは愕然と(憮然と?)する。
その後の二人をさまざまに想像させるエンディングが面白い。
一旦終わってカーテンコールの後、再び先ほどの芝居の一部が演じられる。
アリスとミシェルがキッチンに立ち、ポールとロランスが居間に二人きりになると、キッチンの中が丸見えとなり、それぞれのカップルが不倫の仲であることが
観客の目の前ではっきりと明かされる仕掛け。
ずいぶん変わった、思い切った趣向だが、効果のほどは?
芝居の構成としては、個人的にはあまり感心しない。
ポール役の清水明彦はこういう役にぴったりで達者だが、他の3人は微妙。
米倉紀之子さんは、2005年のヨルダノフ作「ゴンザーゴ殺し」で出会ってすぐに、その魅力に参ってしまった。
よく通る低い声とメリハリのきいた演技が印象的だった。
その後も2007年のチェーホフ原作「うつろわぬ愛」、2012年のワイルダー作「危機一髪」と、変わった作品にばかり出ていて、その都度
驚かされ、しかもますます魅了されたが、最近はとんとご無沙汰だった。
久しぶりにキシコさんを拝めると張り切って出かけたのだが、肩すかしだった。
パンフレットで一柳みるが書いている通り、この人は「生きることに貪欲で目的のためには手段を選ばない(中略)腹のすわった女性がよく似合う」。
今回は、ごく普通の女性の役だから、いささか役不足で残念だ。
ポール(清水明彦)とアリス(若井なおみ)は親友の夫婦ミシェル(井上倫宏)とロランス(米倉紀之子)をディナーに招待している。
二人が来たらとっておきのワインを振る舞おうと張り切るポール。
しかしアリスは「ディナーをキャンセルして」と言い出した。
実はさっき街でミシェルが見知らぬ女とキスしているのを目撃し、ロランスに話さずにはいられないからと。
それを聞いたポールは「しゃべっちゃダメ」と大反対。
結局「今夜はキャンセル!」と決めたそのとき玄関のベルが鳴り、やむなくディナーは始まってしまう・・・!(チラシより)
2018年2月に同じ作者の「真実」を見た(文学座公演)。
その時と同じ名前の4人が登場する姉妹作の由。
「真実」と「嘘」という語が頻出。
「嘘こそが友情(愛情)のあかし」というセリフや「デリカシー」という語も。
結局ポールはお人好しで吞気な夫のように見えて、実は相当したたかな奴だということが分かるし、アリスも冒頭、潔癖な女性のように見えたが、実は
それどころか彼女には愛人がいて、その彼の新しい彼女に対して嫉妬に燃えていただけだと分かる。
4人共不倫しているわけだが、それぞれ自分の伴侶が不倫していることは知らない。
あるいは薄々感づいてはいても、相手が誰なのかは知らない。自分の浮気に夢中で、伴侶の裏切りにはさほど関心がない、とも言える。
最後にポールとアリスはやっとそれを知らされる。
ポールは平然とニヤニヤ笑っているが、アリスは愕然と(憮然と?)する。
その後の二人をさまざまに想像させるエンディングが面白い。
一旦終わってカーテンコールの後、再び先ほどの芝居の一部が演じられる。
アリスとミシェルがキッチンに立ち、ポールとロランスが居間に二人きりになると、キッチンの中が丸見えとなり、それぞれのカップルが不倫の仲であることが
観客の目の前ではっきりと明かされる仕掛け。
ずいぶん変わった、思い切った趣向だが、効果のほどは?
芝居の構成としては、個人的にはあまり感心しない。
ポール役の清水明彦はこういう役にぴったりで達者だが、他の3人は微妙。
米倉紀之子さんは、2005年のヨルダノフ作「ゴンザーゴ殺し」で出会ってすぐに、その魅力に参ってしまった。
よく通る低い声とメリハリのきいた演技が印象的だった。
その後も2007年のチェーホフ原作「うつろわぬ愛」、2012年のワイルダー作「危機一髪」と、変わった作品にばかり出ていて、その都度
驚かされ、しかもますます魅了されたが、最近はとんとご無沙汰だった。
久しぶりにキシコさんを拝めると張り切って出かけたのだが、肩すかしだった。
パンフレットで一柳みるが書いている通り、この人は「生きることに貪欲で目的のためには手段を選ばない(中略)腹のすわった女性がよく似合う」。
今回は、ごく普通の女性の役だから、いささか役不足で残念だ。
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